タクティカル・アーバニズムとは何か?─バンクーバーのストリートが影響された「タクティカル・アーバニズム」の10の方法─

日本のパブリックスペースの流れを捉えると共に、アメリカで注目される概念、タクティカル・アーバニズム(TACTICAL URBANISM)について、カナダ・バンクーバーの事例をベースに紹介します。

日本のパブリックスペースの関心は、タクティカル・アーバニズムだ!

近年の日本のパブリックスペースへの関心の高さを肌で感じる人も多いでしょう。具体的には、2011年の都市再生特別措置法の改正によって、河川法改正による河川敷地許可準則の緩和と道路法改正による道路占用許可の特例、2014年の国家戦略特別区域法制定による国家戦略道路占用事業による公共空間活用を指向した規制緩和が起こりました。

また、2014年に国土交通省河川局主催のミズベリングプロジェクト(MIZBERING)によって、法の規制緩和だけでなく、水辺のプレーヤーたちや活用の権限を持つ自治体職員たちに勇気を与える普及啓発プロジェクトが発足し、WEBやリアルなワークショップ会議でパブリックスペースの楽しさを伝えたことと、同年に国土交通省都市局主催のプレイスメイキングシンポジウムで、コペンハーゲンの公共空間の専門家、ヤン・ゲール氏が来日し、人間の行動を中心に考えた「人間中心視点」やヒューマンスケールでのパブリックスペースの考え方を示唆したことが、制度改正と共に、人々の活動が社会実験(パイロットプロジェクト)として全国同時多発的に行政主導、民間主導問わずが現れました。

制度の権限と人々の活動やアクションが合わさって、より現実味を持って、パブリックスペースを活用し始めているのです。

photo by NYC DOT

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この日本の状況に近いのが、車社会の象徴とも言えるアメリカです。アメリカでは、ニューヨークを中心に、PLANYCという政策が施され、plaza programという広場公募プログラムなども相まって、各地で道路空間を中心にパブリックスペースを活用する取り組みが行われます。1980年代に再生されたブライアントパークなどの公園の使い方に加え、道路空間を歩行者空間に変貌させたタイムズスクエアは象徴的でした。

タクティカル・アーバニズムの話をしよう!

さて、ここからが本題です。これまで日本の現在のパブリックスペースの高揚の高まりを考察しました。これからの日本のパブリックスペースの向かうべき先に参考となる考え方が「タクティカル・アーバニズム」(TACTICAL URBANISM)です。

都市を変えていく場合、道路や広場整備には予算も時間もかかります。地元住民や企業への合意形成や市民への関心を集めるには、ハード整備だけでは限界があります。これにつなげるためにも短期的にアクションができ、目で見てわかる空間の使い方を提案し、効果を明確にする手法が求められていました。

「タクティカル・アーバニズム」は、戦術的都市計画やポップアップ・アーバニズム、ゲリラ・アーバニズムなどと言われ、ポイントは、長期的変化のための、短期的プロジェクト(Short-term Action for Long-term Change)であり、長期的戦略に基づいた仮設的実践やパイロットプロジェクト(社会実験)指します。マイク・ライドンとアンソニー・ガルシアがまとめた、「TACTICAL URBANISM -Short-term Action for Long-term Change-」という洋書で詳しく紹介されています。本では、長期的に都市を考える上で、低予算で、コミュニティベースのプロジェクトを短期的に実施する効果を示しています。

具体的に、「タクティカル・アーバニズム」とは何なのか。カナダ・バンクーバーをケースとした記事があったので、紹介します。

1.バンクーバー・ビエンナーレ

photo by Modacity

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2年ごとに実施されるバンクーバー・ビエンナーレは、都市全体を屋外アートギャラリーに変えます。これらの彫刻の中で人気の作品は、バンクーバー市民の寄付によって、一部パブリックスペースに常設されます。

2.ストリートキープログラム:道路にあるピアノ

photo by Moda city

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バンクーバーにあるロブソンパークには、ピアノがあります。学生によって制作されたピアノは、Keys to the Streets programで寄付されました。それ以来、バンクーバーでは10箇所で即興演奏のライブやパフォーマンス形成に寄与しています。

3.ロブソン・リダックス(Robson Redux)

photo by Modacity

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バンクーバー冬季オリンピック終了後、毎年夏に、800ブロックのロブソンストリートでは、木製ベンチや豆袋のイスなどが「ペイブメントトゥープラザ」(Pavment to Plazas)のシリーズの一環で実施されました。これは、アートギャラリーの再開発を主導する街で、より良いパブリックスペースを表現したとして高く評価されています。

4. パーキング・ディ:Park(ing) Day

photo by Modacity

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2005年9月以来、パーキング・ディ(Park(ing) Day)は、駐車場を活用する1日限定の活用イベント。バンクーバーパブリックスペースネットワークは、オープンカフェやバイクインシネマ(青空映画館)などの2014のイベントを地元をコーディネートして実施しています。

5.メインストリートトレイル

photo by Modacity

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ストリートアートは私たちにインスピレーションを与え、人々の歩行ペースを緩やかにし、回遊性工場に寄与します。

6. 交差点への介入(Intersection intervention)

photo by Modacity

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車中心であり、車のスピードの速く危険な道路空間に対して、自分たちの街にしていくと、地元の人たちは交差点をペイントしました。交差点のペイントによって、運転手がペイントへ関心を引くことで、車のスピードは緩やかになり、道路空間がアンz年位なると共に、自分たちの街だというシビックプライドを醸成しています。

7.パークレットの台頭

photo by Modacity

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コインパーキングスペースを一時的なパブリックパークに変換するパーキング・ディ(Park(ing) Day)の1つの成果はパークレット(Parklet)です。バンクーバーでは、パークレット制作のために、クラウドファンディングで資金調達して実施している。パークレットは年単位の短期的ではあるが、常設的なテラスを道路空間に提供しています。

photo by /the-french-quarter-parklet https://www.kickstarter.com/projects/1703309847/the-french-quarter-parklet

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photo by commercial drive parklet https://www.kickstarter.com/projects/julienfthomas/commercial-drive-parklet

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8.フレイザー路地

photo by Modacity

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路地は特別工夫がなければ無駄であまり使えない空間になりがちです。南バンクーバーのフレイザーストリートでは、路地をペイントすることで、大人も子どもも安全で、視覚的で魅力的な路地に転換します。

9.フープディードゥー(Whoopdeedoo)

photo by Modacity

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地元のアーティストは、5日間限定で地元のサイクリストのためにフープディードゥーを設置しました。平日の通勤を楽しくする仕掛けになっています。

10. スパイグラス・プレイス(Spyglass Place)

photo by Modacity

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2014年8月にはシティスタジオプログラムによって、学生と地元アーティストが護岸にあるスペースに壁画を描き、パブリック・ピアノと組み合わせて、水辺の素晴らしい場所をつくり出しました。

タクティカル・アーバニズムのポイント

タクティカル・アーバニズムは、すべての人が利用可能で、ちょっとしたクリエイティビティと街をハックすることを企業や市民が推奨していること。それによって、ちょっとした不満のあるスペースがあったら、人々がアクションをしやすい環境にあるのです。こういったちょっとしたアクションが、長期的に見れば道路や広場整備など都市を変えることにもつながるかもしれません。

ソース:http://www.vancitybuzz.com/2016/01/tactical-urbanism-vancouver/

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泉山 塁威
ソトノバ編集長/明治大学理工学部建築学科助教/一般社団法人パブリック・プレイス・パートナーズ/博士(工学) パブリックスペースとエリアマネジメントを専門とするタクティカル・アーバニスト。リサーチャー・プロジェクトデザイナー。 公開空地や道路占用許可の特例、エリアマネジメントのビジネスモデルの視覚化などの研究や実践プロジェクトを手がける。