ソトを使いたい人と語り合う──「マチノコトオープンダイアローグ」でソトノバが伝えたかったこと

土曜日の午前中から東京・港区の虎ノ門ヒルズカフェに集まったのは、日頃から「ソト」を使いたいと思っている人たち。これからパブリックスペースを使いこなしたいと思っている人や、実際にチャレンジしてみて壁にぶつかっている人など、15人ほどがソトノバの話に熱心に耳を傾け、語り合いました。このイベント──12月3日開催の「マチノコトオープンダイアローグvol.11」の様子をお届けします。

主催はウェブマガジン「マチノコト」。コミュニティデザインやまちづくりの情報を発信するメディアです。毎月、まちに関わる幅広い分野のゲストを迎えたイベントを企画しています。今回は「公共スペースを使いこなすためのデザインを考えてみる」というテーマで、ソトノバから編集長の泉山塁威さんと副編集長の三谷繭子さんが登壇しました。

それではプレゼンテーションの内容から紹介していきましょう。

登壇したソトノバの泉山さん(右)と三谷さん(左) Photoby Suzuna MIKURINO

プレゼンテーションの様子 Photoby Suzuna MIKURINO

日本の公共空間はアメリカ型?

まず日本の法律では、私物に対する「公物」という概念があります。国や地方公共団体などの行政主体が公共のために直接使用・管理するもので、道路・公園・河川・港湾の4つの分野があります。一般に「公共空間」と呼ばれているものも、これらを基本としています。

一方、ソトノバが扱う「パブリックスペース」は、公開空地や駅前広場、私有地など多くのパターンがあり、そのすべてに共通することは、屋外空間であるということです。そこで発生するアクティビティに注目し、研究や事例を記事にしていくことで、もっとソトを使いこなしていこうというのがソトノバの活動の趣旨です。

ソトノバが対象とするパブリックスペースの範囲 Fig by Rui IZUMIYAMA

そして国によって「パブリック」の位置付けは違っているそうです。泉山さんは、イギリスとアメリカの比較をパブリックスクールを例に出して説明しました。

「パブリックスクール」を例えると 運営・管理の主体イメージ
イギリスでは 私立学校 民間の富裕層
アメリカでは 公立学校 行政

日本の公共空間は、どちらかというとアメリカ型の考え方をベースにしています。行政が主体となって運営や管理をしているということです。そのため、使い方の自由度が狭まっている現状があります。

個人がパブリックスペースの使い手になるためには?

続いて会場からの質問タイムです。

Q. まちやパブリックスペースとは、どう関わっていけばよいのでしょうか?

A.
三谷さん:興味のある人にはぜひプレーヤーになってほしい。でも、いきなり個人というのはハードルが高い。一つの方法としては、まず参加者として楽しむこと。そして、お気に入りの場所を見つけることです。そこで何かしたいと思ったら、アクションを起こしてみる。焦らなくてもいいので、気持ちが熟したときに次のステージに移るのが良いと思います。

Q. プレーヤーとして活動しているが、参加者を増やしていくのに何かコツはありますか?

A.
泉山さん:定期的にイベントを開催することは重要です。それがまちの風景にもなるから。あの場所でいつもやっているから、行ってみようかなってなると、みんなの身近になります。

三谷さん:SNSをしている人は情報をキャッチする機会があるんですが、特にお年寄りなどには、開催しているコト自体が伝えにくいです。なので、近所のカフェにフライヤーを置いてもらったり、市の広報に載せてもらったりと、印刷物でも広報することが必要です。いろんな人の目の触れるところで、「誰でも入ってこられる場所ですよ」というアピールをきちんとしていくことが大事。

Q. 海外の事例はそのまま日本には当てはまらないと思うのですが、どう日本にチューニングしていますか。意識しているポイントはどこでしょうか?

A.
泉山さん:まず世界を捉えることは大事です。今のトレンドは、消費から持続可能性を追求する方向に変化しているのが分かります。そしてなにより、海外はかっこいい事例が多い。日本に足りないところを、海外の事例の紹介から刺激していくことが大切です。

現在の日本の状況に近いのはアメリカです。アメリカは車社会から人間中心の都市へとシフトしていて、それが日本に似ている。アメリカの事例が参考になることも多い。そういうエッセンスを日本に合うように抽出していきます。

会場からの質問風景。右側はマチノコトの大見謝将伍さん Photoby Suzuna MIKURINO

ポイントを押さえてソトを楽しもう!

2人のプレゼンテーションや参加者とのやり取りを通して、見えて来た2つのポイントがあります。

1つ目は、デザインの重要性。例えばソトノバでも何回も紹介している西千葉のコミュニティスペース「HELLO GARDEN」では、ただの空き地にデザインされたファニチャーを少しずつ増やしていきました。そうして段々と雰囲気をつくっていき、様々なイベントの開催を続けることで、より多くの人に関心が広がっていきました。

「HELLO GARDEN」のイメージを支える可愛いファニチャー Photoby Shihona ARAI

2つ目は、「とにかくやってみる」ということです。最初は参加者が少なくても、回数を重ねることで輪が広がっていきます。そうした地道な活動が参加者を増やしていき、その中から運営のプレーヤー側に加わりたいという人も出てくると、三谷さんは言います。

まずは出かけてみる、そして、お気に入りの居場所を見つけること。プレーヤーの方は、ぜひとも「ここに居場所があるぞ」とアピールしてください。ソトを使うプレーヤーを増やして、ムーブメントを起こしましょう!

Photoby Suzuna MIKURINO

Photoby Suzuna MIKURINO

マチノコトオープンダイアローグvol.11「公共スペースを使いこなすためのデザイン」
日時:2016年12月3日(土)10:00-12:00
会場:虎ノ門ヒルズカフェ
入場料:2,000円(朝食代込み)

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三栗野鈴菜

三栗野鈴菜

千葉大学工学部建築学科(在学中)。地元の福岡県久留米市で、久留米のまちづくり活動に参加しながら、以前の出身校・有明高専在学時には八女福島地区の歴史的市街地における近隣交流に着目し、研究を行う。ヒトやコトがウチやソトのまじりあいによってにぎわいが生まれる空間に好意を持ち、そんな空間を探し求めている。学生ならではの視線を大事にしながら、今アツいオープンスペースについて学習中。