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外食産業と快適な公共空間は両立できるか?NYの屋外ダイニング中止を求める訴訟

外食産業と快適な公共空間は両立できるか?NYの屋外ダイニング中止を求める訴訟

ニューヨーク市では新型コロナの経済的影響緩和の取り組みの一環として、レストランが食事用の屋外スペースを歩道や道路にまで拡張できる屋外ダイニングプログラム”Open Restaurants Program”を実施しています。しかしながら、2022年8月にプログラムの中止を求める新たな訴訟がおこっています。本記事では、ニューヨークにおける屋外ダイニングの運用とその実態を踏まえてなぜ反対の運動が起こっているのかについてご紹介します。

※この記事はNew lawsuit seeks to end outdoor dining in New York Cityを翻訳したものです。


コロナ禍の外食産業のロールモデルになぜ中止の声が集まるのか

ニューヨーク市内に居住する35人の原告が、同市の屋外ダイニングプログラム”Open Restaurants Program”を廃止するよう求めて市を提訴しました。2022年7月29日に起こされたこの訴訟では、過度の騒音、交通や歩道の混雑、ゴミの投棄やネズミの発生など、多数の苦情がプログラムを終了させる理由として挙げられています。

訴状によると、これらの状況は、

道路や歩道を安全に通行することができず、原告の一部が利用できる駐車場が減少する原因になる

と原告側は主張しています。

また、屋外での食事を恒常化するために市が歩道や道端などの公共スペースの使用を許可したり貸し与えたりするなど、民間企業に利益を与える一方で、住民が地域に住み続けることを困難にしているとの非難も盛り込まれています。ニューヨーク市議会は2022年2月、屋外での食事を恒久化する法案”Permanet Open Restaurants Program”を可決しましたが、環境影響評価を求める新たな訴訟によって実施時期の延期を余儀なくされています。

屋外ダイニングを食事目的に利用していない実態?

”Open Restaurants Program”は、新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生当初に、屋外席を拡大することで既存の飲食ビジネスを維持するために始められたものですが、この訴訟では、

実際には、ニューヨーク市には公衆衛生上の緊急事態は存在せず、そのような緊急事態に対応するための既存の法的根拠もまた存在しない

としています。更にこの訴訟では、屋外ダイニングのスペースを実際の食事に利用していないレストランもあるという主張もなされています。

ブルックリンコミュニティ委員会4議長のロバート・カマチョ(Robert Camacho)氏は

現在、一部のレストランのオーナーは、この場所を屋外での食事ではなく、倉庫として使用している(…)ゴミでいっぱいになっているところもあるし、子供がそこでハイになっているところもある

と、訴訟の宣誓供述書で述べています。

robinson-greig-d0JxG64FVf0-unsplashPhoto by Robinson Greig

数十億ドルのナイトライフ産業と公共空間の安全性を両立するには

ニューヨーク市のアダムズ市長(Mayor of New York City Eric Leroy Adams)は、8月1日の記者会見で、

地元のレストランやバーがパンデミックからの経済回復にあたって好ましい影響を与えている屋外ダイニングの継続を支持する

と述べました。アダムズ市長は

私は屋外ダイニングに大賛成です 。以前から何度も報道されているように、ナイトライフは数十億ドル規模の産業です。レストランオーナーは、非常に困難な時期を乗り越えてきました。コロナ禍の負債の支払いがいまだに滞っている店舗もあります。皿洗いやウェイターなどを雇用しているレストラン業界を助けるために、私にできることは何でもしましょう

と述べています。

しかし、アダムズ市長は、もし屋外の飲食店が提供する施設や建築物が危険であるという根拠のある主張があれば、行政はプログラムについての何らかの修正を検討することも認めました。

アダムス市長は、

屋外での食事場所自体が危険になっているところもあるので、プログラムを修正する必要があるかもしれません

と述べています。更に

どのような構造であるべきか、また、どのように使用されるべきかを標準化することで改善の余地が見えてくるはずです。屋外ダイニングを倉庫スペースとして利用することはもちろんあってはなりません。しかしながら、私は屋外ダイニングの支持者であり、同プログラムはレストラン業界にとっての命綱となったと思うのです

と付け加えています。

lerone-pieters-05-XbwhYxSY-unsplashPhoto by Lerone Pieters

飲食、接客業界にとって屋外ダイニング廃止は大損失になりかねない

レストランや接客業に携わる従業員も、アダムズ市長に同意し、”Open Restaurants Program”を終了することは大きな間違いであると述べています。

ニューヨーク市ホスピタリティ・アライアンスのアンドリュー・リギー(Andrew Rigie)氏は、火曜日にamNew Yorkに寄せた声明の中で、

屋外ダイニングの廃止は、この街のレストランの回復やニューヨーカーの雇用にとって破壊的であり、屋外で食事を楽しむ無数の人々にとって大きな損失となるでしょう

と述べています。さらに、

答えは、屋外での食事を終わらせることではなく、パンデミック時に開始された緊急版のOpen Restaurants Programから恒常的な制度として移行する際に、より標準的で持続可能なプログラムを開発することです

と付け加えています。

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