ソト事例

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オープンスペース|空地

レポート

Commune246の最後の日。ー表参道のスキマが愛されたワケを探るー

東京都の青山にある表参道駅から徒歩3分、大きなビルに囲まれた長細い空地に屋台が現れました。そこを進むと、さらに10台の個性あふれる可愛らしい屋台と、白いドームの中には20代から40代の国籍を問わない50名ほどの男女が、お酒を片手に語り合うキラキラとした空間がありました。

そんな風景を見たのは、2016年12月28日に、COMMUNE246(コミューン246)がプロジェクト期間、約2年間の終わりを迎えた日のことです。COMMUNE246とは、東京の未来の空き地の在り方をテーマに、空地の暫定利用に取り組んだ場所だと思います。私は以前からこのCOMMUNE246にどこか落ち着くような雰囲気を感じており、それを表すように最終日に訪れた多くの人々は居場所を形成していました。

落ち着くような独特な雰囲気を感じるワケとは、いったい何なのでしょうか。
ソトノバの学生ライター・三栗野の観点から、COMMUNE246が持っていた場所性や空間を分析してみたいと思います。

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COMMUNE246の全体図。

ビルの間に生まれた、おしゃれな空地

表参道といえば、ファッションの聖地であり、おしゃれな街の代名詞ともいえるような場所です。街並みは、10階建てほどのビルが立ち並び、夜も電飾で照らされ、きらびやかな雰囲気を持っています。

そのまちを歩いていると、突如にぎやかなオープンスペースが現れるのが、COMMUNE246です。そこには、COMMUNE246を象徴するオーガニックにこだわりのあるお店が入った屋台が立ち並び、それらは空地に合わせて、小規模かつ可動性があることから採用されました。屋台の中には、建築家・隈研吾氏らが率いる東京大学建築学専攻Advanced Design Studies(T–ADS)が個性ある屋台をプロデュースしているものもありました。

この場を愛する人たちにフィットしたワケは、奇抜で可愛いらしいデザインされた屋台と、空地が持つ、奥まで続く秘密基地のような空間があったからでした。そして、屋外にある屋台は、一般的な室内にある店舗と違い、購買の強制力がなく、気軽に入れることが居場所の形成につながっています。

それでは、COMMUNE246の姿を見てみましょう。

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突如現れるオープンスペース。奥からは、暖かい光が漏れています。

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従来の画一的で面白味のない屋台とは違い、形態や質感はさまざまで、煌びやかな屋台たち。

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夜は、暖色系の電飾がちりばめられ、温かい空間に。

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複数の色が配色されたくつろげるファーニチャー。

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おいしそうなこだわりあるメニュー看板が立ち並びます。

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そして、イートイン。お酒と温かいご飯と共に集い、語り合います。

屋台特有のフランクさと時間がつくる絆

「おねえちゃん、重い荷物を背負ってるね。」

COMMUNE246内を歩いていると、屋台の定員さんが気軽に声をかけてくれました。それが少し自分の出来事を話すきっかけになり、この店員さんとの対話・コミュニケーションの積み重ねがこの場所に来たくなるワケのひとつだと感じました。

あまり慣れない場所にいるときに、気軽に声をかけてくれる人の存在があって、その場所に来るたびに仲良くなっていく。そうして、また来たくなる居場所がつくられていくのではないかと思います。屋台がCOMMUNE246に約2年間出店し続けたことは、利用者と出店者の絆を深め、愛されたワケだったのではないかと思います。

以前、私が取材して紹介した「マチノコト・オープンダイアローグ」で、ゲストで登壇した編集長・泉山と副編集長・三谷が言っていたように、

ソトの利用促進をするための回答として、定期的なイベントを開催することが大事です。あの場所でいつもやっているから行ってみよう、と身近にまちの人の集まる拠点となっていきます。

だと思います。

COMMUNE246が愛されたワケは、この場所に奇抜で可愛らしいデザインの屋台が立ち並んだこと、敷地が持つ奥行きを活かした空間づくりによって秘密基地のような空間ができたこと、そして、また来たくなるような人間関係が醸成されていたこと、であることがわかりました。

デザインに関してさらに言及すると、現代では、SNSは多くの女性や若者にとって、ライフスタイルを表す媒体となっています。そのような人たちは、デザイン性の高いモノを好む傾向があります。そういったとき、COMMUNE246のように、その場所性にあったデザインのものを入れることも大事なのだと思います。

COMMUNE246は、2016年の12月末に終わりを迎えましたが、先月の2017年1月21日にCOMMUNE 2ndと名前を新たにスタートしました。きっと、再びまちの居場所として愛されていくのでしょう。その愛されて次にたどり着く変化はあるのか、今後も見守っていきたいと思います。

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All photo by Suzuna MIKURINO

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