レポート
ソトノバ・ラジオ#04 |Valerie WONG | GuocoLand Singapore
ソトノバ・ラジオ#04を紹介します.
ソトノバ・ラジオ#04のゲストは、シンガポールでデベロッパーとして再開発地のオープンスペース活用に取り組むValerie Wongさん。 中心部のTanjong Pagarというエリアで整備された広場を活用し、パイロットBID(Business Improvement District)の運営にも関わっています。 シンガポールでは「プレイスマネジメント」の導入が進められており、日本のエリアマネジメントと類似した展開が見られます。 アジアの先進都市のパブリックスペース活用と、コロナショックによる影響についてうかがいます。
パーソナリティは,クオル・ディレクターの田村康一郎さん.
ラジオの様子は,YouTubeの「ソトノバ・チャンネル」,Spotifyのポッドキャスト,この記事では書き起こしをお届けします.
YouTube:「ソトノバ・チャンネル」
Spotify:ポッドキャスト
以下は,書き起こしです.当日の様子をお伝えします.
田村:
本日パーソナリティはソトノバの田村が務めます。
それでは、本日は予定ではシンガポールのYanling Linさんという方をお迎えする予定でございましたが急遽その方が参加ができないということになりまして、代わりにWongさんという形で、GuocoLandというデベロッパーでオープンスペースのマネジメント、パブリックスペースの活用をされているという方にシンガポールのパブリックスペースについてご紹介いただきます。
それでは早速ですけれども、今回海外のゲストですけれども逐一訳をしながら進めていきたいと思いまして、質問を一つづつ投げかけていきたいと思います。
Tanjong Pagerというシンガポールの中心部で活動されていますが、その活動について教えてください。
Urban Parkで行われるヨガイベントValerie:
Valerie Wongと申します。今回このような場でシンガポールのアイデアをエクスチェンジできることを楽しみにしております。
このGuoco Towerというのは中心業務地に所在しておりまして、日本で言うと、丸の内や大手町、虎ノ門ヒルズいつかようなところです。オフィス、ホテル、住居などがあり、延べ面積にして170万平方フィート(約158万平米)の複合開発になっております。
このエリアには三つの特徴がありまして一つはフィットネス、もう一つが遊ぶこと、それからミュージックがテーマになっております。
ここにあるように広大な公園のようなスペースがあります。ここにレストランなど食事ができる所があって、地域の人であったりテナントの人たちが使えるようになっていて、ここで200万人の方が行き来しています。
大きなテナントとしてはJR東日本も入っていて、ポケモンのようなコンテンツであったり、季節のお祭りであったり地域のイベントも行われています。
例えばこちらがフィットネスのプログラムになっています。
夕方のワーカー向け飲食イベントValerie:
これはパートナーと組んで、ヨガのようなプログラムも入れて週3回ほど行っています。多くの方がこれに参加しています。
例えばこの夕方のイベントではカクテルが飲めるようになっていて、たくさんの人が訪れていて非常に重要なものになっております。
JRカフェとコラボした秋の多世代型イベントValerie:
プレイスメイキングという観点では積極的な活用といったこと以外にも日常的な活動、例えばリラックスできるような、そういったことも重要だと考えています。なのでこの写真にあるような設えであったり職人の マーケットのようなものも入れたりして、様々な使い方ができるよう工夫しています。
このようなミュージックのイベントとか催しも重要なものだと考えており、若い人やワーカーの人たちが楽しむことができています。
今このエリアというのは、若い人だけではなく高齢の方が住んでいたりといったところで、そこに向けての活動といったこともBIDの活動で考えています。
また、地域の方とのコラボレーションを図っています。
例えば、ホテルやオフィスといったところの会員とも協力して、地域の季節の中秋の名月のお祭りを行ったりしております。
ここで一緒に企画を作ったりイベントを作ったりといったことに取り組んでいます。他にもこういったようなインスタレーションを入れるようなアクティビティだったりとか、こういった椅子を置いたり等もやっています。
何でやってるかと言うと、地域の人たち、ここを使っている人たちが来て楽しめるように、この風景を楽しめるようにということでやっています。
田村:
はい、Valerieさんありがとうございました。
ではValerieさんがやられてるところでパイロット BIDという 取り組みがありますけれども、それはどういったものなのか解説してもらいたいと思います。
Valerie:
このBusiness Improvement District(BID)という仕組みはシンガポールで導入されていて、民間のホテルであったり住居であったりといったところを公共の都市再生機構と協力してコミュニティを作っていこうという仕組みになってます。
ここで1年ほどパイロットということで取り組んでいるBIDになります。
そこでフィットネスだったりクリスマス、あるいはチャリティーといったことをテーマにやっていて、その中で恵まれない子供であったりとかあるいは季節のお祭り、あるいは地域のお年寄りであるとか若いファミリーであるとか分け隔てなく多くの方々を対象にしたイベントを行っています。
今いろいろ取り組まれている中で、地域のビジネスといったところをサポートするだったりとか、地権者のオーナーさんを助けるといったところがあります。
その中でさらに地域の特色である歴史的資産であるとかそういったところを維持しながらといったところを意識しています。
田村:
パイロット BiD というのはシンガポールで最近取り入れられたもののようで、特徴的なところを聞いています。なんでそういった仕組みが取り入れられたのかを少し聞いていきたいと思います。
Valerie:
ここのTanjong Pagerというエリアは古いエリアで、建物も古いものが並んでいました。
そこでは3つぐらい地区が分かれているような形になっています。
それらがあまり繋がっていないという状況にありました。
さらにそこを繋ぐようなオープンスペースといったものもあまりなかったということで、この仕組みが入って変わる契機になりました。
田村:
では次の質問に移りたいと思います。Tanjong Pagerというコミュニティのことを先ほど少し触れられてましたけれども、どのようなつながりを意識して作られているのかということをValerieにお聞きしたいと思います。
Valerie:
今はオフィス街になっていますけれども、Tanjong Pagerという地区を見たときに、高齢の方々であったり、さらには住んでいるような方々、非常に多様な方々が住んでることです。
一方でオフィスワーカーの方々というのは、ライブミュージックであるとかフィットネスイベントなど、そういったところに趣向があると言ったところですけれど、そこだけによらないような地域に住んでる方々のことも意識しています。
そういった地域の特性がミックスされた特性があるというところで、ファミリー向けのプールであるとか、例えばポケモンのようなイベントをするということもありますし、またパブリックスペースが密度の高い都心で少ないと考えられているということで、この貴重なパブリックスペースを提供するという役割を持って行っています。こういったことが今、新型コロナウイルス感染症の状況下ではありますけれども、それが収束した後にそういった役割を担っていきたいと考えています 。
今イベントが色々難しいという状況にありますけれども、これからまたそういったことを再開していくことを目指しています。
田村:
それではそれに関連して次の質問にいきたいと思います。今シンガポールでも難しい状況があるようですけれども、そこでどのように対応をされているのかをお聞きしましょう。
Valerie:
ここではかなり多くの数のイベントをしていたんですけれども、3月からはそのイベントもストップになりました。
また、アウトドアの屋外に椅子を出すということもしていたんですけれども、なかなか人が集まる環境を作ることも今は難しくなったという状況です。
その中で、今はソーシャルメディアを使った動きに力を入れています。
フィットネスのイベントもやっていたんですけれども、それがリアルで難しくなったということで、ズームを使ったオンラインに切り替えたりだとか、そのコミュニティの方が話をしやすいオンラインの場を作るなど、そういったことをしています。
4月になってお店がクローズしてしまうという事態になってしまいました。
一方で食べ物は必要不可欠なサービスということで存続維持されています。
ただ、業務地なので十分なお客さんがいないという状況になるということで、アクションを考えました。
そういった状況下で、食べ物のデリバリーに移ったということです。
デリバリーもシンガポール全域を対象とすることで、料金も土地の地主さんが負担するというようなスキームです。
それはお店をサポートする、雇用を維持するということがあります。
地域の住民の方もそこでデリバリーをしようというような、そういったことが起こっています。そのTanjong Pagerがあるエリアのメンバーである企業さんとかもそのデリバリーの活動をサポートしています。
また、当面シンガポールの自粛期間といったところも継続して、なかなか通常に戻ることが難しいような見通しもあり、店頭デリバリーの継続を検討しています。
田村:
それでは最後にですねValerieさんから一言ラジオに向けてのメッセージを伺いたいと思います。
Valerie:
こういった国際的なエクスチェンジをしていく機会が非常に重要だと思っているということです。
私自身も東京のことをよく知っていて、色んなクリスマスイベントであったりいろんな場所での場の活用とかを見て非常に印象に残っています。
それでまた、シンガポールの人たちとして日本のことをすごく気に入っています。
一方で、この状況がシンガポールでは長く続きそうだという見込みも持っていて、その中でいかにして繋がりを持って、社会的なつながりを持って、クリエイティブに過ごしていくか。そういうことを考えたいです。
田村:
それでは、今回ソトノバラジオ4回目、シンガポールからのゲストの回終わりたいと思います。
それでは、本日はありがとうございました。
テキスト:能浦美帆(東京電機大学)
Photos by GuocoLand Singapore