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竹芝のワーカーが夜の庭園を楽しむことに挑んだ社会実験 「Night Garden in 旧芝離宮恩賜庭園」レポート
「都心の庭園」というと、どのようなイメージを抱くでしょうか?
東京にいくつか存在する庭園ですが、日常的に使う場所というよりも、一度足を運んだことがあるかないかという印象が強いかもしれません。
今回、社会実験としてナイトガーデンが開催された旧芝離宮恩賜庭園は、国から文化財として指定された都立庭園です。ワーカーのまち・竹芝で、仕事を終えた人々や近隣の住民たちが夜の庭園に集い、ひとときを過ごす。庭園を囲むビルの灯りも、なんだか心地よく感じるような。新しい都心型パブリックシーンの提案です。そんな当日の様子を学生ライターの熊澤がレポートします。
Contents
庭園を、どうして夜に?
そもそもどうして、庭園を昼ではなく夜に開放することになったのでしょうか。
それには竹芝のまちの性格が影響していました。
庭園の周りは見渡す限り、ビル、ビル、ビル。
夕方をすぎると、庭園のすぐ隣にある浜松町駅のホームは帰路につくオフィスワーカーで溢れかえります。
仕事を終えたワーカーたちは、すぐに帰ってしまう。
まちに賑わいをもたらすために、「竹芝エリアマネジメント」が着目したのが、この「夜」の時間だったのです。
ワーカーのまちだからこそ、夜に楽しいまちにしたい!
「夜、楽しいまちにする事で、ワーカーを引き留め、まちに賑わいをもたらそう!」
企画を考えるにあたって、一般社団法人竹芝エリアマネジメントは、「ナイトライフエコノミー」を唄っている港区の取り組みや、ふ頭公園の夏フェスなどを参考にしたそうです。
その一方で、駅前に立地し、世間からの地名度もありながら、そのポテンシャルを盛大には活かしきれずにいる旧芝離宮恩賜庭園をどうにかしたい、という問題意識も地元で挙がっていたようです。
「これら2つを掛け合せればいいのでは?」
普段は入園料がかかり、夕方5時に閉まる庭園に対して、仕事帰りに入りたい、という声も前々から寄せられていたといいます。
夜も庭園に入れるようにして、そこで適度に食べ飲みもできたら、ワーカーも仕事帰りにそのまま立ち寄っていくのではないか。そこをきっかけにして、夜も竹芝で過ごすようになるのでは。
そうして立ち上がった企画が、今回の「Night Garden in 旧芝離宮恩賜庭園」だったそうです。
日常的な庭園利用とまちづくり貢献のきっかけに
今回のナイトガーデンは2日間のみの開催でしたが、
「ゆくゆくは季節ごとの開催を踏まえて、日常的な庭園利用に繋げていきたい」
と竹芝エリアマネジメントの花野さんはお話し下さいました。
この2日間だけでもたくさんの来場者が訪れたナイトガーデン。近隣のオフィスワーカーたちをはじめ、住民、行政などの関係者らにも、庭園をパブリックにひらく魅力が伝わったのではないでしょうか。
「あのイベント良かったね」「楽しかった!またやってほしい!」そんな声が徐々に広がっていき、様々なコンテンツを巻き込みながら徐々に定着させていくことができたら、今回の社会実験は大成功と言えるでしょう。
純粋に”楽しい”と思える場所をつくっていたのは
実際に使う人にとっては、暑すぎも寒すぎもしない気候で、夜に外で過ごすのにはとても気持ちの良いこの季節。普段は夜は入れない庭園で食べ飲みしながら過ごせる、という単純なことが「楽しい!」と感じるポイントになっていたのではないでしょうか。キッチンカーで買ったチキンとドリンクを囲んで思い切り楽しく過ごした私自身も、そんなひとりです。
働いたあと、こんな場所にみんなで寄れたら最高だな〜、なんて想像を膨らませながら、、、笑。
活用に至るまでのスキーム
旧芝離宮恩賜庭園は、国が指定する文化財という事もあり、今回の活用に至るまでには様々な経緯がありました。
この庭園は文化財保護法に則り、基本的に掘削等、「現状を変えること」が禁止されています。
つまり、少しでも既存のベンチを動かしたり、照明を置いたりすることが所有者と管理者以外は出来ないのです。
まず庭園を占用するために都・建設局から許可を取った上で、この制約をクリアするために、文化庁管轄の教育委員会からも認可を得る必要がありました。
様々な方々と議論を重ね、半年間をかけて実現に至ったそうです。
都心の庭園や公園も良いものです
オフィスビルのなかにぽっかりと収まった都心の庭園ですが、実際に中に入ってみると、案外その「囲まれ感」が心地良かったりするものです。仕事で疲れ切った1日の終わりを、その足で近くの庭園や公園でおもいおもいに過ごすことができたら、毎日のワーカーライフも楽しむことができそうです。
誰にとっても、どんな暮らしの中にも、そのようなパブリックスペースがひとつでもあることが豊かさに繋がる。改めてシンプルに、そう感じさせられた社会実験でした。
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all Photo by 一般社団法人竹芝エリアマネジメント