ストリート|道路空間
Park(ing)Day2020やってみた!6都市の実践と報告会をレポート
ソトノバではこれまで、Park(ing)Dayを2017年に大宮(さいたま市)、2018年に沼津(静岡県沼津市)、2019年に渋谷宮益坂(東京都渋谷区)で実施しました。そして4年目となる2020年、9月18日にPark(ing)Day2020を国内6都市(横浜・八千代・四日市・長浜・倉敷・竹原)で開催しました。
2020年は初の国内同時開催や、ウィズコロナ時代におけるパブリックスペースの活用や使われ方を考える機会など、これまでの3回と違うPark(ing)Dayに挑戦しました。
この記事では、Park(ing)Day2020の各地の実践の様子をレポートします。
Contents
- Park(ing)Dayとは?
- 2020年は、初となる6都市同時開催!
- ソトノバ・スタジオ|Park(ing)Dayクラス参加者がPark(ing)Dayを企画!
- ついに実践!当日の様子
- Park(ing)Day横浜A|入船通りに海賊襲来
- Park(ing)Day横浜B|みんなにfit! September Fes
- Park(ing)Day八千代|ロータリーを陽の当たる場所へ
- Park(ing)Day四日市|子どもたちが遊び、くつろげる場所へ
- Park(ing)Day長浜|ひとつなぎの風
- Park(ing)Day倉敷|MIZUSHIMA PALLETTE
- Park(ing)Day竹原|歩いて楽しむ今昔ストリート・駅前公園はじめました
- 公開報告会でPark(ing)Dayの課題と展望をディスカッション!
- Park(ing)Dayサミットに参加しよう!
- Park(ing)Day JAPAN WEBサイトが完成!
Park(ing)Dayとは?
2005年に米国・サンフランシスコで始まった、路上パーキングスペースを公園的空間(人のための場所)に変える取組みです。毎年9月第3金曜日に実施され、世界中のパブリックスペースのムーブメントになっています。詳細は、Park(ing)Day JAPANウェブサイトをご覧ください。
2020年は、初となる6都市同時開催!
2020年のソトノバ・スタジオ|Park(ing)Dayクラスは、パブリックスペースのプレイヤーの裾野をさらに全国的に広げるべく、講座は基本オンライン形式として、全国の参加者が各地でPark(ing)Dayを計画できるプログラムとしました。
ウェブ上でPark(ing)Dayの開催地を公募し、応募の中から6都市を開催地に決定。ホスト(場所提供者)は地元や警察との事前協議などをあらかじめ行い、Park(ing)Day実施の見通しが立った上で、クラスを開講する運びとなりました。
開催地
全国6都市(カッコ内はホスト(場所提供者))
・神奈川県横浜市 | (Fun! Public Space! YOKOHAMA) |
・千葉県八千代市 | (大和田BASE) |
・三重県四日市市 | (諏訪新道発展会) |
・滋賀県長浜市 | (長浜市) |
・岡山県倉敷市 | (ミズシマ・パークマネジメント Lab.) |
・広島県竹原市 | (竹原市) |
ソトノバ・スタジオ|Park(ing)Dayクラス参加者がPark(ing)Dayを企画!
計43名のクラス参加者が全10回の講座で、パブリックスペースにおけるアクションの実践知、タクティカル・アーバニズムやプレイスメイキングに関する思想や概念などについて学びながら、Park(ing)Dayを企画しました。
2020年のPark(ing)Dayクラスの新しい取り組みとして、対象地の課題と機会を客観的に評価する「Place Game」ワークショップを各地で開催。Place Gameを通して、短期的・長期的アクションを見据えながら、Park(ing)Dayの企画コンセプトを検討しました。そして後日、1DAY企画シャレットをオンラインで開催し、Park(ing)Dayの具体的な計画を一日で集中的に決めていきました。
ついに実践!当日の様子
6都市の各チームはこの日に向けて準備を進めてきました。そしていよいよ2020年9月18日、全国6都市で同時にPark(ing)Dayを開催することができました。
各地のコンセプトや当日の様子について、各チームからのレポートを紹介します!
instagramにアップされたPark(ing)Day2020の様子Park(ing)Day横浜A|入船通りに海賊襲来
通りの名称や、Place Gameを経て見えてきた街の歴史、風の抜け方、豊富で多国籍な飲食スポットなどを踏まえ、「海賊船が襲来する(=海賊が通りをジャックする)」というキャッチーなコンセプトが生まれ、自然に世界観とストーリーに繋がっていきました。宝箱や地図などのアイテムを活用し、ゲーム性のあるミッションも準備し、交通量調査の結果も鑑みて「目を引き、くつろげて、自然に集う仕掛けのある」場を目指しました。限られた予算と時間のなか、マストをイメージしたアイキャッチと船のデッキを主とした、海賊船をモチーフとした造作を検討しました。
当日はマスト(風の強さ)や舳先(安定性)の設営に懸念が出たり、現場調整も多くなりましたが、無事予定通りスタートしました。昼間はもともと通行人も限られており、なかなか立ち寄りにくい空気もありましたが、夕暮れ以降に風がやみ、簡易照明と音楽で雰囲気も変わり、パラパラと食事、楽器、ゲーム、仮装グッズなどをきっかけに立ち寄るかたも増えていきました。対面のBチームの企画や、横濱ビールさん、HOTEL EDITさんのご協力含めて、入船通りの「屋外空間の可能性」をPark(ing) Dayならではのかたちで提示できたのではと考えています。
Park(ing)Day横浜A|海賊がモチーフの什器 photo by Nara Yuko(numphoto Inc.)Park(ing)Day横浜B|みんなにfit! September Fes
Place Gameを経て、人通りが少なめな裏通りの印象がある一方、様々な飲食店があることなどが分かりました。そこで、人が集ったり座ったり出来る場所を作ることで知る人ぞ知る素敵な裏通りとすることを構想しました。「みんなにfit!」というコンセプトを定め、様々な高さの椅子を用意することで、どんな人にどんな座り方でくつろいで貰えるのかということを実験しながら楽しむスペースとしました。
SPF材やりんご箱を使いながら高さ200〜650mm程度までの4種類の高さの椅子を作り、人工芝のマットで地面に座るスタイルも含め、5種類の座り方を用意しました。
当日は午前中に設営した後、午後からスタートし、通りかかる人も自分達も場を楽しみました。高さの異なる椅子により行動が異なることや、子ども連れやグループなどに使いやすい座り方などが見て取れました。椅子以外にも大きな塗り絵を用意して自由に塗ってもらったり、街の歴史を印刷したコースターを配布することで、より賑わいを生み出すことが出来ました。
訪れる人が興味を持って楽しむことが出来るような設えを配置しておくことで、公共空間の使い方を考えるきっかけとなることを実感出来ました。
Park(ing)Day横浜B|訪れた人々が語らう photo by Nara Yuko(numphoto Inc.)Park(ing)Day八千代|ロータリーを陽の当たる場所へ
駅入口から距離があるため、普段は人通りが少なく静かなロータリーですが、陽当たりや風通しの良さを活かし、地域の子どもたちの遊び場となるPark(ing)Dayを構想しました。事前準備としてバスルート変更の協議など、ホストである大和田BASEさんの協力を仰ぎました。
当日は朝からテントやベンチなどを設営し、15時からPark(ing)Dayを開始。竹とんぼや道路のお絵描きなど自由に遊ぶ子どもたちとそれを見守る親という、公園のような光景が見られました。ヒアリング調査では、周辺に子どもの遊び場が少なく、滞留空間の需要が高いことが明らかになりました。認知度の低い駅前ロータリーの「活動のうまれる場所」へのイメージ転換に貢献できたのではないでしょうか。
Park(ing)Day八千代|子どもたちの遊び場となったロータリーPark(ing)Day四日市|子どもたちが遊び、くつろげる場所へ
通勤通学路として人通りはあるがその場で過ごす場所がなかったため、場を楽しんでくつろげる空間を作りたいと考えました。車の交通量が多いため車道も通行止にすることでかえって広く利用でき、芝生に椅子テーブルのエリアと畳ござと太鼓の和エリアで思い思いに過ごしてもらえました。子どもたちに街の魅力を知ってもらう宝探し、シャボン玉、チョーク落書き、工作も好評で、活動を見守る大人たちもみな笑顔の、あたたかいPark(ing)Dayとなりました。チョークの落書きは水消火器で子どもたちが消し、片付けも子どもたちが手伝ってくれました。
地元中心で多くの親子に来場してもらい、いつものお祭りとは違ってその場で滞留し楽しめたというアンケート結果を多く得られました。街の魅力可能性を再発見してもらえたと思います。
Park(ing)Day四日市|商店街で子どもたちが自由に遊ぶ photo by ウラタタカヒデPark(ing)Day長浜|ひとつなぎの風
琵琶湖から田村駅に続く通りでは、利用者が限られ、人が少ないという現状がありました。Place Gameによって得られた課題や発見をもとに、「ひとつなぎの風」というコンセプトが生まれました。これは様々な人が利用できる、豊かな自然を生かす、世代や組織を超えた交流を生み出すことを目標としています。約140mの空間に子ども達が遊べる動のエリア、ほっと一息つく静のエリア、2つのエリアを繋ぐ風鈴のさざなみトンネルを設置しました。そして人と人、人と場所を繋ぐSLベンチがそれぞれのエリアを巡ります。
当日は親子を中心に多くの方々が来場し、子ども達が笑顔で遊んでいる光景や、周辺企業の方々がくつろいでいる光景が見られました。また地域の高齢者の方と子ども達が交流する場面もあり、世代を超えて人々が繋がったと実感しました。アンケートでは、地域の方々を中心に企画の評価や改善点を頂きました。
この企画によってPark(ing)Dayならではの交流の場を創出できたと共に、今後の課題解決の参考となったと考えています。
Park(ing)Day長浜|目と音で感じる風 photo by ツジタシンヤ(aicco design works)Park(ing)Day倉敷|MIZUSHIMA PALLETTE
倉敷市水島商店街では、百貨店跡地に居心地の良い空間を復活しました。「まちのリビングルーム」は、商店街の有志、高校生・大学生、県外の応援団で作られました。午前中に小雨が降りましたが、商店街には大工さんや空間デザインのプロもおり、みるみるおしゃれな空間になりました。緑の芝生をひき、ソファーやカフェを設置、音楽が流れ、知らない人が交流する空間ができました。
交流を促す工夫として、商店街のおかみさんが、水島が元気だった頃を話してくれました。子ども達は駐車場に落書きをし、大人達はライブを聴いてお酒を楽しみました。調査では、商店街や地域の人が、2019年度に開催されたパーキング・ディの開催の継続をとても楽しみにしていることが分かりました。片付けは翌日、反省会を行った後に行いました。
水島のみなさんの思いが詰まった特別な一日となりました。新しいまちづくりを始めるんだという水島の気持ちを全国に表現できたPark(ing)Dayでした。
Park(ing)Day竹原|歩いて楽しむ今昔ストリート・駅前公園はじめました
竹原駅前あいふる通りは、駅前商店街として賑わいを創出してきましたが、近年はシャッター店舗の増加や空き地などが増えています。そこで、広い歩道や停車帯を活用して地域の子どもたちが楽しく遊べ、長時間滞留できる空間を演出しました。居心地の良い人工芝やこだわりのある座り場、子ども達が遊べるプラレール、砂場、ハンモックなど多彩な演出を工夫しました。
当日は子どもたちが遊び、親たちは居心地の良い座り場で見守り、家族や親子で飲食を楽しむなど、あいふる通りが笑顔であふれる公園のような風景を見ることができました。調査として、立寄率・滞留時間・来訪者・沿道店舗へのアンケート調査などを行い、子ども達のアクティビティが滞留時間増加に寄与し、来訪者の満足度も高く、沿道店舗への経済的な波及効果も確認できました。来訪者や地域住民、沿道店舗の事業者の人たちは、Park(ing)Dayの風景をもっと日常的に見たいと感じ、居心地の良い滞留空間の重要性を認識することができたことと思います。
今後も地域住民や沿道店舗の人たちと協力し、まちなかを居心地が良くできる滞留空間として演出し、皆が笑顔で滞留できる素晴らしい場所にしていきたいと思います。
Park(ing)Day竹原|駅前通りが公園に photo by Kazuhiro Sorioka公開報告会でPark(ing)Dayの課題と展望をディスカッション!
2020年10月7日に開催した公開報告会では、Park(ing)Day2020を実践した計43名の参加者たちに、6都市における実践の様子を、構想、計画、設営、体験、調査、撤収の観点から報告してもらいました。ゲストコメンテーターの山本浩之氏(国土交通省道路局環境安全・防災課)、塚田友美氏(同省都市局まちづくり推進課)、小路剛志氏(同省都市局街路交通施設課)とともに、Park(ing)Dayが都市にもたらす変化や今後全国に展開する上での課題についてディスカッションしました。
ディスカッションでは、実践者と街行く人が一緒に場を楽しめるのでまわりの人々を巻き込みやすく、地域の意識の変化につながりやすいというPark(ing)Dayの特徴が浮き彫りになりました。今回のPark(ing)Dayによって新しい人のつながりが生まれたという参加者の声も聞かれました。また、Park(ing)Dayを持続的にこれからも開催するためには、取組の輪を拡げていくこととPark(ing)Day自体の認知度の向上が必要不可欠との意見も出ました。
Park(ing)Dayは気軽に都市を変えられる取組です。参加者の方は地域の課題や可能性に気づく良いきっかけになったのではないでしょうか?これをきっかけとして今後どのようにアクションにつなげていくのかは、引き続き検討すべき課題といえそうです。
ソトノバでは、2021年もPark(ing)Dayの複数都市同時開催を目指し、活動していきます。
ぜひみなさんも、あなたの街でPark(ing)Dayを開催してみませんか。
Park(ing)Dayサミットに参加しよう!
2021年3月12日(金)ー3月17日(水)に開催するPlacemaking Week JAPAN 2021のなかで、3月15日(月)19時からPark(ing)Dayサミットを開催します。
Park(ing)Dayサミットでは、前半の部で6都市で行われたPark(ing)Day2020の実践や日本版Park(ing)Day実践ガイドをご紹介。後半の部では、あなたの街のPark(ing)Dayを妄想するオンラインワークショップを開催します。
Park(ng)Dayに少しでも興味がある方、いつか自分の手で実践してみたいと考えている方、ご参加のほどお待ちしております!
Park(ing)Day JAPAN WEBサイトが完成!
ソトノバでは、日本でPark(ing)Dayの普及を進めていくため、Park(ing)Day JAPANのWEBサイトをリリースしました!日本におけるPark(ing)Dayの情報を集約するプラットフォームです。
Park(ing)Day2020の情報はもちろん、昨年のPark(ing)Day2019渋谷宮益坂のレポートなども紹介しておりますので、是非ご覧ください。
公式WEB: | http://parkingday.jp |
Facebook: | https://www.facebook.com/ParkingdayJapan/ |
INSTAGRAM: | https://www.instagram.com/parkingdayjp/ |
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