レポート

Reports

レポート

ソトノバ・ラジオ#16 | 町田誠さん|元国土交通省・公園課長

ソトノバ・ラジオ#16を紹介します。

ソトノバ・ラジオ#16のゲストは、元国土交通省・公園課長の町田誠さん。公園緑地関係を専門として、さいたま市技監、東京都建設局公園緑地部長、国土交通省都市局公園緑地・景観課緑地環境室長、公園緑地・景観課長などを歴任。2000年国際園芸・造園博覧会ジャパンフローラ2000、2005年日本国際博覧会(愛知万博)、2012年全国都市緑化フェアTOKYO GREEN2012の主催組織などにおいて、会場整備、大型イベントのプロモート等に携わっておられました。
現在、千葉大学園芸学部非常勤講師、横浜市立大学国際教養学部 非常勤講師、国土交通省PPPサポーター、日本イベント学会理事、SOWING WORKS代表。
これからの都市とパブリックを公園のプロフェッショナルと言われている町田さんと探っていきたいと思います。

パーソナリティは、オンデザインの西田司さん 。

ラジオの様子は、YouTubeの「ソトノバ・チャンネル」でもご覧になれます。この記事では書き起こしをお届けします。


YouTube:「ソトノバ・チャンネル」

西田:
始まりましたソトノバラジオです。本日は元国土交通省公園緑地・景観課長で、公園のプロフェッショナルと言われている町田さんに来ていただき、これからの都市とパブリックを町田さんと探っていきたいと思います。本日宜しくお願い致します。

町田:
よろしくお願いします。

西田:
町田さんはこのコロナの時期、非常事態宣言が出てステイホームになったこの2ヶ月は、どんな暮らしだったのでしょうか?

町田:
私自身は、一昨年に国交省は卒業してるんですけど、ちょっとへそ曲がりなとこがあって、組織に属してないんです。組織に属さずにどこまでやれるかという社会実験をやってるんで、ほぼ全ての収入が講演会とか講習会でずっときてるんです。ですから3月末ぐらいから全部がキャンセルになって、4月5月は全ての仕事がなくなって持続化給付金待ちって状態です(笑)。

最近、世の中また動き始めてますから、いろいろ声がかかり始めていて、できれば元のペースに戻ればいいなって思ってます。

西田:
このステイホームの時期に、自分の家の近くの散歩エリアみたいな中に公園が入ってるって人多かったと思うんですよ。町田さんから見て、昨今の公園事情というか、「公園に行くと人が多い」みたいなニュースの報道などありましたけど、公園に関して感じてる部分はいかがでしょうか。

町田:
公園に行ってるっていうニュースが流れてる時に、公園が認められている感じがあったのですが、僕はそういう風に評価される軸で、公園という公共空間がこれから活きてく意識があんまりないんです。

もっと公園側から、積極的に空間の価値をつくっていき、価値を打ち出していくべきだと考えていて、積極的にこの問題をブレイクスルーして、WithコロナでもAfterコロナでも、公園空間が新しい都市の中の空間価値や、利用価値を生み出したと言われるようになればいいと思ってます。

西田:
例えばサラリーマンの人とか、平日の昼間に公園に行くことなかったと思うんですけど、ステイホームだと、昼ご飯の時に公園に散歩に行こうかなとか、子供連れて行こうかなとかってなるじゃないですか。そうやって利用者数が増えると、使う人側もそうですけど管理する側の意識にも結構影響及びますよね。

町田:
結局3密って言われたり、3密って公園も道路も河川だってみんなオープンエリアだから密閉には絶対ならないんですけど、密集だけを避けなきゃいけないって、公園管理者がきれいに咲いた花をみんな刈っちゃうとかありましたよね。あとは人気のある公園は駐車場閉めちゃうとか、場所によっては公園全部閉めちゃうとか。

あの対応が間違ってたとは思ってないんですけど、今おっしゃったような新しい空間の使い手が現れると、オフィスでも昼食会場だっていいんだから、新しい公園の利用の仕方っていうか、設えとか制度とか運営していくための運用の方法をこれから探してく意識を、公園管理者に持ってもらいたいと思います。

西田:
公園の許可に関して、町田さんは本当に専門家で、基本的には設置許可の基準しかなくて、つくっちゃいけない物はないんだよと言われていて、町田さんとお話していると働く場所もできるかもしれないし、カフェができるかもしれないしと、どんどん夢が広がるんですけど。

今回コロナで、実はこういう使い方の方が気持ちよくね?と、みんな気づきましたよね。

町田:
公園って何かやったら怒られるっていう意識を、普通の人達が思ってる感じなんです。公園は無目的に行って、散歩をするとかベンチに座るとか、そんな風にぼーっとしてる以上の、何かアクション起こすと、そのアクションにクレームをつけられる、僕はまずその意識を変えてもらいたいし、今話しているような、新しい使い方っていうのを、例えばサラリーマンの人達とかオフィスで働く人達とか、あるいはおばあちゃん達とかが生み出すと思います。

要は井戸端会議の会場にどうなったらなるかとかね。結局立ったまま喋りなさいって言うわけに行かなくて、1個ベンチが置いてあるだけでそこで喋りなさいっていうわけにも行かないんで、本当にコミュニティに密着しているような草ボーボーになっちゃってるようなちっちゃい開発許可でできたような空間は、なんで井戸端にならないのか、いろんな使い方を想定してそのための設えをどうするのかとか、みんなでつくっちゃうとか、いろんなことを考えてくべきだって思いますね。

西田:
さっきの遊具の設置の話もそうでしたけど、自分でその場所の設えをつくるっていう意識ってなかなか芽生えづらいですよね。

公園って自分のものでもあるけど、みんなのものという感覚があるので、そこに自分の井戸端のためのベンチつくろうよって言うと、地域団体とか意識が高ければ行政と協議して公園のいわゆる管理側のNPOとか決まっていくのかもしれないですけど、なかなか今お話頂いたような、おばあちゃんと若者が一緒にやるとかってちょっと想像できないですけどね。

町田:
おばあちゃんと若者が一緒にやるってなかなかハードルはあるかもしれませんけど。ものを本格的に設置するという話ではなく、使いこなしの中で何かツールが出てくるというようなものもあるかもしれない。

オフィスの話でしちゃうと、使いこなしで言うとWi-Fi環境があればいいなとか、100ボルトの電源があればいいなぁみたいな、そういうものを短絡的にすぐ思いつきますけど、もっと原始的な、プリミティブなというか、装置みたいなもの。要はちゃぶ台持って行って何が悪いのかとかいうような話だってあると思うので。

持って行く時には、きっと持って行ったら公園の管理の人が来たら怒られちゃうだろうなあ、とかそんな気持ちになって「やめとこ」ってまず皆は思ってると思うんですけど、特に自分の生活に密着しているような身近な公園、本当にちっちゃな公園で1宅地分だけ抜けているような公園的なものってあるじゃないですか。実際には公園法はかかってなくて条例で管理しているようなやつもあるんですけど。そういうようなものの使いこなしっていうのが身近なところからどんどん変えられたらいいなと思いますね。

また、凄く人気のあるフラグシップみたいな公園ですよね、そういうのはきちんとした設えを公園管理者側がつくってとかで新しい展開が出てくるといいなと。

西田:
今おっしゃられたような大きい公園って結構皆の目に留まって、Park-PFIとか、「指定管理やるんだったらここは是非」っていう感じになるんですけど、街区公園みたいな小さい感じのってこれからって結構大事ですよね。

町田:
街区公園ってまだ大きい方で、その下に条例で管理している公園があったり、開発許可で出てきた200平米、300平米とかって本当すごい数あるんです。全国の公園の数って11万箇所13万haって私年がら年中言ってるんだけど、本当はそれプラス1万とか2万の数ちっちゃい公園はあって。

圧倒的に的に小さい公園の数が多くて、街区公園以下が10万箇所だと思うんですけど、10万箇所全国にあるんですよ。その10万箇所の公園が生かされているか死んじゃってるかっていうところから、まず考えていきたいなと思います。

西田:
そういう風に考えると、それが地域の中でお荷物みたいになっちゃうと思うんですけど。何かこうポテンシャルというか、種地に新しいさっきのシチュエーションを考えて、おばあちゃんの井戸端でもいいし、若い世帯がいるなら働く場所の延長が外だよっていうことでもいいし。そういう風になっていくのはとても未来としていいですよね。

町田:
時間でもそうだし空間でもそうだし、本当に小さい公園なんかは、家でも家というか…1棟貸しがあるじゃないですか。1棟丸々貸しますよって。ああいう感覚が、本当に小さい公園にはあってもいいと思うんですよ。

「2時から3時まであんたね」とか「あなたのグループに2時から3時まで貸します。でも行儀良くしなさいね。3時になったら次の人来るからねー」みたいなことがあって、AばあさんとBばあさんがいなくなった後に、1時間今度誰か高校生のサークルみたいのが来たりとかっていうような。

そのシェアリングする、スペースをシェアリングしていくっていうようなことを公園ならできますよ。現在使っていないから。本当に使われてなくてお荷物って言ってましたけど、無くしてくれって言われるところが結構ありますよ、事実。

西田:
ちょうど今道路が、飲食の人たちがピンチだからこの11月まで緩和して、道路に客席を出すっていうのを、地方公共団体と民間の関連団体がタッグを組んでやりましょうって出てるじゃないですか。ちょっと公共空間に追い風というか、「動き」きてますよね。

町田:
平成23年から24年にかけて河川専用の特例始めたし、道路も許可制の特法だとか3つの法律で特例の制度始めてますけども、今回は都市局がWalkable Cityで歩行者利便増進道路って法改正終わったところじゃないですか。法改正終わったところでコロナで、土地の使用料取りませんよっていう道路の出し方が、もう嫉妬するくらいかっこいいんですよ、私からすると。

私もPark-PFIだとかやってきてもう2年以上前になっちゃってるから、すごくいろんなことが公園の中でも展開されてるけれども、この感じで道路がどんどん突っ走ってったら、公園いらないと言われんじゃないかなと思ってね、心中穏やかじゃないって感じなんですけど。

やっぱり、道路にしても河川にしても公園にしてもみんな手を取り合って、豊かな公共空間が都市の中にあるっていう状態にしていかないと、日本の都市ってつまらないなって思われるのは嫌だなと思いますね。

西田:
今日は町田さんから3枚、最近のパブリックスペースの考え方というか、捉え方で写真を持ってきていただいているんで、ちょっとご紹介しながら。

radio16-1          昨年開催された「浜離宮大江戸文化芸術祭2019」

町田:
1枚目は、これ昨年なんですけど、とある公益法人に属していて、浜離宮なんですねこれ。浜離宮っていうのは文化財保護法でいうと、特別史跡・特別名勝がかかってる重要文化財だと思うんです。重要文化財の中に6mのやぐらが組んであって、やぐらの上にDJ KOOがいるんですけど、こういうイベントやれっていう風に僕は言われて。「やれるか」って聞かれて「やれますよ」って言うわけですね、僕は。イベントが結構専門なんで。

西田:
元々愛知万博とかもやられてますもんね。

町田:
で、今年6月からイベント学会の理事っていうのもやってるんで、やれって言われたら何でもやっちゃうの、ファイナンスも含めて。でこれ文化庁からアーツカウンシル東京から、3500万円ぐらい頂いてこれを実現するんですけど。

これやったことある人だったら、公園の中でこれやるのがすごく大変でしょ。で、文化財保護法がバッチリかかってる中でこんなことは、ちょっと大げさにいうと私以外の、あるいは私のその時の立場じゃないとできないですよ。

で、何が言いたいかというと、これから公共空間の利活用をしていく時には、利用させる側の意識をまず考えて変えていかなくちゃいけないということ。利用する側の知識だとか、利用させてくれる側の気持ちの理解度っていうのも大事なんだけど、そういうようなことがないとここに到達してない。

これはこれで地獄のような日々でしたけど。全体で7、8ヶ月でやったんですけど、大変皆さん公共空間を使う人は苦労してると思いますけども、双方の歩み寄りでできてけばいいなと思うわけですよね。

西田:
公園の管理側というか、使う側だけじゃなくて使用させる側にもリテラシーが高くないと。これは町田さんがそこにいらっしゃったからでしょうけど、そこも結構ハイエンドなタックタイですよね。

町田:
道路もああいういい制度ができたけど、実際に現場でどういうようなことになるのか。後は道路交通法もあるじゃないですか。警察の方もいらっしゃる中で本当にどのくらい活用が進むのかっていうのは、やっぱり制度じゃない、人なんですよ。

そこにいる人たちで管理する人たちもそうだし、そこにアプローチしている人たちのマインドもそうだし、それがすごい高い次元でうまく行った時にいい空間ができる。これは悪い空間だって言われそうな気もするんだけど、いい試みができたという風に言われる可能性はあるわけですよね。

西田:
今の「制度じゃなく人なんだ」ってすごいですね。やりながらこういうのってだんだん実感値として出てきますよね。

町田:
ソトノバの方々なんかは、みんな使うっていうことに慣れてるっていうか、そういう意識があるから、いろんなところに行って100人会えば100通りの対応されるわけですよね。要は法律読んで政令読んで、なんとか規則読んでも全く同じ対応が出てこないわけですよ。100人いたら100用の対応が出てきちゃって、なんでこんななのかなって失望したりとかってあると思うんですけど。

そこの部分を、変な言い方かも知れないけど、もっと技術的にしっかりとした技術、公共空間を使いこなすしっかりとした技術みたいなものを双方でつくっていかなくちゃいけないと思う。

西田:
ある種人材育成というか、その使いこなす技術、人材育成ってすごい興味あります。じゃあちょっと次の2つ目に。

radio16-2       「第29回全国都市緑化フェアTOKYO~TOKYO GREEN 2012~」の井の頭恩賜公園会場の様子

町田:
2つ目はね、2012年だからちょっと前なんだけど、これ東京都で全国都市緑化フェアっていうのをやった時のイベントなんですね。これは東京都内で6つくらい大きな会場があって、そのうちのひとつで、広い会場とお店が出てるとこだけ写してるんですけど。

で、これやった時に、早い話がこの井の頭公園でやったことが実験になって、2017年の法改正になってるっていう性格のものなんですね。これ結局ここに出てきてくれるお店の人達、要はブース用意してそこでアンパン売りますみたいな話だったらそういう話にならないんだけど、これは全部化粧も自分たちでやって、周りの園地整備も自分たちでやって、だけども何でも売っていいよって、そういう人いませんかっていうのを探したうちの1人なんですね。3軒あるうちの1人なんです。

これは出てきてもらうっていうのはすごく大変なんで、30日間これやるから。しかも30日しか商売できないから、使用料は取りませんと。むしろこれは協賛扱いですって言って、ここで使ったお金を結局、寄附金扱いにしてもらったんです。そういうことをしてまでも実験をしたかった、ってものなんです。

結局Park-PFIっていうものの原型を、まあ後付け的に言っちゃってますけども、それの原型になるわけですよね。いい企画を出してくれる人、周りもきれいにしてくれる人、そこで賑わいをつくり出してくれる人っていうようなことで。

だからこの時は私は、東京都にいて最初の1年目は実施する側、イベンター側にいて、2年目は公園緑地部長になってたから今度、管理者側に立つ。だから好き勝手やれるっちゃーやれるんだけど、管理者側に立ったらこの人たちが出やすい環境を作るっていうことをできちゃうわけだ。「それはダメよ」って中の人が言ったって、「すいません、あの、公園緑地部長がやれって言ってんですから」という話で何でもできるようになっちゃうんだけど。

結局こんな風にして、イベント1つの景色っていうのが原点になって、ああいう法改正に結びついていくっていう。でもこれも結局やってくれる人と、入りたいから来させたわけじゃなくて、こんな感じでやってくれませんか、ってこっちから言って何軒も断られたうちの3軒、入ってくれたんですよね。

だから管理者側と中に入っていきたいと思っている人たちが、高い次元で合意できるようなものを、やる気になるようなものを、環境をつくっていかなくちゃいけないのかなと思ってますね。

西田:
まさにこれをやって、その後Park-PFIを含む法改正が起こるんですけど、国の制度設計と言うか運用モデルというか、そういうことをちょっとずつトライ&エラーでやって見せないとわかんないとこ、結構ありますよね。

町田:
国だけじゃなくて公共団体によっては、条例の読み方とか、あるいは法律の読み方を柔軟にやっていて、普通だったら怒られそうなことを思い切ってやっていて、そっちの方が好ましいとか、結果的に世の中そっちに流れてくだとか、そういうとこはいっぱいあると思うんです。

大事なのはそこに関係している誰かが、すごく大きな迷惑を被るだとか、すごく不幸が発生するだとかを避けて、誰も被害が及んだり迷惑が及んだりすることはないかとか、一応中立公平で皆でやるという状態が保たれているかという、社会的に保たれているのならば、多少思い切った法令の読み方はやっていくべきだ、というような、ちょっと公務員にあるまじき性格なもんですから。だけどそういう人って公共団体で出始めてますよね。

西田:
そうやって町田さんが実際公務員になりながらというか、管理側にいながらマインドを持ち始めたのはなんでなんですか?

町田:
それは国際博覧会っていうのを僕は2回やってて、1回目は2000年の淡路島で、ちょっと小さめの。大阪でやった花博があったじゃないですか。あの後に淡路島でやってるんですよね、企画のちょっと小さいやつ。それ6ヶ月やって。

で、2005年に愛知万博をやった時に、全員民間の人達それから役所から来た人達、ごっちゃ混ぜの中で1つのものをつくり上げていく文化がないと、ああいう万博なんてできないんですよね。その万博の会場の中に身を置いていると、悪口じゃないんだけど、いつまでも役所の常識に囚われている人達は、その場で役に立たないんです。

結局僕がそこで仕事している時に思ったのは、公共空間の使いこなしもそうなんですけども、やらなきゃいけない事っていうのは総合格闘技なんですよね。格闘にする必要はないんですけどね、喧嘩じゃないからね。その格闘技とか異種格闘技みたいなもので、そういうスタイルを目指してかないと駄目だっていう意識がすごく強く付いた。

ひとつひとつルールのある単品の種目の中でガタガタ言ってるんじゃなくて、道路の場合だったら道路管理者がいるわ、商店会がいるわ、通行してる人がいるわ、警察がいるわでみんな総合格闘技なんですよ。皆それぞれがひとつひとつの常識があるんだけど、そのひとつひとつの常識で語ってもしょうがなくて、一つの土俵の中に入ってって統合格闘技をするからいい公共空間の利活用ができるわけですけど。

愛知万博みたいなああいう極端な会場っていうのは、そういうものが一瞬で身に付くいい実験場だという風に思いましたね。

西田:
その総合格闘技の方が、やっぱり生まれてくるものが違うってことですよね。もちろん万博とかは総合格闘技しないと完成しないというか、実現しないってことだと思うんですけど。生まれてくるものからのクリエイティビティとか、文化的な発信につながっていかないと、ということですよね。

町田:
おっしゃる通りです。総合格闘技でやるからもっといいもの、さらにいいものって可能性が広がって行くわけですよね。

今で言うと「公共空間の利活用?うーん、それちょっとなあ」という感覚の管理者がいたりすると、最初からその芽が摘まれてますよね。その芽を最初から摘むようなこと無しに、総合格闘技になるような発想。皆が参加して皆で良いものをつくるっていうような。皆の常識でもっていいものが出来上がっていくっていうようなスタイル。

制度はどんどんできるんだから、制度を持ってきて、その制度を運用するあるいはそれを使って活動する、そういういろんな人材が入ってきて皆でもって総合格闘技で公共空間の利活用をしましょ、ってそういうような感じですね。

西田:
公共空間って言っていただいてる中に、公園ももちろん含まれるじゃないですか。なんか総合格闘技的に公園を語っていくと、それこそそこで学びが生まれたり文化が生まれたり、さっきのいきなり仕事始める人がいたりだとか、全然違う常識が混在してむしろその風景はすごく都市的というか、まさに公共なパブリックになりますよね。

町田:
1個1個のサイトの大きさだとか持ってる立地だとか、環境条件とか違うけども、普通だったら自然環境に全然興味ないやとか、トウキョウダルマガエルって言われても、「何だカエルなんて知ったこっちゃねーよ」って思ってるような人だって、そういう人達が中で活動しているような空間に行けば「あ、こんな変わった生き物もいるのね」だとか、いろんな価値を共有する可能性だって生まれますよね。

そういうように、皆が意識を変えながら相互理解をしながらコミュニティがよくなっていく。コミュニティを良くするための空間が公共空間である、っていうぐらいの割り切りをしてもいいのかなって。

西田:
総合格闘技的に公共空間を語ると、そこから新しいいんな価値が得られるというのはすごいいい話ですね。公園に行きたくなりますね。

町田:
もういっぱい来てくださいよー。草ボーボーなって草を刈る予算もありませんとか、そういう話のが多くてね。管理費なんかは全然ないんで、公共団体。

20年後30年後の税収が伸びるわけないのだから、税収が伸びない中で今までつくってきちゃった13万ha+2万haぐらいはあると思うんですけど。生み出してきた空間の価値を落とさないようにしなくちゃいけないわけですよね。

環境や防災の機能を含めて落とさないようにするためには、税収が伸びない中でもその価値が殺されないようにしていくっていうのは、皆でやっていくってことだと思ってる。

皆でやっていくスタイルをどうやって作り出して、コミットすることに不自然さがないような。公園の運営とか。利用者がコミットしてくるだけでも不自然さはないような公園の運営とか、地域のコミュニティの常識だというようなものをつくっていくっていうことを、チャレンジしてったらいいんですね。

西田:
じゃあ最後の1枚を。

radio16-3公共空間活用に関する法令・管理基準を整理した表

町田:
これはね、都市経営プロフェッショナルスクールのがあって、Park-PFIとかつくったから、それもあって公園専門家ってのをやったんだけど、今年は多少間違っててもいいから、公共空間全部でやんなきゃって準備したやつ。まさにタイムリーなあれで。

道路・河川・公園・港湾・いわゆる広場(駅広みたいなやつ、建築敷地内空地)みたいなものまで、本当もっといっぱいあると思うけど。これはたまたま6つのカテゴリーに分けて、どういう法令で管理していてどういう基準があって、何に気を使わなきゃいけないのかをマスターしてもらおうと思って、公共空間活用専門家って看板を替えて、道路や河川の人に怒られちゃうかもしれないけど、できる限り正確に読み込んで、実態はこうなってる、どこに本当に公共空間の活用の肝があるのかっていうようなことを、皆で知識を共有したいっていうことで作ったものの資料の1枚目だね。

1番下のところに面積って書いてあって、国交省のデータやなんかを勝手に引っ張ってるだけなんですけど。これだけの空間が140万haとか135万ha、もちろん車道があったり水が流れたりするわけですから、これが全部使えるわけじゃない。公園は13万haでほぼほぼを使えるのかなと思ったり。

まあこれだけの空間は、実際には公共施設の中にあるっていうことですよね。こうした空間を生かすも殺すも管理者次第だし、ひょっとしたらその管理者から使っていいのかなって思われている、思わされているような人たちがいるとすれば、そういうのなくて、皆で空間の価値を高めていく活動を、知識を、要は管理者にも意思変えてもらいたいけど使う側も同じで基本的なことが分かった上で、これをやりたいって管理者の気持ちもわかった上で、やるっていうようなことが大事かなっていうようなことを、皆に解説していきたいと思ってるわけです。

西田:
さっき1度触れられてましたけど、技術人材の育成って言われてるじゃないですか。公共空間っていうものの中に広場もあれば公園、河川、道路もあるってなるんですけど、1個1個のもちろん専門性というかプロフェッションも大事なんですけど、横断的にその制度とか今の現在地が語れるって大事ですよね。

町田:
だからこの手の資料を、若干やった人いるかもしれないけど、踏み込んでって現実的にどういう空間だったらどういう傾向があるみたいなことをやるには、おこがましい感じがしてなかなか言えないんですよね。

例えばソトノバのメンバーの方だっていろんな対象を相手にして活動しているわけですから、こういう知識みたいな体系をきちっとつくり上げていくっていうようなことも目標の1つに持って活動されるっていうのは大事な気がします。そういうことが皆で共有されている状態に向かっていく。

パソコンの担当者はAさんはいい人だからできました、で終わらしておくと、今度Bさんのところに行ってへ蹴飛ばされた時にぐうの音も出ないとか、そういうことじゃしょうがないんで、知識の体系として 体験を通じてそれを築き上げていくっていうようなことがソトノバの方々がすごくやる価値もある活動だと思います。

西田:
今言われた公共空間の知識とか経験もですけど、それを体系立てて理解できたり、語れたりすると、もしかしたら役所側の部署は1つ1つセクションかも知れないですけど、実際体験しているユーザー側は全部シームレスに道路から公園行って、公園から河川って行ってって完全にシームレス体験するので、ユーザビリティも分かって管理側の目線も分かってるっていう、接点というか接面って非常に価値ありますよね。

町田:
結局、都市空間ってどうして魅力的に見えるかはシームレスだからなんですよね。いつも境界領域のところでつまづいていく、あるいは全然ちがう常識の空間に飛び込んでいくと、都市活動自体がおもしろくなくなっていくわけじゃないですか。

今年は都市局がWalkable Cityって言ってるでしょ。Walkable Cityって言うのはSeamless Cityってことですよね。Seamless Cityでもって公園だって道路だって、河川空間だって、駅前広場だって、公開空地だってっていってシームレスなものが出来上がることからWalkable で、歩いて楽しい都市ができあがる。

そのうちそこに座り込んでとか寝転がって、もっと楽しい都市が楽しくなっていくということを目指していかなくてはいけない。おっしゃる通りシームレスがキーワードですね。

西田:
Seamless City、名言ですね。

町田:
西田さんが仰ったことですから。

西田:
あっという間の30分だったんですけど、最後に今日の町田さんのお言葉を本当にすいません、僕が勝手にまとめたっていうか、Today’s perspectiveをご紹介させていただきます。Today’s perspective 〜これからの都市とパブリックスペースを探る視点〜 ということで。

西田:
・公園が空間の価値を打ち出していくべき
空間の価値っていう言い方が素晴らしいなと思って。その公園っていうのを都市空間だという風に捉えていくと、そこに生まれた風景とか、そこで起こること全てに対して皆が意識的になるなと思いました。

・新しい公園の使い方をシチュエーションから想像する
お年寄りの方であったり、サラリーマンがワークスペースに使うとか、シチュエーションがもっと想像できるんじゃないかなと思いました。

・使いこなしの中で、ツールが出てくる
オフィスを1個例に取られていましたけど、使いこなしていくとどんどん自分に合った、機能に合ったツールが出てくるとか、そういうことから公共空間が考えられるんじゃないかと。

・小さな公園の丸貸しのシェア
これはちょっと町田さんの言葉で書いて良いかどうかすごい迷ったんですけど、公園の丸貸しってほんといいなと思って。本当に小さい見捨てられそうな公園を、時間限定で丸貸しするのはすごいいいと思いました。

・制度ではなく、人が肝。使いこなす技術人材育成。
使いこなす技術人材育成と書いてますけど、制度をつくるだけではなくて運用したりとか理解したり、使いこなしていく技術を育成していくのが大事だと思います。

・総合格闘技的に公園を語れると、色々な新しい価値を得る
総合格闘技の価値は一つの分野ではない、様々な出会いが生まれることで、新しい価値を自分が実際得ることにつながるのである。

・都市の公共空間の知識や経験をシームレスに理解してゆく
先ほど最初体系だと言われていたんですけど、Seamless Cityの話があまりにもよかったんで、公共空間の知識や経験をシームレスに理解してゆくっていう、今日の最後のお言葉をいただいてToday’s perspectiveをまとめさせていただきました。

radio16-4Today’s perspective

町田:
綺麗にまとめてありがたいです。

西田:
全然です。本当今日は町田さん、このわずか30分の中にすごい濃密なお話ありがとうございました。

町田:
こちらこそありがとうございました。

Photos by 町田誠
テキスト:秋元友里

Twitter

Facebook

note