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駅周辺整備を巡る戦略と戦術の社会実験プロセス! 見附市「みつけるプロジェクト」前編

新潟県見附市では、駅周辺の公共空間の老朽化やピーク時の交通渋滞などのまちの課題に対応するため、駅周辺の再整備について検討しています。前編では、見附駅周辺再整備に関わるプロセスについてご紹介します。

(本記事は、ソトノバ・アワード2018応募に伴う応募書類を記事化したものです。)

「見附市」ってどんなところ?

見附市は新潟県のほぼ中央に位置する人口約4.1万人の地方都市で、長岡駅からJR信越本線で10分程度で見附駅に到着します。市の主要産業のひとつに「みつけニット」があります。

画像2(見附市位置)

新潟県の真ん中に位置する見附市 出典:見附市

見附市は、健幸まちづくりの先進都市

見附市では、総合計画、都市計画マスタープラン、立地適正化計画など市のまちづくりに関わる計画のいずれの将来像も「スマートウエルネスみつけ」とし、「住んでいるだけで健やかに、幸せに、暮らせるまち」を目指しています。

この取組は全国的にも評価され、2017年6月に、「第1回コンパクトシティ大賞 国土交通大臣表彰」 2017年10月に「第5回プラチナ大賞 総務大臣表彰」を受賞しています。

画像3(大臣表彰)

見附市の健幸まちづくりは数々の賞を受賞 Photo by 見附市

見附市は複眼都市。駅はその中間地点だが都市機能集積は進まず

見附市は2つの町が合併してできた経緯から、「見附地区」と「今町地区」の2つの既成市街地があり、見附駅はちょうどその中間に位置しています。駅周辺は旧市街地に比べて都市機能が発達しておらず、商業施設などはほとんどありません。

画像4(見附市都市構造)

見附市の都市構造と拠点の位置関係 出典:見附市

見附駅周辺は「もったいない」使われ方

見附駅では、朝晩のわずかな時間帯に激しい送迎ラッシュがあります。駅前広場の7割が車のための空間(車道空間)であるにもかかわらず、ラッシュ時には渋滞や混雑が日常化しています。

一方で、それ以外のすべての時間は閑散とした状態で、非常に「もったいない」空間の使われ方になっています。

画像5(駅広閑散)

朝晩のピーク時以外は閑散としたロータリー Photo by みつけ駅周辺つかう会議

また屋外にはベンチがひとつも無く、居心地良く待ち合わせをしたり、下校時の高校生らが会話をしたりできる場所が無い状態となっています。

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座る場所がなく地べたに座りしゃべる高校生ら Photo by みつけ駅周辺つかう会議

「スマートウエルネスみつけ駅」への転換(見附駅周辺整備基本計画)

老朽化に加え、朝晩のピーク時の送迎ラッシュへの対応や、市の玄関口であるにも関わらず閑散としたエリアとなっているまちづくりの課題に対応し、「スマートウエルネスみつけ」の玄関口として相応しい見附市の顔を形成するため、見附市は「見附駅周辺まちづくり協議会」を立ち上げ、「戦略」と「戦術」のプロセスを経て以下のような考え方で見附駅周辺整備基本計画(以下、「整備計画」)を立案しました。


これからの地方都市駅周辺空間のモデルとなる、「人と交通の結節点 スマートウエルネスみつけ駅」

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見附駅周辺再整備の考え方 出典:見附市

見附駅周辺整備をめぐる「戦略」と「戦術」、社会実験に至るプロセス

見附駅周辺整備計画は、学識者・関係機関・公募市民らで構成する「見附駅周辺まちづくり協議会」で検討してきましたが、それだけでは市民や民間がどのように駅周辺を使いたいのか、どんな期待があるのかがしっかり把握できません。

また協議会メンバーのなかにも、歩行者中心の駅にすることや、今は無い交流空間を設ける必要性に懐疑的な考えもありました。

そこで、まずは参加者同士がフランクに意見交換できる「みつけ駅前カフェ」を月に1回ほどのペースで3回ほど開き、ワールドカフェ方式で意見交換を行いました。この「駅前カフェ」により、①駅周辺には高校生らをメインとした利用者の居場所となる空間が求められていること、②現在の駅前はそのような空間にはなっていないことが確認されました。

これを踏まえ、「見附駅周辺でなにかを実験的にやってみるとしたら、どんなことをやってみたい?」というテーマで意見交換をしたところ、「2時間以上いられるカフェ」や「市の主要産業であるみつけニットを使ったファッションショー」などのおもしろいアイデアが次々と出てきました。

追加画像(前編)1 アイデア発表

チームで議論したアイデアを発表する高校生 Photo by みつけ駅周辺つかう会議

3回目の駅前カフェの後、「実際にみなさんのアイデアを社会実験として実行するとしたら、実験の企画運営に参加しますか?」という問いをアンケートで尋ねたところ、駅前カフェ参加者の約半数にあたる20名強の方々が参加の意向を示してくれました。

このアンケート結果を受けて、「みつけ駅周辺つかう会議」(以下。「つかう会議」)を発足しました。「つかう会議」は、見附駅周辺再整備を使い手の立場から検討し、整備事業へ反映していくともに、整備後のマネジメント体制についても議論していくことを目的とし、まずは当面の目標として社会実験を実行することとして2018年6月にスタートしました。

メンバーは産業・企業関係者、地域組織関係者、一般市民(社会人)、大学生、地元高校生、市職員有志、学識経験者等から成り、回によって人数の変動がありますが概ね20名~25名(事務局を除く)が参加しています。

「つかう会議」ではオープンスペース・テクノロジー方式※の議論を行い、つかう会議メンバー自らが主体的に社会実験を企画立案していきました。

※オープンスペース・テクノロジー方式:OST、プロジェクトや討議テーマを参加者が自ら提案してチームを形成し、プロジェクトを創出し実現化の企画していく方法

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見附駅周辺整備に向けたプロセス  作成:みつけ駅周辺つかう会議

つかう会議(戦術)が整備計画(戦略)の合意形成も促進

つかう会議メンバーのすごいところは、その実行力です。

通常このような会議は、議論することはできても実際に参加者側が主体的に動くことは少なく、事務局(行政など)が裏ですべての面倒を見る、ということが少なくありません。

しかしつかう会議メンバーは、最初から行政任せの姿勢ではなく、

「人工芝をどうやって調達しようか?」

「あそこに聞けばあるかもしれないから、電話してみる!(その場で電話)」

「コーヒーメーカーは用意できるよ!」

「ニット製品を貸してもらえるよう交渉に行こう!」

と、「自分ゴト」として行動していました。

この会議の運営支援をしてきたコンサルタントとして思うことは、見附市では行政と市民・民間との間にきちんと信頼関係が成立しているな、ということです。

お互いを信頼しているため、やりたいことに呼応し、自分の意見を述べたうえで行動ができるのだと思います。このような信頼関係があったからこそ、「駅前カフェ」から「つかう会議」への移行や社会実験の実現までがスムーズに進んだのだと思います。

画像9(つかう会議風景)

つかう会議は年齢や所属の壁を感じない雰囲気に Photo by みつけ駅周辺つかう会議

さて、「つかう会議」の盛り上がりを受けて、「見附駅周辺まちづくり協議会」にも変化が起きました。

これまで「車道を減らしてまで交流空間が必要なのか?」、「交流空間をつくってもどうやって使われるのかイメージできない」といった意見があった協議会委員も、「市民が駅前にどんなことを期待しているのかがよくわかった」、「つかう会議で議論していることが実現したら素晴らしい駅前になると思う」といった意見が交わされ、無事に整備計画がとりまとまりました。

整備計画がとりまとまり、その具体化と実現に向けて実際に駅前の使い方を試すために社会実験を実施することとなりました。

後編では、いよいよ社会実験の模様をご紹介します。

Cover Photo by みつけ駅周辺つかう会議

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