レポート

Reports

レポート

Park-PFI制度や中間支援組織の今から探る!公園におけるプレイスメイキングの可能性!PWJ2021 #9

近年、公園が様々な主体に運営管理され、新しい局面に移り始めています。指定管理者制度やPark-PFI制度等が柔軟に活用され、新たなプレーヤーが続々と登場しています。

本セッションでは行政、NPO、企業の異なる3者に、大学教員のコーディネーターを交え、産学官民の4視点から公園を舞台としたPlacemakingの考え方や取り組み方の展開の可能性について議論を広げていきます。

本記事では、セッション9 【パーク×プレイスメイキング「公園の指定管理やPark-PFIを支えるプレイスメキングの可能性」】を紹介します。当日の様子は、Twitterテキスト中継からもご確認できます。

*Placemaking Week JAPAN 2021の情報は、こちらからご覧ください。


町田市のパークマネジメントを紹介|戸田勝さん

1人目のプレゼンターは、戸田勝さん(町田市役所政策経営部企画政策課担当課長)。町田市内にある3ヶ所の公園施設を紹介しました。

南町田グランベリーパーク

南町田拠点創出まちづくりプロジェクトの一環で、4施設(駅、商業施設、パークライフ・サイト、公園)を再整備して、それら全てを「街」として捉え、「南町田グランベリーパーク」として生まれ変わらせる東急株式会社との官民連携プロジェクト。「みなみまちだをみんなのまちへ」をスローガンに、市民と共に公園の魅力を探しつくり上げていきました。

2017年に「鶴間公園のがっこう」、2018年には「南町田まちのがっこう」と新しい南町田を考えるまちづくりワークショップを開催。3年に渡るワークショップやイベントを積み重ね、市民の手によるイベント「南町田グランベリーパークのまちのがっこう祭」によりグランベリーパークのまちびらきを行いました。

町田薬師池公園四季彩の杜西園

東京都の指定名所である薬師池を中心に、日常生活から使い込まれるような空間を目指している薬師池公園四季彩の杜。その玄関口としてオープンした西園。「集う」「ただ居る」事ができる建物(カフェ、貸しルーム、ライブラリー)と、ランドスケープ空間を整備したこと等が評価され、GOOD DESIGN AWARD 2020を受賞しています。

芹ヶ谷公園芸術の杜(現在進行中)

多摩都市モノレールの延伸事業を始めとする様々な事業におけるリーディングプロジェクトとして現在進行中の公園再整備事業。デザインブックでは、公園の現況や価値、再整備計画について丁寧に説明されています。

#9-1パークミュージアムのイメージビジュアル

ひらかれたプロセスと持続可能な運営の実現

みんなでつくり上げるプロセス、すなわち、公園の将来やまちにおけるあり方を自分ゴトとして捉え、一緒に考え、共に創造する仲間を増やしていくことが重要だ

といいます。パークミュージアムの実現にむけて、公園活用の取り組みをおこなっていくための市民参加型プラットフォーム「Made in Serigaya(メイドイン芹ヶ谷)」では、市民とともに「コミュニティ形成と公園活用アイデアの抽出」や「公園活用実証実験やイベントの企画実施」といった活動を行っています。

#9-2市民との共創で作り上げる公園

高まる公園への期待

戸田さんは公園づくりに携わる中で、

日常的な生活空間や発表のとしての公園に対する思いが高まってきていると感じる。

そこに行くと何かやっている、自由にやりたいことができるワクワクするような場所としての公園が求められている。

と感じているそうです。

コロナがもたらした影響により、気分転換やリモートワーク、自由な場として様々な角度から公園への期待度がとても高まっている今は、新しい公園ライフを生み出せるチャンスの時です。

#9-3戸田さんが感じる公園の可能性

「公園が変わるとまちが変わる!」|佐藤留美さん

続いて2人目のプレゼンターは、佐藤留美さん(NPO法人birth事務局長)。NPO birthは市民の預かり知らぬ所で進むまちづくりではなく、「ヒトの言葉も、イキモノの言葉(イキモノの代弁者として)を活かすまちづくり」を行っています。

社会コミュニティの醸成によるスパイラルアップ

自然、ひと、まちが元気になるような「Livable&Sustainable City」を目指すために重要になのが、SDGsウェデイングケーキモデル

SDGz実現の鍵は社会コミュニティの醸成であり、それにより地域経済やコミュニティが活性化して行く様子を目の当たりにしているそうです。

#9-4SDGsウェディングケーキモデル

武蔵国分寺公園のコーディネート

東京都パークマネジメントプランでは足りない部分を、公園の特性や地域の特性を分析し、管理をしながら利用状況をチェックし、公園のテーマを決めています。

市民や隣接する企業、プレイパーク団体等の主体間連携の要となることで市民のあったらいいなを実現しています。

#9-5中間支援組織におけるパークコーディネーターの役割

公園の利用者は、10年間で2倍超に。年間のボランティア参加数も2000人超。

子育て世代の公園利用が激増し、公園活用の波及効果で周辺にお店が増えたり、学校も定員いっぱいになっています。

また、NPO birthが指定管理を行うその他の都立公園も高い管理運営評価を受けているそうです。

公園づくりにおいて中間支援組織が果たす役割

中間支援組織の役割は、地域の価値を掘り起こし、つなぐことです。

まちのリソースが集まり、インタラクティブな関係性から発生するものをまちに還元し、更なるタネを蒔いていきます。

#9-6公園の運営管理における中間支援組織が担う役割

Park-PFI制度活用による公園づくり|中里健志さん

3人目のプレゼンターは、中里健志さん(三菱不動産株式会社 商業施設本部 アーバン事業部 事業推進グループ)。Park-PFI制度を活用したHisaya-odori Park(久屋大通公園)のPark-PFI事業を担当されています。

パークおじさんの存在

三井不動産株式会社より公園管理案内業務を請け負い発足した「Hisaya-odori Park DESIGN CENTER」。公園の居心地のよさや楽しさのための活動をデザイン、運営したり、賑わいのために情報発信をしていく窓口として機能しています。

デザインセンタースタッフである(自称)パークおじさんが、市民とコミュニケーションをとりながら新たなニーズを探ります。

#9-7テントの中には市民の意見を汲み取るパークおじさんがいる

パーク内に散りばめられたワクワクする仕掛け

おもしろサインやアートベンチ、演出照明を公園内に設置。ちょっとしたワクワクを公園中に仕掛け、新たな魅力に気づくきっかけを生み出しています。

Twitterや公式HPの立ち上げ、市民に向けた情報発信も欠かせません。

#9-8パーク内のウキウキするサイン

ショップと共にする公園づくり

RAYARD Hisaya-odori Park」の各ショップは商業施設の1店舗として入居するだけでなく、ワークショップやヨガ教室、備品の貸し出しなどを通して来園者とコミュニケーションし、公園の賑わいを一緒に創出しています。

#9-9ショップが仕掛ける個性的な賑わいづくり

Park-PFI制度の活用によってできること

中里さんは、

Park-PFI事業により示唆されたことを共有し、今後は事例を収集し、更なる対応やルールづくりが必要になってくる

といいます。

#9-10Park-PFI・指定者管理制度の活用によってできること

ディスカッション

プレゼンターの3者にコーディネーターの山崎嵩拓さん(東京大学大学院 工学系研究科 都市工学専攻 特任助教)、泉山塁威さん(日本大学理工学部建築学科助教/一般社団法人ソトノバ共同代表理事/Placemaking Japan)を加え、ディスカッションを行いました。

仲間を巻き込んでいくために

3方のプレゼンから「市民やショップといった仲間を巻き込む」ことが共通項として挙げられたことを踏まえ、山崎さんから投げかけです。

仲間集めとしての巻き込みを実施していく中で、それぞれの立場での強みと課題をどのように考えているか?

戸田さんは、

途中を共有してくださる人が増えれば増えるほど、できた後も使われ続けるという思いがある。町田は商業のまちではあるが、商業空間をちょっと歩いたところに素晴らしい自然があり、そこを含めたまちの魅力を上げるまちづくりであるとすれば、外から来る方にも公園の仲間になって欲しいし、色んな側面の巻き込み方がある。

と話します。

広く巻き込めば巻き込むほどアイデアも増え、選択肢が豊富になります。しかし、アイデア全部を実現できるわけではなく、誰が実行するのかも課題になります。

そのため、

みんなの思いをもう一度整理して繋ぎ合わせ、コミュニティを作り上げていくことを、この公園にとっての答えはなんだろうっていうのを日々悩みながらやっている。

と、戸田さんは話しました。

続いて、佐藤さんは、

昔は里山的なところがみんなの共有地で共有財産だったけれど、今は都市の中の公園やオープンスペースがみんなの共有財産。みんなのものをどうやって使うかが、まさに今の課題だと思う。

入れ合いの場は自然をベースに暮らし価値観や文化を大切にしていた。そういった価値観をどうやって作っていくのか、公園を使うためにどういう規則が必要なのか。時代とともに変化する価値観や規則に伴走して、オーガナイズできる専門家の存在が必要。

中間支援には、市民のやりたいことを掬い取る丁寧なコミュニケーションや気楽に相談できるようなクッション的な役割も求められる。

と述べました。

中里さんのプレゼンにおいても、パークおじさんの存在が話にあがったように、指定管理や中間支援を行っていく上で、市民が相談しやすいスタッフの存在がとても重要であることが分かります。

中里さんは企業としての立場から、

巻き込むというよりも参画させてもらっているというスタンスが主軸にある。

①どんな街なのか、どんなプレーヤがいて何を大切にしているかを理解すること。

②市民や行政、民間等それぞれの立場を理解すること。

③ひたすら地元市民や行政に足を運んで話を聞くこと。

が大切であると感じている。

と話しました。

ステークホルダー(仲間)への理解については、セッション13 「PLACE GAMEガイド」公開! パブリックスペース診断ツールの使い方解説の中でも、Place Gameを行うための基本的なステップとして重要であると述べられていました。

プレゼンや市民を巻き込むことについての議論を踏まえ、泉山さんは、

巻き込むというキーワードで見た時、都心にある名古屋の公園、郊外にある町田の公園など、公園に関わる市民の質もそれぞれで違うと思った。主体的な市民参加はプレイスメイキングにおいても大事。

といいます。

セッション7 Global Leader’s Talk「実例で解説!プレイスメイキングへの関わり方と進め方」by Project for Public Spacesでも説明されていますが、市民を巻き込むというプロセスはプレイスメイキングを実施する上でも重要なポイントとなります。

さらに、泉山さんは、

どう作るか、どう使っていくかの両フェイズがようやく議論され始めた。

作っていくプロセスにおける市民の巻き込み方が、運営時のプログラムやコミュニケーションに効いてくる。Park-PFIや民間公募の場合、その市民を巻き込むプロセスがおざなりになりがち。そこのコミュニケーションを、まだまだ事例を増やしていく必要があると感じた。

と、市民を巻き込むことが、整備前だけでなく運営管理を続けていく際にもポイントになると指摘しました。

バトンは渡すのではなく、増やしていくもの

泉山さんの発言を受けて、さらに議論は、整備前の巻き込むというフェイズから整備後どう使い続けるかの運営管理に関するフェイズへと移ります。

変化する時代や世の中に対する対応策について、山崎さんから佐藤さんに質問です。

できるまでとできた後のステークホルダーとの関わり方や変化について、考えを伺いたい。

佐藤さんは、

都立公園には仕様書がなく提案型で、「環境変化に公園の事業をどう変えるか」というユニーク設問がある。世の中が変化する中でも、「あったらいいな」をばっさりやめるのではなく、更新し続けるために常に対話を続けてきた。

水道屋が水道を直すように、人間関係やステークホルダー間の修復できる専門的なノウハウが必要。一緒に学び合い、ブラッシュアップしていける場があるといいなとも思う。

と話しました。

議論の前半でも話していたように、公園や緑地のマネジメントはもちろんんですが、やはり人と人の関係性もマネジメントできる能力が求められているようです。

続いて、仕様を作成する行政の立場にある戸田さんに向けて、山崎さんから

継続的にコラボレーションするためには、作るためだけでなく運営するための仕様も必要になる。

仕様と運営の2点についてコメントいただきたい。

戸田さんは、

南町田は、まちづくりという大きな協定を結んだ中での公園づくりだったため、早い段階で東急とコミュニケーションをとり、市民を巻き込むスタートアップから共に取り組むことができた。

仕様を決める前に、どれだけ指定管理者や運営者とコミュニケーションを取れるか。行政が考えているまちの将来像をパートナーに知ってもらうための共有が大事。

仕様を簡単な一文で済ますのではなく、さらにパートナーだけでなく市民に対しても、これまで作り上げてきたものを新しい体制で一緒になって作り上げていきたいという”ハート”を共有することに尽力している。

と述べました。

仕様ではなく”ハート”というキラーワードが登場。まちづくりは淡々とハードを造りあげるものではなく、人と人が繋がりあって作りあげているんだということを改めて実感しました。

最後に、山崎さんから仕様を受け取る立場にある中里さんに向けて、

バトンを渡すではなく、バトンを増やしていった結果として良い公園や人と自然の繋がりが生まれていくところに価値があると感じた。

仕様(バトン)を受け取った側の企業として、仕様を受け取った後にもう一度コラボレーションができたのはなぜか?

中里さんは、

名古屋市は常に一緒にいた。それは開業後も変わらず、作成した仕様が本当に正しいのか、日々新しいルール作りを行っている。三井不動産が築き上げてきたノウハウからも提案を行い共創している。

と話しました。

バトンを渡して終わりにするのではなく、バトンを増やしながらそれぞれが持つノウハウを活かしながら作り上げていく、まさに共創する、伴走するといったことが良い公園づくりや継続的なマネジメントに繋がっていきます。

公園とプレイスメイキングの可能性

今回のセッションはとても話題豊富で、公園におけるプレイスメイキングのについて深堀とまではいきませんでした(#9 part2の開催を期待しましょう)が、他セッションで挙がったプレイスメイキングの重要な要素と被るポイントがいくつかありました。

スピード感も重要視するプレイスメイキング、今後起きる世の変化や社会課題の解決策としても活用・併用の可能性が感じられます。

今後、プレイスメイキング、公園・緑地、エリアマネジメントなどまちづくりを支えている分野がどのように重なり合うのか、展開が楽しみですね!

グラフィックレコーディング:古谷栞

テキスト by 山田将生(Placemaking Japanインターン)

Twitter

Facebook

note

5+