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ウォーカブルとプレイスメイキングの親和性を探る PWJ2021vol.2#1(後編)

12月2日-6日にかけて行われたPlacemaking Week Japan2021vol.2。

セッション1「ウォーカブルとプレイスの政策をメイクする|プレイスメイキングブレスト会議①」では、泉山塁威さん(一般社団法人ソトノバ共同代表理事)がコーディネーターとなり、松岡 里奈 さん(国土交通省都市局街路交通施設課 駅まちづくり係長)、佐藤 大輔 さん(札幌市まちづくり政策局都心まちづくり推進室都心まちづくり課 エリアマネジメント担当係長)、髙濱 康亘 さん(盛岡市 都市整備部長)の3名をスピーカーに迎え、これからのウォーカブルシティ政策推進に向け、プレイスメイキングとウォーカブル施策の親和性と両者を掛けあわせた政策への方向性を議論しました。

ソトノバでは、前後編に分けて、この回のレポートをお届けします。

後編では、札幌市佐藤さんの発表と、登壇者とのウォーカブル・プレイスメイキングの親和性についての議論をお届けします。

(前編はこちら)


自治体でのプレイスメイキングの取り組み:札幌市

最後の発表では、佐藤さん(札幌市まちづくり政策局)から、札幌市でのプレイスメイキングの取り組みについて説明してもらいました。

①北海道札幌市都心まちづくりプラットフォーム公共的空間活用プロジェクト

札幌市は、2030年をハード整備の目途として、それまでの期間を「転換期」としてハードの整備を計画しています。そのような整備への状況も踏まえ、2016年の総合計画の実現に向けた戦略の1つとして、多様な主体からなるまちづくりのプラットフォーム(推進体制)の構築を定めました。

sotonoba10都心まちづくりプラットフォームの基本的な目的(佐藤さん発表資料)

その「都心まちづくりプラットフォーム」とは、都心に関わる多様な人(行政・民間など)が集まり、議論を行って、都心に必要なプロジェクトを生みだしていく場であり、仕組みのことです。計画上では、都心のブランディング・情報発信・コンサルティングや開発調整のようなことも含めてプラットフォームのスキームで行うことを想定し、組織づくりをしていました。しかし、なかなか課題もあり思うように進まなかったので、できることからまずやってみようという方針転換をしたそうです。

②公共的空間活用プロジェクト(プレ開催:2021.07.02~07.03/本開催:2021.10.08~10.11)

以上のような過程を受けて、まずはやってみてメリットを示す取り組みとして、プレイスメイキングの取り組みを行いました。

大通公園が実験エリアとして選定された理由は、雪まつりなどのイベントで1年中使われているが、日常使いという今までとは違う使い方を試していきたいという行政管理部局側の意向もあったようです。

sotonoba9札幌都心の様々な場所でアクティビティが生まれている様子が描かれたビジョンで目的共有(佐藤さん発表資料)

まず、一体何ができるのかというノウハウを獲得するために、2021年7月2-3日の2日間でプレ開催を行いました。実施の主体は、民間で立ち上げた実行委員会と札幌市の共催という形で実施しました。

実行委員会側から大通公園に泊まりたいという要望がでてきたことを受け、防災キャンプという形で泊まれるのではないかと考え、企画の内容を検討したそうです。

実施した取組みとして、昼間は、テントを置いてみたり、災害時でも簡単につくれる料理の仕方を映像コンテンツとして撮影しました。夜間は、災害が起きたときに泊まるとは一体どういうことなのかを、実際に体験してみるために、空間をどのように使っていくかも検討しました。具体的には、噴水にプロジェクターで映像を写し、海外の方とつないで災害時におけ世界の公園の使い方を比較しながら、パブリックスペースのあり方を検討したりなどしました。

sotonoba11プレ開催夜間の様子(佐藤さん発表資料)

このプレ開催も踏まえ、2021年10月8-11日に実施。日常使いの検討という前提を踏まえつつ、高校生が「大通公園をどうしたらより良いものにできるのか」というお題に対してアイデアを考えて、それを大人が全力で実現するということを行いました。実施内容は、コワーキングスペース&カフェ/パークライブラリー/ランニングステーション/コスメカウンターwith災害用トイレなどです。

sotonoba12本開催の様子。左がパークライブラリー、右がワーキングスペース。(佐藤さん発表資料)

もともとは、継続的な取組みが行えるような組織体制づくりを目指していたので、今年度に仕組みをつくって多様な関係者を巻き込めるようにし、2022年度以降に再度実験を実施してみて、継続的な組織としてハード整備まで実現していきたいとまとめました。

まちの将来像を、具体的な絵姿や「世界一コミュニケーションが誘発されるまちづくり」という言葉で表現しているのは、札幌市が目指す方向が市民などにも伝わりやすくて良いと感じました。実際に行った大通公園での社会実験でも、海外の人とビデオ通話でつないだり、高校生が主体になって企画したりと、多様なコミュニケーションが生まれる場を目指していることが見られました。

以上のようなビジョンを実現するために、既存のエリマネ団体の活動範囲を超え、札幌全体の都心全体を活動範囲にした組織の「都心まちづくりプラットフォーム」が実際にどのように機能していけるのかが、今後の活躍に注目したいですね!

ディスカッションタイム

発表を終えて、4者による議論が交わされました。
まずは、発表の内容も踏まえて、泉山さんからお三方に質問が続きます。

sotonoba13

■小さな自治体でのウォーカブル施策について

泉山さんから松岡さんへ、小さな自治体でもウォーカブル事業への意欲やニーズはあるかという質問がでました。

松岡さん

「小さな自治体も多い印象。最近のヒアリングによると、小さいほうが、部署同士が近くて、内部の話し合いがすごく上手くいって、スムーズに進むというプラス面もあると感じた。」

とメリットもあることを伝えてくれました。
都市構造や人口動態が異なると、ウォーカブルにするための手法やそのあり方は異なるはずです。その地域にあったやり方で人のための場をつくっていくということが必要なってくると思います。

■コロナ禍での取組みの全体計画への記載について

盛岡市の3つの事例は、全体の計画に場所が位置づけられているものなのかという、行政の施策への記載ついての質問がでました。

高濱さん

「葺手町こみち・櫻山横丁は、商店街の方からやりたいという声があったというのが現状。たまたま、この二つが歩行者量も多く、都市構造にも上手くかみ合っていた。木伏緑地はもともと行政としても大事な場所としていた。」

と、場所ごとに違いがあるということを教えてくれました。
コロナ占用特例などを用いて実施できたことを、今後の施策としてどのように取り込むべきかは、各都市で課題になってくると感じました。

■寒い地域での公共空間活用について

続いて、寒い地域での工夫などは何かあるのかという質問が出ました。
テラスの所にビニールカーテンをつけて、強力なガスストーブを焚くことや、寒さの次元が違う札幌でも地下街を積極的に活用していくなどの回答が出ました。
寒い地域でも工夫を凝らして活用していく余地は充分にあることが分かります。

■ウォーカブルにおける交通・駐車場集約の大事さについて

次の話題として、松岡さんの紹介にあった「都市地域総合戦略」という施策では、具体的に何が成果としてアウトプットできるかという質問がでました。
駐車場の集約・再配分によって、車が内部に入って来ない空間をつくることができ、そこを賑わいの空間にしていく施策だと回答してくれました。中長期的には、まちなかでの駐車場の最適配置が大切になってきそうです。合意形成など難しい側面はあるものの、ウォーカブルな取組みの効果を目に見える形で少しずつ示すことで、歩きたくなるまちなかを実現していくことが大切になってくると感じました。

■公共空間活用にあたっての行政内部局間の連携について

さらに、札幌市で大通公園を活用するにあたって、様々な部局との連携で苦労した点について質問がでました。
民間のやりたい方向性と行政各セクションの方向性を、1つのストーリーで結んで、同じベクトルの中に収めてあげる必要があり、民間側と行政側のメリットを整理することで苦労したそうです。一方で、やっていく中で意外と色んなことができてしまうことが分かったそうです。
困難なことでも、やれることから少しずつという取組み方はとても参考になると思います。

■登壇者のウォーカブルベストプラクティスについて

最後、登壇者の3人が、国内で一番ウォーカブルだと思う事例を出し合いました!

松岡さん

「三重県伊勢市のおかげ横丁。みんなが歩いていて、ガラス張りではないが、お店が開いていて、興味ないところにも寄ってしまうことが日常化されていて、目的地がつくれている」

佐藤さん

「東京はウォーカブルだと思う。どこの駅で降りても、裏側には小さなお店が集積していて、路面に賑わいが滲み出してきている様子。あと、公共交通だけでいろんなところに行けちゃうことが1つの強みだと思う」

高濱さん

「自分が生まれ育ったまちでもあるが、東京都の吉祥寺。メインの商店街も基本歩行者しかいなくて、交通を捌くということも400m四方で昔から行われている。また、南側には井の頭公園という豊かな水辺の空間が広がっている。」

お三方とも「歩いて楽しい」というポイントが共通していました。日常的な風景として歩きやすい環境がつくられているか、公共交通での移動がしやすいかどうかなど、今日の議論であがった話以外にもウォーカブルとプレイスメイキングには大事な論点がありそうです。

ウォーカブルとプレイスメイキングの親和性について

多くの意味をもつ「ウォーカブル」「プレイスメイキング」などの言葉について、進めていく方向性の共有はされつつあるものの、論点の整理がされないままになっている中で、その一部が論点として浮かびあがってきました。

本セッションを聞いて、柔軟かつ総合的な視点をもつことが必要になってくると感じました。

・目的地や居場所(プレイス)といったものをどのようにつくり出していくか
・交通(特に駐車場)計画など全体の都市戦略と連動する必要がある
・歩きやすいだけでなく、歩いて楽しいという価値を都市に実装していくこと
・グリーンインフラや気候変動などの他分野との連携
・初めから完璧に実現するのは難しいので、まずはできることからやる
などが重要な話題としてあがり、これらをどう政策として動かし、実践に結び付けるかを引き続き考えていきたいですね!

今後も、ウォーカブル・プレイスメイキングの共通する論点を整理し、パブリックスペースを人の居場所としていくために議論を深めていくことが大切になっていきます。

国の政策も上手に活用しながら、それぞれの地域にあった居場所づくりをしていきましょう!!

イベントにご参加された皆様、登壇者の皆様、ありがとうございました。

グラフィックレコーディング  by 千代田彩華(オンデザイン)

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