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ソトノバ・アワード2021結果発表!4プロジェクトが受賞!

先日、今回で5度目となるソトノバ・アワード2021が開催されました。
今年は、3部門に7プロジェクトの応募がありました。
3月20日に実施されたオンライン公開最終審査会を経て、4プロジェクトが入賞しました。受賞された方々、おめでとうございます!
昨年に引き続き、オンライン開催でしたが、各プロジェクトで熱意が伝わるプレゼンテーションがありました。
ソトノバ・アワード2021のオンライン公開審査会の詳しいレポートは、後日、ソトノバ記事として発信を予定しています。
また、当日の模様はソトノバYouTubeで確認できます。

ソトノバ・アワード2021結果発表

ソトノバ・アワード2021では、「ソトを居場所に、イイバショに!」を実現する屋外空間を対象に、「共感」「独自性」「デザイン性」「アクティビティ」「持続性」の、5つの審査視点を基に審査しました。
上記の審査視点を基に、全7プロジェクトのプレゼンテーション・質疑応答を行うオンライン公開最終審査会を開催、厳正なる審査の基、受賞プロジェクトを決定しました。
オンライン公開審査会で最も優秀なプロジェクトに「ソトノバ大賞」を、審査部門ごとに優秀なプロジェクトに対して「プロジェクトデザイン部門賞」「実験のデザイン部門賞」「わたしのソトノバ部門賞」を下記のように決定しました。

ソトノバ大賞(最優秀賞)福知山 広小路テラス
プロジェクトデザイン部門賞(優秀賞)音威子府村都市圏学生交流推進事業
実験のデザイン部門賞(優秀賞)組立和室
わたしのソトノバ部門賞(優秀賞)STREET FURNITURE EXHIBITION 

ソトノバ大賞|福知山 広小路テラス

京都工芸繊維大学 広小路通りプロジェクトチーム 殿

SA1

プロジェクトデザイン部門賞|音威子府村都市圏学生交流推進事業

音威子府村役場プロジェクトチーム AULO 殿

SA2

実験のデザイン部門賞|組立和室

北海道大学 大学院工学研究院 建築デザイン学研究室 殿

SA3

わたしのソトノバ部門賞|STREET FURNITURE EXHIBITION

STREET FURNITURE EXHIBITION 殿

SA4V2

ソトノバ・アワード2021講評

音威子府村都市圏学生交流推進事業|プロジェクトデザイン部門

人口減少により担い手不足が深刻な課題となっている地方圏において、都市圏の学生の力を原動力にまちを活性化していく新たなプロトタイプとして魅力的な提案であった。急速なデジタル化によるオンラインツールの活用も相まって実現したプロジェクトであり、遠隔で地域を応援するという関係人口創出に繋がっている点も興味深かった。

学生と若手村職員という若い力をエネルギーにより生まれたこの取り組みが、まちのひとりひとりの心を動かし、音威子府村全体を盛り上げていくことを期待したい。(荒井詩穂那)

社会実験[まちのキバコ -Mobile Art Cube-]

日中の人通りが少ない通りに、テーブルやイスとして利用できる「キバコ」を設置した滞留空間を創出するプロジェクト。「キバコ」は、県産材をデジタル加工機で加工しており、それぞれのパーツは手で容易に組み立てられ、かつ持ち運びができる重量とサイズにしている丁寧なデザインだった。さらに、塗装を地元アーティストや子どもたちとワークショップ形式で行うなど、制作プロセスから地域を巻き込んでいる点に高評価が集まった。実験のデザイン部門においては、社会実験としての仮説と検証がより具体化、明確化されていれば更なる評価に繋がったように思う。(石田祐也)

福知山 広小路テラス|ソトノバ大賞

ストリートの仮設空間のデザインが意欲的な実験であった。普通の社会実験を超えた実験性はある意味・学生の研究だからこそできた部分もあるかもしれない。しかし、僕たちはパブリックスペース活用の実験が増えるにつれ、見慣れた空間や家具を各所で目にするようになってきている。その中でも本プロジェクトは、そのストリートに合わせた空間(家具)デザインを複数施し、場の可能性を引き出すことに挑戦した意欲的な実験プロジェクトであった。大きな都市で大きな予算でパブリックスペース活用をする動きも増えてきているが、小さな都市でも工夫次第でできることがあると勇気を与えるプロジェクトに賞賛が集まった。(泉山塁威)

組立和室|実験のデザイン部門賞

移動し公共空間に現れる和室の発想がこれまでありそうでなかったプロジェクト。日本人の居方として屋外の和室で寛ぐという提案は、発見的で、世代を超えて(子連れにも若者にもお年寄りにも)マッチしそうであった。この提案をみて、他の地域でも「パワーオブテン」(10の異なる居方を地域のパブリックスペースに持つ価値)の一要素として組立和室を取り込む未来が想像された。またプロでなくとも組み立てられるデザインは、公共空間の社会実験などに重宝されており、部材のスケールや接合部の考え方など実験のデザインとしてとても秀逸であった。
(西田司)

津島駅前社会実験「えきまえVIP」

第一印象として「まずはやってみる」その言葉をしっかり体現している良いプロジェクトだと感じた。街の駅前を考える大きな第一歩となっていることが、トータルの座組みや実験構成など基本を忠実に抑えた計画となっていることからも感じる事ができた。その結果として、市民が駅に対してどのような意識を持ち、要望を持っているのかなど様々なことが見える化したのも良い点だと思う。しかし、その一方で、キャラクター色をもう少し考えた計画としてほしいと感じた。それが正しいかは別として、今後の駅前がこの街らしさにどのように寄与するのか、具体性のある仕掛けが具体性のあるフィードバックを与えてくれる部分もあるので、挑戦的な部分をもう一歩踏み込み仕掛けるとさらに良い未来へとつながると思いました。(小澤亮太)

STREET FURNITURE EXHIBITION|わたしのソトノバ部門賞

「わたしのソトノバ」部門での応募として、業務ではない個人の立場で「やろうと思って動いた」軽やかな活動でありながら、とてもそうは思えないスケールと熱量に、ここまでできるのかという驚きがまずあった。地域のクリエイターらを巻き込んでいくことで、地方都市でも非常にユニークで多様なパブリックスペースの魅力を生む仕組みには、他の都市でも応用できるポテンシャルと期待感がある。仕掛け人自身がやりすぎずに多くの人と楽しみながら実現していくスタンスや、展示で終わるのではなく地域のクリエイティブ生態系をつくるねらいなど、いずれも独自性が高く素晴らしかった。(田村康一郎)

新しい働き方に対応したオフィスのつかいかた

企業の有志での活動だったが、都市計画やまちづくりに関係する会社であっても、自社周辺の空間を使って何かやるのはなかなか実践できているわけではない。そこで実際のチャレンジを始めたという点で、意義深い活動だと考えられる。そこから地域とつながり、広がりを持っていこうという想いも持ちながらということで、今後の展開を楽しみにしたい。また、プレイスメイキングの視点からの評価・検討も行っているとのことで、そういった挑戦がこれからいかに反映されてくるかも興味深い点である。(田村康一郎)

審査員総評

泉山  塁威(一般社団法人ソトノバ共同代表理事/日本大学助教)  

プロジェクトの多様さは例年通りではあるが、今回はさらに、都心の事例が少なく、地方都市や小さなまちの事例が多く、パブリックスペースが都心だけではなく、小さなまちでも挑戦できる勇気をもらえたような気がする。プロジェクト部門は雪国の小さいまちでもオンライン環境を駆使し東京の学生とつながるなどのアプローチの創意工夫があった。応募の多かった実験部門はいわゆる社会実験に捉われない多様な実験プロジェクトがあり、実験の多様さを感じ取れた。わたしのソトノバ部門は、わたしという個人の範囲の拡張については議論になったがその所属の中での個人のアクションが集まった形である。ソトノバ・アワードも2017年から始まり、今回で5回目を迎えた。振り返ってみるとその年のソトノバ(パブリックスペース)のコンディションを見るような気持ちもあり、今後のパブリックスペースの示唆の詰まった会であった。応募された皆様、受賞された皆様に感謝の意を表したい。

石田  祐也(一般社団法人ソトノバ共同代表理事/ishau代表)  

ソトノバ・アワードは、毎回過去2年間に実施されたパブリックスペースのプロジェクトを表彰している。今回応募いただいたのは全て新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから行われたもので、応募者は難しい状況の中でもパブリックスペースに価値を見出し、またそこから新たな価値を生み出そうとしていることがプレゼンテーションからも伝わってきて、とても勇気づけられた。とくに印象的だったのが、行政主導ではなく、個人的な問題意識や動機が周囲を巻き込み、都市的なアクションとして結実したプロジェクト。同じ方向を向いた人を見つけ、仲間にして、連鎖的に街を変えていく試みは、規模の大小こそあれど、どんな取り組みでも大事な視点だと認識させられた。来年も多くのプロジェクトに出会えることを楽しみにしたい。

小澤  亮太(一般社団法人ソトノバ共同代表理事/HOC代表)  

まずは、毎年、慌ただしい年度末にも拘らず、応募してくれているプロジェクトチームに感謝したい。
このアワードを始めた5年前には想像できないほど、日本各地でアワードにあるような素晴らしいプロジェクトたちが展開されています。だからこそ、今一度、一般化したプロセスではない、「そのまちにだけある、ブランドをいかに見つけようとしているのか。つくろうとしているのか」がプロジェクトの中で重要な要素の一つだと私は思っている。
それがしっかり体現されているプロジェクトが展開されるまちはそのまち独自の成長をすることで、地域間競争とは切り離された豊かなまちになると感じている。
今はまだまだ各地チャレンジの時期、今後少しづつその成果が出てくるまちに出会える事を楽しみにしている。

田村 康一郎(一般社団法人ソトノバ共同代表理事/QUOLディレクター)  

今回まず印象的だったのが、プロジェクトや活動への巻き込み方や接点のつくり方を自然に、かつ効果的に取り入れたものだ。なかなか実行するのは難しい点であるが、非常に参考になる工夫が見られた。実験的なアクションという面での気づきもあった。その場自体の長期的変化を目指すアプローチ以外にも、フォーマット化・オープンソース化して、各地でカスタマイズしながら展開することを指向する発想には、大きな可能性が感じられた。一方、長期的な定着を見据えて、デザインとしても将来のコストや手間がかからないようにするやり方などは、特にリソースの限られる地方や小規模なパブリックスペース向けのヒントとなるものだった。

荒井 詩穂那(一般社団法人ソトノバ理事/首都圏総合計画研究所)

今年のアワードは、個人や学生のエンパワメントがこれだけのアクションに結びつき、空間を変えられるのかと圧倒されると同時に、熱い想いに心動かされるプロジェクトが多かった。いずれも初動期の活動であるが、実際にやってみることで分かった効果や課題が整理されており、将来的にこれらプロジェクトが種となり、まちの景色が変わっていくのだろうなと期待が高まるものばかりであった。
また今年は例年に比べ、地方圏からのエントリーが特に多く、パブリックスペースに対する認識や課題が都市圏とは異なるということを各プロジェクトから考えさせられる機会でもあった。
毎年、全国各地での取組を共有できるアワードは、その年々の社会の動きなどにより様相を変えている。常に新たな技術や挑戦が生まれているなかで、また来年、どんなプロジェクトに出会えるか楽しみである。

西田  司(ソトノバ・パートナー/オンデザインパートナーズ代表/東京理科大学准教授)

コロナ禍を経た中で、ソトをどうデザインするか、プロジェクトをどうマネジメントするかを各地域で考え、知恵を絞り、実験を重ね、実装しているのが印象的であった。そのせいもあってか、人的リソースや予算が多い都心で、手法や実装が多いという図式ではなく、どの地域であっても、オンラインも活用し情報が交換され、地域にあわせた等身大のプロジェクトを進めている事例が多いことが印象的であった。この背景として、コロナ禍によって生活スタイルが変化し、家や仕事場以外のサードスペースとしてソトが意識される時間が増えたことで、ソトノバをどうデザインするかを自分ごと化する人が増えているのではないか。今年はその転換を感じられたアワードであった。コロナのせいで時計の針が進んだとすると、公共空間に関わる主体や手法が、来年以降どう変化していくか楽しみである。

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