ストリート|道路空間
レポート
福岡・博多の1ヶ月限定のストリートコンテナショップ!そこに見る新たな歩道活用法!
2015年11月に福岡・博多駅前の大通りにいきなり「コンテナカフェ」が歩道上に現れました。
これは11月6日から約1ヶ月間、「はかた駅前通り」においてMICE参加者のおもてなし空間の形成と新たな都心のにぎわいづくりを目的に、国家戦略特区道路占用事業として開催された「ハカタストリートマーケット」の中心的な企画で、内外から注目を集めていました。
ストリートの表情を変えたコンテナ
この企画の背景を知らない一般市民の目にはどう映ったのでしょうか?
突然コンテナショップのカフェが出現して驚いたことでしょう。しばらくその通りを眺めていると観光客の欧米らしき方が自然にカフェに入って外のベンチでくつろいでいたり、スマホで写真だけ撮っていく方や、しばらく眺めていく方など反応は様々でした。
コンテナを設置しているのと、反対側の歩道の方が通行量は多いようですが、裏から見ても気になるコンテナなので1つだけの設置とはいえ通りにインパクトを与えていました。さらに、コンテナ設置期間の中で4日間限定のマルシェも開催され、通り全体ににぎわいが生まれていました。
まちづくりのソフトに求められる柔軟性
博多駅と商業施設のキャナルシティ博多をつなぐ通りで開催されていたのですが、この通りはふらりと入りたくなるショップがあまり多くはなく、多くの人にとってはただ通り過ぎる通りとなっているのが現状です。
このハカタストリートマーケットを実施した「博多まちづくり推進協議会」では「歩いて楽しいまちづくり」を掲げ、博多駅周辺の回遊性向上とにぎわいを創出するため、これまでオープンカフェやアート・ベンチ設置の景観実験などに取り組まれてきました。今回の企画について事務局の方にいくつか伺った話もご紹介します。
まず国家戦略特区を活用し行政と協議を重ねた事業であったのですが、初めての実施でもあり、各種手続きは、複雑で特にスケジュール調整など、さまざまな苦労があったようです。
元々インフラのない所にコンテナを設置することから、ソフト面に関連した課題が次から次に湧き起り、このようなまちづくりのイベント企画などソフトの実施に関して、特に新しいことを行う場合は臨機応変さや柔軟さが求められるのだと感じました。他にも、コンテナも既存の遊休資源を上手く活用したり、後述のハカタリノベーションカフェで使った木製パレットを再利用してコンテナカフェをつくり上げた点も素晴らしいアイデアで、柔らかくカジュアルな雰囲気を出すことでまちに馴染みやすいようにする狙いがありました。
実施中は、はかた駅前通りと博多駅での冬のイルミネーション点灯にあわせ、アップルジンジャーなどあたたかい飲み物を提供し、商品内容を絶えず工夫して立ち寄りやすくするなど、テナントの方々が自分たちで考えながらまちの魅力向上につながる仕掛けを作っているのが印象的でした。
点を打ち続けるとまちが変わる!
コンテナのインパクトは大きかったですが、一度何か単発でやったぐらいではまちは変わりません。これまで取り組み続けた延長線上にこのストリートコンテナがあったからこそ多方面から博多のまちへの興味関心を集めたのでしょう。
2013年10月19日から約1ヶ月開催された「はかた駅前ストリートギャラリー」や、2014年11月13日から期間限定で行われた「はかた駅前通りスマイルプロジェクト」、そしてこのハカタストリートマーケット開催直前まで1ヶ月限定で企画されたハカタリノベーションカフェが大きく関係してきます。
それぞれの個性的な企画で点を打ち続けたことで、最近は博多がおもしろいという印象が少なからず蓄積されていたように感じます。そして何より運営側のまちづくり協議会の中の方々が「こういう街にしていきたい!」という想いをもって楽しみながら企画をされてることが博多のまちに住む人や来た人たちに伝わったのではないかと思います。これからも博多のまちづくりやストリートにぜひご注目ください。
〈ハカタストリートコンテナ〉
出店店舗:ケンジーズドーナツ、BANKS、MIMATSU Specialty Coffee Roaster
開催期間:2015年11月6日(金)~12月4日(金)
営業時間:9:00~19:00
場所:損保ジャパン日本興亜福岡ビル前
〈はかた駅前マルシェ〉
開催期間:2015年11月14日(土)・15日(日)/21日(土)・22日(日)
営業時間:10:00~17:00
場所:はかた駅前通り
写真(特記以外):下野弘樹