パブリックスペースに関する11の研究やプロジェクトを発表!【ソトノバTABLE#4公式レポート】

今回で4回目のソトノバTABLE。3月5日(土)、世田谷ものづくり学校にて「パブリックスペース論文・プロジェクト発表会」を開催しました。

卒業論文や修士論文、あるいは自主研究などの様々なパブリックスペース論文や、実務でのパブリックスペースプロジェクトを紹介し、それを元に、参加者と共に議論しました。

当日は11の研究・プロジェクトが集まり、様々な事例情報やアイディアの交換が行われました。

まず第一部は、「パブリックスペースのリサーチとデザイン」です。

「ノマドワーキングによる公共空間のパーソナライゼーションに関する分析」
砂塚大河(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻)

砂塚さんの卒論は、使い手をノマドワーキングの視点に立って、公共空間の場をどのように使っているかというユニークな研究です。その定義は、自宅や職場以外の公共空間的な場所で作業をしている人として、札幌で5つの公共空間を選定し、その活動347サンプルを抽出・分析します。

その結果、ひとり占め型、ミニマム型、ディスプレイ型、バリケード型、ブラインド型、ひきこもり型の6つのパーソナライゼーションのパターンに分類する研究を発表しました。

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釜川の風景をつくる -栃木県宇都宮市における空き空間の活用ー
中村周(宇都宮大学大学院博士課程)

KAMAGAWA POCKETの代表・中村さんは、築60年の建物をリノベーションしてテラス部分のパブリックスペースで、ワークショップ、飲み会、マルシェ、ギャラリーなどの活動を紹介しました。

釜川沿いで実施したマルシェやfasion street projectionというファッションショーの紹介がありました。

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セッションのディスカッションでは、砂塚さんには、滞在時間の長いアクティビティやその特徴などの質問、中村さんには、プロジェクトの詳細についての質問など、参加者と議論をしました。

次に第2部としては、「水辺研究とプロジェクトの最前線」です。

横浜市大岡川の河川利用に見られる地域連携の特徴」
菅原遼(日本大学理工学部海洋建築工学科 助手)

菅原さんは、横浜市大岡川河川再生計画で整備された4つの施設の中でも、川の駅運営委員会という地域組織主体で運営している桜桟橋地区についての研究を発表。

その組織スキームなどの地域連携の特徴の分析から、地縁型組織とテーマ型組織が協力して水辺を開いていく必要があると示しました。

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「大阪都市河川の親水性の評価とその整備手法に関する研究」
坂本幹生(大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究室)

今回の発表のために大阪から来たという坂本さんは、大阪18河岸の親水性評価を行った研究を発表しました。親水性ある空間と整備手法の関係と変遷を詳細に分類していく研究を行い、今後の整備手法の選択方法について示しました。

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「日本橋川・神田川での「名橋たちの音を聴く」の試みについて」
鷲野宏(都市楽師プロジェクト)

サウンドスケープを研究する鷲野さんは、船に乗って音楽を橋の下で聞く、「名橋たちの音を聴く」の活動を発表されました。それぞれの橋には多様な響き方があり、そこから多様な街の背景や歴史がわかるといいます。動画や音声などを用いて、当日の様子を五感を通じて擬似体験させてくれました。

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セッションのディスカッションとしては、大阪の河川と港湾など、法律の境に空間の差が表れているか、組織の運営体制などについてのディスカッションがありました。

次に第3部は「オープンカフェとマーケット」というテーマの発表です。

「東京のマーケット(マルシェ)の効果及び形態の分析」
鈴木美央(慶應義塾大学大学院博士課程)、杉山真帆、原里絵香、坂野友哉

鈴木さんは、今回が初発表となるという「東京のマーケットの効果及び形態の分析」を発表しました。これまでロンドンのマーケットの効果を研究してきましたが、ロンドンで認められた効果が東京にあるという視点で出店者、来場者、運営者インタビューを実施した成果を発表しました。

東京では、青山ファーマーズマーケット、アークヒルズ・ヒルズマルシェ、池袋GREEN BLVD MARKET、小石川マルシェを対象として、その配置や空間分析まで行われていました。

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「『オープンカフェデザインガイドライン』の提案による、屋外空間の未来と可能性」
佐藤春樹、泉山塁威、梅村夏子、木村陽一、西大條晶子(公共空間の「質」研究部会 公共空間活用アイテムデザイン分科会)

佐藤さんは、公共空間の「質」研究部会の公共空間活用アイテムデザイン分科会の活動について紹介し、その中で取り組む質の高い道路のオープンカフェのオススメ集の位置付けの「オープンカフェデザインガイドライン」づくりを紹介しました。また、作成中のオープンカフェMAPの披露や道路のオープンカフェの6類型についても紹介がありました。

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ディスカッションでは、マーケットの歩行者通行帯の確保とその幅の話、マーケットの開催頻度を上げるための工夫、日常化へのポイント、オープンカフェの扱う範囲や客席の範囲などについてディスカッションがありました。

最後に第4部は、タクティカルアーバニズムと社会実験(Short-Tern Action)というテーマです。

「プレイスメイキング・アクション in 静岡」
土橋悟(株式会社都市環境研究所)

土橋さんは、APS(action for public space)推進会議が取り組む、青葉シンボルロードのプレイスメイキングの取り組みについての紹介がありました。2015年にはアイディア集として、可動椅子の設置や、ボラード撤去、池の芝生化、ウッドデッキの設置など段階に合わせた提案をしたといいます。

そして1/15〜31プレイスメイキングアクションの実施についても紹介し、今後の活動についてお話がありました。

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「錦二丁目低炭素まちづくりにおけるパブリックスペース活用の試みとその効果」
森田紘圭(大日本コンサルタント株式会社)、稲永哲、村山顕人、藤森幹人、名畑恵、延藤安弘

森田さんは、名古屋市の中区錦二丁目にある繊維問屋街の長者町の取り組みについて紹介がありました。2015年低炭素モデル地区に認定後にプロジェクトチーム化して同時展開。

そのうち公共空間デザイン、都市の木質化プロジェクトが連携した社会実験の紹介などがありました。社会実験は、歩道をウッドデッキにするというもの。施工もほぼ住民の方が参加しました。サンフランシスコにある、Parklet(パークレット)のチャレンジも興味深かったです。

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「パブリックスペースにおけるソーシャルデザインの実践」
辰巳寛太(㈱アール・アイ・エー/早稲田都市計画フォーラム)

辰巳さんからは、丸の内朝大学で取り組んだ丸の内の真ん中で取り組んだちいさな街づくりの紹介。パブリックスペース×ソーシャルデザインをテーマに、ただイベントやるのではなくて、何か社会課題解決のためにできないかを考えたと言います。そして、落ち葉ソムリエが秋の丸の内で落ち葉スポットをプロデユースという取り組みを行った活動内容を紹介しました。

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「海外のタクティカルアーバニズムの概念整理について」
山中莉奈、荒井詩穂那、泉山塁威、佐藤春樹、西大篠晶子、根本春奈(公共空間の「質」研究部会 公共空間活用マネジメント分科会)

最後の山中さんは、公共空間の「質」研究部会 公共空間活用マネジメント分科会で取り組む、「海外のタクティカルアーバニズムの概念整理」について発表がありました。戦術的都市計画、ゲリラアーバニズムと訳し、5つの文献を翻訳し、タクティカルアーバニズムの概念の整理や、従来のビジョンやプランから考えるハード整備型プロセスや、プレイスメイキングプロセスとは異なり、仮設空間思考のアクションからビジョンを書き換えていくプロセスで、つくりながら考えるプロセスの重要性を説明しました。

ディスカッションでは、タクティカルアーバニズムのキモについてや、それぞれの社会実験プロジェクトをタクティカルアーバニズム的に見るとどうなのか、などについてディスカッションをしました。

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「ソトノバ賞」の投票と発表!

そして、プレゼン終了後、参加者の投票により、「ソトノバ賞」を決定!

投票の結果、
「東京のマーケット(マルシェ)の効果及び形態の分析」鈴木美央さん
に決まりました。おめでとうございます!

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11の研究やプロジェクトが発表され、熱気に満ちた会で、あっという間に時間が過ぎて行きました。みなさんの熱い話で、自分たちの取り組みのことを考える機会にもなったのではないでしょうか。

発表会終了後の懇親会も引き続き大盛況でした。

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photo by やまさき まさき

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やまさき まさき

やまさき まさき

ソトノバ副編集長
森ビル株式会社タウンマネジメント事業部/修士(工学)。 都市計画行政協議を担当後、現部署にてPR・プロモーションを担当。 神奈川県座間市出身、長崎県五島列島が本籍地。 大学院にて、都市公園と公開空地の関係性を研究後、 いくつかの公共空間関連のプロジェクトに参加。 主にパブリックライフ、ソトアイテムなどをテーマにする。 まちづくりとコーヒーのポップアップ店舗「あとさきコーヒー」店主、 コーヒーインストラクター2級。