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ストリート|道路空間

トレーニング意欲を刺激する!今年も ニューヨークにサマーストリートがやってきた!

歩行者をニューヨークのストリートの主役にする-ニューヨーク市交通局(DOT)が、実施してきたさまざまなストリート改革について、ソトノバでは「プラザ・プログラム」(前編後編)、「ストリート活用プログラム」についてご紹介してきました。

今回は、その中でも紹介したニューヨークの夏の風物詩であり、今年も8月3日、10日、17日 の3週間の土曜日に開催された「サマーストリート」について、少し掘り下げてご紹介します。

現在私は東京のベイエリアに住んでおり、ソトでのトレーニングを通じて、街づくり・コミニティづくりを行う活動をしています。そして数年前までの米国駐在の間、毎年夏に楽しみにしていたサマーストリートをベンチマークとし、いつか東京で同様の取組みを実現したいと思っています。今回その想いを込めて、サマーストリートの中でもトレーニングに関することを中心に紹介します。

(ソトノバ・スタジオ|ソトノバ・ライタークラス1期生の卒業課題記事です。)


ニューヨーク最長!全長11キロの歩行者天国

ニューヨーク・マンハッタンは南北を縦断するアベニュー(Avenue:大通り)と、東西を横断するストリートが碁盤の目状態で構成されています。サマーストリートの開催地であるパークアベニューは、かつては4番街と呼ばれ、マンハッタンの中央に位置する全長7マイル(=約11km)の通りです。

南部のバワリー(Bowery)から始まり、グランドセントラル駅を過ぎると世界的大企業の本社やアメリカ本部が立ち並び、周辺は世界最大の経済規模を持つオフィス街となっています。幅の広い通りであり、中央分離帯に植えられている花や緑樹は美しく、四季の変化を示しています。

マンハッタンでも主要なストリートであるため、普段は当然ながら車が道を占拠しますが、2008年に始まったサマーストリートは、その通りを8月の毎週土曜日の3日間、南北全長11kmを、朝7時から午後1時までの6時間,歩行者天国としています。5つのRest Stops (FoleySQ, SOHO,ASTOL PL,MIDTOWN,UPTOWN) では、ウォーキング、サイクリング、ヨガ等のトレーニング、ストリートダンス、ステージ等のパフォーマンス、世界中のフ―ドの試食、試飲等、様々なアクティビティを楽しむことができます。

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ロウワーマンハッタンのフォーリースクエアのRest Stopの一コマ Photo by New York City DOT
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SOHO Rest Stop ではクライミングも楽しめる Photo by flickr

ストリートが巨大なトレーニングパークに!

ニューヨーカー(ニューヨーク市民)の多くは健康志向が強く、普段からランニング、サイクリング、ヨガなどのエクササイズを楽しんでいます。しかしながら人口密度が高く、車も多いので、エクササイズを楽しむには、この街は少し窮屈な感じがあります。

だからこそ、このサマーストリートの3日間は、ストリートを開放することで、ニューヨーカーがいつもとは違った風景の下でエクササイズを楽しむ機会を与えています。セントラルパーク等でよく行われているアウトドアヨガを、普段は車や、スーツ姿のビジネスパーソンで占められている中心地で実施すると、まったく違った光景を生み出します。

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この3日間は、多くの人がストリートでヨガを楽しむ Photo by NYC DOT

この自由な空間をニューヨーカーはその創造性(Creativity)を活かし、新たな遊び方を創造し、最大限に楽しんでいます。私のオススメは、フォーリースクエア(Foley Square)で楽しめるジップラインとウォータースライダー。世界の金融を動かす街、ウォール街から1-2km程の距離の場所で楽しめる非日常の体験が、サマーストリートならではの面白さです。

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気分はスパイダーマン? ジップラインで楽しむ人たち。Photo by Time Out America LLC
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全米で人気のウォータースライダーイベント ”Slide The City”も開催されています 
Photo by Time Out America LLC

子どもも、ペットも家族全員でストリートに繰り出そう!

サマーストリートは大人のためだけのイベントではありません。大人と子どもが一緒に楽しむことができますし、彼らのためのアトラクションも多数用意されています。ストリートには子ども達の笑顔と歓声が満ち溢れています。普段のマンハッタンでの生活環境に、子ども達が自由に遊び回れる開放的な空間があるかと言えば、セントラルパーク等はあるものの、それだけでは不十分なように思います。その点で、サマーストリートは1つのソリューションになっています。

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子ども達の大好きな自転車も、開放されたストリートで普段とは違った遊び方で楽しめる Photo by New York City DOT

5人に1人は犬を飼っているといわれるニューヨークは、世界でも飼育率ナンバーワンの都市の1つです。ほとんどのマンションがペット可で、注意書きがない限りお店やホテルなどの施設で同伴OKです。だからサマーストリートでも同様に、家族の一員であるペットが楽しめる空間が用意されています。特設のドッグラン(Dog Run)が設置されており、ワンちゃんたちも非日常を楽しんでいます。

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ニューヨーカーの家族でもあるペットにも、特別なスポットを提供 Photo by New York City DOT

街を開放することで生まれる価値・クリエイティビティ

世界経済の中心地、発信地であるからこそ、マンハッタンではビジネスパーソンは時間に追われながら仕事に取り組んでいます。普段は車で埋め尽くされ、交通渋滞は激しく、街を動かす主権は、人にはないように思えます。

しかしこのサマーストリートの期間は、街を動かす人が主権を持ちます。街を人=住民、そこで働く人達に開放することで、トレーニングの新しい楽しみ方、新しいプロダクトやサービスとの出会い、さらには新しい人と人との出会い、コミュニティが生まれています。年間で3日間、1日あたり6時間の「実験」ですが、この取り組みが拡大していけば、「人が主権を持つ時間」も増えていき、人と街のあり方も変わっていくのではないでしょうか。

同じことは日本にも当てはまるように思います。2020年、東京オリンピック・パラリンピックを控え、さらに都市中心部の再開発が進む東京は、利便性が上がる一方で、窮屈さが増しているように感じます。東京でサマーストリートを開催し、街を開放することが出きたら、東京の光景や、そこで暮らす人たちの表情も大きく変わるのでは、ないでしょうか? 

【イベント概要】

期 間:2019年8月3,10,17日(土曜日) 午前7時~午後1時 
会 場:米国ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン区パークアベニュー(全長約11km)
プログラム:Dance Festival,
Zip line & Sports,
Rock Wall & Fitness Zone and etc.
主 催:New York City Department of Transportation.
ウェブサイト:https://www1.nyc.gov/html/dot/summerstreets/html/home/home.shtml

Cover Photo by Manhattan Babe.Com

Text:岸原直人(パナソニック)

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