レポート

Reports

レポート

【ソトノバ・ピープル】「まちを使いこなしたい」──まちとひとの未来の発明家 下野弘樹さん

パブリックスペースに関心がある有志が集まって発信する、パブリックスペース特化型ウェブマガジン「ソトノバ」。2015年11月の正式オープン以来、200本を超える記事を配信してきました。1周年記念パーティーの開催に向けて、ソトノバを支えるメンバーにスポットを当てて紹介していきます。

2週にわたってお届けしてきたインタビュー企画もそろそろ終盤。本日のご紹介は、福岡で空きスペースを活用した企画などを手掛ける下野弘樹さんです。ほとんどが都市計画分野をバックボーンに持つソトノバメンバーの中では、数少ない異分野からの参加。「まちと人の未来の発明家」として、幅広いジャンルでの新規事業の立ち上げやプロジェクトのプランナー、ディレクターとして活躍しています。

*     *     *

── ソトノバで記事を書いてみて、何か反響はありましたか?

下野さん 取材先からは感謝されています。パブリックスペースに特化したウェブマガジンは他にないので、すごくよろこんでもらえました。僕としては取材を通して、そうした事業者の方と関係性を築けることにメリットを感じています。先々、どこかしらパブリックスペースを使う企画があったときに、ちょっと思い出して声を掛けてもらえるようになれればいいな、という(笑)。

下野さんのデピュー記事、博多の国家戦略特区道路占用事業の目玉企画、ストリートコンテナショップのレポートです。まちの利用者としての目線から、丁寧に描かれています。

下野さんのデピュー記事、博多の国家戦略特区道路占用事業の目玉企画、ストリートコンテナショップのレポートです。まちの利用者としての目線から、丁寧に描かれています。

── シェアオフィスの運営やイベントの企画・コーディネートなど幅広い仕事を手掛けてますが、ここに至るまでは随分と紆余曲折があったと聞いています。

下野さん はい、まず大学は九州大学の経済学部でした。ゼミの先生が国連の職員で、分野的には国際経済や開発経済。僕はその中でも、経済がらみの教育系をテーマにしました。世の中に問題があることはなんとなくデータを通して見えてきていて、なんか公平ではないな、と。いろんな状況の人が可能性を高めていけるような、そういうことが広がっていったらいいな、というのを漠然と考えてましたね。

それで周囲が就職活動をしている時期には、関心のあったNPOを回って話を聞いたりしていました。でも今から15年以上前の話なので、そういう分野で若手で仕事にしている人って、見聞きした範囲ではいなかった。で、ふらふらさまよってました(笑)。

── 東京で仕事をしていた時期もあるんですよね。

下野さん そういう分野、ソーシャルビジネス方面に進みたいなと思って。ようやく事業性のあるものが出てくるようになったので、いろいろ調べていたら、たまたま福岡で新しく立ち上げるベンチャーとの出会いがあり。そこに入社して東京に行くことになりました。

東京にいる間に、後に松戸の「MAD City」を手掛ける寺井さんの考え方を知る機会などに恵まれ、そこら辺からまちが面白いな、と気になるように。具体的に場所が絡むようになるのは、福岡に戻って独立してからですね。10年くらい前からお世話になっている不動産会社の社長がいて、小さなシェアオフィス事業を一緒にやらないか、と言われて。それまでは人を集めるイベントの企画をしたりしていたんですが、不動産の分野と相性がいいんじゃないかな、と気が付いていったという感じです。

── 基本的には建物の内外問わず、ということですね。その中で、特にパブリックスペースについてはどんなスタンスですか?

下野さん 例えば日本の公園は、いろんなことが禁止されている。日本では公共は「みんなのもの」。それは裏返すと、誰のものでもないということ。それに対して欧米では、最初に「自分のもの」という意識が強い気がしています。自分のものであり、自分だけのものではない。僕は後者のスタンスで、まちを使いこなしたい。

天神地区の都市開発プロジェクト第1弾、福岡水上公園のリニューアル事業。屋上デッキでピクニックを開催するなど、使いこなしも含めてのレポートです。

天神地区の都市開発プロジェクト第1弾、福岡水上公園のリニューアル事業。屋上デッキでピクニックを開催するなど、使いこなしも含めてのレポートです。

下野さん いろんな空いている場所を見つけて、そこを「舞台」に変えていく、といことがやりたくて。周囲に何かやりたい人はいっぱいいるんですけど、独りでやるのはなかなか難しい。舞台で言えば、観客が集まるような仕組みをちゃんと整えて、事業者や出店者、表現者も一緒に育っていけるような場をつくれば、チャレンジする人も増えるんじゃないかな。

── 今後、ソトノバにどう関わっていきたいですか?

下野さん メンバーの力を借りながら、各地で具体的な社会実験につながるようなものが生まれていくといいな、と思います。福岡支部も、ライター候補はいるので人数を増やしていきたいですね!

*     *     *

ソトノバ・ピープルに会える、11/5の1周年記念パーティはこちら。
「1周年記念パーティ!ソトノバとパブリックスペースの1年を振り返る」ソトノバ TABLE#10

Portrait by Hiroki SHIMONO

Twitter

Facebook

note