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レポート
神戸のまち歩きがもっと楽しくなる戦術?! 日本初の車道に展開した「KOBEパークレット」現地レポート
神戸市、三宮中央通りで行われているパブリック・パークレット(Public Parklet)、「KOBEパークレット」の社会実験に行ってきました。今回は現場の状況について、自身の専門である建築意匠の視点、また神戸出身のため、神戸における可能性について、レポートを行っていきたいと思います。
三宮中央通りに歩行者の居場所が現れた!
設置場所は、三宮駅と元町駅の間を海側で結ぶ三宮中央通り。
三宮センター街と旧居留地の間で、今までは歩行者からスポットがあてられることが少なかった、三宮中央通りに歩行者の居場所が現れました。3ヶ所の歩道、停車帯の一部で行われ、2ヶ所がほぼ向かい合わせに、1ヶ所が1ブロック先に、合計3ヶ所設置されていました。
3ヶ所全ての基本構成は、スロープの付いたウッドデッキ、ベンチ・テーブル、囲い、植栽を使用していました。ベンチ・テーブルのレイアウトが場所により異なり、1ヶ所では人工芝が設置されていました。
パラソルは、私が滞在した時には設置されていませんでしたが、設置場所は確保されていました。
「KOBEパークレット」社会実験の実施概要についてはこちらの記事をご覧下さい。
日本初!車道の停車帯を利用したパークレット!
「KOBEパークレット」では、日本で初めて車道の停車帯をパークレットとして使用しています。パークレットの設置可能場所は、歩道利用の場合は幅員が十分にある歩道に限られてしまいます。
このように車道を活用することで、より多くの道路でパークレットの検討が可能になり、日本版パークレットの普及に向けた、大きな一歩といえます。
安全面と意匠面の共存に向けての課題
歩道からの見え方からの写真からも分かるように、歩道に対しては、視線の妨げはなく、オープンなデザインがとられています。
一方、道路側には、ガードパイプを可動式基礎とした、マッシブな囲いが設置されています。車道を利用した初めての試みであり、安全対策が重視されての結果のであると考えられるのですが、視線の抜けが無い壁の囲いの利用は、道路や反対側の歩道からの視認ができない課題があります。
また、手前にある店舗のショップフロントを消しているという課題が確認されました。三宮中央通りの1階には、カフェや洋菓子店、雑貨店など小さな個性的な店舗が並んでいるのですが、その景色がパークレットの囲いによって見えなくなってしまっています。
また、歩道側では逆に少し開きすぎている印象があり、ベンチがセットバックされているレイアウトではパークレット内を通過する人も確認されました。
デザインを活かしたパークレットについてはアデレードのパークレットを紹介した記事をご参考下さい。
パークレット、ソトの利用における神戸の可能性
ここからは神戸出身の筆者が考える神戸におけるパークレット、ソトの利用の可能性について3つ紹介します。
①オープンカフェに馴染みがある
カフェが多く、UCC上島珈琲の本社があるなど、カフェの文化が根付いているといえる神戸ですが、私有地を利用したオープンカフェも多くあります。
特に大丸神戸店のオープンカフェは、神戸のアイコンの1つともいえる場所であり、神戸っ子なら誰もが知っており、オープンカフェに対しても馴染みがあるといえます。国外事例の様に飲食店が管理するオープンカフェとしてのパークレットの利用も期待できるのではないでしょうか。
②神戸の街を楽しむには歩くのが一番!
三宮駅から元町駅まで歩くのは当たり前、なんなら神戸駅まで歩いてしまう神戸っ子。栄町、旧居留地、トアウエスト、高架下など個性的な店舗が並ぶショッピングエリアも歩くのに適度な距離で分布し、中華街の食べ歩きなど、街を歩く事に慣れているだけに、道路での滞在場所の確保は好意的に受け入れられるのではないでしょうか。
③まちが好き!ソトが好き!
神戸の人は、神戸が大好きです。山があって海があって、まち歩きが楽しいそんなまちのことを誇りに思っています。室内ではなく、まちの中に滞在することが喜ばれるのではないでしょうか。
今回は設置後、2週間を経った平日に夕方に行きましたが、個人が休憩する姿が目立ちました。
2017年3月まで開催予定なので今後の利用方法の変化、しつらえの変化などの確認も含めて再訪したいと思います。
Photo by Mio Suzuki