ソト事例

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リバー・ウォーターフロント|水辺

日常の浜辺をハレの舞台に!松山発ソトノバ夫婦「アウトドアウェディング」のススメ

公園や水辺、道路などソトの活用が進むなか、ソトは結婚式の会場としても注目されています。

新しい結婚式のスタイルとして、アウトドアウェディングを選ぶ人も増えているようですが、実際にやってみた・参加したことがある人は、まだ少ないのではないでしょうか?

そこで、筆者のアウトドアウェディングの経験をベースに、アウトドアウェディングのやり方やメリット/デメリットについてお伝えします。


浜辺でアウトドアウェディング

今年の春、私は近所の浜辺で人前式を執り行いました。

人前式とは、ゲストが立会人・証人となり、新郎新婦が永遠の愛を誓うものです。宗教や慣習にとらわれないオリジナルの形式でできるため、アウトドアウェディングで人気があります。

この日は少し暑いくらいの快晴で、まさにソト日和。浜辺に祭壇やベンチを並べ、誓いの言葉、リングリレー、サンドセレモニーを行ったほか、ドローンで記念撮影をしたり、道行く人にお祝いの言葉をかけられたり、ソトならではの嬉しい体験ができました。

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浜辺がウェディング会場に。
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二人でよく散歩する道がバージンロードに。
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ゲストに温かい拍手で迎えられました。
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一本のリボンを通して、ゲストがリレー方式で新郎新婦に指輪を送るリングリレー。貝殻でリングピローを作りました。
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結婚の承認として、ゲスト一人ひとりに砂を入れてもらうサンドセレモニーは、浜辺にピッタリ。
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穏やかな瀬戸内海を背に執り行われた人前式。

アウトドアウェディングを選んだ理由

はじめに、私と夫について少し紹介します。

私は松山支部ライター、夫はソトノバのラボメンバーで、ソトノバをきっかけに知り合いました。東京の建築設計事務所で働いていた夫は、結婚を機に松山へ移住し、今は郊外にある海辺のまちで暮らしています。

私たちは、華美な式場で大勢のゲストを呼んで・・・という結婚式よりも、アットホームで少人数の結婚式が理想でした。

お互いソトノバのメンバーということもあり、二人でよく散歩する近所の浜辺でアウトドアウェディングをすることにしました。

浜辺を選んだ決め手は「ロケーションがいいこと」ですが、ゲストの半数以上が県外から来るので、私たちが普段見ている風景を見てほしい気持ちもありました。

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普段は、近隣住民に散歩コースとして利用されています。

アウトドアウェディングに関するサイトや専門誌を見てみると、友人と協力したり、専門の事業者に依頼したり様々です。私たちはイベントの経験があったので、セルフプロデュースすることにしました。

アウトドアウェディングのやり方

ここでは、私たちの経験をベースに、セルフプロデュースでアウトドアウェディングをする方法を紹介します。詳細は、Task一覧をご覧ください。

夫は祭壇やベンチの設計・製作などモノ担当、私は演出企画やシナリオ作成などコト担当というように準備しました。レンタルや購入、プロに依頼することもできますが、自分たちで作った方が自由度が高くて楽しいです。市内のホームセンター、手芸店、文具店、雑貨屋に何度も足を運び、必要なものを買い揃えました。

司会やカメラマン、ヘアメイクは、愛媛県内の腕のいい方にお願いしたいというこだわりがあり、伝手やネット情報を駆使して探しました。出張でヘアメイクをしてくれる方を探すのに苦労しましたが、カメラマンにいい方を紹介してもらいました。腕のいい方同士は繋がっていることが多いので、最初の一人を見つけることが大切です。

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アウトドアウェディングのタスク一覧。このスケジュールでギリギリだったので、なるべく早く準備した方が安心です。(筆者作成)

アウトドアウェディングのメリット/デメリット

実際に、アウトドアウェディングを経験して感じたメリット/デメリットを下表に整理しました。

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アウトドアウェディングのメリット/デメリット(筆者作成)

デメリットで挙げた項目について、補足と対策です。

土地の管理者への使用確認

民地なら管理者に、公園や道路、浜辺などの公地なら所管の官公庁に占用の可否を確認する必要があります。公地の所管が分からない場合は、ネットで検索してみましょう。今回「海岸 愛媛 占用」と検索したところ、すぐに判明しました。ネットで調べても分からない場合は、自治体に問い合わせてみるといいかもしれません。

管理者が判明したら、占用できるか確認です。公共空間は営利活動が制限されることが多く、事業者がアウトドアウェディングを「業として行う」場合は、占用できない可能性があります。私たちのケースは、セルフプロデュースの人前式ということもあり、個人利用の範疇(申請不要)でしたが、披露宴や食事会など不特定多数の人を対象としない(ゲストでないと受益できない)場合は占用のハードルが高いです。

雨対策

松山は雨が少ない温暖な気候で、人前式は1時間程度ということもあり、雨天決行と決めていました。念のためゲスト用のカラフルな傘やテントを品定めしておき、雨になりそうなら購入するよう考えていました。当日晴れたのは、定期的に浜辺のゴミ拾いをしていたご褒美のような気もします。

人前式の後には、すぐそばのレストランで食事会をしました。食事会は、屋外でもケータリングや什器を揃えればできますが、雨対策のテントの準備や会場転換が大変なので、セルフプロデュースの場合はおすすめしません。今振り返ると、晴れの日に長時間屋外にいるのは想像以上に体力を消耗するので、そういう点でも屋内にしてよかったです。

事前準備

アウトドアウェディングは会場や演出などを一から考えることになるので、専門事業者にお願いするのも一つの手です。松山にも専門の事業者がいます。地方都市でも諦めず、探してみることをおすすめします。

セルフプロデュースする場合は準備期間と気合が必要ですが、終わった後の達成感は最高です。私たちは開催の3ヶ月程前から焦り始め、週末はもちろん、夜中まで作業することもしばしばありました。

アウトドアウェディングの感想

ゲストから、こんな言葉をかけられました。

「結婚式は一生の思い出だけど、結婚式場だと後日入ることはできない。アウトドアウェディングは、いつでもまた来られるところがいい。思い出の場所には、何度も訪れたい。」

「私は子どもの頃から近所に住んでるけど、この場所に価値があると思ったことはなかった。今日、初めてここがいい場所だと思った。」

「結婚式ほど笑顔溢れるイベントは他にない。そんなイベントを浜辺ですることで、近所の人もほんわかした気持ちになるのでは?ちょっと誇らしいと思う。」

私たちやスタッフ含め、ゲスト全員がアウトドアウェディングは初めての経験でしたが、非日常の体験に大満足でした。

今でも、会場となった浜辺は散歩コースで、定期的にゴミ拾いをしています。アウトドアウェディングをしたことで、まちに対する思い入れは強くなりました。

余談ですが、浜辺でゴミ拾いをしているとき、散歩中の高齢者から「ありがとう!」と声をかけられたことがありました。「なんでありがとう?」とキョトンとしましたが、後々「この浜辺を自分の居場所だと思っているから」だと気づき、このまちで暮らすことを嬉しく思いました。

アウトドアウェディングは「まちと繋がる」「まちの魅力に気づく」きっかけにもなるのではないでしょうか。あなたのまちでも、ぜひ。

all photo by AHAHA PHOTO STUDIO(Other than special mention)

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