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「居心地の良い」秋葉原を目指す|秋葉原TMO Book「アキバに出会う、アキバと歩む。」を読み解く

一般社団法人ソトノバは、2023年度より秋葉原タウンマネジメント株式会社(以下、秋葉原TMO)と共に秋葉原にてウォーカブルなまちづくりを進めています。そして、秋葉原TMOの活動を紹介する冊子「アキバに出会う、アキバと歩む。」を作成しました。
地域で守り、活かす。秋葉原のエリアマネジメント
秋葉原といえば、電気街をはじめにアニメ、ゲーム、フィギュアなどサブカルチャーが発展してきた街として知られています。モノが集まり、人が集まり、文化や情報、多様な積層と混沌とした空間「アキバ」に、世界中から多くの人が期待感を持って訪れます。しかし、その本当の魅力や居心地の良さを感じ取れる人は少ないのかもしれません。
秋葉原というまちは、地域の人々によって維持・管理されているのです。少し目を向ければ、地域の活動や取り組みが見えてきます。
秋葉原TMOは、エリアマネジメント組織として大規模開発後のまちを維持し、さらに発展させるために、地域の人々と協力し、多岐にわたる業務を担っています。しかし、設立から15年以上が経つ今でも、公益的な活動はボランティアや行政の事業と差別化しにくく、また、公益的概念をもとに活動する会社という特殊な形態は十分理解されないこともあるそうです。そこで、秋葉原TMOの活動やまちとの関係性をわかりやすく説明し、広く伝えるために制作したのが、今回の「アキバに出会う、アキバと歩む。」という冊子です。

プロジェクトのはじまりと制作プロセス
秋葉原TMOは「ウォーカブルなまちづくり」を推進し、すべての人にとって「居心地の良い空間」をつくるため、地域の方々や各関係機関と連携しながら「まちを守る」「まちを活かす」の2つを軸としたさまざまな活動に取り組んでいます。

しかし、エリアマネジメントに対する概念や取り組み内容を理解してもらうことは難しいものでした。秋葉原TMOの土方さやか氏は、外部の方々に秋葉原TMOの活動を説明する機会が多く、これまで行政担当者、警察、そして時にはまちづくりを勉強する学生にも説明してきました。しかし、秋葉原の成り立ちや活動の背景などを理解してもらうために、多くの時間を費やさなければなりませんでした。そのため、もっと簡潔に広く説明できるようにこのプロジェクトが立ち上がりました。
制作は、ソトノバと矢野拓洋氏(東洋大学 助教)率いる6名の学生チーム(上杉真子氏、佐藤颯人氏、松岡絢加氏、長谷川碧氏、河上朝乃氏)で行われました。制作過程ではデザインワークショップやヒアリングを通じて、秋葉原TMOの活動内容や地域の理解を深め、冊子のコンセプトやデザインを具体化していきました。何度も文章のニュアンスを確認し、最終的に2023年8月に完成しました。

秋葉原で「居心地の良い空間」をつくる意図
この冊子の最も重要な部分は、P3のオレンジページに記載された「秋葉原TMOは、世界のアキバで居心地の良い空間をつくる会社です。」というフレーズです。これは、今回冊子制作を通して完成した、秋葉原TMOのパーパスとなっていますが、秋葉原らしさを持ちながら、居心地の良さを追求する難しさを示しています。

冊子作成の過程で、秋葉原TMOの担当者は
「どんなにとんがった人でも、居心地が良いからそこにいるのであって、そういった空間をつくっていくことが大事」
だと話しました。この想いはP10のコラムにまとめられており、この冊子のテーマそのものなのです。
多様な人々によって支えられている秋葉原と、その未来
秋葉原TMOは、地域の活動を支え、秋葉原を維持発展させるために多岐にわたる業務を担っています。P17のマトリクスでは、「まちを守る事業」「まちを活かす事業」「収益事業」の3つの軸で整理されており、秋葉原TMOの使命が示されています。
また、秋葉原のステークホルダーや地域活動団体の役割についても詳しく解説しており、多くの人々が秋葉原のまちを支えていることがわかります。地域社会との協働が持続可能なまちづくりを実現するための戦略なのです。

最後に、この冊子は、秋葉原エリアに関心を持つ多くの人々にとって、秋葉原のまちを知り、居心地の良い空間づくりを目指す、より良い未来に向かっていくためのガイドラインになると、筆者は考えています。
秋葉原TMOの活動が地域にもたらす影響や、今後の取り組みへの期待がますます高まることを期待しています。
ぜひ、皆様もこの冊子をご覧いただき、一緒に秋葉原の未来を考えていきましょう。
【概要】
「アキバに出会う、アキバと歩む。」
発行日|2023年8月
デザイン|一般社団法人ソトノバ
上杉真子、佐藤颯人、松岡絢加、長谷川碧、河上麻乃、秋元友里、矢野拓洋
イラスト|矢野翔史
表紙写真|水津拓海
編集・発行|秋葉原タウンマネジメント株式会社
アキバに出会う、アキバと歩む。|秋葉原タウンマネジメント株式会社 by ソトノバ|sotonoba.place – Issuu