公園活用には魅力がいっぱい!Yanasegawa Marketから見る公園でマーケットを開催する理由

マーケット・マルシェの研究者でもある筆者が、埼玉県志木市の公園での「Yanasegawa Market (柳瀬川マーケット)」の企画・運営を行い考えた、公園でマーケットをする利点、可能性をご紹介します。第一回は2016年11月に、第二回は2017年1月に行われました。
「なぜマーケット?」という問いに対する答えについては、また別途お伝えするとして、今回は「なぜ公園でマーケットなのか?」という点を中心にお伝えします。事例としてマーケットを扱いますが、マーケットに限らず、公園を利用する他の企画でも共通点があるかと思います。

なぜ公園?道路は?商店街は?私有地は?

まちの中でマーケットのようなイベントを企画しようと考えた時、みなさんはどこを開催場所として考えますか?

筆者は最初から公園でマーケットをやろうと考えていたわけではありません。むしろ、イギリスを始め、多くの国で行われているストリートマーケットに関心があり、日常性を担保できる、道路での開催が最良だと考えていました。

しかし、ご承知の方も多い通り、現在、日本では道路利用は簡単には行うことができません。道路の利用には道路使用許可、道路占用許可を取得する必要があり、行政や警察協議を経て許可を取る必要があります。何の実績も無い任意団体では道路利用が難しいのは明らかです。

続いて商店街です。商店街の多くは道路であり、道路交通法に基づき時間帯の「歩行者専用道路」と指定されているところがあり、そういった場所では定期的にマーケットが開催されている事例もあります。しかし、マーケットがまだ文化として浸透していない日本では、マーケットの開催を「お店の競合相手」(通称:バッティング)とみなされてしまうことがあり、商店街組合からの理解を得ることが難しい可能性があります。(マーケットが古くから広く親しまれているイギリスでは、マーケットによる集客効果によりマーケット開催日は非開催日より、周辺店舗の売り上げがあがるという調査報告も行政機関により述べられています。)

私有地である空き地や駐車場も、活用の自由度が高いのですが、適切な私有地が近くにあっても、借りることができるとは限りません。
今回の開催地域は大規模に開発されたニュータウンのため、空き地は見当たりませんでした。そこで地域にある近隣公園を開催地としたのです。

公園を借りることは難しくない!

意外と知られていないことかもしれませんが、公園の利用に関する法律上の制限は多くありません。道路も公園もどこにでもある公共空間ではありますが、利用のしやすさには大きな違いがあります。

公園の使用は基本的には都市公園法に基づき、自治体ごとのルールに沿って、許可申請(公園使用許可)を行います。自治体によって違いはありますが、今回のケースでは所定の申請書一枚を提出し、面積当たりにかかる使用料を支払い、使用許可がおりました。

公園を活かした、公園ならではの空間づくり

では実際のマーケットの話しにうつります。
柳瀬川マーケットでは、「公園の今あるものを活かしたデザイン」をコンセプトとして設計を始めました。マーケットが主役になって、公園が脇役になるのではなく、公園本来の魅力を活かしたレイアウトや装飾を行いました。

店舗のレイアウトでは、公園の一端に一列に店舗を並べ、面として公園に介入するのではなく線として緩やかな介入を行い、いつもの公園の姿を保つようにしました。マーケットのアイコンとしては、ガーランドを木々の間に並べました。ここでもあくまで公園と商品と人が主役になるように、白いガーランドが採用されました。このガーランドはいらなくなったシーツを利用して幼稚園ママ達が集まって作りました。

また、ちょっとした生垣に座布団を置けばベンチになります。こちらも手作りです。看板は生垣にビニールテープという方法で行いました。必要なのはビニールテープのみ、風で飛ばされる心配も、置き場所に困ることもありません。

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生垣に手作りの座布団を並べれば、自然と人が座る空間に

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生垣を利用したビニールテープで文字の看板。マーケット側には手作りのガーランドが木々の間に配置されている。

水回りが整っているのも大きな魅力

食品も扱い、多くの人が訪れるマーケットでは、トイレや水道などの設備が整っていることも、公園でマーケットを行う魅力の一つです。特に食品を販売する場合、保健所に臨時出店届を提出する必要がありますが、保健所では近くに手洗い場があることを確認されます。

お母さんが笑顔でお買い物ができる!

続いて、実際にマーケットを開催して分かったことをご紹介します。

まず一つ目は、こどもを連れて楽しむことができるということでした。親子での買い物は、こどもが飽きてぐずったり、周りに気を遣ったり子連れの買い物は難しいことが多いですが、ここではこどもも大人に付き合わされている感覚なく自由に過ごすことが出来ました。こどもたちは広場で遊びながら、親はなんとなくこどもの居場所を把握しながら、買い物している姿が多くみられました。そのため、お母さんがリラックスして、笑顔で買い物できる場となっていました。

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左側に少し見えているのがマーケットの端。広場側ではこどもたちが遊んでいる。

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出店者さんの子どもお店に入ったり公園で遊んだり自由な時間を過ごしていました。

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ストライダーに乗ったまま、マッサージを受けているお母さんを覗いている子もいました。

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少し飽きたら、お父さんと遊具へ遊びに行くという選択肢も公園ならでは。

マーケットをきっかけに、大人たちが公園での時間を楽しむように!

マーケットの開催時間が終わってからも、ベンチでお話しながらまったりしている友人たちが居たので、声をかけてみると、「こんな風に公園で飲食したことがなかった、マーケットがきっかけで公園での時間を楽しんでいる。」というお話しをしてくれました。こうやって公園が見直され、マーケットが無い日でも公園を心地の良い居場所として利用してもらえるようになる可能性もあります。

公園でマーケットを開催する際の注意点

公園でマーケットを開催する際の注意点についても簡単にご紹介します。

・自治体によってルールが違う

自治体それぞれにルールがある為、利用する公園の所在地の自治体に公園使用の条件について確認する必要があります。

・火器の使用に制限がある

多くの自治体では火器の使用に制限があります。他の場所での事故などをきっかけに厳しくなることもあるようです。

・電源の確保が難しい

公園なので一般的に電源がありません。発電機の使用の可否は自治体によって分かれています。

・使用料が発生する場合がある

販売を伴う場合、運営側が非営利であっても公園使用料が発生する場合があります。面積当たり値段が設定されていることが多いです。

まちの中に誇れる場所ができること

最後に、主催者として公園でマーケットをやって良かったと思ったことの一つをご紹介します。

柳瀬川マーケットでは、いつもはあまり人がいない公園の広場にも、たくさんの人が集まっていました。お話ししたり、食事をしたり、犬の散歩をしたり、バトミントンしたり、シャボン玉をしたり、それぞれが思い思いの行動をとっていました。

「公園が生き生きとしていた!」「楽園みたいだった。」といったコメントを嬉しいことに多くの方からいただきました。マーケットをきっかけで、まちにある資源の魅力を再認識し、まちの誇れる場所と感じてくれる人が増えてくれると嬉しいなと思いました。

All photos by Hibi no awa

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鈴木 美央
一般社団法人パブリック・プレイス・パートナーズ共同代表理事。 早稲田大学理工学部建築学科卒業後、渡英し、横浜大さん橋を設計した設計事務所Foreign Office Architects ltd にて、2006 年より2011年まで勤務。帰国後はアカデミックな環境に身をおき、小さな建築の集積でどのようにまちを変化できるかを研究。二人の娘を育てながら親と子の居場所としてのまちの在り方も探求中。