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速報考察:コロナ対応で飲食店の路上客席が可能に!国が動く道路占用許可基準を緊急緩和

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とパブリックスペースについては,ソトノバでも取り組んできました.屋外空間の利用変化のアンケートを実施,9月開催のPark(ing)Day2020の開催地公募もソーシャルディスタンス確保の実施で募集をしているところです.

国内事例のまとめでも紹介している通り,新型コロナウイルス感染症のパンデミック以降,現在,4自治体で道路空間の社会実験や飲食店支援の取り組みが確認されています(仙台,沼津,浜松,佐賀).外出自粛要請や休業要請などでの経済的打撃のほか,ディスタンス確保のための屋内客席の減少が危惧されています.そういった飲食店を応援するための取り組みとして,テイクアウトマップや弁当販売などが各地で展開されてきました.

そこで,速報です.

本日(6月5日)にニュースが飛び込んできました.

新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用の取扱いについて

本記事については,この内容の紹介と速報考察をしていきたいと思います.

これまでの速報考察はこちら:

【速報考察】地域再生法改正・閣議決定により日本版BIDの展開となるか|「地域再生エリアマネジメント負担金制度」創設へ
【速報考察】道路法改正により歩行者中心の道路空間:「歩行者利便増進道路」創設へ
【速報考察】法律・予算・税制のウォーカブルパッケージ揃う:都市再生特別措置法改正

本記事の内容は,noteにもまとめています.

速報考察:コロナ対応で飲食店の路上客席が可能に!国が動く道路占用許可基準を緊急緩和

追記:主体や手続きの整理はこちらでまとめています.

路上客席の緊急緩和を実践で使うために新規性をみる!「コロナ道路占用許可」の主体・手続き整理


新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用の取扱いについて

さて,内容を見てみましょう.

国土交通省では、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等を支援する緊急措置として、地方公共団体と地域住民・団体等が一体となって取り組む沿道飲食店等の路上利用の占用許可基準を緩和することとしました。

 この取組により、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等の皆様によるテイクアウトやテラス営業のための路上利用について、地方公共団体等が一括して占用許可の申請をしていただくと、道路占用の許可基準が緩和されます。

 また、この取組については、地方公共団体においても同様に取り組んでいただけるよう要請しています。

まずは,今回の内容,新型コロナウイルス感染症対応の緊急措置であることです.

リーフレットの内容を見てみると,こうあります.

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等の皆様へ

地方公共団体等と連携して申請するとテイクアウトやテラス営業などのための道路占用の許可基準を緩和します

国土交通省では、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店等の皆様を支援するための緊急措置として、地方公共団体と地域住民・団体等が一体となって取り組む沿道飲食店等の路上利用の占用許可基準を緩和することとしました。
また、地方公共団体に対しても同様に取り組んでいただけるよう要請しています。

今回の緊急措置のポイント

内容① 新型コロナウイルス感染症対策のための暫定的な営業であること
② 「3密」の回避や「新しい生活様式」の定着に対応すること
③ テイクアウト、テラス営業等のための仮設施設の設置であること
④ 施設付近の清掃等にご協力いただけること
主体地方公共団体又は関係団体※1による一括占用※2
※1 地元関係者の協議会、地方公共団体が支援する民間団体など
※2 個別店舗ごとの申請はできません。
お住まいの地方公共団体等にご相談ください。
場所道路の構造又は交通に著しい支障を及ぼさない場所
※ 歩道上においては、交通量が多い場所は3.5m以上、その他の場所は2m以上の歩行空間の確保が必要です。
※ 沿道店舗前の道路にも設置可能です。
占用料免除(施設付近の清掃等にご協力いただけている場合)
占用期間令和2年11月30日まで
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なぜ,飲食店の路上客席を緩和するのか

飲食店の切実な状況

まず,飲食店は,新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより,休業要請や外出自粛により客足が遠のき,営業時間を短縮するなど,経済的な打撃を受けています.

次に,ソーシャルディスタンスの確保などの「新しい生活様式」や3密の回避で,物理的な客席の減少(カウンターであれば,2/3席など)や感染症対策を講じるための消毒液や仕切り板の設置などの出費など,負担が大きい状況になります.特に客席の減少は大きく,例えば,今まで30席あったお店は,単純計算で,20席しか使用できないなどの客席の減少が起こっています.これでは,従来で50万円の売上があったお店が,単純に考えても,同様の売上を確保することは難しくなります.これにより,テイクアウトやデリバリーなどの工夫をしていることと思います.

この辺りは,自身のnoteにまとめていましたのでご覧ください.

アフターコロナで「エリアマネジメント」と「公共空間活用」は変わる.地域ビジネスを支えるための公共空間解放の動きが加速

海外の屋外客席の緩和状況

今回の新型コロナウイルス感染症は,世界的な流行(パンデミック)ということで,各国の動きも盛んです.(海外編の情報まとめはこちら

リトアニアの首都ビルニュスでは,レストランが屋外客席をストリートに展開するニュースがありました.政府から,2人がけや家族連れの利用が認められていたということがあります.

ニューヨーク市では,元々オープンカフェの仕組みがありましたが,ニューヨーク市議会が5月13日,「飲食店が歩道や公共の場にテーブルを置いて営業するための、市に支払う手数料、サイドウォークカフェ料金を、2021年2月28日まで免除すること」を発表しています.

国内の実践と自治体の要望

そして,国が動いたのには,国内の素早い実践があったからだと思います.

宮城県仙台市の定禅寺通では,5月2日にストリートテイクアウトプロジェクトを始め,飲食店のテイクアウトの道路占用許可・道路使用許可を不動産会社が一括して仙台市に提出する取り組みを始めます.

佐賀県は,夜のオープンテラス運営の社会実験「SAGAナイトテラスチャレンジ」を5月22日に実施.同時期に静岡県沼津市では,「NUMAZU OPEN AIR NIGHT vol.1」を5月23日に実施.いずれも飲食店のテイクアウトの支援,路上客席の社会実験でした.他にも飲食店から自治体に各地で要望がいったり,自治体から国へと全国から要望が寄せられたのだと推察します.

道路空間でのビジネスは原則禁止.特例扱いの許可

今までは,道路空間でビジネスをすることは原則禁止でした.国内で最近増えてきた,オープンカフェなどの取り組みの多くは,特例扱いになっています.

例えば,東京・新宿モア4番街は,「道路占用許可の特例」(都市再生特別措置法)で位置付けられており,新宿駅前商店街振興組合が道路占用主体です.東京・丸の内仲通りは,国家戦略特区の認定を受けて,アーバンテラスという取り組みを行っています.石川県金沢市の犀川リバーカフェは,道路協力団体(道路法)の指定を受けています.

これらは,まちづくり団体,エリアマネジメント団体や商店街など,自治体に位置付けられた団体が行っており,単なるビジネスをするのではなく,まちづくりの目的のため,特例扱いで認められています.

このような動きは,2020年の道路法改正で,「歩行者利便増進道路」という新しい制度で,道路空間の活用は期待されていました.

道路占用許可基準の緩和の気になるポイント

具体的に,実行していくために,気になるポイントを見ていきます.リーフレットの他に,通達という国土交通省道路局が全国の自治体の道路管理者向けの通達に詳細が書かれています.

誰ができるのか?主体に迫る

今回の路上客席の道路占用許可基準の緩和,誰が実行できるのでしょうか?気になるところです.これは通達の方に詳しく記載があります.

占用主体
沿道飲食店等の路上利用に伴う占用は、以下のいずれかの者が一括して占用するものであること。
イ 地方公共団体又は道路協力団体
ロ 地方公共団体を含む地域住民・団体等の関係者からなる協議会等
ハ 都市再生推進法人又は地域再生推進法人等
ニ 地方公共団体が支援する沿道飲食店等の路上利用(地方公共団体が支援する理由及び内容並びに当該路上利用に係る占用の許可に関する意見を占用許可申請書に付しているもの)の実施主体(商店街振興組合、商工会等を含む。)

つまり,自治体,道路協力団体,協議会,都市再生推進法人,地域再生推進法人,商店街振興組合,商店会などになります.飲食店の単独の取り組みは認められないため,上記のような団体と協力・連携するか,そういった団体がない場合は自治体(道路関係部署など)に相談をしてみるとよいでしょう.

期間は?

占用の期間
令和2年6月5日から同年11月30日までの間で必要最低限の占用期間を設定
すること。

このように,2020年の11月30日までの間で,必要最小限ということになります.

これは,おそらく,先日法改正の成立した道路法改正の「歩行者利便増進道路」制度が12月ごろから使えるようになるのではないかと考えます.今回の緊急措置以降も使用する場合は,道路管理者は,歩行者利便増進道路の指定に向けて,常設化などの検討ができるでしょう.今回の緊急的な緩和をきっかけに,可能な道路は,歩行者中心の道路空間へとシフトする機会にもなるでしょう.

どこの場所でできるのか?

占用の場所
イ 道路の構造又は道路交通に著しい支障を及ぼさない場所であること。
ロ 歩道上に沿道飲食店等の路上利用に伴う占用物件を設置する場合には、原則として、十分な歩行空間(交通量が多い場所にあっては3.5m以上、その他の場所にあっては2m以上)を確保すること。ただし、曜日若しくは時間を限って実施する場合又は交通規制を伴う場合で、歩行者の円滑な通行が確保される場合については、この限りではない。

道路交通に支障がない場所や,歩道上の場合は,十分な歩行空間の確保が前提になります.自動車や歩行者の邪魔にならないことが前提ですね.歩行者交通量が多い場所は,3.5m以上,他は2m以上の歩行空間の確保が必要ですね.

また,社会実験など曜日,時間帯の限定や歩行者天国などの交通規制がある場合は,こういった条件が必ずしも適用されるわけではないということですね.道路管理者・警察(交通管理者)との協議次第ですね.

道路の清掃などの協力

道路維持管理への協力
道路の機能又は道路交通環境の維持及び向上を図るための清掃その他の措置
であって沿道飲食店等の路上利用に伴い必要となるものが、併せて講じられること。

道路という公共空間を使う場合に,公共性の担保が求められます.道路維持管理への協力ということで,道路の清掃などの協力が必要になります.その範囲や清掃以外の協力が何が必要なのかは,具体的には,自治体の道路管理者との協議になるでしょう.

道路占用許可の条件

占用許可の条件
占用の許可に当たっては、占用の許可を行うに際しての一般的な条件のほか、必要に応じて次に掲げる条件を付すこととする。
イ 迂回路や駐車場等の交通案内を行うこと。
ロ 沿道飲食店等の路上利用により多数の来客が見込まれる場合は、十分な駐車場等を確保すること。
ハ 沿道飲食店等の路上利用の終了後は、道路の清掃を行い、原状回復すること。
ニ その他道路管理者が必要と認める事項。

道路占用許可の条件は,上記のように設定されています.自動車交通の迂回路や駐車場などの交通案内,必要な場合は駐車場の十分な確保,道路の清掃や現状回復ですね.

屋外客席などは,客席を店内にしまい,現状回復をする必要があるのは注意が必要ですね.

道路占用料の免除

占用料の取扱い
沿道飲食店等の路上利用に伴う占用物件の占用料について、当該物件の設置に併せて占用主体により提案される道路維持管理への協力(占用区域以外の除草、清掃、植樹の剪定など)が行われる場合にあっては、占用主体にかかわらず、これを徴収しないものとする。

道路維持管理の協力をする場合には,道路占用料が免除になりますね.

警察庁交通局との調整済み

道路を使う場合は,自治体だけではなく,交通管理者である警察への許可も必要です.今回の通達資料では,自治体の道路管理者向けに,「警察庁交通局と調整済み」と記載があります.今回の道路占用許可基準の緩和は,警察も了承しているということで,警察協議や道路使用許可手続きも,趣旨を理解してもらいながら柔軟に進めることが可能になります.これは大きいですね.

これからの歩行者中心の道路は?

さて,こういった,道路占用許可の基準の緩和が出ましたので,地域や店舗のニーズがあるところは積極的に活用していきたいところですね.

今回のことを受けて,これからの道路について考えてみたいと思います.

スピード優先.まずやってみること

まずは,スピードですね.まずやってみることが重要です.1日1日が大変な状況.地域の店舗にニーズがあるのであれば,どうやったら1日も早く実現できるかを考えて行動に起こすことが重要です.11月30日までの暫定措置.いわば,社会実験ともいえるでしょう.本来社会実験は通常のルールでは難しいものを実験をしてみようというもの.まずは早く,どうできるかを考えることが重要ですね.時間をかけていいのであれば,初めから今ある特例制度(道路占用許可の特例,道路協力団体など)を使えばいいわけです.それをやろうとすると,手続きだけで,11月30日になってしまいかねません.今回の道路占用許可の基準緩和は,即効的にどうできるかというものだと思います.

リスクを恐れない.実験と思い,エラーは修正していく

スピード優先で十分な検討ができていないと,事故や問題が起きたらどうするのか?と懸念するところも気持ちはわかります.「実験」という程をうまく使い,課題が出ることも実験の成果.事故や問題は適宜エラーを修正していく気持ちで実施することが重要です.

保健所の対応「屋外客席設置届」

飲食店は,保健所に食品衛生許可などを得ています.屋外客席には,屋外客席設置届を保健所に出す必要があります.これは,店内客席を上回らない屋外客席の設置という条件があります.店内客席が20席であれば,屋外には20席しか置けません.また,サーブ(給仕)などは保健所や道路管理者,警察との協議で良いかどうかを確認する必要があります.

点字ブロックの対応

日本の場合,バリアフリー点字ブロックが屋外客席の一つの障壁になっています.バリアフリーガイドラインにて,建物側に敷設するように誘導されています.期間によりますが,短期間であれば,交通誘導員での対応,長期間であれば,仮設点字ブロックの迂回敷設の検討も必要かもしれません.現場の状況に応じて,道路管理者,交通管理者(警察)との調整・協議が必要です.

1階以外の店舗への対応

屋外客席はどうしても1階の店舗のみしか対応ができません.もし,歩道が広ければ,屋外客席を店舗間でシェアすることや,空き地や駐車場などのオープンスペースを屋外客席にするというのもあるかもしれません.既に,山口県宇部市が駐車場でテイクアウトパーキングを始めています.こういったニーズがあれば,道路に限らず実践することも検討した方が良いですね.

期限の見えないウィズコロナ

さて,今回の緩和は,11月30日とありますが,ウィズコロナという,コロナが終息しない,ワクチン開発・普及までの間は,いつまでなのかがわからないというのがとても辛いところです.今できることをやるしかないというところと,先を見据えると,これを機に,変えた方がいいものを変えていくという機会ともいえるのではないでしょうか.

これからの歩行者中心の道路と店舗の関係

何度か触れましたが,2020年に道路法改正で,「歩行者利便増進道路」制度が生まれます.そして,街としては,ウォーカブル「居心地よく歩きたくなるまちなか」も動き出しています.

今回の新型コロナウイルス感染症以降,元に戻るというよりは,これを機に,見直していくことが重要でしょう.

これまでの道路は自動車中心,交通優先でした.これらが歩行者中心の道路に舵を切ろうとしているのです.自動車中心,交通優先だった道路では,店舗もなかなか積極的に屋外に出たいと思えなかったし,屋外客席を出すには面倒な手続きが必要でした.

私は今回のことで,店舗と道路の関係がよりつながり,深くなれば良いなと思っています.店舗と道路とは,具体的には,店舗と,地域(商店街,エリアマネジメント団体など)と,自治体の3者の関係です.今回の道路占用許可の基準緩和では,この3つの主体が必要なのです.一つのチームになって取り組まないと実現できません.

都市は人の集合体で成り立っています.店舗には人が生計を立てており,地域としてどうよくするかについて取り組むのが商店街やエリアマネジメント団体など.自治体は,そういった店舗や地域ニーズをどう支えていくか,支援していくかという立場になります.

今回の外出自粛などで,都市に人がいない姿がどれだけ都市の魅力や経済,私たちの生活に影響を及ぼすか,みなさんも実感したのではないでしょうか?

これからは店舗も街に関わって,挨拶やコミュニケーションが振る舞われ,店舗や地域,自治体がより顔の見える関係になっていくということが,豊かな日常があり,歩行者中心の道路の姿なのではないかと思います.

一時的なイベントなどの賑わいも良いですが,イベントのない日常的な時間をどのようにストリートライフとしてつくっていくか.店舗の店長さんやスタッフの方々も屋外に出てくるような姿が,今回の屋外客席の取り組みで実現できるのではないかと描いています.

まずは,今回の道路占用許可の基準緩和を各地でどんどん使ってもらって,その経験から,これからの道路どうする?って議論が各地で起こってくれば,ウォーカブルや歩行者中心の道路に切り替えていく動きが各地で起こるかもしれません.歩行者利便増進道路などこれからできる制度もできますし,それを実現する手段の完成はもうそこまで来ています.

みなさんの情報をお寄せください.

これから各地で実践が行われると思います.ソトノバでは,国内の実践などの情報を取りまとめています.ぜひ,実践や動きなどがあれば,ソトノバに情報をお寄せ下さい.FACEBOOKグループや情報収集フォームで募集中です.

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参考文献:

報道発表資料

リーフレット

通達(令和2年6月5日付け国道利第5号)

通達(令和2年6月5日付け国道利第7号)

Cover Photo: Shutterstock

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