ストリート|道路空間
レポート
車道上を転用し人のための空間をつくり出す!パークレットとは何か?
近年、まちなかに人のための空間を作っていこうという動きの中で、海外で実施されている「パークレット(Parklet)」という取り組みが注目を集めています。
パークレットとは、車道の一部を転用して人のための空間を生み出す取り組みで、日本でも実現に向け様々な取り組みが行われる中、先日神戸で初めてのパークレットが設置されました。
学生である著者も、パークレットに注目して研究を行っています。今回はパークレットについて紹介します。
パークレットとは…? 車のためのスペースを人のためのスペースへ!
パークレットは、歩道とフラットにつながるプラットホーム部分を土台とし、車道との間の柵、机・椅子などのアメニティの他、花が植えられたプランターや駐輪スペースなどで構成された駐車スペース数台分の小さな空間です。アスファルトの路上駐車スペースを、人が溜まったり、休憩したり、飲食できるような魅力的な空間へと変貌させます。
パークレットは仮設構造物であり、下水や排水に問題があった際や、通り全体でのリデザインを行う際などは、すぐに取り外せるようになっています。また、車道の一部分だけを転用するため、街区内の駐車スペースを確保しながら、人のための空間を作り出すことができ、ホストと周囲の同意があれば簡単に設置できるのも大きな特徴です。
パークレットによって広がる道路上のアクティビティ、より魅力的なストリートへ
パークレット発祥の地、サンフランシスコでは現在60ものパークレットが設置されており、それぞれホストや立地に合わせた独特のデザインでたくさんの人に親しまれています。
大きさも様々で、駐車スペースを1つのコンパクトなものから、駐車スペース3〜4つを使ったグループで使える大きさのもの、街区全体にパークレットを設置する大きなものもあります。
パークレット上には、机・椅子やプランター、パラソルなどのアメニティが設置されているため、目の前のお店で買ったサンドイッチを食べる人、コーヒーを飲んでのんびりする人、ちょっと立ち止まっておしゃべりする人など、たくさんの人が思い思いにパークレットを利用しています。
お店を利用していない人でも誰でも使っていいのもパークレットの大きな特徴であり、ストリートに様々なアクティビティをもたらしています。
パークレットを実現する仕組みとは?
では、パークレットを実施している都市では、どのようにパークレットを設置しているのでしょうか?
サンフランシスコを始め、パークレットプログラムを持つ都市では、Parklet Manualというガイドラインが発行されており、制度や技術基準、費用など詳細な情報が提供されています。具体的には、パークレットの申請から許可発行・設置までの流れや、維持管理などホストとしての役割、申請にかかる費用や、壁の高さなど誰でも使いやすいようにするための具体的な技術基準など、パークレットを設置するために必要な情報が記載されています。
具体的にサンフランシスコでは、店舗や土地のオーナーなどがホストとして、目の前の車道部分にパークレットを置くための申請を行い、市の関与機関・デザイナーと連携して協議し、許可の発行が行われるという流れになっています。マニュアルには、屋根は80インチ以上、車道との間の塀は36インチから42インチ程度などの詳細な基準が記載されています。申請を行ったホストは、建設・設置費、申請費の負担や、パークレットの掃除、机・椅子などアメニティの設置・片付け等の維持管理を担っています。市の関与機関の役割分担についてもマニュアル内に明記されており、市と地元のホストがそれぞれの役割を担ってパークレットの設置を実現しているのですね。
技術基準の細かさやパークレットのモデルの有無など、都市ごとにプログラムの詳細部分は異なり、各都市の状況に合わせ柔軟にパークレットを設置しています。
日本でも注目を集め、設置の需要が高まっているパークレット。パークレットのような人のためのスペースや魅力的なストリートがうまれていくのが楽しみですね!
Photo by Mari Watanabe