新たな広場「久留米シティプラザ・六角堂広場」で「サトイス・ツナガル」開催レポート!「学生」がソトの場をつくる時の「支えビト」の存在とは?

今年の春、福岡県久留米市に新しくオープンした久留米シティプラザの六角堂広場にて、2016年7月2日にイベント「サトイス・ツナガル」(以下、「サトイス」)が行われました。

このイベントは、有明高専(有明工業高等専門学校)の学生が主体となって、まちなかでイスをつくるというプロジェクトです。出発点は、「久留米のまちなかを盛り上げたい!」というコンセプトから学生が企画し、アクションまでを行うコンペティション「まちなか万博」で、実際に選ばれた学生が行ったイベントです。

最近では、まちなかでマルシェなど、まちと人をつなぐ取り組みが様々な場所で開催されています。それらのプロジェクトの中には、純粋な意見を持つ立場として学生も加わりながら活動している場所も多いのではないでしょうか。

今回は、「学生が主体」となったイベントで「新しい広場」の空間づくりのプロジェクトを取り上げます。自ら学生がまちに入ることは、あまりにも無鉄砲なコトも多いです。ですが、まちの人に支えられながらも、彼らが何か新しい風を生むという可能性があるのではないでしょうか。

そのようなことを有明高専の学生へのインタビューやまちなか万博を企画し、学生をサポートしたハイマート久留米さんから伺った話、参加者のアンケートをふまえながら、現在学生でもある筆者の想いも織り交ぜ、お伝えしたいと思います。

「新しい広場」に空間の記憶を残す

イベント会場となったのは、福岡県の久留米市中心市外地にある明治通りとほとめき通り商店街の間に挟まれた街区にある久留米シティプラザの六角堂広場で行われました。

この六角堂広場は、商店街に面する中心市街地活性化を目的としてできたパブリックスペースで、2013年まで円形平面のイベント広場でまちのシンボルでした。しかしその当時、六角堂広場に隣接したところに、大きな商業ビルの跡地があり、その建て替えとともに、一体的に六角堂広場も再開発されます。

2016年4月、装いを新たに久留米シティプラザの六角堂広場として、広場に屋根を架けて全天候型のパブリックスペースに生まれ変わりました。

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そんな新しく生まれ変わった広場でモノづくりをした「サトイス」。よく考えてみると、イベントでこんな大きな広場を使いながら、モノづくりイベントをしているケースは珍しくはないでしょうか。

実際、建て替え前の六角堂広場や新しい六角堂広場でも広場の使い方としては、商業系のイベントが多いらしく、モノづくりのイベントを広場でやるということはなかったようです。このような空間の使い方は学生ならではの発想だったのかもしれません。少なくとも、「新しい広場」でサトイスを行ったことは、人々の記憶とともに「空間の記憶」に残ったことでしょう。

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ソトの場でモノづくり、まちとつながる

このイベントのコンセプトは、「モノづくりしながらまちとつながる」でした。それは、学生たちが考えたことで、「せっかくまちなかでやるイベントなら、楽しいことをしながらつながりたい!」という想いがあったそうです。

そこでイスづくり。イベントの参加者は、26組、約50名ほどの親子やおじいちゃんなど多くの方がいらっしゃいました。イベント後に有明高専の学生が実施した参加者の皆さんに対してのアンケート(回答数24、複数回答)したものを見せていただくと、初めは、モノづくりや学生というキーワードが動機で参加された方が多かったですが、イベント後には、モノづくりや学生のキーワードのほかにも、ソトの場でモノづくりをしたことや大勢でつくったことの良さを知るといった+αの気持ちが生まれていました。

ソトの場でモノづくりを行ったことで、「人と人、人と場をつなぐ」ことができていたのではないかと思います。感想欄には、「とても楽しかった」、「ワクワクした」、「またあったら参加したいという」という声が非常に多くあり、その高ぶらせる場の雰囲気は、モノづくりのパワーのひとつにも感じます。

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学生がまちに繰り出す、徐々に増える学生を応援するまちの人「支えビト」

学生が主体となって、このイベントの準備は進められましたが、やはり学生たちを支えてくれる人、「支えビト」がいて、そして、準備が進むにつれ、徐々に「支えビト」が増えていったそうです。基本的には、まちなか万博主催者のハイマート久留米さん、学生の研究室の先生が支えてくれました。そして、徐々に、材料を集めたり、製材をしてもらったり、何をやるのも初めてで彼らができないことを素直に悩んでいたら、手を差し伸べる「支えビト」が増えていきました。そんな「支えビト」に学生は声をそろえて「感謝しかない!」と言っています。私は彼らが素直に悩み、一生懸命このイベントを成功させたいという気持ちが「支えビト」たちの心を動かしたのだと思います。

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学生を取り込む、というのは可能性を生み出すスキマが生まれる

長々と綴ってきて、学生は結局何ができるの?と思うかもしれません。

確かに、学生は無鉄砲すぎてひとつの形をつくり上げるのに遠回りをするかもしれません。完璧にできないともいうでしょうか。ですが、私は完璧がすべてではないと思います。完璧でないところにスキマができて、そのスキマが人と人の入りやすさを生んだり、人とモノをつなぐきっかけになり、それが予想もしなかったアイデアやコトが生まれると思うのです。

今回のケースは彼らのわからないなりに、素直に悩んだスキマに「支えビト」たちが支えてくれ他のだと思います。また、参加者の方も学生と行ったイベントに「とても楽しかった」、「ワクワクした」、「またあったら参加したい」、と言ってくれたことは、学生が背伸びをしたスキマが、入りやすい楽しい場が生まれたのだと思います。

今回は、学生主体のパブリックスペースを使ったイベントについてレポートしました。今後も、学生が使いこなすパブリックスペースをお伝えできればと思います。

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Photo by 有明高専サトイス班and ハイマート久留米

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三栗野鈴菜

三栗野鈴菜

千葉大学工学部建築学科(在学中)。地元の福岡県久留米市で、久留米のまちづくり活動に参加しながら、以前の出身校・有明高専在学時には八女福島地区の歴史的市街地における近隣交流に着目し、研究を行う。ヒトやコトがウチやソトのまじりあいによってにぎわいが生まれる空間に好意を持ち、そんな空間を探し求めている。学生ならではの視線を大事にしながら、今アツいオープンスペースについて学習中。