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「利用と活動」:多様な目的のプレイスのつくりかた|プレイス・ダイアグラム解説1

パブリックスペース活用が盛んになる中、その後のパブリックスペース管理運営やエリアマネジメントが国内でも議論や実践が行われています。

公民連携の流れの中で、地域住民、地域団体、地元企業が主体となって、パブリックスペースを管理運営、マネジメントすることが求められていく中で、そうであるならば最初のビジョンや計画策定段階から、パブリックスペースの管理運営やマネジメントの担い手を巻き込みながら、一緒に考えていこうという思考になってきています。

そこで注目されているのが、プレイスメイキングです。

公と民という異なる主体が同じプロジェクトを行っていく際に、最も重要なのは共通の価値や目標の共有ではないでしょうか。言い換えれば、プレイスメイキングを行う際に、共通の価値や目標としてのプレイスを共有することは重要です。しかし、プレイスとは何かの理解が難しいところです。

ソトノバでは、Placemaking Japanでのプレイスメイキングガイドとして、プレイス・ゲームプレイス・ビジョンケースブックプレイスメイカー図鑑などに取り組んでいます。また、各地でプレイス・ゲームを実践していく中で、プレイスについては、よく説明するところですが、ソトノバメディアでもしっかり紹介していきたいと思っています。

今回は、プレイス・ダイアグラムの一般的な説明記事(成功するパブリックスペースをつくるには?プレイスメイキングの評価ポイントを公開!)に加えて、Project for Public Spacesの「プレイス・ダイアグラム」の4要素を解説する記事シリーズをもとに、翻訳記事として紹介したいと思います。今回はそのシリーズの第1回目の記事になります。

プレイス・ダイアグラムの4要素のうち、「利用と活動」(Uses & Activities)について、解説しているので、ご覧ください。

CoverPhoto by Project for Public Spaces

(以下は、Uses & Activities: How to Create Multi-Purpose Placesの翻訳記事です)


「利用と活動」:多様な目的のあるプレイスのつくりかた
Uses & Activities: How to Create Multi-Purpose Places

編集部注:この記事は、「何が素晴らしい場所をつくるのか?(“What Makes a Great Place?”」という問いに答える「プレイス・ダイアグラム」の4つのセグメントを探求する4部構成のシリーズの第1回目です。

すべての人のために、社交的で活気あるコミュニティの場を創造することがプレイスメイキング・ムーブメントの主な目標である以上、そこで行われるアクティビティがそのプロセスの始まりであり、終わりであることは理にかなっています。

結局のところ、「そこで何ができるのか?」という問いに答えることなしにパブリックスペースを想像することは不可能なのです。 

whatmakesagreatplace素晴らしいプレイスの4つの要素: 利用と活動、快適さとイメージ、アクセスとつながり、そして社交性

この記事シリーズのベースとなっている重要なプレイスメイキングのツールである「プレイス・ダイアグラム」は、パブリックスペースが人々によく使われ、より愛されるための4つの要素の概要を示しています。今回の4部構成の記事シリーズでは、優れたパブリックスペースの最も基本的な構成要素である「利用と活動」から始まり、それぞれの特徴をより深く掘り下げていきます。

「利用と活動」は、その場所で何をすることが可能かを示すものであり、パブリックスペースが訪問者から引き出す願望やニーズ、アイデアのすべてを反映するものです。「利用と活動」は、優れたパブリックスペースにおける他の要素である「快適さとイメージ」「アクセスとつながり」「社交性」に比べ、目に見えるものではありませんが、、コミュニティにとって、その場所がどれだけ役立っているかを最もよく表しています。

北米各地の事例を交えながら、パブリックスペースにおける利用が一般に普及するための分岐点、いわゆる、クリティカルマスを育成するための7つの原則を紹介します。

1. アメニティからプログラムまで、地元に根ざしたものにする

本物のローカル・デスティネーション(地域の目的地)をつくるには、地域の人々が本当に求めているものに耳を傾けなければなりません。そのため、アメニティやプログラムは、地域社会が関与した結果でなければならず、最良のケースでは、地域の資源、ノウハウ、素材も活用しなければなりません。

64765372114fd743d4f6b3dc_354a898b以前の状態:メキシコ、チアパスの使われていない校庭。出典:Fundación Placemaking México 64765376a250280581f42021_9f718074プロジェクト実施後: メキシコ、チアパス州の校庭整備。出典:Fundación Placemaking México

メキシコでは、FEMSA財団という持続可能コミュニティを支援する団体が、LAPIS(Lugares Amigables para la Primera Infancia)と呼ばれるプロジェクトが幼児期と青少年のプレイスメイキングに焦点を当て、ステークホルダーへの働きかけと地元の人的・物的資源の組み合わせがいかに成功をもたらすかを実証しています。

LAPISに取り組む際、PlacemakingXのグローバル・プログラム・ディレクターであり、Fundación Placemaking Méxicoの創設者であるギジェルモ・ベルナルさん(Guillermo Bernal)は、出発点として地元の子どもたちのニーズに耳を傾けることに重点を置きました。

プレイス・ダイアグラムに基づいたドローイング演習や調査を通じて、チームのメンバーは子どもたちからアイデアを集め、学校、道路、博物館、自然保護公園など、さまざまな環境に適応させることができました。このような創造的な関わりは、地域住民が自分たちのアイデアを場づくりのプロセスに反映させることができ、インクルーシブな環境を育みます。

Fundación Placemaking Méxicoは、地元のコミュニティ・メンバーである特に5歳以下の子どもたちとの関わりを重視し、コミュニティ・センターや遊び場となる広場、校庭、サイクリング教育のための空間、自然をベースにしたデザインの「ナチュラライズド・パティオ」など、多種多様なスペースをつくり出しました。

さまざまな遊びのためのスペースをつくったり、ブランコを設置したりするだけではありません。地元の材料を使い、地域経済を支え、地元文化を促進することなどが重要なのです。

とベルナルさんは話します。このように、遊びをサポートするというLAPISの中核的使命は、地元の子どもたちの想像力を含め、地域の資源やノウハウに根ざしています。

64765371b9e9d70e5174549b_63ba8f8dメキシコのLAPISプロジェクトの一環として行われた子どもたちとのドローイング・エクササイズ 出典:Placemaking Mexico

2. プログラムに参加する

Project for Public Spaces(PPS)は、人々がその空間で何をしたいかを特定するというシンプルなアイデアを軸に、多くのコミュニティ・エンゲージメントを構築しています。PPSの共同エグゼクティブ・ディレクターであるネイト・ストーリングさん(Nate Storring)の言葉を借りれば、

私たちは、コミュニティ・エンゲージメントのプロセスにおいて、プレイス・ダイアグラム全体を使います。だからこそ、そのプレイスメイキング・プロジェクトは、コミュニティとの合意の後、その場所がどのような地域活動をサポートできるかを定義するための「プログラム」の開発へと進むことができるのです。

であり、また、

私たちは、パブリックスペースにおける「利用」を図式化し、「行動」がユニークに混在するエリアを特定するために泡(バブル)を描くのです。

とも指摘します。

64765382407647937a280526_5827d4bdProject for Public Spacesがカリフォルニア州レディングのサウス・シティ・パークのために作成したプログラムの「バブル・ダイアグラム」

このダイアグラムはアクティビティマトリックスと対になっており、アクティビティを時系列で整理しています。

1日、1週間、1年という単位で活動をマッピングすることで、空間がどのように発展していくかの基礎的な視覚化をすることでき、最終的にはデザインや管理の計画にも反映されます。ストーリングさんによれば、一旦、このような活動のクリティカルマスができると、 

困ったときにはデザインに戻ることができ、『どのようなデザイン要素が必要か?その活動を実現するためには、どのような管理の要素が必要なのか?』を問い直すことができます。要するに、プレイスメイキングのプロセス全体は、人々が空間をどのように使うかを中心に据えているのです。

と述べています。

LAPISプロジェクトの場合、Fundación Placemaking Méxicoのジェネラル・ディレクターであるルシアナ・レナーさん(Luciana Renner)は、

さまざまな遊びの類型(ソーシャルゲーム、ファンタジーゲーム、チャレンジングゲームなど)が、メキシコ全土のコミュニティにおける空間のあり方に影響を与えました。

と述べています。

LAPISの各プログラムは、さまざまなゲームを中心としたシンプルで何ら制限を設けないプランで運営されています。これは、ちょっとした隠れ家やステージ、その他、小学生の好むアクティビティ機能を提供することを意味しています。

6476538029788e24df4e2afc_52031b85例えば、タバスコ州では、地域のパートナーは先住民コミュニティのニーズを考慮しました。彼らはまた、空間に色や植物を加え、遊具や砂場、地元で作られたコミュニティ・ガーデンの花壇を設置しています。出典:Placemaking Mexico

このようなプロジェクトの最初の勢いを維持するためには、その地域における重要なパートナーとコミュニケーションをとることが重要だ、とベルナルさんは考えています。

LAPISのプログラムでは、地元の機関や近隣の非営利団体、あるいは博物館や学校といった隣接する施設のパートナーが、プロジェクトの一環として整備された空間の維持管理を行うことの同意をとりつけました。もう一度いいますが、地元での強力な利用には地元での強力なサポートが必要なのです。

しかし、それでも疑問は残ります。

パブリックスペースは、どのようにしてこのような利用プログラムを支えることができるのだろうか?

この記事の残りの部分では、訪問者の活動で賑わう、生きていると感じられるパブリックスペースをつくるための核となる戦略のいくつかを概説します。

3. 最初に利用を定義し、次にデザインする

PPSは、「形は機能をサポートする」というスタンスを長年貫いてきました。言い換えれば、あらゆるデザインは、その空間に対する人間のニーズや願望としっかりと結びついていなければならないということです。

デザインの専門家たちは今世紀半ば、いわゆるミッドセンチュリーの失敗から長い道のりを歩んできましたが、宇宙から見えるように設計された街路パターンや、「高品質」という抽象的なアイデアを追いかける派手な素材が1年も経たないうちに崩壊するようなパブリックスペースが、今日でも存在します 。

64765378195e6d0235e46cb2_3450e656アイオワ州シーダーラピッズにあるニューボー・シティ・マーケットの屋外プログラム

最高のデザインは、

人々はここで何をするのか?

という問いに答えることから始まります。例えば、アイオワ州シーダーラピッズのニューボー・シティ・マーケット(NewBo City Market)の建設は、洪水後の復興プロセスの一環であり、その優先事項の中には、まちなかの自然な集会所の不足に対処する必要性が含まれていました。

PPSの共同エグゼクティブ・ディレクターであるケリー・ヴェレルさん(Kelly Verel)は、

復興プロセスが始まった当初は社会的な空間が重要でした。パブリックスペースが近隣を支えていたのです。

NewBoプロジェクトのパートナーは、この社会的基盤の上に、人々を引きつけるための伝統的な商業活動と他の支援的なアトラクションを混ぜ合わせた利用を確立しました。

64765374298dd061041040c3_c06a89d3ニューボー・シティ・マーケットの芝生広場は、あらゆる種類の活動に使われるフレキシブルな空間

このプロジェクトでは、コモンスペースを過剰にデザインしないことが重要でした。広くてフレキシブルな芝生が屋外活動のための空間を提供する一方、屋内部分はオープンスペース、常設の屋台、業務用キッチンの間でバランスをとっています。

料理教室、音楽ライブ、ヨガ、映画上映会、ジョギングコースのゴール地点などです。このように、ニューボーは柔軟性と季節性を受け入れ、「街の錨」として「利用と活動」を役割の中心に置いています。

4. 多様性は人生のスパイス

人々がどのように空間を利用するか、あるいはどのような種類の活動がベストか、ということに関しては、間違った答えはほとんどありません。実際、空間を活気づける最善の方法のひとつは、密集した多様な利用を混在させることです。

PPSはこれを「Power of 10+」(パワーオブテン)と呼んでいます。これは、都心エリア、キャンパス、農村地域が発展するためには、10の素晴らしい目的地が必要であり、それぞれの目的地には10の明確な場所が必要であり、それぞれの場所には10の楽しみが必要であるというシンプルな考え方です。このように入れ子状になった「利用と活動」が一般に普及するための分岐点であるクリティカルマスは、都市のパブリックスペースが1日、1週間、1年中いつでも活気に満ちていることを保証するのに役立ちます。

6476656ca6ccb8e39d8ab50a_Slide1ニューヨーク、ブルックリンのベイリッジ地区にあるアメリカン・ヴェテランズ・メモリアル・ピアでは、シンプルで日常的な使い方が10以上のパワーを生み出します。

「活動」の集積をつくることに複雑である必要はありません。PPSの「プレイスメイキング:実現させる」(Placemaking: Making It Happen)というトレーニングカリキュラムによると、 ニューヨークのブルックリン、ベイリッジにあるアメリカン・ヴェテランズ・メモリアル・ピア(the American Veterans Memorial Pier)は、周辺の地下鉄駅やサイクリングロード、住宅密集地とうまくつながっています。ベンチ、テーブル、水辺の景色、休憩できる十分なスポットがあり、主にシンプルで日常的な利用を通じて多くの人にとって理想的なプレイスとなっています。日中は釣りをする人たちで賑わい、夕方や週末にはピクニックを楽しむ人たちや地元のアイスクリーム屋台を訪れる人たちで賑わいます。

647666827dd51fb5e78c95e6_Copy of An Introduction to Placemaking 2どんな素晴らしいパブリックスペースでもそうであるように、アメリカン・ヴェテランズ・メモリアル・ピア沿いの利用も、放課後にアイスクリーム屋台がやってきたり、夕日が沈んでいったりと、一日を通して変化がみられます。

ストーリングさんは、

この桟橋がこのようによく利用される集いの場となったのは、桟橋のさまざまな設備が活動を支えているからだ。

と指摘します。

基本的なものを提供することで、たとえ多くの管理やプログラムがなくても、パブリックスペースを人々が日常的に使用する、話す、食べる、たむろする、休息するなどの活動的なプラットフォームにすることができる

複数の活動をサポートする集いの場をつくるには、人々が自分自身の利用を空間にもたらすために必要な基盤を提供するだけの小さなことから始めることができます。

5. 活動(アクティビティ)とアメニティのトライアングル化

パブリックスペース内の「活動」が互いに作用し合うようにすることは、社会的相互作用を構築する鍵です。ウィリアム・H・ホワイトさん(William H. Whyte)は、このような現象を「トライアングル化」と呼びました。

これは、前述したように、様々な利用が混在することと大いに関係がありますが、同時に、それらの利用が互いに関連して配置されていることとも関係があります。

625087c84d0a573aecd84a89_2Q7A4116カリフォルニア州シャフターにあるシャフター図書館&ラーニングセンターの多目的増築部分で遊ぶ子どもたち 出典:GAF

カリフォルニア州シャフターにあるシャフター図書館&ラーニングセンターの最近の改修は、新しい施設と改修された施設が互いに作用し合い、より大きくまとまりのある空間をつくり上げることができることを示しています。

PPSはラーニングセンターのスタッフと協力し、特に若者向けの空間とプログラムを開発しました。すでに放課後の子どもたちの拠点となっているラーニング・センターは、大人向けのクラスに加えて、STEM教育を学べるクラスや若い訪問者向けのアクティビティも提供するようになりました。

より広い空間を確保するため、輸送用コンテナを利用した2つの教室と広場が新設され、センターの新時代が幕を開けました。これらの新しい目的地には、子ども向けの家具や地元のアーティストと共同制作したアートでいっぱいの子ども用読書室、多目的教室、中庭エリアなどが含まれます。

6476537d09c7d26079e69ff5_34e9d0e3シャフター図書館&ラーニング・センターの新しい屋外設備を楽しむために集まった近隣住民たち 出典:GAF

PPSのプロジェクト・ディレクターであるエレナ・マディソンさん(Elena Madison)によると、ラーニング・センターのスタッフのひとりは、

屋内外に空間ができたことで、多くの新しいクラスを設けることができたんです。

といったそうです。

そのコンセプトのひとつは、屋外の広場空間を、工作やロボット製作、ペイントなど多少面倒な作業に使うことでした。非常に小さな施設ですでに膨大な量のプログラミングを行っていた場所を拡張することによって、ラーニング・センターを楽しむためのスペースがさらに広がり、それぞれが他のスペースと作用し合って、より生き生きとした空間になったのです。

ラーニング・センターの成功の秘訣のひとつは、受動的な利用方法と能動的な利用方法の両方があることです。能動的な利用方法として芸術や科学のプログラムがありますが、一方で、ラーニング・センターの図書室は、親や年長のこどもたちがよく集まる静かで受動的な空間です。

静かな読書エリアと体験学習のためのダイナミックな空間が健全に混在するようにすることで、ラーニング・センターは子どもたちだけでなく、その保護者やあらゆる年齢層の人々の目的地として活発化しています。

6. 人を招き入れるような商業施設をつくる

パブリックスペースの商業的利用は、その場所を訪れる理由をさらに増やすことができます。

小売店であれ、飲食店であれ、一時的なポップアップであれ、適切な方法で運営が行われれば、その場所にビジネスを取り込むことで、社会生活のもうひとつの活気ある空間をつくり出すことができます。重要なのは、商業活動が空間を支配したり、誰かを追い出したりするのではなく、地元の起業家を支援し、地元の訪問者の文化を反映するようにすることなのです。

アラバマ州バーミンガムでは、Elevators on 4th の創設者兼CEOであるカーメン・メイズさん(Carmen Mays)が、歴史的な4番街のビジネス地区を活性化する機会を見出しました。

この地区は、バーミンガムにおける黒人起業の歴史を示す重要な地区であり、公民権国家記念碑に隣接しています。メイズさんは、この地区がバーミンガムのダウンタウン近郊の他の商業地区に遅れをとり、若い人たちに利用されなくなっていることに気づきました。

また、この地域の歴史的な性質もあり、メイズさんは「過度に保存主義的」な傾向があることにも気づきました。彼女はさらに、これほど歴史に彩られた場所で、

商業化と記念のバランスを、曲解することなく取るにはどうすればいいのか?

と自問したそうです。

6476537e6349171a460bd9e1_343c71fcコロナ以前は、歴史的な4番街ビジネス地区でもポップアップ・アートギャラリーが多くありました 出典:Kayla Gladney at Dawn G Media

やがて、メイズさんが見出した答えは、「積極的なコミュニケーション」「デモンストレーション」「プログラミング」の3つでした。

メイズさんは、この地区の空間が十分に利用されていないのは、悲劇的な歴史に対するトラウマや人種差別の歴史を持つ空間で何ができるかを人々が知らないことに起因していると考えました。だからこそ、積極的なコミュニケーションは、空間の所有者意識(オーナーシップ)を取り戻す第一歩だと考えたのです。

私たちのコミュニケーションは、人々が空間について考えていることを狭めたり広げたりできるのです。

とメイズさんはいいます。

彼らを最初に迎え入れるために、この場所ではどう行動すべきかをたくさん指示するのではなく、異なる枠組みを設けて、彼らとともに考える必要があります。

常にオープンな会話を保ち、何が許可されないかではなく、何が可能かを考えることが、パブリックスペースがその可能性を最大限に発揮するための最善の方法なのです。

メイズさんが「アファーマティブ・スペース(肯定的な空間)」(affirmative space)と呼ぶものを地区とその周辺につくることは、起業家たちにとっても新しい活動を促し、実演し、既存のアメニティを活用することを意味しています。

メイズさんは、2019年のポップアップ・アートギャラリーや2020年のポップアップ・バザーなど、地区内で複数のポップアップ・イベントを開催してきました。後者は、市からの許可を得ずに行った「非常に戦術的(タクティカル)」なもので、出店者のブース間の社会的距離を示すために駐車スペースを即興で利用しました。

近隣の駐車場ではフードトラックが、また、隣接する公園ではDJが、そして歩道沿いにはタクティカルなブースが配置され、通りを行き交う人々は、4番街で可能な活動のすべてを簡単に目にすることができました。

こうした活用の後、歴史的なビジネス地区を活性化させるためのメイズさんの3段階のアプローチに残されたのは、より定期的なプログラムでした。彼女の実践を通して、どのような活動が地区に新たな活気を与えるのかが明らかになりました。

バーミンガム市は、この知識を生かして即興的に、地区内の商業活動やその他の活動を支援することができるようになりました。

商業活動は、空間に活気を与える中核的な要素になり得ます。起業家、職人、レストラン経営者、地元企業経営者などに空間を開放するだけで、その空間に大きな変化をもたらし、人の往来や地域経済を活性化させることができるのです。

パブリックスペースに商業活動を加える際に重要なのは、他の活動とのバランスを考え、提供されるものを利用しやすいものに保つことです。

7. プログラマーやプラットフォームになる

来場者が組織化された「活動」に直接参加するような、アクティブな使い方をする空間に種をまくには、多少のコツが必要です。必ずしも正式なイベントカレンダーが必要なわけではありませんが、その場所での活動を実現するために献身的に働く人々がいることは助けになります。

PPSのエレナ・マディソンさん(Elena Madison)は、活動とプログラミングを管理するための2つのアプローチについて概説しています。

一つ目の、より積極的なアプローチでは、あなた自身やあなたの組織がイベントのオーガナイザーとなり、一連のイベントを開発し、サポートすることです。

シュフター図書館&ラーニング・センターのような場所では、教育の訓練を受けたスタッフが、地域社会で必要とされていると感じたことを中心に、地道で意図的な活動を続けています。

もう一つのアプローチは、関係者や近隣の施設と提携し、他の団体がプログラムやイベントの大部分を持ち込む場となることです。

PPSのケリー・ヴェレルさんは、ニューボー・シティ・マーケットでこのようなパートナーシップ・アプローチが成功していると考え、調理実演や商業用キッチンの活動は地元のコミュニティ・カレッジによって運営されていると述べています。

このような状況において、ヴェレルさんは、これらの文化施設が優れた活動を披露する場所の実績の一部と考えるべきだと提言しています。

結局のところ「利用と活動」とは?

「活動」はあらゆる素晴らしい場所においても核となるものであり、パブリックスペースを想像したり、再構築したりする際には常に出発点でなければならないのです。「活動」は、素晴らしいパブリックスペースの他のすべての基礎的な要素となるものです。パブリックスペースに来る理由がなければ、そこに行けるかどうか、心地よく滞在できるかどうかは問題ではなく、社会的な交流の可能性は消え去っててしまいます。

結局のところ、愛されるパブリックスペースとは、計画的か非計画的かを問わずさまざまな利用が統合され、地域コミュニティに奉仕し、また奉仕されるものなのです。しかし、プログラムを開発し、組織化し、トライアングル化し、商業と複雑な歴史との間のような潜在的な対立を管理することによって、これらの「利用」や「活動」を最大限に活用するためには、計画と継続的な管理が必要です。

こうした努力の最終結果は、それだけの価値があります。人の利用が織りなす「バレエ」が息づくパブリックスペースは、それ自体がその場所の価値を物語っています。

Cobble Hillニューヨーク、ブルックリンのコブル・ヒル地区の「歩道のバレエ」

翻訳を終えて

いかがでしたでしょうか。

パブリックスペースやプレイスメイキングの中で、「利用と活動」は、一般的な要素のように思えるだけに、そこを評価し、つくり出す方法は意識的にならなければならないと感じました。

特に、パブリックスペースにおける日常的な人の「利用」がもたらされることがまずは重要で、「形は機能をサポートする」というPPSのスタンスに即して、人々の利用をベースに、パブリックスペースデザインをすることの重要性があります。

さらに、それらをバブルダイアグラムやアクティビティマトリックスなどで分析、評価することで、パブリックスペースデザインの手がかりとなるデザイン要素、マネジメント要素を導くことに役立ちます。

また、都市・地域、目的地、プレイスの3つのスケールにまたがる「Power of 10+」は、密集した多様な人の「利用」を混在させること、そして、複雑でなくシンプルに複数の「活動」が展開することが重要であり、例え、同時間にたくさんの数や種類がなくとも、時間の経過と共に、多様な活動が行われるということも「Power of 10+」による複数種類のプレイスであることは気づきでした。朝、夕方、曜日などで場所の変化が展開されることこそ多様な「利用と活動」のキーポイントになると思います。

そして、受動的な活動でも良いけれど、時には、プログラムと呼ばれる「活動」を展開していく。これらは、できれば、ローカルに根差すものが望まれます。プログラムを開発し、組織化し、「トライアングル化」することで、社会的相互作用を引き起こす「利用と活動」が展開できるのかもしれません。

それらの結果が、みなさんの街のパブリックスペースに現れるということで、ぜひプレイス・ゲームと共に評価していきたいですね。

また、2回目以降の記事も翻訳していきますね。

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