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ソトノバ・ラジオ#08 | 村山 顕人さん|東京大学

ソトノバ・ラジオ#08を紹介します.

ソトノバ・ラジオ#08のゲストは,東京大学の村山先生です。最近村山先生はnoteで都市計画的見地から見たアフターコロナの都市やライフスタイル、働き方、都市計画の役割などを発信されています。そんな村山先生と深掘りするアフターコロナの都市とパブリックスペース、必聴です!

パーソナリティは,オンデザインの西田司さん.

ラジオの様子は,YouTubeの「ソトノバ・チャンネル」Spotifyのポッドキャスト,この記事では書き起こしをお届けします.

YouTube:「ソトノバ・チャンネル」

以下は,書き起こしです.当日の様子をお伝えします.

西田:
本日は東京大学の村山先生に来ていただきました。ソトノバラジオは、パブリックスペースや都市がこれからどうなっていくのかをゆるく話していく番組です。

村山:
よろしくお願いします。

西田:
緊急事態宣言が解除されまして、アフターコロナの都市や、パブリックスペースについて話したいと思うんですけど、村山先生は、この緊急事態宣言の間はいかがでした?

村山:
僕は多分3月は、半分ぐらいは家にいましたね。本当は海外出張とかの予定があったんですけど、全部キャンセルになってしまって。新学期の準備とかもあったので、半分家、半分大学っていう感じで、ほぼデスクワークをやってました。東京大学は4月3日からもともと新学期が始まる予定だったんですけど、総長が「4月3日からとにかく始めるんだ」と。「授業はオンラインにするんだ」というのを結構早い段階で宣言してホームページに載ったんですね。

西田:
いや~教員にしてみたら大変ですよね。

村山:
我々も急いで準備をして、私は都市工学科に所属してますけど、学科の中でも色々準備をして、それで何とか4月3日からのオンライン授業を、学時歴どおり始めたんですね。そこからはもう完全自宅勤務で、2回かな、郵便物をどうしても取りに行かなきゃいけないので大学行きましたけど、まあ家からずっとオンライン授業をやってました。都市計画の演習もオンラインでやりました。もともと予定していた自治体の計画策定の仕事とかも結構あったんですが、そういうのはほとんど開催されなくなってしまって。

西田:
そうですね、現地いけないですよね。

村山:
なかなか急にオンラインが出来ないので。まあそれで結構大学の仕事ばっかりやってるっていうこの二か月間でしたね。

西田:
演習とか結構できるもんなんですか?

村山:
はじめは大丈夫かなって心配してたんですけれど、例えば、街歩きの演習って、いろんな東京の市街地を歩いて、その空間について認識し評価するという演習なんですけど、当然35人でぞろぞろ街を歩くわけにいかないので、みんな家からGoogleストリートビューを使って、教員がGoogleストリートビューのナビゲートをするんですね。一人の先生が誘導して、かつ説明をメインでやって、サブの先生方がそれぞれ思ったことをコメントするというのをすると。

西田:
新しいというか、オンラインとオフラインのすごいハイブリッド感がありますね。

村山:
悪い面からいうと、街の匂いとかわからないし、歩いてる人に声かけて何か聞いたりとか、そういうのが全然実感わかないんですよね。ただ良い点は、先生が解説してる話が良く聞こえると。

西田:
確かに。イヤホンからしっかり解説が聞こえますもんね。

村山:
あと、Googleストリートビューって鳥瞰できるじゃないですか、3Dで。少し上の方から街を眺めてみて、そこでこう土地利用規制の解説したり。それでまた地面に戻るみたいな。っていうメリットもあります。あとは計画をつくる演習は、分析とかはもともとGISを使ったりデジタルツールを学生が使ってたので、うまくZOOMで5.6人のグループで会議をやって分担して、作業してやってます。提案作る部分がなかなか、スケッチ描いてアイデアを出し合ってというのが難しいので、ちょっと最初戸惑ってましたけど、慣れたらそれなりに、なんとかやってます。

西田:
変な言い方ですけど、オンラインでも結構できるものなんですね。

村山:
意外とできますね。

西田:
人間が段々、慣れてくるっていうか、教員側も苦手だな難しいなと思ってたらできないけど、今はこれしかないと思ったら慣れてくるみたいな。

村山:
そうですね。もちろん現場でみんなで集まって出来ない事によるデメリットはたくさんあるんですけど、メリットもやっぱりあって、今の計画つくる演習なんかはslackで学生も勝手に班ごとにチャンネルを作ってですね、そこでやり取りをしていると、そこに教員も入っていけるので、いつ何を議論しているかとか、どんな図面が出てきてどんな議論をしてるかよく分かって、意外と皆やってるんじゃんって。

西田:
ログがあるから、後から履歴で見れるっていうことですよね。面白い。それって良い意味での公開化というか、可視化ですよね。

村山:
そうですね、通常ですと演習室に行って何やってるのって聞かないとわからないし、その短時間だと学生側も、全部を説明しきれないんですよね。ログとして残ってるので、わかるし適宜我々もコメントできるし。

西田:
学生にとってみるとどうしようもないコメントみたいなものも、村山先生から見ると、あ、これ面白いじゃんみたいな、そういうのもありますしね。

村山:
そうですね。そのプロセスが見える化してるっていうのは、都市を考えるときのツールとして凄い良いなと思います。
研究室も最近プロジェクトごとにチャンネル立ち上げて、その中でいろんな情報共有したりとか、まとめのメモを作り始めて。今更ですけどね。Slackとか使ってる人は前から使ってますけど。

西田:
今日この後、村山先生に用意頂いた、最近気になる画像を紹介するんですけど、こういう状況だから気づけたことも結構あるじゃないですか。今のログの話は、すごい分かりやすい「気づき」の例だなと思いました。

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西田:
では、写真を紹介させていただきます。これは、自転車と道路ですね。

村山:
そうですね、私自転車が趣味で、自転車を4台くらい持ってるんです。

西田:
4台も持ってるんですか!?

村山:
コロナのパンデミックになる前から、満員の通勤電車に乗るのが嫌になってきて、それでなるべく自転車で自宅から大学まで13kmぐらいを移動してます。それでこうなったので、もう電車の定期券は買わずに、基本的に自転車で通ってます。
この写真は全部都内なんですけれども、意外と自転車道が整備されつつあります。ウィズコロナとかポストコロナの都市のいろんな取り組みとして、特にヨーロッパで多いんですけれど、車道を狭くしてそこに自転車道を作ったり、歩道を広げたりなどの取り組みをしてます。基本的に自動車から徒歩・自転車へという流れの中で、この状況で車の量が減ったから、道路空間を考え直す良い機会だってなっています。日本もそれなりに今までやってきたというか、オリンピックに向けてということもあったのかもしれませんが、この右上は変わった自転車道で、まだ作りかけの写真です。サイドのところの歩道と駐車帯の間に、青いペイントがされて自転車専用というのを作るんですけれども、普通こういう風に、駐車スペースを島状には作らないんですけど、こうすると、走ってる車と自転車の間に止まってる車があるので、直接接触しないから安全だっていうので出てきました。これは後楽園の南側の道路ですね。練馬区の光が丘の近くなんですけども、このぐらいの片側一車線の道路だと、結構幅員に余裕があって、自転車道は無理なく作れるんです。これから片側二車線になると、もう余裕がないのでなかなかいい自転車レーンは作れない。右下は代々木公園で、この間の日曜日に行ってきたですけども、これは自転車道じゃないです。単純に電駐車を防ぐために警視庁が置いた三角コーンなんですけど。

西田:
この写真見ると自転車道に見えますね。

村山:
私たちサイクリストから見ると、これは自転車レーンとして機能する(笑)だから、こういうのをいろいろ考える良い機会だと思うんです。まあそういう意味でこれを用意しました。

西田:
確かに、自転車道だと思って都市を見始めると、僕とかあんまり自転車乗らないからなんですけど、今まで車道しかないと思っていたのに、意外と東京に自転車道あるなっていうふうに感じるのは嬉しいですね。

村山:
でもここ1年で急激に増えましたね。感覚として。ちゃんと調べてないんですけど。

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西田:
続いて、2枚目です。今日は村山先生に、紹介スライドをたくさん持ってきて頂いています。

村山:
パリの市長が「15分都市構想」っていうのを出したんです。これはコロナのちょっと前でしたけれども、「徒歩または自転車で15分圏内に生活に必要なものが全てある」という都市構想で、買い物先とか職場とか、病院とか、とにかく15分圏内に、車とか公共交通に乗らなくても、色んなものが揃っている都市を作ろうと。
背景としては、パリは車が多くて大気汚染の問題とかCO₂の排出量が下がらないということがあったので、環境政策としてこれを掲げたんですね。「Ecological Transformation of the City」と書いてありますけど、例えば、もともと道路だったところを、デッキとか芝生とかにして、この絵の左側は緑があって小川が流れてます。

西田:
凄いですよ。ビオトープみたいな水路がありますね。

村山:
そう。グリーンインフラを作ろうということですね。右側はこれおそらくウッドデッキみたいになってて、そこに自転車屋さんが修理してたり、花屋さんや植木屋さんが植物を出してたり、テーブルとか椅子を出して食事をしてたり、いろいろやってます。これまで車のためにを使ってた空間を、人々のために取り戻そうという感じで、取り組んでいくと思ったんですけど。この風景って、2014年ぐらいに私が名古屋でやってたプロジェクトにそっくりだなと思ったんですね。

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村山:
特にこのウッドデッキのところで。このあの真ん中の下の「長者町ウッドテラス」という社会実験をやりました。6ヶ月の社会実験で、歩道を2m拡幅して、縁石はコンクリートで作ったのですが、拡幅部分は木材を敷いてます。どうして始めたかというと、いろいろ背景があるんですけど、「都市の木質化プロジェクト」といって、森林をちゃんと健全な状態に保つためには、どんどん木を切って使わなければいけない状態なんですね。建築のインテリアとか家具とかで木材使いますけど、それだけでは全然量が足りないんだというふうに森林研究の先生に言われて、都市の公共空間で木材たくさん使えないか、というお題を頂いた時に、まちづくりをお手伝いしていた、都心のある地区、錦2丁目という地区なんですが、そこで街づくりをやっている皆さんと一緒に、公共空間の中で木材を使う方法を考えて、大きなデッキを作りました。そのころパークレットが欧米で結構脚光を浴びていて、私もずっと気になってたんですね。その事例研究している中で、名古屋の都心って、昔戦災復興で区画整理をやって、道路がめちゃくちゃ広いんですよね。

西田:
確かにそのイメージありますね。

村山:
ここは繊維問屋街なんですね。昔トラックが頻繁に出入りするような、今でもトラックは出入りするんですけども、繊維問屋業も衰退してしまって、トラックの交通量も減ってきたので、車道の割合が過剰なため、広すぎてスピード出したりとか、 一方通行なのに逆走したりということが起こっていました。そこで歩道拡幅して、人間のためのスペースをもっと確保して、車のためのスペースはもっと少なくても大丈夫かと言うことを確認するために6ヶ月の社会実験をやりました。本当は、パークレットをやりたかったんですよ。でもいろいろ警察との協議で、できないということになり、このころはまだ事例がなくて、神戸のパークレットとか、新宿のストリートシーツとか、そのあとに実現していたのですが。これは、あまり市役所は絡まずに、地元の街づくり団体と大学だけでやることになり、お金かけずにやろうとしたら、いろんな交通上の課題に応えられなくて、パークレットではなく、ある区間の歩道を拡幅するという実験となりました。

西田:
写真をみると、ウッドデッキにするだけで印象が全然違いますね。

村山:
そうなんですよ。あくまでもこれは歩道なので、法律上、普段は滞留しちゃいけないんですね。ただ、お祭りの時に、車両通行止めにするんですが、そうすると今写真なくて恐縮なんですけれども、このウッドデッキの上にも、テーブルとか椅子を置いて食べたり飲んだりとか、ストリートミュージックをやったりとかですね、そういうアクティビティが生まれるっていうのを実験したんです。

西田:
2014年にこれが実現しているのは、日本では結構早いですよね。パークレットがまだ出始める前というか、もちろんサンフランシスコとかではやられてましたけど。

村山:
左下のはパークレットっぽいですが、実はこれ民地に置いてあるだけなんで、道路じゃないんですよ。

西田:
サステナビリティ的な観点からも、都市の中の木材利用と、車の場所を人の場所にしようという2つの視点がブリッジしているデッキが、アイコニックで、「アスファルトから木へ」と言うメッセージに見えるのが印象的でした。先ほどのパリ市の話もそうですけど、ただ場所が歩道としてあるだけではなくて、素材の印象で、日常風景が変わるみたいな感覚が芽生えていて、すごいステキだなと思いました。

村山:
ちなみに、右下に「名古屋市交通まちづくりプラン」というのがありますが、これもまたウッドデッキの絵が書いてあるんですけど、都心の区画道路は広すぎるので、道路空間を再配分しますっていうのをちゃんと描いてます。実はコロナの波及で世界中でやられている都市の歩行化のような施策と同様に、日本でも実は考えているところは考えている。名古屋は、本当はこれを強力に推進したらいいと思うんです。

西田:
そうですよね、準備ができているなら、あとは推進すれば、始めてみることで、見えてくるメリットやデメリットもわかって、結果経験が蓄積されるっていう。

村山:
そもそもプランがないとなかなか動けないんですけども、もともとやろうと思ってたところって、そういうところが市民の支持を得やすいし、できるところからやるっていうふうで良いと思うんです。

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西田:
次の写真いきますね。「縮小する都市への介入」。

村山:
新型コロナの感染拡大が広がったときに、都市計画の専門家として思うところもありつつ、ちょうど新年度で、学生が研究室に入ってくるので、研究テーマをどうするかというのを悩んでたんですね。要はこれまでの研究課題って、これからも通用するのかとか、noteに私の考えを少し書いてるんですが、今コロナウィルスって密度の高い都市で広まってますよね。だから密度の高い都市はいけないんじゃないか、コンパクトシティはいけないんじゃないかと短絡的におっしゃる方もいるんですが、必ずしもそうではなくて、ニューヨークとかでも、都心のお金持ちの人が住んでいる高密度なマンション街はあまり感染拡大していなくて、むしろエッセンシャルワーカーのみなさんが住んでいる、少し離れたところで感染が起こっています。そういう人たちは公共交通に乗らなきゃいけないとかいろんな事情があって、必ずしも密度が高い都市が悪いということではなくて、もちろん2mのフィジカルディスタンスを取らなきゃとかはあるんですが、日本のコンパクトシティってこれからどう考えればいいのか、少し悩んだんです。今人口が減っていて、経済の規模も縮小する中で、市街地を物理的に縮小しようと考えている自治体もあります。右の横須賀市もそうで、もちろん急に街は小さくならないですが、この赤く枠で囲われている駅の周辺に、いろんな都市機能を集約しようとか、居住を集約しようっていうのをやっていて、結果としてはこのオレンジの谷戸地域とか、将来的には黄色で塗られた、70年代80年代に作られた郊外住宅地が、これから人口が減っていくところもありながら、集約していくというプランです。

左側は、イタリアのトリノですけど、ここは自動車会社の規模縮小でだいぶ人口が減っちゃったところで、減った時に都市をコンパクトにしようという発想はあまりなくて、開いてしまった土地に木を植えて公園を作って、自然環境を復元しようっていう、そういうやり方をしています。だから同じ縮小都市でも、人口や経済の規模が縮小しても、市街地の形っていうのは色んな可能性があるんですね。で、日本の多くの都市は今、この右側のコンパクトシティを目指してるんですけれども、今回のコロナウイルスで、もう少しゆったりと進んでいく方がいいんじゃないかって思う面もあり、かといって、森とか農地を破壊して街を作るのは、逆にそれはいろんな環境面で悪いこともあるし、市街地の物理的な範囲を広くするのは良くないと思っています。でも市街地の中は、必ずしも駅の周辺にみんな集まらなくても、うまく分散させてもいいんじゃないかなと思い始めています。街によって全然戦略は違うと思いますけれども、これまでコンパクトシティっと言っていた都市については、もう一回、市街地の密度配置とか機能配置を、考え直すいい機会じゃないかなと。

西田:
その密度配置の延長に、緑の介入みたいな話とかがあって、都市部を普通悪いことのように捉えられているものをむしろプラスに、生活の豊かさとか、リバブルシティや住みやすい都市にも、転換期として使えて、その考え方の多様さがあるのが良いですね。

村山:
あと、今私中野区に住んでいて、この2ヶ月新宿駅とか東京駅には全く行かなくなるんですけども、身近な買い物に商店街に行ったり外出すると、そこには人がいっぱいいるんですね。密集してるんです。公園に行っても人が密集してる、生活の場が住宅地側にシフトしてきているので、そういった時にやっぱり都市の形も変わってくるだろうと思います。

西田:
確かに。住んでる場所に対する意識や興味が増しているいるっていう感覚ありますよね。

村山:
そう。以前は散歩とかしてなかったんですけど、散歩とかし始めると、意外と良いところあるなみたいな。

西田:
僕も、この機会に散歩して、普段都市のことを語っているけど、全然自分の街は散歩してないなみたいなことを実感しました。

村山:
やっぱりオープンスペースは欲しいなって思うんですよね。トリノみたいにこう、うまく緑が分散してネットワーク化されたような街ってやっぱり魅力的ですよね。

西田:
魅力的ですね。緑のネットワークがあると散歩など活動が続いていきますね。

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村山:
これはさっきのパークレットの続きなんですけど、ウィーンの事例で、車道にこういう大きなテーブルと椅子を作ってみんなでご飯食べてパーティしてる写真なんですけど、ウィーンの市役所がですね、市民のみなさんが自分たちでDIYで作れるような、パークレットのツールキットを作ったっていうニュースなんです。

西田:
市役所がツールキットをつくるって、すごい良いですね。

村山:
自分たちで作ったものなので、植栽に水やったりとかいうのも、地元の人がやっているみたいですし。都市の中なので、自分の家は狭いけれども、道路に出れば、皆のリビングルームがあると。QOLじゃなくて「QoStreetL」と書いてあります。

西田:
なるほど!

村山:
「Quality of Street Life」ですけど。ストリートでの生活の質を上げてるいい事例だなと。しかも自分たちで作れるっていいなですよね。

西田:
このQOStreetL、使いたいですね。「Quality of Street Life」すごい良いですね。

村山:
写真は全然2mのフィジカルディスタンスは取ってませんけど、建物の中じゃなくて外で食事をしようとかですね、或いは車が減ってきたので、道路空間を普段使えるような生活空間にしようというトレンドの中では、良い事例かなと思っています。ぜひ日本でもやりたいなと思います。

西田:
これやる時に声かけていただければ、手伝います。この風景が自分の家の周りにあると和むというか、街に出たくなります。

村山:
どっかでやりたいですね。

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村山:
これは、いろんな人がFacebookとかで紹介してますけど、ロンドンのデザイン事務所が、完全なロックダウンの状況から再開していく中で、うまくフィジカルディスタンスを保ちながら通勤するにはどうしたらいいかということを、アイデアとしてイラストで描いてるんですね。例えば左上のは、全員がオフィスに戻るんじゃなくて、一部の人は家で引き続き自宅勤務して、一部の人はオフィスに行きますっていうものです。その下は、時計の絵がありますけれども、うまくタイムシェアをすると、通勤してくる時間帯を分けることによって、朝夕のピークにたくさんの人が電車に乗っている状況ではなくて、上手く分散化させてフィジカルディスタンスを保ちましょうとか。右上なんかは、自転車通勤する人が増えるでしょうと、そうするとパンクしたりするんですね。ところどころで自転車の修理をできるスポットが必要だったり、水飲みたくなりますから、水飲む場所や、売ってる場所がある。

西田:
自転車のところ、村山先生の言葉に、実感ありますね。笑

村山:
後は、その下の鉄道網の図は、降りれるんだけど乗れない駅を作る。つまり、どこでも電車乗れちゃうと、乗車人数がどんどん増えていきますけど、それをうまく制限することができないかと。真ん中の左から二番目は、道路空間を、自動車のためではなく人のために作り直しましょう。より幅広い意味でグリーンな都市を作るチャンスにしましょうという目線で、車道を潰して、自転車道とか歩道をつくっていこうという絵です。

こういう発想は凄く面白いと思うし、出来たら良いなと思うんですけど、これは建築とかデザイナーの提案で、今度は我々都市計画をやっている側で、量的にうまく収まるのかとか、東京の通勤事情というのは、どうなるのかということを、ちゃんと考えないといけないですね。

西田:
こうやって絵にしてもらうと、自分も考えようみたいなモチベーション上がりますよね。

村山:
そうですね。みんなで議論するための材料として、すごくこういうビジュアルなプレゼンテーション良いなって思いますね。

西田:
「通勤」というキーワードを議論をしてみようって、今まで一度もしてない人多いと思うんですよ。満員電車、変だなと思いつつも、必要だから乗ろうみたいな感じですよね。コロナのせいで、これからは、都市に興味ある人全員が「通勤」を自分の言葉で語れるっていう、いい機会を得たとも言えますね。

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村山:
これはあるフォーラムで教えて頂いて、そのまま自分でも調べてみたんですけど、現在感染症が問題になっていますよね。だけど地球には他にも様々なリスクがあって、気候変動はすごく大きな問題なんですね。この図は様々なリスクがプロットされてるんですけど、水平軸の方が発生可能性で、垂直軸が影響なんです。右に行けば行くほど発生可能性が高く、上に行けばいくほどインパクトが大きいことになります。地球の温暖化で気候変動がありますけど、気候変動に対してちゃんと対応できない、もしそれが失敗してしまうとこれは大きなリスクだし、今後あり得ることだよと。極端な気象とかですね、日本は地震国ですから、地震もかなりの発生確率でやってきますよね、だからリスクも大きい。南海トラフとかありますから。そうすると、引き続きこの右上のことについては、ちゃんと考えておかなきゃいけない。意外と見過ごされがちなのが、情報インフラの機能停止で、今こうしてZOOMでやってますけど、インターネットのインフラが停止しちゃったら、これもできなくなって、大学のオンライン授業もすべてできなくなってしまう。もし機能停止したら、また一大事になってくると。これは、世界の様々な専門家にアンケートを取って、それでプロットしているので、感染症というのは来年はもっと右上に上昇していくと思います。これが作成されたのは、2020年のパンデミックの前なので。なぜか都市計画の失敗っていうのが下の方に書いてあって、発生可能性もまあまあだし、インパクトもあまり無いとなっていて、だから安心して良い訳ではないと思っています。笑

我々の研究室の大きな研究テーマは、ひとつは気候変動に対して、都市計画でどう対応するかです。結局都市計画も、気候変動政策の一部でもあるので、都市計画の失敗のリスクが低いからといって、いい加減にやってはいけない。

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村山:
このピンクのやつは、ロンドンが、2月ぐらいにレジリエンス戦略というのを出したんです。ロックフェラー財団が、様々な都市のレジリエンスを高める支援をしていて、レジリエンスの定義というのが「いかなる進行性のストレスや突発的なショックがあっても、都市内の個人、コミュニティ、機関、事業者、システムが生き残り、適応し、成長する能力」ということなんです。ロンドンの場合、主要な突発的ショックというのが左半分に書いてあるんですが、干ばつ、テロの攻撃、水害、異常気象、サイバー攻撃、インフラの故障、それから病気の世界的流行、これはCOVID-19もですね。右側を見ると、社会的つながりの欠如とか、不平等、大気汚染、食糧セキュリティ、住宅のアフォーダビリティと質、インフラの老朽化、健康と幸福の低さ。それから、イギリスらしいんですけど、イギリスのEUからの離脱。これもずっと議論されてきて、離脱することになって、これから影響があると。こういったものに対して、都市政策として対応する方針を書いたものなんです。これ見た時に、方針としてはあまり具体的じゃないですけれど、市民が心配していることに対して、政府が答えてくれてるという印象を僕は受けました。今の都市計画の文書とか、総合計画とか見ても、こういうことに対して、こうしますという風に書かれていないですよね。特に都市計画は、昔からのロジックで道路必要ですとか、工事必要ですとか、再開発やりますとか決めてきていても、今、日々の生活で皆が心配している突発的ショックとか進行性ストレスに対してどう対応するのかということは、整理されていないので、どうにかしたいと思ってます。

西田:
日本は、都市があるリスクにさらされたときに、それをどう予測して動けるのかって、確かに地震国なのに、地震に対してはもちろん考えてますけど、レジリエンスってことに関して、普段あまり考えることないですよね。

村山:
そうですね。

西田:
先ほどの、サイバー攻撃とか日本にいるとほとんど考えないというのも、あるからですけど、インフラ老朽化とか大気汚染とか環境の話と、建築の話もしくは都市の話が、こう同時に尺にのっかってるっていうのが非常になんかフラットにあるリスクもしくはそこからの回復を考えるっていう意味で、必要な視点だなと思いました。

いや~でも本当に村山先生のレクチャーを聞いているようなラジオでした(笑)

村山:
今思ってることをなるべくと思って、9枚も用意してきました(笑)

西田:
ありがとうございます!本日は、これからの都市とパブリックを探るというテーマでラジオでトークさせて頂いたんですけど、逆に村山先生から、こういうことをみんな一緒に考えたら良いんじゃないかって、本日のラジオの中で感じられたことがあれば頂ければ。

村山:
そうですね、やっぱり、都市のあり方みたいなのって、じっくり考えた方がいいと思うんですね。今コロナの影響があって、急に我々もライフスタイルとワークスタイルが変わって、色々疲弊してるんですけども、徐々に元通りにはならなくても、元の状態に近づく形でまた戻るし、でも戻り切らないので、そういう時に特に都市の物理的な環境を作る仕事として、どういう考え方で何をしていったらいいのか。建物の中の話もあるし公共空間もあるし。結果的に都市全体の形が少しは変わるかもしれませんけど、道路だけ考えれば自転車レーン作れっていう話になるかもしれないけど、それによるネガティブな影響もあるだろうし、色んなこと、やっぱり総合的に考えなきゃいけないので。これは一人が総合的にすべて考えて、これが最適解ですなんて言えるほどシンプルじゃないんですよ。いろんな人の発想を集積・蓄積して、論点を整理しながら時には、ああでないこうでないと議論をぶつけて、いい解決策を見つけていく、プロセスこそが大事かなと思うし、そういうことを議論できるプラットフォームが大事だなと思います。

西田:
まとめて頂きありがとうございます。今日の村山先生の話を受けて、「Today’s perspective」を記しました。

西田:
一つ目は、実感に溢れてて良いと思った「意外と東京には自転車レーンがある」です。別に自転車レーンでないものも含めて、今自転車道や移動について考える良い時期かなと知りました。
「車のための空間を木や緑を使って人のための風景をつくる」は、パリの15分圏内に自転車や歩道を整備するという話もあったと思うんですけど、名古屋の事例も含めて、風景の影響力は凄いと思いました。人のためというより、木とか緑とか、水とかが街に現れると共感すると思いました。
「人口や経済の規模が縮小する際、多様な介入法がある」は、これ村山先生のパワポの言葉のままなんですけど。工場の跡地が減っていくとか、人口密度を減らしていくという都市経営的な目線だけじゃなく、緑のグリーンインフラを作っていくとか、リバブルなものを目指していくという目線が印象的でした。
「自分たちで作るQoStreetL(道路がリビング)」は、明日から使います! 人に風景を想起させる言葉の力あると思いました。
「ワークスタイルが変わり、通勤が変わるアイデアや議論」は、村山先生の話を聴いて良いと思ったのが、アイデアとか議論って誰もが出来ることなんだなという投げかけで、「通勤」というものを取り扱って見ると、都市の次のアイデアにつながっていくというのが素晴らしいと思いました。
「都市のリスクや都市のレジリエンスを考える」これは気候変動のリスクであるとか、ウイルスのリスクみたいなものと、起きた後に、回復していくレジリエンスをどう想定していくかを考え議論していくことの大切さです。それにより、都市の力というが上がると感じました。
最後はまとめて頂いた「今は都市の環境をじっくり考える時期」です。この「じっくり」を強調したんですけど。こういう時期だからこそ、向き合って今必要なものは何かとか、暮らしで大切な時間は何かとか、都市はどういう役割なのかとか、そうことを考えるタイミングなのかなと。今日はいい話をたくさん頂き、本当にありがとうございます。

村山:
ありがとうございました。とてもわかりやすい良いまとめで。

西田:
本日は村山先生、ありがとうございました。

Figured by 村山顕人
テキスト:冨岡久美子

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