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ストリート|道路空間

廃止した路上駐車場から市民の場へ!静岡市パークレット社会実験「ハニカムスクエア」

これまでソトノバでは、神戸市名古屋市など、道路空間の路肩・路上駐車場を活用したパブリックスペース活用の手法の一つの、パークレットを紹介してきました。

静岡県静岡市では、パーキングチケットの廃止より生まれた、使わなくなった駐車スペースにパークレットを設置した社会実験「ハニカムスクエア」が2020年9月25日から2021年3月31日まで実施されています。

今回は、路上駐車場の歴史を踏まえて、静岡市でのパークレット社会実験「ハニカムスクエア」の現地レポートで感じた魅力と、社会実験の担当者及び道路管理者である亀谷さん(静岡市役所)へのヒアリングでわかった社会実験の実施実現への鍵をお伝えしたいと考えています。


時間制限による路上駐車場の衰退の背景

国内では、1955年以降の高度経済成長、1964年の東京オリンピックを契機にモータリゼーションが進み、自家用車の普及が急激に進みました。

これ伴い、まちなかへのアクセス手段として自家用車での移動が増大し、路上駐車による交通渋滞が当時課題となっていました。

道路交通法の改正により、1971年にパーキングメーターの設置が、1985年にパーキングチケットの設置が可能になり、都市部を中心に道路管理者や自治体によって整備が進められました。

しかし、バブル崩壊以降、無人時間貸駐車場が急激に普及したことや、郊外の大型商業施設の増加等を起因に、当時設置したパーキングメーター、パーキングチケットの需要が低下し、設置状況は年々減少傾向にあります。

静岡県内においても、1987年に静岡市、浜松市、沼津市にパーキングチケットが整備されていましたが、先に述べたような需要の低下が見られていました。2009年の静岡県事業仕分けでパーキングチケットは不要との評価を受け、静岡市に設置してあったパーキングチケットは、2020年3月末をもって廃止されました。

a210110kameya廃止前のパーキングチケット・路上駐車場 Photo by Koji KAMEYA

静岡市の路上駐車スペースを市民の憩いの場へ

静岡市のまちなかは、呉服町名店街、七間町名店街、紺屋町名店街が連なって位置しています。今回の社会実験では、呉服町名店街、七間町名店街内のパーキングチケットが廃止されたことによってできた空きスペースに、パークレットを設置し、憩いの場を創出していました。

当商店街は、一直線に長く伸びており路上で休憩する場所が少なく、通りに面するカフェは休日の昼過ぎには、ほぼ満席になっていることが多くみられています。

パークレットができたことにより、テイクアウトして気持ちよく午後を過ごすことができます。これ以外にも、ちょっとした休憩、待ち合わせ、パソコンを開いたり、少しの間談笑したりと、昼夜問わず多様な過ごし方が見ることができました。

こうしてみると商店街の中にいかにふと座って、休憩する場がなかったことがわかります。

aIMG_20201101休日の昼間に買い物の途中でふと座って、休憩する方々 Photo by Koji KAMEYA


aDSC07452夜になっても談笑、待ち合わせの場となるパークレット Photo by Takuma OBARA

「ハニカムスクエア」は、正六角形(ハニカム)と四角形(スクエア)を組み合わせ、座り方や集い方を押しつけない自由な使い方できる空間をコンセプトにしています。

六角形の台座は、グループ単位で座れるようになっており、台座同士の感覚は過密になりすぎず、ゆったり座れるような絶妙な距離感を保てるデザインとなっていました。

また、設置しているパークレットは、既存の樹木帯やストリートファニチャーと溶け込むようなデザインとなっていました。

このように、様々な工夫を駆使しながら、利用者にとって座りやすい空間をつくっていました。

aDSC07465大きめの台座は他と絶妙な距離感を確保したデザイン Photo by Takuma OBARA aDSC07461既存のストリートファニチャーと溶け込むように工夫されたデザイン Photo by Takuma OBARA

静岡市内でパークレット設置実現の2つの鍵

現地の様子や道路管理者へのヒアリングを通じて、静岡市内でパークレットの設置実現の2つの鍵があると感じました。

1.道路部局主導の「課題解決型」の取り組み

静岡市は、ウォーカブル推進都市として認定され、居心地がよく歩きたくなるまちに向けて舵を切ろうとしています。

ウォーカブルに向けたまちづくりについては、都市部局で検討していますが、社会実験の主導は道路部局となっています。

亀谷さん(静岡市役所)は、

「商店街では、元々休憩できる場が少ないという声を多く聞いており、パーキングチケット廃止に伴いできるスペースを活用して、課題解決につなげたかった。」

と話していました。

国の政策として、ウォーカブルが打ち出される前から道路管理者として課題を感じており、現場からのボトムアップによる課題解決につなげた取り組みをしたいという動きから今回の社会実験が生まれています。

2.コロナ禍によるソト需要の高まり

新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、経済に大きな打撃を受けました。特に商店街においては、度重なる自粛や三密の回避などが呼びかけられ、来訪者が激減しています。現在、静岡のまちなかにある各店舗では、感染症対策を徹底しているものの、消費者は屋内での飲食や買い物に自粛する傾向にあります。

これに伴い、公園などのソト空間で過ごす人が増え、2020年6月にはコロナ禍の経済対策として道路占用許可の緊急措置が出されるなど、ソトに対して社会的な需要が高くなってきています。

亀谷さん(静岡市役所)によると、県内で初の取り組みとなるパークレットによる社会実験であり、県内事例がない中で庁内協議、地元協議、警察協議が難航するかと思われましたが、コロナ禍におけるソトに対する需要の高まりにより、スムーズに協議が進んだと言います。

ソト空間の需要が高まりにより、制度的な緩和だけでなく、専門外の方にとってもポストコロナ社会において、ソトの魅力が伝わりつつあると感じました。

今の時代だからこそできる、道路部局にしかできないアクションを!

ニューノーマルに対応した生活・まちづくりが求められている中で、静岡市のように課題を肌で感じながら少しずつアクションを重ねていくことが重要と感じました。特に道路部局は、日頃の業務で関係各所との関わりが強く、道路空間内の活用などを進めることに慣れていることからこそ、柔軟なアクションが生まれたと思います。

パークレットはソトの居場所をつくる一つの手段です。道路部局のような実施部隊が主体となりながら、地域の課題にあった手法を選択し、成功と失敗を重ねながら、それぞれの地域特性に応じた新しい場づくりを試してはいかがでしょうか?

Cover Photo by 静岡市役所

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