ゲール・アーキテクツのリサーチプレゼン!【レポート:大手町川端緑道プレイスメイキング社会実験調査報告会】

ソトノバでもご案内しました、
大手町川端緑道プレイスメイキング社会実験調査報告会

参加してきましたので、レポートをお伝えします。

先日、ヤン・ゲールのビデオメッセージも発表され、ここ最近集中して行われ注目されています。

インスピレーション・ワークショップ開催!

まずは、スタート前に、インスピレーション・ワークショップが開催されていました。
これは、普通のワークショップと違うのは、たくさんのパブリックスペースの写真が並べられていること。参加者は、クッキーを食べながら、インスピレーションを得た写真にコメントを添えて、
「川端緑道にあったらいいもの」を模造紙に貼っていきます。
イメージがわきやすく、コメントや意見が誘発しやすいですね。

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次に、ろうそくを渡され、サンタと共に、音楽に合わせて、歌を歌いながら川端緑道を歩くというもの。
何をするということでもないですが、夜のアクティビティを自ら誘発しようという、
「普通ではない」ことを起こすことで、アイデアやワクワクを生ませる仕掛けは初めての体験でした。

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ゲール・アーキテクツ、ディビッドのプレゼン

さて、これまでは、開場前の企画。
開場すると、ヤン・ゲールのコンサルタント事務所、ゲール・アーキテクツ(Gehl Architects)のDavid Sim(デービッド・シム氏)が、ゲールアーキテクツの調査手法の説明と川端緑道の調査報告のプレゼンを行います。

「体調はいかがですか?」といきなり、問いかけ、自分の仕事は都市の健康を図ること、医者がする健康診断を都市で行うことだと話します。
「コペンハーゲン・スカンジナビアでやった調査が日本に通用するか、川端緑道でチャレンジしている」そうです。

「これまでは、設計やハードに目を向けがちだった。しかし、今目を向けるべきはソフトウェア、人のふるまい、文化だ」と話します。
「広場でチェスをしている写真を、大したことをしていないが、ソトに出る目的になることや公共医療として、いい空気、適度な運動、人が交わることが、人間の身体だけでなく都市にも必要だ」と語ります。

「デンマークは、60の駐車場が600人の人に変わった。どちらがより効率的な都市なのか」、問いかけます。
また、ニューヨークは、タイムズスクエアが有名ですが、車から人へ変わり始めた。
まずは、道路にペイントすることから始めたそうです。
「最初は、アメリカにヨーロッパ文化を矯正することは無理だと多くの人はいったが、
今では多くの人が座っています。
椅子に座ることは、ヨーロッパ人でなくても座れる、日本人でも。」と強調します。

「マリーメッコが旗艦店を出した写真では、滞在時間が増えれば支出する人が増える、事業にも優しい。
公共空間をデザインすることは医療にも寄与するが、経済にも寄与し、雇用も生まれる。人々の生活や文化を変えることはより難しい。そこで大事なのは都市を理解することだ」と語ります。

「観察・分析からパブリックライフを理解、データのみに注視するのではなく、改善点を提案する。変更、変革は力を持って影響力をもつ。」と話し、川端緑道の調査報告を始めていきます。

川端緑道のグッドポイントは、「水辺空間、景観デザイン、興味を引くエコテーマ、多数の人が近隣に働いている、ランチタイムに最適な場所だ」と指摘し、

課題としては、「どのように川端緑道までくるかという道のり、車道の分断、首都高の高架の暗さ、隣接建物のファサードが閉鎖的であること、影、夜間のアクティビティが少ない」ことを述べます。

調査報告は、担当だった、Gehl ArchitectsのMalin Nilsson(マリン・ニルソン氏)からの報告です。

エリアごとにチームを組んで、歩行者動線と人の動きの調査と、「クオリティクライテリア」という品質基準のチェックを専用シートで実施し、同じツールを使って、いろんな人が評価する。意見は違うが、同じ項目に調査したことが担保される。表記は、笑顔の度合いとコメントを記入しています。

調査結果として、人の動きの調査として、幹線道路に多くの人が通り、緑道はあまり人が通っていないことがわかります。
川端緑道の利用者の属性として、男性が多く、主に建設中ビルの建設作業員が多く、ビルが建設されたら誰がここを使うのかを考えなければならないとのこと。
佇む場所として、ベンチの数を計測し、利用者の計測を行っています。夜はレストランが開いていれば人はいますが、閉店したら誰もいなくなります。

デービッドは、
「世界で、企画立案の手法が大きく変わっている、多くの一般の人が意見を企画の中に入れて欲しいというニーズがある。企画の段階から一般の人を巻き込む方法論を編み出さなければいけない」と言います。

11月6日に実施したイベントは、チラシで告知し、テントやファーニチャー、ハンモックを設置し、面白さを演出しています。マイパブリック屋台がフリーコーヒーをふるまい、社交の場として生まれ変わったそうです。

アンケートの結果は、wordcloudというインフォグラフィックス手法で表現されていました。

今後の戦略として、
「多様なユーザーを訪れるような場所にすること、
ランチタイムマジック(ランチタイムにか人が来ない)があるので、それ以外の時間をどうするか、だ」と言います。
「ビジョンと現状を比較して、どう達成するかのロードマップを描きます。ハード、ソフト両方のプログラムがあります。Now(今できること)、Soon(近い将来できること)、Future(将来できること)の3つに分けて提案をします。」
「Now(今できること)では、ポップアップビジネスとして、フードカートと可動椅子。可動椅子をフードカートが管理する仕組みにすれば、労力はかからず、賃料も稼げる。
また、プロジェクションマッピングなどで、空間を劇的に変えることも大事だ、
川のアクティビティとして、釣りやボートなど水辺のアクティビティをプログラム化することだ」と語ります。

「Soon(近い将来できること)では、着座空間でエッジを活性化させることや軽量工作物で水辺と人を近づけること、水の音をポンプで聴けるようにすることで、水辺を感じさせることも大切だ」と話します。

「Future(将来できること)では、ビルから光を緑道にあてることや沿道のファサードを変えていくこと」などを提案しました。
最後に、デービッドは、
「都市や都市構造を理解し、ひとつの経絡(ツボ)を押していくことが大切だ」と語ります。
調査報告や提案は全てビジュアル的な表現で明確でした。
シンプルでわかりやすく調査から提案までプレゼンテーションをしているのが印象的でした。

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可動椅子はお店が管理!

続いて、渡和由先生(筑波大学准教授)の話題提供です。

渡先生は、江戸の古絵図や風刺画などを参照し、
江戸期の都市の風景からパブリックスペースの使い方を示します。

「例えば、蕎麦屋さんは飲食を提供する主人がいて、可動椅子にお客さんが座る。
可動椅子を管理するのはお店の店主であり、
日本人は江戸期からパブリックスペースを使いこなしていた」ことを話します。

また、「現代的な縁側として、
鎌倉のスターバックスを例として、
オープンスペースや緑地を借景として捉えることが、
日本の庭の手法や文化が今のパブリックスペースに現代的に応用されている」ことを話します。

「ニューアーバニズムの手法で、
T型モデル(インラインショップ)やライナーショップ型(細長い)、キオスク型などを紹介し、
富山グランドプラザは「屋根付き用途無し広場」で、
運営組織と現場の拠点が広場に面していることがポイントであり、
キオスク型の役割として、飲食の提供、灯り、自然監視の役割がある」と話しました。

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ピクニックをしていると言うと、人の反応が10年で変わった!

続いて、伊藤香織先生(東京理科大学教授)からの話題提供は、
「東京ピクニッククラブ」についての内容です。

「東京ピクニッククラブは2002年頃から活動を開始し、
Picnic Rights(ピクニックをする権利)を主張し、
様々な公園や広場でピクニックをしていました」と話します。

「ピクニックをしているうちに、ピクノポリスというイベントをやるようになり、福岡でおそとリビングコンテストを行い、料理、道具とファッション、社交点の3つの指標で評価している」と話します。

他にも公共空間の質などのお話もされました。

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近隣の住民に利用されてこそプレイスメイキングだ!

最後に、三友奈々先生(日本大学助教)は、ブライアントパークを事例にプレイスメイキングについてお話しいただきました。

「魅力的な公共空間とは」として、
1.地域のコミュニティの中心として積極的に交流する居場所
2.交流することなく時をシェアして過ごす場所
3.ほかに誰もいなくても自分らしくなれる場所

の3つを挙げたほか、
「夜間や土日は賑わい、積極的に交流する居場所」が大切で、「地域の人々の居場所にならないと来訪者の仮の居場所にならない」と語ります。

「プレイスメイキング」の定義は、人によって異なるとのことですが、三友先生の定義では、
「個人の精神的な在りどころとなる場をその人自身が住んでいる地域(または関わりや愛着のある地域)に創出・再生すること」として、「自分好みにカスタマイズして居こなす」が大事だと語ります。

また、「プレイスメイカーの役割」として、
「利用者が自分で自分の居場所を設えた(見つけた)と思えて愛着を持つような公共空間を用意(設計、計画、維持管理、運営)すること」だと語りました。
プレイスメイキングの11の原則について、解説し、
特に、「行政ができない」と言わないと語り、「できないというのは、不可能ではなく、やったことがないと解釈し、小さなことでもアクションする必要がある」、「批判するだけでなく、アイデアを持っている人が解決策を示す必要がある」と語りました。

「ブライアントパークは、意外に土日よりも平日の方が利用者が多く、
近隣の人が座っている。近隣の住民に利用されてこそプレイスメイキングだ」と語りました。

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世の中には、禁止事項やルールが多い、私たちがやりたいのはルールがない状態。

その後のパネラーとDavidとのディスカッションでは、
川端緑道の課題として、低層部をどのように変えていくかという話で、
「50cmあればマガジンを売る人もいる。小さなスペースでも変えていくことが大切だ」と説明しました。

また、「コペンハーゲンもオープンカフェがあるが、イタリアの文化だと言われていたが、利用したことについて、どのように行動様式を変えていくのか」という質問に対して、Davidは、
「世の中には、禁止事項やルールが多い、私たちがやりたいのはルールがない状態。しかし、管理者にとってはルールが必要だ。
今日実施したのもルール破りルール破りで、ピクニックの概念もそれに近い。自分の場所を一歩出て行動する。
自ずと答えは出ていて、江戸時代の生活様式は、日本人に公共空間の使い方が根付いていることを示すエビデンスだ。
ヤン・ゲールはデータオタクで、徹底的に椅子の数を調べ、どのように椅子を置くかが重要だと語った。
北欧の夏はそんなに暖かくない。しかし、夏にイベントをしてブランケットとホットワインで外を過ごす。重要なのはその弾みを失ってはいけない。いかにムーブメントにしていくか」だと語りました。

その後、参加者からの質疑の後、
UR都市機構の里見達也さんから、
「ディビッドからNow、Soon、Futureの3つの提案をもらった。私たちは、居心地の良さをもっと設計に取り入れなければいけない」と語り、会を締めくくりました。

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泉山 塁威
ソトノバ編集長/明治大学理工学部建築学科助教/一般社団法人パブリック・プレイス・パートナーズ/博士(工学) パブリックスペースとエリアマネジメントを専門とするタクティカル・アーバニスト。リサーチャー・プロジェクトデザイナー。 公開空地や道路占用許可の特例、エリアマネジメントのビジネスモデルの視覚化などの研究や実践プロジェクトを手がける。