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プレイス・ゲーム主催者・実践者に聞くQ&A!PWJ2021vol.2 #4

2021年7月に、一般社団法人ソトノバ、Placemaking Japan、UR都市機構で構成されるプレイスメイキング研究会は、日本版の『プレイス・ゲーム|プレイスメイキング・ガイド』を制作・一般公開しました。

2021年10月には、日本における都市の屋外空間に居心地の良い場所をつくる「プレイスメイキング」の普及への継続的な取り組みと、日本における道路空間を人のための空間に変える継続的なパブリックスペースアクションが評価され、グッドデザイン賞を受賞しており、全国的にもプレイス・ゲームの手法に注目が集まっています。

今回このような動向も受け、Placemaking Week JAPAN 2021 vol.2では、『#4 プレイス・ゲーム主催者・実践者に聞く、Q and A!~placemakingのファーストステップ/プレイス・ゲーム導入のコツをご紹介!~』が開催されました。

本記事では、当セッションの内容である『プレイス・ゲーム|プレイスメイキング・ガイド』ができるまでの裏側と、主催と実践を繰り返してわかった導入のコツについて、紹介します。また、当日の様子は、Twitterテキスト中継からも確認できます。


プレイス・ゲーム|プレイスメイキング・ガイドを解説!

まず、田村康一郎さん(一般社団法人ソトノバ共同代表理事)から『プレイス・ゲーム|プレイスメイキング・ガイド』の解説がありました。

Project for Public Spaces(以下、PPS)では、プレイスメイキングのプロセスに5つのステップがあると整理しています。このプロセスの2つ目のステップでは、「空間の評価と課題の特定」と提示しており、プレイス・ゲームはこの段階での活用が期待されています。

そもそも、プレイス・ゲームの手法はPPSが開発したものであり、日本版の『プレイス・ゲーム|プレイスメイキング・ガイド』においても、国際版運営マニュアルがベースとなっています。
しかし、海外でまとめられた国際版運営マニュアルを翻訳すると、日本人にとって説明不足な部分などがあったことから、日本版として補足をしながらまとめたと紹介していました。

田村さんは、

『日本版のガイドでは、プレイスメイキングの特徴からプレイス・ゲームの実践に至るまでの流れが理解できます。また、プレイス・ゲームは、プレイスメイキングに馴染みのない方にとっても評価視点を明確にしておくことで幅広い人が参加しやすい手法となっています。』

と、ガイドと手法の有用性について紹介していました。

PM1A日本版のガイドのポイントを解説する田村さん(当日スライドより引用)

また、田村さんから『プレイス・ゲーム|プレイスメイキング・ガイド』の概要についても紹介がありました。大きな構成は、①導入編、②実践編、③付録編となっています。

①導入編!

導入編は、プレイスメイキングとプレイス・ゲームの概要を説明している章です。

日本人にとってまだまだ馴染みのないプレイスメイキングについて、そのプロセス(5ステップ)やパブリックスペースの4つの性質を解説しています。併せて、プレイス・ゲームを活用する場面や結果の活かし方などについて触れたものとなっています。

PM17Aプレイス・ゲームに入る前に抑えておくポイントを整理(当日スライドより引用)

②実践編!

実践編は、国際版運営マニュアルを日本語翻訳をベースに、プレイス・ゲームの準備から実践まで基本的な組み立て方と段取りを整理している章です。

細かいタイムフレームや運営のコツなど、日本人が手にとっても、わかりやすいように補足しています。また、主催者、テーブルファシリテーター、参加者の各々の役割での準備や振舞いについても整理されています。

PM18A各役割がどのように振舞うか丁寧に解説(当日スライドより引用)

③付録編!

付録は、プレイス・ゲームで活用できるアイテムを収録している章です。

使用するワークシートや評価フォームなど、プレイス・ゲームを実践する上で欠かせない資料を収録しています。また、初めてテーブルファシリテーターにつく方にとってもわかりやすい、進め方ガイドも掲載されています。

PM16Aプレイス・ゲームで活用できる付録資料(当日スライドより引用)

私たちが主催してきたプレイス・ゲーム

次に、Placemaking Japanとしてプレイス・ゲームを主催・実践してきた様子と、ガイドができるまでの裏側について、千代田彩華さん(オンデザインパートナーズ)から紹介がありました。

千代田さんは、

『昨年度プレイス・ゲームを主催・実践しようとなったときに、 国際版運営マニュアルを和訳したものしかなく、日本での開催イメージが湧きませんでした。そのような状況から試しに実践してみるところから始めました。』

と、当時の想いを振り返りました。

PM4A当初の想いを振り返る千代田さん(当日スライドより引用)

最初の国内でのプレイス・ゲームは、東京の京橋での開催でした。
プレイス・ゲームの試行と併せて、コロナ禍での運営でテーブル配置など工夫をしながらの開催となりました。
最初のプレイス・ゲームでは、国際版運営マニュアルに準拠しながらの実施であったことから、評価のしにくさや、白紙の模造紙でのとりまとめの難しさといった、課題が挙がっていました。

PM19A京橋でのプレイス・ゲームは感染症対策に配慮しながら実施(当日スライドより引用)

このように、国際版を日本仕様に変えていくことが第一の課題であることが明らかになり、併せて主催者・テーブルファシリテータ―・参加者の全員が共通してわかるガイドが必要であると認識したと言います。

これを経て、一般社団法人ソトノバ、Placemaking Japan、UR都市機構でプレイスメイキング研究会を立ち上げることとなります。

研究会が立ち上がった中で開催したのが、横浜市関内でのプレイス・ゲームとなります。
関内では、過去の反省を活かし、評価シートを改善し、プレイス・ゲームの進め方を共有しながら進行していました。

PM20A関内ではまちの観察の仕方にもバリエーションが(当日スライドより引用)

その後も、いくつかの都市での開催を繰り返す中で、告知の仕方、会場の設え、模造紙デザインなど、プレイス・ゲームに参加する各々の立場に立った工夫をしたと話します。
特に、参加者がリラックスして参加できる環境や仕掛けづくりには、苦労したと振り返ります。

PM21A実践の試行錯誤から模造紙デザインを作成(当日スライドより引用)

千代田さんは、

『私たちが国際版から日本仕様に変更してきたように、このガイドをフォーマットとするのではなく、実践する場所や主体に応じて規模や見せ方が変わってくると思います。各地で気軽にアレンジして実践してみてはいかがでしょうか。』

と、話していました。

主催者って具体的になにを準備しているの?

最後に、具体的にプレイス・ゲームで主催者がどのようなことを準備しているかについて、田邉優里子さん(オンデザインパートナーズ)から紹介がありました。

準備するものについては、当日に使う「アイテム」と、当日までに手配する「フィールドとプレイヤー」について紹介していました。

プレイス・ゲームで欠かせないアイテム

田邉さんは、プレイス・ゲームには「レクチャー」「まち歩き」「グループワーク」「発表」の4つのシーンがあると言います。プレイス・ゲームで必要な基本的な準備物とシーンごとに活用できる準備物を見ていきましょう。

まずは、基本的な準備物です。
プログラムや評価シートをまとめた【冊子】、自己紹介が書ける【名札】、対象地がわかる【地図】、その他筆記用具(太めのペン、ボールペン等)やポストイットなどを用意しておくといいでしょう。

次に、シーンごとに活用できる準備物を紹介します。
レクチャーでは、プレゼンテーション用の【プロジェクター】【スクリーン】が必要です。なお、Placemaking Japanでは、レクチャーに対してハードルある方が活用できるeラーニング教材を作製中と話していました。
まち歩きでは、評価シートに記入できるように【クリップボード】を用意しておくといいでしょう。
グループワークでは、【ワークシート】をA1サイズ程度の大きいサイズにプリントアウトしておくことが望ましいです。併せて、そのワークシートが乗る【大きいテーブル】が必須となります。
発表では、会場が広い場合には【マイク】が準備してくより良いでしょう。

PM22A田邉さんから準備アイテムの紹介(当日スライドより引用)

事前に手配するプレイス・ゲームのフィールドとプレイヤー

開催前には、会場を選定します。会場は、対象エリアへ10分以内で行ける場所を選定するのが望ましいでしょう。
なお、一般的な会議室だと雰囲気が重くなりがちであり、設計事務所の会議室や小さな飲食店を貸切るなどして、参加者の固さを取るような環境づくりも主催者の心がけとして必要なポイントです。

また、主催者からはテーブルファシリテーターに事前レクチャーが必要になります。プレイス・ゲームの流れや対象地への行き方、簡単なまとめ方など、テーブルファシリテーターに事前に説明しておくとよいでしょう。

PM23Aテーブルファシリテーターに事前レクチャー(当日スライドより引用)

主催者・実践者の話を聞いて

日本版の『プレイス・ゲーム|プレイスメイキング・ガイド』の公開に至るまでに、研究と実践を繰り返しながら、国際版運営マニュアルを日本仕様にしていく苦労を聞くことができました。
今回のセッションで案内があったように、このガイドをベースに各地域に合ったアレンジを加えてみると良いかもしれません。
また、プレイス・ゲームは、プレイスメイキングのプロセスのステップ2で活用できる手法です。まずは、ステップ1の「場の設定と関係者の特定」から考えてみてはいかがでしょうか。

Graphic recording by Shiori FURUYA
Text by Takuma OBARA

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