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Project for Public Spacesから学ぶホンモノのプレイスメイキング・実践編!PWJ2021 #7

Placemaking Week JAPAN 2021では、セッション7 Global Leader’s Talk「実例で解説!プレイスメイキングへの関わり方と進め方」by Project for Public Spaces において、Project for Public Spaces (PPS)よりPriti Patelさんをお招きしました。

本記事では、Global Leader’s Talk「実例で解説!プレイスメイキングへの関わり方と進め方」by Project for Public Spaces のイベントレポートを紹介します。

当日の様子は、Twitterテキスト中継はこちらからご確認できます。
*Placemaking Week JAPAN 2021の情報は、こちらからご覧ください。


プレイスメイキングのポイントをおさらい!

Placemaking Week JAPAN 2021ではこれまで、プレイスメイキングの事例やそのプレイスビジョンについて話してきました。このプログラムは、実際にプレイスメイキングに関わるプレイスメイカーを対象として、より踏み込んだポイントについて学びました。(プレイスメイキングの目的や手順などについてより知りたいという方は、こちらのレポートを参照ください。)

いいプレイスに欠かせない4項目をさらに細分化し、場所と人のつながりを強化するためになにができるか考えていきます。

PritiさんはまずはじめにProject for Public Spaces (PPS) の定義を用いながら、

「プレイスメイキングとは、コラボレーションによってビジョンを定め、プログラミング、デザイン、そしてスチュワードシップを通じて公共スペースを地域のためにつくりあげること(Placemaking is a collaborative visioning process that results in public spaces that serve their communities better through programming, design, and stewardship )」

であると紹介しました。地域社会にあるスペース(空間)を、そこに暮らす人にとって意味のある愛着のあるプレイス(場)にするためになにができるのかをPPSは45年以上リサーチしてきました。

なかでもプレイスメイキングで大切なことは、

「人を巻き込んでいくこと」

とPritiさんは強調しました。実際に「プレイス」の良し悪しやビジョンはその人の立場や年齢などによって異なります。そのために、誰かがこうあるべきと決めてリーダーシップを発揮するのではなく、コミュニティ全体でさまざまなツールを使い議論しながら1つのプレイスをつくりあげる必要があります。

しかし、それはコミュニティの住民だけで決めていくという意味ではありません。プレイスメイキングには、専門家や自治体も関わる必要があります。大切なのは多様な立場の人々が同じ立場で協力しながらそのプロジェクトに関わることなのです。そこで重要になってくるのは、はじめに紹介したプレイスメイキングの定義にも登場した「スチュワードシップ」です。

「スチュワードシップ」とはなにか?

「スチュワードシップ」(Stewardship)についてPritiさんは、

「パブリックスペースに対して自分が責任を持って管理に関わっていくことや、それについて考えていくこと」

であるといいます。パブリックスペースをつくりあげていく際には、アイディアを議論することや維持管理、そして全体のマネジメントなど多様な活動が必要になります。その活動に多かれ少なかれ自主的に責任感を持ちながら関わっていくことが、スチュワードシップです。

スチュワードシップという用語だけではどこか敷居の高いものであるという印象を抱くかもしれませんが、実際には真逆です。自身の暮らすコミュニティに対して、職業や忙しさ、そして得意なことを活かしてどうか関わるのかをそれぞれの人が考えて行動することが一番大切であるといいます。Pritiさんのプレゼンテーションでは、実際にワークショップに参加する子供たちや、公園の遊具づくりに関わった大学生、維持管理に関わるコミュニティグループなどさまざまな人が登場してきました。その全ての人がスチュワードシップを持って行動しており、この人数が増えていくことで特定の誰かのためのプレイスではなく「コミュニティのためのプレイス」ができていきます。

ワークショップへの参加や、ボランティアへの参加もスチュワードシップの一つです。できることから始めること、そして責任を持って継続することがポイントですね!

プレイスメイキングのプロセスへ巻き込むポイント

プレイスメイキングにおいて、巻き込みやスチュワードシップなど大切にするポイントはたくさんあります。しかし、それらのポイントをおさえてプロジェクトを実践することで、同時に問題や難しさが生じることも少なくありません。セッションの後半では、実際にプレイスメイキングに参加する方から、それらの問題への対応策やアドバイスに関する質問が寄せられました。

はじめに、日本でのプレイスメイキングでは実践していく人と、その場所を利用する人といった「ホストとお客さん」というようなバランス関係に関する質問がありました。実際にプロジェクトを進める中で、皆を巻き込みながらも、全員がフラットな立場から参加にするためにはどのようにすればいいか?という点は確かに簡単なことではありません。その質問に対し、Pritiさんは

「小さなイベントでもいいから毎日継続していくこと」

が重要であるといいます。

実際にプロジェクトを開始し、多くの人を巻き込むという目標を達成するためには大きな規模のイベントの開催が好まれるかもしれません。しかしながら、それでは「ホストとお客さん」の関係性は解消されません。その代わりに、継続して小さな催しを開くことが求められるとPritiさんはいいます。その理由は、よりコミュニティのニーズを把握しやすくなるからと、その過程で主催者自体がコミュニティになっていくからです。

プロセスのなかで発生していく課題を乗り越えるために

「より多くの人を巻き込むこと」に関する質問もありました。確かに、コミュニティを巻き込むと一口に言っても、その方法は無限にあります。と同時にここでも、アプローチしやすい層とそうでない層がうまれてまうなどの課題があります。Pritiさんは、巻き込むプロセスにおいて大切なことは「参加したい人がプロセスに参加できること」であるといいます。そのために、前述の「小さなイベントでも毎日継続していくこと」と「多様な巻き込むツールを用いること」という基本が欠かせません。

多様なツールを用いて幅広いアクティビティを提供することで、さまざまな層へのアプローチが可能になります。そうすることで、より多くの人がコミュニティへの愛着や既存意識を高めることができます。より多くの人が関わっていく過程で、1つのプレイスをつくることが難しいような印象を抱きます。Pritiさんは、

「全員がコミュニティの専門家である」

ということを強調しています。その上で、だからこそ、全員の意見をまとめてプレイスをつくっていくのを難しいと考えるのではなく、実行や評価のプロセスを繰り返すことで、対話が深まりよりよいプロジェクトに進化していくと説明されました。

最後にプレイスメイカーへのメッセージ

最後にPritiさんは、

「コロナ禍でのプレイスメイキングは、既存のメソッドだけではうまくいかなかったり参加する人が減ってしまったりとうまくいかないことが多いかもしれません。しかし、今後も継続してプレイスメイキングを盛り上げていくために、お互い情報共有をしていきましょう!」

とメッセージを伝えました。

実際に関わるプレイスメイカーにしかわからないプレイスメイキングの難しさも多くあるかもしれません。実際にその土地やコミュニティにおいて、文脈は異なるかもしれません。しかし、そのメソッドやノウハウの共有は可能です。Pritiさんのメッセージの通り、よりプレイスメイキングを盛り上げていくためにプレイスメイカー同士の交流も積極的におこなっていきたいですね。

イベントへご参加された皆様、ありがとうございました!

ラストイベントの最後に恒例の写真撮影。Pritiさん、ありがとうございました!

*Placemaking Week JAPAN 2021の情報は、こちらからご覧ください。

グラフィックレコーディング:古谷栞

テキスト by 土橋美燈里(The University of Sheffield MSc Urban and Regional Planning)

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