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ソトノバ・アワード2022結果発表!6プロジェクトが受賞!

ソトノバが主催する、ソトノバ・アワード2022
6回目の開催となった今回は、全6のプロジェクトの応募がありました。

2023年3月18日に行われたソトノバ・アワード2022 公開審査会を経て、下記の6プロジェクトが入賞しましたのでお知らせいたします。受賞されたみなさん、おめでとうございます!

ソトノバ・アワード2022 公開審査会及び表彰式のレポートは、後日、ソトノバレポートで公開予定です。


ソトノバ・アワード2022結果発表

ソトノバ・アワード2022では、全6プロジェクトのプレゼンテーション・質疑応答を行うソトノバ・アワード2022 公開審査会を経て、受賞プロジェクトを下記のように決定いたしました。

応募要項にある記載のある通り、ソトノバのコンセプトである「ソトを居場所に、イイバショに!」を具現化する5つの審査基準──(1) 共感、(2) 独自性、(3) デザイン性、(4) アクティビティ、(5) 持続性──を基に審査いたしました。

最優秀者である「ソトノバ大賞」のほか、部門賞として「プロジェクトデザイン部門賞」、「場のデザイン部門賞」「実験のデザイン部門賞」「わたしのソトノバ部門賞」の4つの賞を設けました。

ソトノバ・アワード2022受賞一覧

ソトノバ大賞ぐるぐるかいけ(鳥取県米子市皆生温泉エリア)
一宮の路上建築群(愛知県一宮市栄三丁目)
プロジェクトデザイン部門賞春日表参道SUN DAYS PARK(奈良県奈良市三条通り)
場のデザイン部門賞Community Park coconova(沖縄県名護市)
実験のデザイン部門賞すずらん通りパークレットプロジェクト(山形県山形市香澄町)
わたしのソトノバ部門賞ヤマガタストリートリノベーションプロジェクト(山形県山形市)

【ソトノバ大賞】・ぐるぐるかいけ
        ・一宮の路上建築群

ぐるぐるかいけ

おお企画室皆生温泉エリア経営実行委員会 殿

一宮の路上建築群

アンビエントデザインズ石黒泰司 殿

【プロジェクトデザイン部門賞】春日表参道SUN DAYS PARK

奈良市都市政策課植村政也 殿

【場のデザイン部門賞】Community Park coconova

株式会社Social Design | 株式会社CAT加納佑樹 殿

【実験のデザイン部門賞】すずらん通りパークレットプロジェクト

株式会社オブザボックス追沼翼 殿

【わたしのソトノバ部門賞】ヤマガタストリートリノベーションプロジェクト

東北芸術工科大学清水海斗 殿

ソトノバ・アワード2022講評

ソトノバ・アワード大賞:ぐるぐるかいけ&一宮の路上建築群

ぐるぐるかいけ

衰退しつつある有数の温泉街において、観光客のみならず地域住民のまちなか滞在時間も伸ばすため、まちなかの道路や公園、民有地など10箇所以上に屋台を出現させる、行政、地元旅館組合、住民組織など官民一体による取り組み。

小さなアクションから始め、仲間を集め、ビジョンをつくり、描いた未来の一部を広く共有して更なるアクションへと繋げていくプロセスは、今日では一般解になりつつあるが、最寄りの駅から5km以上離れた観光地で、これだけウォーカブルな空間を志向し、実現するには、相当な苦労があったはず。そのなかでも、とくに行政や地域の旅館組合や観光団体のほか、プロジェクトの過程や成果をアウトプットできるデザイナーや、投資を呼び込むため持続的な活動をサポートできる金融機関など、地域人材を軸に丁寧にデザインされた体制づくりが、その成功の要因であり、他地域の課題にも応え得る普遍性ももった意義深いプロジェクトとなっていると感じた。今後、優れた先進事例として他地域からも参照されてほしいという期待も込めて、ソトノバ・アワード大賞を送る。(石田祐也)

一宮の路上建築群

ソトノバアワード2022の最終審査会は、激戦だった。ソトノバアワード大賞になった「一宮の路上建築群」は、公共空間の社会実験において、多くの建築家がこれまで、やりたいと思っても、様々な制約や法規的な理由で出来なかった建築群の風景を、鮮やかにつくって見せていた。

プレゼンテーションにおいて、その作品の思想や設計プロセス、地元との連携、そして行政との協議においてどう法規的に解釈しているかなどをしっかり聞くことが出来、大賞に相応しい作品だと感じた。建築家が手掛けるこれからの公共空間のあり方や風景の作り方のプロトタイプにもなり得る作品である。

受賞者であるアンビエントデザインズの石黒泰司氏に最大限のリスペクトとともにソトノバアワード大賞を送り、路上建築群の次の展開と今後の実践を期待したい。(西田  司)

プロジェクトデザイン部門賞:春日表参道SUN DAYS PARK

風格のある整備がなされたメインストリートに欠けていた「使う」部分を足しながら、新しい風景を生み、定着化させている素晴らしいプロジェクトだった。

素早く数回やっただけに終わらず、商店街や地域の有志、専門人材らとの連携のなかで継続と運営の移行を果たすのは、言うは易いがなかなかできることではないと評価した。それを実現するうえで、続けて無理なく参加したくなるような運営の工夫や、庁内での部門連係は特筆できる点であり、他都市にも大いに参考になると思う。

「日常に公園のある暮らし」という大きなプロジェクトに包含される取組みとして、受賞プロジェクトで培われた機運が市内へと波及している点も、非常に意義が感じられる。さまざまなパブリックスペースを舞台に変革を目指す、野心的かつ実践的な取組みであり、ひとつのモデルとして参照しうるものである。今後のさらなる展開を期待している。(田村康一郎)

場のデザイン部門賞:Community Park coconova

パブリックスペース(ソトでの活動)を中心とした応募が揃う中で、唯一建築の中側と外側に着目したプロジェクトであり、新鮮さを感じる取組みであった。

元は地域の診療所であった当施設をリノベーション、地域のコミュニティ施設として整備されていた。デザインに落とし込んでいく際に、「公共性」に着目し、沖縄の風土を加味しながら内部空間と外部空間をいかに隔てなく、地域住民やビジネスパーソンをつなげる場づくり・仕組みづくりがあった、建築・家具が与える地域コモンズとしての場がデザインされていると感じた。

また、社会的背景としても沖縄やcoconovaだけの課題ではないと感じた。全国的な傾向を見てもロードサイドに建設された施設が今後一斉に更新時期を迎え、新たな形態を模索する必要がある中で、当プロジェクトは先進性もあると感じている。今後のさらなるアクションも触れられており、自由な発想による公共空間のリデザインに期待したい。(小原 拓磨)

実験のデザイン部門賞:すずらん通りパークレットプロジェクト

受賞おめでとう。
評価ポイントは、❶Park(ing)Day2021からパークレットへのタクティカル・アーバニズムのプロセス、❷パークレットのデザインと使い方/アクティビティとその評価、❸キッチンカーと連動させたパークレット単体だけでないCurbの1レーンのあり方と日本での実践への示唆の提示の3点かと思う。これらはリソースの少ない傾向にある地方都市で、デザインとプロジェクト全体の完成度の高さが感じられた。

さらに、デザインだけでなく、企画運営もセットで関わる役割に、プレイスメイカーのルーキーの様相を感じた。引き続き、社会実験から実装、日常へとチャレンジしてほしい。(泉山塁威)

わたしのソトノバ部門賞:ヤマガタストリートリノベーションプロジェクト

こんなことをやりたい!というひとりの想いが、19人の仲間を集め、商店街の一事業まで展開させたパワーに感銘を受けたプロジェクトであった。想いを持っていてもそれを行動に移すのはそう簡単なことではないが、そのパブリックマインドと行動がまちを変えていくための大きな原動力になるのだと感じた。

また、商店街という多様なステークホルダーがいるなかで、学生であることや建築やデザインを得意とする立場を活かした役回りを考えた関わりは、一人一人が得意を活かし、まちを変えられるプレイヤーになり得るんだと訴えかけられるものでもあったように感じる。

この取組を横展開させていくという話もあったので、ぜひ、その想いを至る所に落とし込みムーブメントを起こしていくことを期待している。(荒井詩穂那)

審査員・総評

荒井 詩穂那(一般社団法人ソトノバ理事/首都圏総合計画研究所)

アワードは、そのとしどしで、都市づくりのトレンドが見えるのが面白く、特に今年はウォーカブルなまちなか形成を目的としたプロジェクトが多くあったなと思います。全国的に人中心のストリートづくりが定着してきているなかで、全国的には実証実験段階の取組が多く、今後、それがどう定着し、地域の色を出していくかは楽しみなところだ。

全国から素晴らしい取組が集まる1年に1度のこの機会。アワードもアップデートを重ねながら、今後も全国からソトのプロジェクトが集結するプラットフォームとしていければと思う。

石田  祐也(一般社団法人ソトノバ共同代表理事/ishau代表)  

今回出揃った6つのプロジェクトはいずれも、パブリックスペースがもつ力を信じてそれぞれの地域の課題に取り組んだもので、どれも独自性があり、空間にも実施プロセスにも創意工夫があり、また多様な主体を巻き込んだ素晴らしいプロジェクトだった。

6年目となった今回、初めて2つ大賞作品が出た。ひとつは、今までになかったストリートの風景を実現し、ブレイクスルーを起こしたもの。もうひとつは、地方の観光都市における新しいまちのあり方を思考し、普遍的かつ高水準な取り組みを展開したもの。大賞選考の最終審査でもこの2作品に票が割れたが、パブリックスペースの風景を一歩先に連れて行ってくれそうなプロジェクト、地方都市の課題解決に広く敷衍されそうなプロジェクトという、どちらも大賞にふさわしい価値をもっていると判断したが故に、初のダブル受賞となった。

応募プロジェクトは、どれも実際に目で見れていないものばかり。是非とも現場に足を運び、アワード後の動きも見届けていきたい。

泉山  塁威(一般社団法人ソトノバ共同代表理事/日本大学助教)  

応募数は少なかったものの、その分レベルの高い応募プロジェクトばかりであった。

Park(ing)Dayなどの短期的アクションからビジョンやパークレットなどの長期的変化を見せる、タクティカル・アーバニズムを想起させるものや、単発の社会実験ではない工夫が見えるもの、ウォーカブルの文脈の中でパブリックスペース単体ではなくエリア視点の意識のあるものなどプロジェクトの多様さは伺える。

また、今回は道路・ストリートのプロジェクトが多かった。地元調整や行政・警察協議など難易度が高い空間なだけにそれを乗り越えて様々チャレンジのあるプロジェクトは、屋外・パブリックスペース界隈のナレッジシェアやステップアップを感じさせるものであった。

最後に、ハイブリッドであったものの、対面でのソトノバ・アワード公開審査会は久々の開催であり、その後も交流会が行われた。実践者たちとのプレゼン・議論・交流はソトノバ・アワードの醍醐味そのものである。

小澤  亮太(一般社団法人ソトノバ共同代表理事/HOC代表)  

今年のソトノバアワードの応募作品はどれもいい意味で曲者揃いだった。

どのプロジェクトもオリジナルの挑戦に満ち溢れ、これまでの場や仕組みの在り方に対しての提言的な側面を含んでおり、魅力的な作品ばかりであった。

また、地域に根付きながら長期的なプロセスを見据えた「場の計画提案者」であり、「一当事者」としての立場を取ることで、運営や場のオペレーションまで多角的な場への関わりを持ち、成しえることが多くあることを作品から感じた。

都市的なパブリックスペースはもちろんのことだが、コンパクトになりつつある中心市街地が地域のコアとなっていく地方においても、パブリックスペースの在り方が地域の存続や、地域の色に直結していくことを今回のプロジェクト傾向からも感じることができた。審査員という立場ではありますが、多くの刺激をもらった。

小原 拓磨(ソトノバ・パートナー/都市・建築系コンサルタント)

今回、応募プロジェクト自体は少数であったものの、応募プロジェクト全てが、関東圏からはずれる地方都市からの応募であった。そして、そのすべてのプロジェクトに既視感がなく、新規性、独自性があるもので、非常に素晴らしいものであった。

さらに、今回は街路空間・道路空間におけるプロジェクトが多数見られ、改めて国内のトレンドを感じとることができた。

また、今回特徴的だったのは、持続性を考える点でプロジェクトを通してビジネスや稼ぐ力をつける取組みも見られ、まちづくりがただの奉仕活動ではないフェーズに突入していると感じた。

パブリックスペースを取り巻く大きな流れや事例数によって、地域での実践のしやすさがあると感じる一方で、地域でのプロセスやつくり方はどのプロジェクトも異なり、より詳細な評価も必要と感じた。

ソトノバ・アワードを通して、パブリックスペースを取り巻く動きは過渡期であり、確実にその形態は変化しつつあることを実感した。ソトノバもその変化に追随できるような媒体でありたいと思える1日であった。

田村 康一郎(一般社団法人ソトノバ理事/QUOLチーフディレクター)  

いずれの応募プロジェクトも非常に素晴らしく、各地での実践の進化を感じた。また、パブリックスペースのプロジェクトが数多くやられるようになり、ある種一定の「型」が見られるようになった中で、今回の応募から新たなチャレンジや視点も提示してもらった。

毎回、「他の賞には応募しにくいけれど、ソトノバアワードなら評価してもらえるかもしれない」という応募者からの声をもらう。そのような他では評価につながりにくいかもしれない背景やプロセス、仕掛けについて、審査側としては今後とも目を凝らしていきたいと思う。今回の応募プロジェクトからは、パブリックスペースに真摯に向き合う中で生まれたそれぞれの工夫が、非常に幅や奥行きを持つものだった。審査には難しさもともなったものの、応募を通して時代の先端をとらえたパブリックスペース像を提示してもらったと感じている。すべてのプロジェクトに関わった方々に経緯を表する。

西田  司(ソトノバ・パートナー/オンデザイン代表/東京理科大学准教授)

今回の応募プロジェクトはどれも異なるアプローチで公共空間のこれからを示しており、同じ尺度で測れない審査であった。(大賞が二つという史上初の事態となった。)また、様々な地域からの応募が多かったせいか、どの作品も時間に対する意識と実践が伝わってくる審査会で、提案が一過性のものではなく、時間変化や街の反応に応答するような作品や実践がほとんどであった。それは街が育っていく機運を公共空間が醸成しているようにも感じられ、各作品の今後の展開が楽しみである。是非、各地の取組を訪れてみたい。

三浦 詩乃(東京大学特任助教)

久々にアワードに参加させていただいた、ということを差引いても、珠玉の応募プロジェクトに、パブリックスペースの質への取組みのレベルアップを感じた。

シーンの創り方、人のつながり方、それらを次の目標につなげる仕掛け、のストーリーにも大変共感した。ソトノバが発信してきたような基本のメソッドが浸透し、各地で街ごとの文脈を伸ばすことに力を注げるようになったこともあるのかなとも思う。プレゼンの裏にあっただろう現場のみなさんのチャレンジに改めて敬意を表する。

ソトノバ・アワード2022を終えて

たくさんのプロジェクト実践者から応募があり、
審査員の厳正な審査のもと、ソトノバ大賞が決定しました。

5つの賞も、審査員の真剣な議論と、プロジェクト実践者の想いが伝わったと思います。

今年もレベルの高いプロジェクトが集まった審査会でした。大賞の議論では審査員も非常に悩み、甲乙付け難い状況で、パブリックスペース界全体のレベルが上がっているように感じました。

また、様々なジャンルが混ざっているソトノバ・アワードの中で、プレゼンや質疑の受け答えは見応えのあるものでした。

参加者の、ソトに対する熱い想いが伝わったソトノバ・アワード2022 公開審査会 。引き続き「ソト」について考え、熱い想いがまち全体に広がっていく事を期待します。また、来年も多くのプロジェクトに出会えることを楽しみにしています。

最後に、ソトノバ・アワード2022のプレゼンターと審査員で記念写真。
みなさんお疲れさまでした。

IMG_4282ソトノバ・アワード2022のプレゼンターと審査員とで記念写真 Photo by HASEGAWA Chihiro

ソトノバ・アワード2022 公開審査会の様子はレポートにて、公開予定です!

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