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ストリート|道路空間

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集結!”ほこみち”相談会が開催 / 全国から100を超える自治体が参加

現在、新たな道路空間活用の可能性を秘めた制度として、全国から熱い注目を浴びている歩行者利便増進道路(ほこみち)。ソトノバでも、数回にわたって本制度の魅力や事例にフォーカスしてきました。

・2020-2-4【速報考察】道路法改正により歩行者中心の道路空間:「歩行者利便増進道路」創設へ

・2021-2-12 速報!歩行者利便増進道路1号指定|大阪・御堂筋/神戸・三宮中央通り/姫路・大手前通り

・2021-6-3 歩行者利便増進道路とストリートプレイスの可能性PWJ2021 #16 前編

国土交通省道路局主催で、2021年5月11日〜6月4日にかけて各地方(北海道東北、北陸中部、関東、近畿、中四国、九州沖縄)ごとに全6回おこなれた「ほこみちweb相談会」。計100を超える自治体が参加し、コロナ占用特例からほこみちに移行する上での課題や、解決策などが議論されました。

全6回の相談会に参加した筆者が、相談会の様子を紹介し、ほこみち活用への課題や工夫に迫ります!

(ソトノバ・スタジオ|ソトノバ・ライタークラスの卒業課題記事です。)


制度紹介 コロナ占用特例とほこみちとの違いは?!

はじめに、国土交通省道路局坂ノ上有紀さんより、ほこみち制度の紹介が行なわれました。
これまで制度と比較し、無余地性の基準が緩和され、占用がより柔軟に認められることとなりました。

ほこみち制度創設ほこみち制度の概要

占用期間が最長20年になる点は大きな特徴ですね!
占用期間が20年あれば、初期投資の大きなカフェテラスなどの出店ハードルが下がるとのこと。

また、多くの参加自治体が現在、コロナ占用特例を活用しており、今後のほこみちへの移行を検討している状況でした。そのため、コロナ占用特例とほこみちの比較スライドには、特に熱い視線が寄せられました。

ほこみち制度への移行コロナ占用特例とほこみち制度の占用特例の違い

占用期間に大きな違いが、、、!コロナ占用特例の期限は2022年3月となっていますので、早めの移行準備が重要ですね。

道路局・坂ノ上さんは、それぞれの制度の目的にも触れつつ、このように話されていました。

そもそもコロナ占用特例は、新型コロナウイルス感染症によって影響を受ける飲食店等を支援することを目的とする制度です。この特例により、オープンテラス等の道路空間の活用が進み、三密対策を考慮した飲食スペースを展開することができるようになりました。
そして、これはほこみち制度が目的とする歩行者中心の道路空間の構築にも寄与するものです。コロナ占用特例の取組を継続的に実施するため、各自治体は積極的にほこみち制度への移行を検討いただければと思います。

コロナ占用特例は個別店舗の支援も大きな目的でしたが、ほこみちではみち全体の賑わいへの寄与が求められる要素の1つとなりそうです。

ほこみち先行自治体の事例紹介 トップランナーによる貴重な体験談!

次に行なわれたのが、ほこみち先行自治体担当者による事例紹介。質問時間には、実際の手続き上の問題など、多くの議論が行なわれました。
開催後のアンケートにおいても、先行自治体の事例が知れてよかったといった声が多数ありました。

こちらは神戸市の事例資料です。ほこみちの効果として、若手のまちづくりメンバーの増加が挙げられている点が印象的でした。

神戸市①神戸市の事例1 神戸市②神戸市の事例2

他にも先行自治体から、課題と対策として、下記のような発表も行なわれました。

・課題:協議会以外からの事業者による利便増進施設の占用申請への対応
→対策:協議会からの利便増進計画に基づく占有についてのみ許可

・問題:警察協議により、占有主体は団体のみに限定
→対策:占有主体となった団体が占有手続きの他、快適空間形成に向けて検討

・問題:道路中心部の常時占用は、火災時等の消火活動の妨げになる可能性
→対策:有事に移動できることで設置可能(消防協議済)

全体の感想として、ほこみち指定までには少なからず課題はあるものの、賑わい創出の他にもまちづくりメンバーの増加や清掃活動の活発化などの効果も見られていることから、ほこみちをきっかけに周辺のまちづくりに好循環が生まれている!と感じました。

グループディスカッションと発表 各自治体の課題や工夫を議論!

各グループにメンターとして配置された、道路局担当者の司会進行のもと、1グループ10人程度でディスカッションが行なわれ、その後各グループによる発表がありました。

下記のように、様々な相談や議論が行なわれました。

〇コロナ占用特例終了後は、ほこみちに移行しなければ道路の使用は難しいのか。(自治体)
⇒状況次第ではあるが、コロナ占用特例は2022年3月に終了予定である。それ以降も続けたい場合は、ほこみち制度や他の道路占用特例制度、イベント時だけ実施する場合はイベント通達に基づいて、継続してほしい。(道路局)

※イベント通達:道路局HP https://www.mlit.go.jp/road/senyo/pdf/170317event.pdf

〇歩道が無い道路はほこみちに移行できないのか。(自治体)
⇒歩道が狭い・ない道路においても、交通規制により歩行空間が確保されることを前提として、ほこみち指定を行った事例がある。(道路局)

〇ほこみち移行時のバリアフリーについて、基準を満たすことが難しい。(自治体)
⇒地方道のバリアフリー基準は条例で定められているため、各地方自治体の考え方を参照されたい。なお、国のバリアフリー基準では経過措置として、やむを得ない場合においては、歩道の代わりに、自動車を減速させて歩行者又は自転車の安全な通行を確保するための道路の部分を設けることが認められている。

〇メインストリートの様な道路ではなく、1店舗のみや、歩道のない狭い道路等も「ほこみち」と認めてよいものか。(自治体)
⇒ほこみちは必ずしも大規模なものである必要はない。メインストリートだけでなく、商店街や小さな通りで行う”小さなほこみち”があってもいいと考えており、国交省としても”小さなほこみち”を応援していきたいと考えている。

その他類似の問題に直面している自治体も多くありました。その中でも、警察協議については、多くの自治体が課題と認識していました。
上記も含めた様々な調整のためには、社会実験の積み重ねやコミュニケーションの蓄積も重要ということも再認識されました。

道路局HP(https://www.mlit.go.jp/road/hokomichi/)にて、警察庁の通達も公開されていますので要チェックですね。

まとめ

相談会参加自治体からは、「知れてよかったこと、今後に生かせそうな知見など」として、下記のような声がありました。

・コロナ占用特例で交通規制をかけることができた自治体があったこと
・占用の時間的な制約をかけるなど、柔軟な運用が検討可能であること
・歩道のない道路や歩道の狭い道路での実施についても可能性があることがわかり,地元商店街のやる気を実現できるかもしれないと感じた

全体を通して、各自治体は類似の問題を抱えているという印象を受けました。ほこみち成功のカギは自治体間の情報共有にあり!?

また、ほこみちプロジェクト事務局を主体に、ほこみち研究会FacebookとHPが立ち上がったようです!ここでは、今後ほこみち事例の情報発信も行なわれるようなので、今後要チェックですね。

ほこみちフェイスブックhttps://www.facebook.com/%E3%81%BB%E3%81%93%E3%81%BF%E3%81%A1%E7%A0%94%E7%A9%B6%E4%BC%9A-105954454975560/

ほこみち研究会HP https://hokomichi.jp/

参考サイト
国土交通省HP ほこみち・よろず窓口:https://www.mlit.go.jp/road/hokomichi/

ソトノバでは引き続き、全国のほこみち事例をウォッチし、ほこみち普及に向けた情報発信をしていきます。

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