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ソトノバと語るこれからのパブリックスペース! 「ソトノバ1周年記念パーティ!」ソトノバTABLE#10レポート(後半)

11月1日、1周年を迎えたソトノバ。ソトノバの1年を総括した記念パーティ前半レポートに引き続き、豪華ゲストとのパブリックスペース・トークを繰り広げた後半の様子をお届けします。あらゆるソトの「場」について多様な議論をつないでいきました。

1部と2部の間の交流タイム

1部と2部の間の交流タイム

食事では、sotonoba.placeの文字も!今回もケータリングユニットGOCHISOさんにお願いしました!

食事では、sotonoba.placeの文字も!今回もケータリングユニットGOCHISOさんにお願いしました!

サプライズで、ソトノバメンバー三谷さんの誕生日を祝いました!

サプライズで、ソトノバメンバー三谷さんの誕生日(10月末)をお祝いしました!

ストリートに「トライ・アンド・トライ」精神を

フード・ドリンクタイムの後の、第2ラウンド、最初のセッションのテーマは「ストリート(道路)」でした。巨大ウォータースライダー「Slide the City JAPAN」を仕掛けるなど、突拍子もなくて面白いアイデアを実現してきたクリエイター、AHO LLC代表の藤本太一さんをお招きしました。

まずは、ソトノバライターでもあり、ストリート研究者の三浦詩乃が思う「ストリートの今」から、話題を広げていきました。

三浦:ストリートは普段、一番無意識に使っているパブリックスペース、だけれども街でかなり大きな面積を占めていて、本来持っている力をまだまだ発揮できていない。ニューヨーク市のレポート(「ニューヨーク・ストリートデザイン・マニュアル」のこと)はそれに気付かせるようなデータの整理をしていました。この気付かせる、という役割を担いたいのがソトノバです。

日本のストリートの現況は?といわれると、やっぱり規制が厳しい。そうした制限もあり、様々な取り組みが似かよってきている。工夫、アイデアの枯渇状態だと思います。

議論に耳を傾ける参加者のみなさん

議論に耳を傾ける参加者のみなさん

まちづくりサイドに必要な大きなアイデアづくり、どのようなご苦労があるのでしょうか? 藤本さんが答えていきます。

藤本:内容によって、警察をイエスと言わせられる、あるいは人を巻き込めるような「できるもの」と、どうしても「できないもの」がありますね。日本のストリート空間は、そんなに広くない上に、歩車道や沿道の保有地など区域が細分化されています。物理的な側面からは、緊急車両帯3mを確保できるか。撤収の負担が影響します。10秒ならばOK、1分ならばアウトなど。

「ソトノバとはアカデミックなところ、ポップなところの融合ができれば」とも話す藤本太一さん(手前右)

「ソトノバとはアカデミックなところ、ポップなところの融合ができれば」とも話す藤本太一さん(手前右)

そして、ステークホルダーをどう刺激していくかという点ですが、情報を集めていきます。スライドザシティは「あれをやってみたい!」という強い想いがある中、何が絶対ダメか、アイデアでいけるかを要素分解し考え、クリアできると信じて進めました。

この思考プロセスに対して、編集長からは、管理者側の許可判断がまちや担当者によって違うという苦労体験が語られました。藤本さんも同じような体験をしている模様。

藤本:行政と話をしていると、OKをもらったはずなのに、担当者の上司がダメと言った場合もありました。アイデア自体というより、どうしても企画を通す強い意志とコミュニケーション、つまり話す相手と話し方が大事です。

プレイヤーが活躍しやすい社会って?

つまり、地域によって顔の見えやすさが異なり、議論をはじめることに難しさがあるのがストリート空間だということ。ステークホルダーとのコミュニケーションが、やはり鍵。藤本さんのようなクリエイティブなプレイヤーがもっと動きやすくなるにはどのような社会が待ち望まれるのでしょうか?

まずは海外との比較の観点から、編集長と三浦での議論です。

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編集長:海外の道路再配分は、もっと大きな概念でストリートの根底を変えているように見えますが?

三浦:背景として、そうした都市ではまだ人口増加傾向にあることが挙げられます。アメリカもそうです。そして別の観点からみると、欧米では水害など、近年災害リスクにも注目が集まっています。ストリートはこうした情勢への対応のために大事なインフラだと理解されていて、今こそ、投資!ということに理解が得られやすい。対して、日本は縮小傾向です。同じく(社会情勢の転換期にある中)投資は大事なはずなのですが、少し言いにくい、そのような状況かと。

編集長:なるほど。社会実験についてはいかがですか? 社会実験をやることで、ロングタームチェンジがあるべきだと思います。イベントのままで終わるべきではない。

三浦:先ほど「許可判断の地域差」という話がありましたが、都市単位で違うこと自体はいいことではないでしょうか。ある「街」に似合うストリートデザインのガイドライン化、そんな単位で考えていくこと、そのツールとしての社会実験だと思います。実は道路構造令の柔軟化を国としても推していますが、誰も知らない。適用されていても、街の全体像を見直すよりも、維持管理を楽にという方向ですね。

編集長:許可判断権限を警察ではなく、地域に移譲していかねばならないということですね。

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こうした制度面についての議論を受けて、藤本さんが、今後の社会像への期待をこめたメッセージでセッションを締めました。

藤本:1回くらいの失敗は許してくれる、そんな社会だとよいなぁ。欧米の考え方だと、グレーゾーンにはトライし、ブラックを規制していきます。日本は、黒くないところしかできないから、発想を飛ばしにくい!

一方で、ストリート利活用の企画段階では、問題や大変なことを楽しんでいます。課題をどう遊ぶかが面白い。実はできる範囲、というのはたくさんありますよ。

公園のあり方を、徹底的に考える!!

次の話題はパーク(公園)です。

パークといえば、株式会社コトラボ代表の椛田泰行さん、そしてソトノバ・荒井詩穂那さんと三谷繭子さんです。この3名の皆さんを中心に、パークマネジメントのこれからについて切り込んでいきました。

公園を利用し、勉強する「素人」というスタンスをとっている、と話す椛田さん(奥・左)。ソトノバについては「これから泉山さんが、ソトノバ・ラボでどうカラダを動かしていくのか楽しみです」と期待の一言

公園を利用し、勉強する「素人」というスタンスをとっている、と話す椛田さん(奥・左)。ソトノバについては「これから泉山さんが、ソトノバ・ラボでどうカラダを動かしていくのか楽しみです」と期待の一言

椛田さんによると、全国12万ある公園のうち、1万しか稼げないとのことです。そんな実情も踏まえて、改めて「稼ぐ公園」に対する本音をシェア。

椛田:カフェを入れて良し、でなく、まちの中心としての読み込みができているかが重要です。例えば、福岡市の警固公園は、まちの交差点でもあります。安全性も高く、明るく見える、公園の優れたリノベーション事例です。まちが良くなる公園づくりが拡がればよいなと思います。行政の財源がないから稼ぐんだ、自分たちでお金をためて維持管理しなさいというのは分からないでもないが、それを一番大きいテーマとするのならばやばい。そうじゃないメッセージを、同じ志をもった人に伝えていきたい。

場所に合わせた空間づくりとマネジメント

椛田さんのメッセ―ジは、「まちに合う、一番いい公園の姿がある」ということでした。それに対して、ソトノバ・メンバーが思うこととは?

編集長:南池袋公園、福岡の水上公園、てんしばにしても……。現在の都市公園法上では、土地利用に応じた規則がありません。商業地の公演が住宅地と同じルールでやっていると、商業地では価値が下がっちゃう。そういう点では、稼ぐ公園をフォローしたいですね。ルールが、別にあるべきでは?

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三谷:稼ぐことがいいか悪いかは、場所によりますよね。埼玉で公園づくりのプロジェクトに関わっていますが、人口が少ないところでは難しいです。

プロモーションをやっても、そもそもパイが違う。地方の公園は維持管理の問題を抱えているとはいえ、居場所になっていかないと、地域の愛着や誇りが生まれません。今、その仕組みづくりで試行錯誤しています。市のお金ももらいながら、少し稼げる場所にするという半々のやり方を、指定管理制度を使いながらチャレンジしている。同じ方向で行政とビジョンを共有できるように。

荒井:「稼ぐ」というキーワードに目を向けると、そのトピックは仕組みばかりで、アクティビティが注目されていません。公園の規模に関わらず、アクティビティはすごく大事なこと。両者は一緒になければならない話です。パーティ前半でも言いましたが、「稼ぐ」だけを取り出すことに違和感があります。

ここでミズベリング・岩本唯史さんも議論に加わり、思いの丈を一言。

岩本:パークで結婚しました。実は、パークと地続きの美術館の敷地でしたが、ほとんどパーク。だけど、本当のパークの方はつまんない空間なんですよ。

どうすれば、数百万お金を落とそうと思える空間になるのか? これは、明治時代、お金がないときに公園をつくった精神ですよね。松本楼ができた時代。人口8千万人台になる2050年、どう地域サービス維持するんだ??ってときに、「稼ぐ」は避けて通れないです。

会場も一体となってディスカッション!

会場も一体となってディスカッション

公園は「ブランディング」と「スタッフィング」が基本

「稼ぐ」ことは大事、でも、このキーワードだけに縛られず、パークマネジメントの幅を広げたい!という想いで一致する会場です。具体的にどういう方向性が考えられるのでしょうか?

銀座数寄屋橋公園の事例を挙げつつ、編集長が思いを述べていきます。

編集長:(稼ぐ)カフェがなくても、面倒を見る人が付くことができれば、マネジメントできる体制になるのでは。敷地の中でクローズドでなくても、隣の敷地にカフェがあるでもよい。全部の公園では無理ですが、ポイントとなる公園にはそうした試みがあってもよい。

椛田:シルバー人材でメンテナンス、そういう公園ってダサい。つまり、自ら進んで維持管理をやりたいと思わない。例えば、アメリカでは若い人がさっそうとやっています。(メンテナンス・ツールも含めて)1つ1つをデザインしていくべきです。お金くれないとやらないとなってしまうと……。

三谷:公園って実は人間関係が大変で、ごたごたで使わなくなることもあります。だけど、人にお金を使うのが難しい。見せ方の面、コストの面でも役立つコーディネーターはいたほうがよいと思います。これを「稼ぐ」組織でやってほしい。

荒井:例えばニューヨークでは、日本の児童遊園のような規模のプレイグラウンドには見張り番がいます。安心感があります。こういう仕組みがあってもいいと思う。

刺激的なパーク事例の数々を紹介

刺激的なパーク事例の数々を紹介

最後に椛田さんが、ニューヨーク、ポートランド、コペンハーゲンの3都市の先進事例を紹介しました。特に、コペンハーゲンの遊具デザインの発想力と質の高さに、注目が集まりました。

会場の参加者の方々も巻き込んで、日本での遊具の安全性とデザイン性の両立、その可能性とハードルについて語り合い、公園のトピックは閉幕です。

水辺で光る、アーバンデザインを翻訳したアクション

いよいよ水辺トピックへ!

ここまでトークの盛り上げ役だった、ミズベリング・岩本唯史さん(RaasDESIGN一級建築士事務所代表、株式会社水辺総研代表取締役、BOAT PEOPLE Association理事、水辺荘発起人)によるプレゼンです。

最近のミズベリングの動きを振り返ると、「シャレット」、「ポートランド」、「プレイスメイキング」、「エリマネ・BID」、「タクティカル」等々、実はアーバンデザインでホットな話題を翻訳してきたそうです。

渋谷のハロウィンなど、パブリックスペースがみんなで盛り上がる場となる兆しを感じている、と語る岩本さん。ソトノバについては「熱意で回しているというところ、尊敬している。『賑やか』が素晴らしい!とみなされているけれど、まちを良くすることにつなげるよう頑張ってほしい」と激励

渋谷のハロウィンなど、パブリックスペースがみんなで盛り上がる場となる兆しを感じている、と語る岩本さん。ソトノバについては「熱意で回しているというところ、尊敬している。『賑やか』が素晴らしい!とみなされているけれど、まちを良くすることにつなげるよう頑張ってほしい」と激励

岩本:行政の河川分野の方々は、既に住民参加もやってきていて様々な想いを抱えている。うまく住民がほしい未来を、仕事としてやっていけるか本気で悩んでいます。そこに、ポテンシャルがある!

今までのように愛護会に話を聞くだけでなく、いろんな色んな人たちの話をきかねばというテーゼに、僕たちはボールを投げ返しているんです。

岩本さんの最近の一番の関心事は、ミズベのガバナンスやマネジメント。PDCAサイクルに代わる、米国空軍の思考法「OODA(Observe, Orient, Decide, Act)」や、未来のビジョンをつくるための「フューチャーセンター」を、キーワードとして紹介しました。

今年に入り、ミズベリングのたどってきたアクションに、ますます関心が集まっています。

岩本さんが代表取締役を務める水辺総研にも、各地からバッグキャスティング・ビジョンをつくりたい!との問い合わせが増えているそうです。他のパブリックスペースのアクティビストにも、確実に影響を与えているミズベリング。そんなアクティビストらが再集結する、来年のミズベリング・ジャパンにも注目です!!

トリのソトの場は「広場と空地」!

「世界各地の記事が掲載され、官民にとっても情報ツールとして優れている」とソトノバを評する土橋さん。パブリックスペースの盛り上がりが「流行り」として終わらないようにという強い思いで活動しています

「世界各地の記事が掲載され、官民にとっても情報ツールとして優れている」とソトノバを評するソトノバ・コラムニストでもある土橋さん。パブリックスペースの盛り上がりが「流行り」として終わらないようにという強い想いで活動しています

さて、ここまで盛り上がってきたクロストークもいよいよ最後の話題へ。広場と空地です。ゲストは株式会社都市環境研究所・主任研究員の土橋悟さん。話題の新制度の「ここだけの話」で盛り上げます。

パークでできないことを、空地に求める? 「準公園」制度って何?

日本の駅前広場のポテンシャルや、コミュニティガーデンの管理の仕組みに触れてつつ、フォーカスしたのは空地の最後の規制緩和と言われている「準公園」制度です。

この制度は、都市部の公園不足を解消するために、民間団体が空き地を借り、地域の広場として整備・管理する仕組みです。固定資産税など、税の減免も検討されています。(参考記事: 朝日新聞デジタル2016年10月14日

まだ全貌がつかめない本制度の意義について、土橋さん、そして会場の岩本さんが問題提起します。

土橋:空地で困っているところって、どこだろう? 例えば、駅前は、駐車場として「利用」している、と思われている。日本では、そもそも固定資産税上がるから空地にせず、空き家で困っているんです。

確かに、デトロイトみたいに、この先にそういう問題にぶつかることがあり得る。デトロイトも「まずいかな?」と思っている瞬間があったはずで、その段階にいつかは行くでしょう。そこに備えることは必要ですが、公園にしたところでうまくいくものかと。

岩本:例えば佐賀の「わいわい!! コンテナ」は、空地の適正や賑わい機能について整理していました。ただ空いているから使う、では意味が分からない。都市戦略の一つとしなければならないし、オーナーさんにメリットがあるのかも考えなきゃ。

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そんな中、会場から、制度の立案背景を知る参加者からの貴重な発言が!

条件設定はこれから。空地が使えるように、所有者のインセンティブになるようにどうしていくか検討中です。確かに、色んなところに話を聞きに行くと、所有者も、近隣も、行政でさえも困ってない。今のところ、もっと広い話、つまり、所有者不明の問題として捉えています。そうなる前に、もっとポジティブな段階で、道路や水辺のように都市の空間としてニーズを生み出したいようです。

これを受けて、空地データの調査業務にも携わってきた土橋さんが、その実態について話を深めます。

土橋:過去に空地がどういうメカニズムで発生していて、どれくらいあるかを調べました。基本的に電気、水道があったり、税金の管理対象となる敷地ならば、チェックされているからデータはある。だけど、空地は都市計画基礎調査上、ごっちゃになっているのでよく分からないんです。

変遷を追うにも、住宅地図を用いるなど、かなり大変でした。圧倒的に都市に対するデータが不足しているんです!空地やその他のパブリックスペースを考える上でも、基礎データにはお金をかけないと戦略は考えられない。

今回のトークで、山積みの空地の課題、その全体像が俯瞰できたのではないでしょうか? 空地については、ソトノバでもさらに議論を深める機会を設けていきたいです。

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次の1年もよろしくお願いいたします!

盛りだくさんのトークの後は、笑顔で記念撮影タイム! ここからまた、次の1年を走っていくソトノバへの応援をよろしくお願いします!!

「1周年記念パーティ!ソトノバとパブリックスペースの1年を振り返る」ソトノバTABLE#10
日 時: 2016年11月5日(土)16:00-20:30
会 場: HUB Tokyo (東京都目黒区目黒2-11-3)
主 催: ソトノバ|sotonoba.place
運 営: 一般社団法人パブリック・プレイス・パートナーズ

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