ソトノバ・スタジオ

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ソトノバ・スタジオ

「ソト」の今を伝えよう!ライタークラス2023開講報告

今年も2023年5月23日から7月4日まで、ソトノバ・ライタークラス2023が開講されました。

2019年から始まったライタークラスは、ソトノバのコア事業であるウェブマガジンにパブリックスペースにまつわる記事を執筆するライターを養成する講座で、今回で4回目を数えます(2020年はコロナのため休止)。

このライタークラスは、ソトやパブリックスペースにまつわるトピックについて、自分と同じ興味のある者と共に学ぶことができるスクール形式の取り組みを提供している「ソトノバ・スタジオ」による教育プログラムの一環です。

この講座では、具体的な記事の執筆方法はもちろん、ネタの探し方や膨らませ方、読者にどのように伝えるのかをステップバイステップで学びます。さらに、この講座を修了して、卒業記事を公開すると、晴れてソトノバライターとしてデビューすることができます。

受講生であるライター候補生のみなさんは、この講座で何を得ることができたのでしょうか。実際に受講したみなさんの声も交えてお届けします。

Cover Photo by Rui Izumiyama


メリットいっぱいのソトノバライター

ソトノバライターとは、いうまでもなく、ソトノバ・メディアに記事を発表できるライターのことです。

ソトノバは、2015年にウェブマガジンを開設して以降、850を超える記事を配信してきました。日本では数少ないパブリックスペース特化型メディアとして注目され、近年では国土交通省や各自治体からも、まちづくりに関する情報ソースとして認識されています。

このようなメディアで記事を書くメリットを、講師の一人である中野竜さんは

・ソトノバの活動や自身の仕事・意見を、ライターの視点から発信する。

・公園や道路などのパブリックスペース、まちの感想をリアルに伝える。

・パブリックスペースに関する新たな視点を提供し、まちの課題として検討することができる。

・関心があるものを人に共有し、継続的に記事を発表できる。

(ライタークラス2023 #0)

と解説していました。

ソトノバでは配信する記事の質を確保するため、ライターの登録制度を設けています。ライターとして活動するには、ライタークラスを受講・修了し、卒業記事が掲載されること、もしくはライター試験に合格するという条件をクリアする必要があるのです。

リニューアルしたライタークラスで文章の基礎を学ぶ

今年から講義内容をリニューアルしたソトノバ・ライタークラス2023は、ソトノバのウェブマガジンとしての記事の量と質を向上させていく目的で、情報収集・整理の手法・文章構成スキル・文章の魅せ方などを体系的に学ぶことができます。

そのために、現役ライターが日ごろ行っている記事公開までのステップを具体的に示しながら、執筆のプロセスを追体験してもらうカリキュラム構成としました。開講期間中に2回設けられたミニ記事講評会と最後の卒業記事発表会を含め、事前のガイダンスと7回の講座によって、執筆のプロセスに応じた内容を学ぶ構成です。

記事作成の流れ (中)記事作成のステップを見える化し、各段階で学ぶことを明確にしました。

この講座は、ソトノバ編集部で日常的にライターと接している編集者3名(小原拓磨さん、小島和子さん、中野竜さん)が講義を担当し、すぐに役立つ実践的な講義内容になっていました。さらに、ソトノバ・メディアの特徴やライターになるメリットなど、ソトノバならでは特性も盛り込まれ、受講者は具体的な記事をイメージしながら自身のテーマや書きぶりを絞り込むことができるようになっています。そのほかに、紙メディアと違うWEBメディア独特の記事の書き方など、ソトノバライターとしてだけでなく、さまざまな場面で「文章を書く」際に役立つ汎用性のある知識やアイデアを得ることができました。

実践に近いノウハウでソトノバライターを目指そう

今回の新カリキュラムで特徴的だったのは、「書くトレーニングに重点を置く」ことと「実際の記事公開に向けた講評が得られる」という点にありました。

受講生は修了までに3回の課題提出を求められました。

一つ目は「企画案をつくろう」という課題でした。受講生自身が「書いてみたい」と感じるテーマについて企画案をつくることで、誰に向けたどのような記事にしたいのかが明確になりました。

企画案例示 (中)講師である中野さんがサンプルとして示した企画案。誰に向けて何をどのように伝えるのかを整理していきます。

次にその企画案に基づいて、原稿の骨子を短い文章形式で書きました。この段階で、ライター自身が記事の完成イメージをつかんだ上で、読者に理解してもらうための要素と表現を学びました。

最後は、その文章を魅力的に膨らませ、記事になる手前の初稿をつくりあげていきました。ソトノバの記事には、事実を正しく伝えるだけでなく、さまざまな専門性を持つライターならではの視点や意見表明も求められます。これらをわかりやすく伝えることも、記事を書く上で欠かせない要素となることも学びました。何より重要なのは、「伝えたい」というライターの思いだけでなく、読者に「伝わる」ように書くこと。ソトノバライターには、いわば「読者ファースト」の姿勢が求められるのです。

今回のライタークラスでは、ライターデビュー後も視野に入れ、原稿の書き方のノウハウだけではなく、文字数制限や表現ガイドラインなど読者ファーストのためのソトノバルールや、記事を継続して執筆するための支援体制についても説明がありました。

支援体制 (中)ソトノバでは、記事全体の質と量を確保するためにさまざまな支援体制を敷いています。

このように、ソトノバでは記事のネタ探しから情報交換、壁打ち(ブレスト)、モチベーションアップなど、さまざまな支援体制を整えています。現役ライターのみなさんはこれらを活用して新しい記事を書くことができますし、これからライターを目指すみなさんも安心して参加することができます。

目指せソトノバライター!卒業記事発表会

今回のライタークラスには13名の受講生が参加しました。

7月4日におこなわれたライタークラス最終回「目指せソトノバライター!卒業記事発表会」では、各受講生が1か月半にわたって得た知識を練りに練った記事として発表してくれました。一つ一つの記事について、受講生も講師陣も真剣に向き合い、よりよい記事をつくりあげる場となりました。

全体講評として、今回のライタークラスのプロデューサーであるソトノバ理事の田村康一郎さんからは、

どの方の原稿も、過去のプログラムと比べて完成度がかなり高いなというのが、率直な印象です。今日の原稿がソトノバに掲載されると、さまざまなフィードバックをもらう場面が出てくると思いますし、そこが面白いところだと思っていますので、そこをモチベーションにしてみてください。

受講生からは、「もっと書きたかった」という感想もちらほら聞こえてます。たくさんのトピックが出てくるのを本当に楽しみにしています。

ライタークラス修了式3今回のライタークラスを統括した田村康一郎さん Photo by Chihiro Hasegawa

最後にソトノバ共同代表であり、編集長でもある泉山塁威さんからも

まずは今日、この打席(卒業記事発表会)に立てたというところが素晴らしいかなと思います。
原稿を見た印象としては、今までソトノバで発信してた記事とは、いい意味で、少し毛色が違うと感じました。書き手の興味が多様化してきたのかなとも感じますし、バラエティーに富んだ記事のラインナップになっていると思います。

まずはみなさんが何を書きたいかっていうこと、それを誰に伝えたいかっていうことが、ブログとメディアの違いだと思うので、最後に何を読者に伝えたいのかを意識しながら書いてみてください。

とのコメントがありました。

image5全体講評する泉山さん(左) Photo by Chihiro Hasegawa

最終課題を提出し、修了証を受け取ったみなさんの感想が寄せられていますので、少しご紹介します。

ライタークラスで、どのようなことが学べましたか?

・記事としての文章の書き方、まとめ方、わかりやすく伝える文章構成など

・執筆の基本事項を、実践も交えて、広く学ぶことができました

・記事を書く基本や、現地調査等の調査における普遍的なスキル

全体の満足度は?

・なかなか文章の書き方を学ぶという機会がないなかで、丁寧に教えていただけたため。また時に課題の提出が遅れてしまっても、適切に対応してくださったため(満足)

・知らないことばかりだったので新鮮でした(やや満足)

・実践的に学べたこと、ほかの受講者のレポートなどを通しソト事例を知れたこと、欠席回もアーカイブ動画で受講できたこと など(満足)

というポジティブな意見が聞かれた一方で、

・課題量が多い

・インタビューの手法は、流れを含めてもう少し聞きたかった

との回答もいただいており、今後の改善の参考にいたします。

改めて感じた、伝えることの難しさと楽しさ

筆者は今回のライタークラスを間近で見て、受講生と講師陣の真剣なやり取りに記事を書くことの難しさと楽しさを感じました。

受講生のみなさんには「これを伝えたい!」という熱い想いがほとばしっていました。一方で、それは自分の想いだけを書き連ねるひとりよがりな文章になってしまう可能性もはらんでいます。

講師陣は、その熱い想いを受け止めながら、熱を冷まさないように冷静でわかりやすい文章にするためのコメントやアドバイスをしていきました。一つの文章でも、前後の単語を入れ替えるだけで読みやすさや伝わりやすさが変わる様子や、主題やターゲットを絞り込むだけで腹落ちする文章に変化する様子からは、伝えることの難しさと楽しさの両方を感じることができました。

何より心強いのは、今回講師を務めた3名がソトノバ編集部で常にライターのアドバイスに乗ってくれるということです。講師の一人である中野さんは

ライティングに関してどうすればよいかわからないことや不安なことは、なんでも編集部に相談してください。

と話していました。

現役ライターのみなさんも、これからライターを目指してみようと思っているみなさんも、私たちと一緒にソトノバをつくっていきましょう。

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