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行政が整備しまちづくり会社が運営するまちなかにぎわい拠点-山口県宇部市多世代交流スペースとしばふ広場(ソトノバ・アワード2017一次WEB投票記事)

しばふ広場とコンテナハウスで構成される「多世代交流スペース」は、宇部市中央町地区に位置しており、宇部市により整備され2016年9月にオープンしました。しばふ広場は、暫定的利活用のための空間であり、長期的には中央町周辺に広がっている低・未利用地のしばふ広場化により、環境改善の効果や地区ポテンシャルを向上させることで、新たな土地利用や活用需要を高めることを目的としています(図1参照)。

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(図1)暫定的な活用方式のイメージ(宇部市)

また、しばふ広場の利活用を高めるために、多様な人々が集う場として、コンテナハウスを設置しています。コンテナハウスは、初期投資を抑えながら仮設的かつ再利用可能であることや、まちの変化に柔軟に対応できることから、適用することになりました。コンテナハウスは5つで構成され、2つはカフェ(起業・創業支援コンテナ)、もう2つは若者クリエイティブコンテナ(以下、YCCU)として使われており、残りの1つはトイレと倉庫となっています(図2参照)。

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(図2)多世代交流スペースの構成

しばふ広場は、民地内の暫定利用のソト空間です。宇部市は、3年更新で地主から土地を借り、地主が土地活用計画を立案した段階で返却する契約を締結しています。その借地料は、駐車場経営の場合と同等の金額に設定しています。
宇部市はしばふ広場やコンテナの施工を実施し、地域のまちづくり会社である(株)にぎわい宇部に運営委託をする形を取っています。(株)にぎわい宇部は、しばふ広場の管理運営だけではなく、中央町地区の活性化や建築リノベーション事業、空き地・空き店舗の管理等を担っており、宇部市と宇部商工会議所の出資により2016年4月に設立されました。
(株)にぎわい宇部は、しばふ広場やコンテナ周辺清掃など、多世代交流スペース全体の施設管理を行い、カフェとYCCUはそれぞれのコンテナ施設内の管理や運営を行っています(図3参照)

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(図3)多世代交流スペースの事業スキームと管理運営体制

このように、中心市街地に空き地が増え続け一向に活用が進まない状況の中、行政が空き地ににぎわい拠点として多世代交流スペース(しばふ広場とコンテナハウス)を整備し、その後㈱にぎわい宇部に管理運営を任せるといった流れを作ることにより、円滑な事業化を実現しました。しばふ広場では、㈱にぎわい宇部だけではなく民間事業者も主体となってイベントを開催しています。

整備までの経緯:商店街の衰退

モータリゼーションの進行、大型商業施設の郊外への進出などで、シャッター通りとなった商店街で、平成20年度から商店街アーケードと周辺建物の除去が行政により行われました。しかし、景気の低迷もあり空き地の活用が進まず、かつてのにぎわいがなかなか取り戻せない状況にありました。

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中央町の商店街の様子(アーケード撤去前)

そこで、行政が建物除去後の民間空き地にしばふ広場とコンテナハウスといったにぎわい創出の起爆剤を整備した後、㈱にぎわい宇部へ管理運営を委託することにより、民間活力の誘導を図りました。

整備後:民間が開催するイベント

コンテナハウスの1棟であるカフェは地域住民や地域まちづくり団体(宇部未来会議)等の要望により実現できました。内部デザイン及び内装整備などについては、2016年8月5日~9月29日まで約2か月間のクラウドファンディングを実施し、96人の地域住民の参加により、目標値を超えた金額(116.5万円)を集めることで実現できました。カフェを誘致することで更に親子が楽しめる憩いの場として利用できるようにしました。

他の1棟であるYCCUは、山口大学の学生を中心とした若者を始め、多世代・異業種の交流・連携を目的とする若者活動拠点施設として2017年4月にオープンしました。これは、2005年11月から2017年1月まで約1年間計10回の「まちなか再生ミーティング」という住民参加ワークショップの実施により、「若者の活動拠点施設に関する提言書」をまとめ、新たな取り組みとして実現できたものです。
しばふ広場の活用も、これまで㈱にぎわい宇部が主体となって周辺住民や子供、親子対象の多世代交流イベントを開催してきましたが、この4月からは、山口大学が「若者クリエイティブコンテナ」(YCCU)として活動拠点にしたことにより活用の幅も広がり、様々な民間主体のイベントも呼び込めるようになりました。(写真参照)。

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2017年1月14日(土)近くの保育園児も招いて開催したもちつき大会

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2017年3月25日(土) こどもだけのフリーマーケット「コドモにぎわいフリマ」

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月1回定期的におこなわれる親子サンセットヨガ

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2017年5月15日(月) Uサロンの様子

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2017年5月15日(月) Uサロンの様子

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2017年5月28日(日) うべまちなかにぎわい特命大使となっているサッカーJ2リーグ レノファ山口によるイベント。まちなか商店街とレノファ山口が連携して、お互いを応援、盛り上げようとしている。

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2017年6月25日(日) ガーデンフェスタ(Sun Style)イベント

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2017年6月25日(日) ガーデンフェスタ(Sun Style)イベント

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2017年8月4日(金) ガーデンフェスタ(Moon Style)イベント

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2017年8月4日(金) ガーデンフェスタ(Moon Style)イベント

民間の投資を誘導し、エリア価値向上へ

今年度からイベント開催をより容易にするため、道路占用等の手続きやPRの代行などをおこなうイベントプロデュース事業も立ち上げ、魅力あるイベント事業者を広く募集しています。
このようにイベントを行うことで人の流れを生み、周辺回遊道路の整備も含め(写真参照)、それを継続することにより民間の空き地空き店舗の利活用の促進、さらにはエリア価値の向上へ繋がることを目標に、今後も活動していきます。

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(参考)
㈱にぎわい宇部
YCCU

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