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宇都宮でプレイスメイキングを語り合う!PW宇都宮2022 #1

今回は、2月17日(木)13:00〜14:30に開催された、宇都宮市中心市街地再生プロジェクト「プレイスメイキングうつのみや(プレみや)」とPlacemaking Week JAPANのオープニングコンテンツ
宇都宮でプレイスメイキングを語り合う!Placemaking Week 宇都宮 2022《Session 1》』の様子をお届けします。

Session1では、
泉山塁威さん(一般社団法人ソトノバ共同代表理事、日本大学理工学部建築学科助教、PlacemakingJapan)
田村康一郎さん(一般社団法人ソトノバ共同代表理事、クオルチーフディレクター、Placemaking Japan)
矢野拓洋さん(ソトノバ・パートナー、東京都立大学大学院博士課程、一般社団法人IFAS共同代表、Placemaking Japan)
田邉 優里子さん(オンデザイン、Placemaking Japan)
が、現在、日本で実践されている事例などを紹介しながら、『プレイスメイキング』とは何かについて、また、どのように進めていくのか、という疑問を徹底的に改装していきます。
プレイスメイキングの基礎にあたる部分から、宇都宮などの地方中心市街地でプレイスメイキングを展開するためのヒントになるようなセッションです。

世界に広がるPlacemaking

最初に泉山塁威さん(一般社団法人ソトノバ共同代表理事、日本大学理工学部建築学科助教、Placemaking Japan)から、Placemakingと世界とのつながりについて話がありました。
Placemakingのネットワークは今、アメリカからヨーロッパや南米、オーストラリア、アセアン、アジアなど、世界中へ広がっています。
また、Placemaking Weekによって、「歩行者」や「人の活動」を中心に据えたパブリックスペースをつくる議論が世界各地で行われており、プレイスメイキングの広がりは大きくなっています。
日本では2回、オンライン開催ではあったもののPlacemaking Week JAPAN 2021(vol.1, vol.2)という形で開催されました。都市生活を豊かにするための空間や場づくりの手法を学び共有したことで、まちを知るきっかけになり、まちにどのようなニーズがあるか、そのために何をするべきなのかを考えるきっかけになったといえます。

スクリーンショット (153)世界に広がるPlacemaking

『プレイスメイキングうつのみや』の取り組みについて

続けて泉山さんから、プレイスメイキングうつのみや(プレみや)の活動について話がありました。
プレイスメイキングうつのみや(プレみや)は、宇都宮市中心市街地活性化協議会、一般社団法人ソトノバ、日本大学理工学部建築学科都市計画研究室(根上・泉山ゼミ)による、宇都宮市中心市街地において、街中の資源を活用しながらプレイスメイキングにより居心地の良い空間を創出していくプロジェクトです。
2021年11月、市民や地域の方々との対話と場所のポテンシャルを調査することを目的として、街頭ワークショップ(プレイスメイキングデイズ)を開催しました。
このワークショップでは、宇都宮のお気に入りの場所や改善点などを付箋紙で集めたインスピレーションボードを用いて、宇都宮にどのようなプレイスメイキングをしていけば良いのかを市民の方に聞きました。

「宇都宮のこれからの中心市街地のビジョンというものがまとまってくると、宇都宮の中心市街地で何をしたらいいのか、何をアクションしていったら良いか整理されていく。そのためのワークショップを今始めている。」

と泉山さんは話します。
視聴者からの「なぜ、宇都宮なのか」という質問に対しては、

「プレイスメイキングを通して日常的な場所をつくっていきたいと考えた時、中心市街地活性化という政策が行われている宇都宮では、賑わいやイベントなどを通してどのようにまちを活性化できるかというのを行政が制作している。コロナ禍での中心市街地活性化のために、プレイスメイキングにおいて何ができるのか議論していくことが宇都宮でプレイスメイキングを行うことにつながった。」

と、泉山さんは話しました。
プレイスメイキングの可能性を秘めている場所として宇都宮が、今回議論をしていく場所に選ばれました。

スクリーンショット (155)宇都宮市でのインスピレーションボードを使ったワークショップ|プレイスメイキングデイズ取り組み

プレイスメイキングについて

続いて、田村康一郎さん(一般社団法人ソトノバ共同代表理事、クオルチーフディレクター、Placemaking Japan)からは、プレイスメイキングとは何かについて話がありました。

「プレイスメイキングとは、『まちに関わる人が協力しながら「プレイス」をつくるプロセス』である」

と田村さんは話します。思い入れのある「場」を創り上げていき、良い場所で様々な人が思い出をつくっていくことがプレイスメイキングをするうえで重要になります。

スクリーンショット (157)まちに関わる人が協力しながら「プレイス」をつくるプロセス

続いて、田村さんは、中心市街地である宇都宮市の都市環境と共通点のあるカンザス州ウィチタの例を用いて、プレイスメイキングの意義を唱えました。
まちの中核を反映させるためにプレイスメイキングを活用するうえでの価値となる
・中心市街地での新たな設定や経験を生む
・歩行者のアクティビティを増やす
・まちのアイデンティティや文化をつくり継続的な成長を促す
・将来のまちの更新のために不可欠な認識の変化を触発する
それら4つの価値を実現するために、場所らしさの追求や、小さい活動の実験・検証、複数のスポットに波及することなどのアプローチを行うことが重要です。
場所らしさを追求することによって、そのまちにしかない魅力の向上、複数のスポットに波及することによる、実際行ってみたくなる・参加しやすくなる工夫、プレイスメイキングの意義を捉えながら小さな実験や検証を繰り返し、バージョンアップを試みる。様々な人と共創しながらアプローチを進めていくことが、プレイスメイキングの特徴になります。

スクリーンショット (158)まちの中核を繁栄させるためのプレイスメイキング

日本では愛媛県松山市など、駐車場を活用するために、アイデアを落とし込み、プレイスメイキングを行いました。人通りが増え、まちの魅力も向上したことから、各地のスペースから生まれる、日常の価値の向上もプレイスメイキングらしさになっています。
小さなスポットから始まり、実験を繰り返し、まち全体としての魅力の向上につなげる土台をつくりあげていくことがプレイスメイキングの意義につながります。

スクリーンショット (159)「スペース」を「プレイス」に

「プレイスメイキングは空間スケールと介入に大きな幅が存在する。広域のプレイスメイキングを成功させるために、単発的な社会イベントなどを繰り返し行っていくことで、本格的な整備にもつなげていく。小さくはじめるからこそ、つながることが大事である。」

と田村さんは話します。
プレイスメイキングの小さな挑戦の繰り返しが、大きなまちの日常的な価値と文化をつくることを学びました。また、その場所のことを追求することで、まちの色やストーリーの違いに結びつくことがわかりました。

スクリーンショット (160)空間スケールとプレイスメイキングの介入

プレイス・ゲームについて

スクリーンショット (164)田邉 優里子さん(オンデザイン、Placemaking Japan)

プレイス・ゲームについて田邉優里子さん(オンデザイン、Placemaking Japan)が話をしました。PPS(Project for Public Spaces)が行うプレイスメイキングのプロジェクトやトレーニングでは、最初の段階でワークショップ参加者などとともに対象地に出て、プレイスダイアグラムを用いて4つの属性それぞれの「考えるべき項目」にあるような質問に対してレーティングをしていきます。それが「プレイス・ゲーム」とよばれるアプローチです。

「場所に関係しているのは、行政や商店街事業者の方だけではなく、地元の住民の方や、そこを使う方など様々です。その場所について、みんなで話し合っていこうというのが、プレイスメイキングの鉄則になってくる。」

と、田邊さんは話します。

スクリーンショット (165)『よいプレイス』の4つの要素

・社会性
・利用と活動
・アクセスと接続
・快適さとイメージ
この項目があればあるほど、まちに魅力があるとされています。
プレイス・ゲームでは、この4つの項目から、まちの状態にチェックをつけていきます。

スクリーンショット (166)研究会の意見交換会の様子

各グループに分かれてまちに評価をつけ、何をしたら魅力向上につながるか、そのために協力をしてもらう人たちの提案まで、グループで話し合います。

スクリーンショット (167)プレイス・ゲームを日本で実施するために

元々海外で実施されていたプレイス・ゲームを日本版に落とし込むために、UR都市機構とソトノバの共同研究によるプレイス・ゲーム研究会を開き、日本でアクションを起こすにはどのように活動するべきかを考える必要がありました。そこで「プレイスメイキングガイド プレイス・ゲーム」を制作・公表し、誰でもプレイス・ゲームを開催・参加することができる環境を整えたことで、日本でのムーブメント化に貢献しました。魅力あるまちを、まちに関わる人みんなでつくっていくために、わかりやすく参加しやすい方法を考えることはとても重要であり、プレイス・ゲームはプレイスメイキングをしていく中で無くてはならないアクションの1つであると感じました。

クロストーク

スクリーンショット (174)左上から時計回りで田邊さん、MC ATHUSHIさん、田村さん、矢野さん、泉山さん

ここで、矢野拓洋さん(ソトノバ・パートナー、東京都立大学大学院博士課程、一般社団法人IFAS共同代表、Placemaking Japan)を交え、参加者の方や視聴者の方がプレイスメイキングとは何なのか、どのようにアクションするのかという疑問を徹底的に解消していくクロストークを行いました。
「これまでも商店街などを中心にイベントなどをやっているが、人足、頻度なども減っている。どのようにすればいいのか…。」という視聴者の方の質問に

「コロナもあり、イベントなども各商店街などで行うのは難しい。イベントをすること自体は良いことだが、人を呼ぶことだけには限界がある」

と、現代におけるイベントと賑わいをつなげることの難しさを泉山さんは話しました。続けて、

「イベントがない日に人を呼びこむやり方が重要になってくる。人の量ではなくて、滞在時間などが増えてくることが大事である。」

と、泉山さんは話します。

「多彩な手法、アプローチによってまちを変えていく必要がある。」

と田村さんは話します。
現代のプレイスメイキングにおいて、日常的なまちへのアプローチが重要になってきており、それぞれの広場の特徴に基づいた活用方針、将来的な整備イメージが求められます。街に多様な活動の受け皿をつくり、住民一人ひとりが自分の居場所を選べるきっかけをつくる『プレイス』を増やしていく事が、そのまちに賑わいを生み出すと考えます。

スクリーンショット (175)左上から時計回りで田邊さん、MC ATHUSHIさん、田村さん、矢野さん、泉山さん

 

「プレイスメイキングは海外のやり方であって、日本では難しいのではないか。日本でやるにはどのようなことに気をつければ良いのか」という質問に対して、

「公共の場をつくっていくという高いハードルを受ける必要はなく、硬くなりすぎずに柔軟にインスピレーションを膨らましていくと良いのではないか。」

と田村さん。また、考え方がハードにならないための提案として、

「広く商店街の方や学生の方に入ってもらい、枠を外してアクションしてみたり、小さなことから始めていくことが重要ではないか。」

と田村さんは続けます。
海外と日本という、文化や法律、環境が違うなかで海外のインスピレーションからパブリックスペースにおけるアクションを考えた時に、その違いをハードな考えから諦めるのではなく、新たな可能性を探るために、小さな活動から実験・検証、複数のスポットに波及することなどのアプローチから始めていくことが重要であるとわかりました。
まずやってみて、チェックをして、それをフィードバックしてプランニングをする。そういった順番で小さな取り組みから始めていくことで、馴染んでいくのではないかと考えます。

スクリーンショット (177)左上から時計回りで田邊さん、MC ATHUSHIさん、田村さん、矢野さん、泉山さん

プレイゲームでの年齢層の課題による質問に対しては、

「3~4時間かかるプレイス・ゲームに対して、若い層の人達はあまり参加しないのが現状。そのような人達に参加をしてもらうためにどのようにプレイス・ゲームを知ってもらうかが今後の課題。」

と田邊さんは話します。
プレイス・ゲームを色んな人に知ってもらい、まちづくりのためのアクションにつながる認識を広げ、関心を持ってもらうことが重要になるということがわかりました。

スクリーンショット (178)左上から時計回りで田邊さん、MC ATHUSHIさん、田村さん、矢野さん、泉山さん

「偏った人の意見をまち全体の意見としてコントロールすることはできるのか。」という質問に対して、

「意見を合わせることが目的ではない。違った意見が出てくる方が良い。違った見方を反映させることが大事であり、新しい違った意見を可視化する必要がある。」

と田村さん・矢野さんは話します。

「例えば5人がいいと言っていても、その良いという中身が違うのかもしれない。ワークショップの議論の中で一人ひとりの意見を聞くことはすごく重要なことだと思う。」

と、泉山さん。

「評価の違いをディスカッションすることが、プレイス・ゲームの肝。自発性が生まれる瞬間を大事にしている。」

と田邊さんがいいました。
偏った意見だからこそ新しい気づきを発見するチャンスが生まれ、その場所らしさの追求による、そのまちにしかない魅力の向上につながると感じました。

スクリーンショット (179)左上から時計回りで田邊さん、MC ATHUSHIさん、田村さん、矢野さん、泉山さん

「段階に応じて集める方が違うのか」という最後の質問では

「最終的には運営する方、また、そこで商売している方がキーになっていく。なるべくその場所に関係していく方々に集まっていただき、将来関係していく方々を発掘していく必要がある。」

と、泉山さん。
まちに関わる人達でそのまちを活性化させるためには、住民の方たちの意見はもちろん、実際にまちにアクションを起こすことのできる人達の協力も必要であることがわかりました。
『プレイス』という所が『スペース』の違いというスタートからあった通り、ただの空間ではなく、人がその場所にアプローチしていくことが非常に重要で、そのまちの魅力に感じる意見も課題と感じる意見も、可能性を広げるということが話されました。

「泉山さんがあげた人達はもちろん、何かやってみたいと思うことを抱えている人・得意技を持っている人たちが関わること」

と田村さん。

最後に

プレイスメイキングは、ただハードなものを整備していくというものではなく、まちに関係する様々な人達が一緒にまちをつくり、日常的な小さなアクションを起こしていくことで、そのまちがもっと面白くなるということが、今回のセッションで明らかになりました。プレイス・ゲームで意見を共有していき、多様性を感じながら、まちにある様々なポテンシャルを世代を超えて見つけ、まちの人達と宇都宮をもっと良くしていくことが、宇都宮市中心市街地再生プロジェクト「プレイスメイキングうつのみや(プレみや)」を成功させるキーになると感じます。

スクリーンショット (181)最後に集合写真!

テキスト:長谷川千紘(日本大学理工学部建築学科4年都市計画研究室(根上・泉山ゼミ))

グラフィックレコーディング:古谷栞(法政大学大学院)

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