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ビバ・メヒコ! アートとパブリックスペースの美味しい関係、メキシコシティ学生旅行記

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Photo by Ayano Kumazawa

Hola!! 約3カ月のブランクから華麗に復活、学生ライター2号の熊澤綾乃です。ご無沙汰しております! 私事ですが、人生一度きりの卒業設計に注力したり、大阪の某建築家事務所で1カ月アルバイトしてみたり等々、なかなか充実した春休みを過ごしておりました。

そんな中、いちばん刺激的だったのはやはりこの卒業旅行でしょう! 愛とアートに溺れる楽園! メキシコ合衆国の首都、メキシコシティに行って参りました〜、どーん!!

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Photo by Ayano Kumazawa

今年に入ってANAが、成田=メキシコシティ間の直行便の運行を開始。毎日1便飛んでいるので、旅行の日程も組みやすくなりました。東京から約12時間のフライトで到着です。

まず驚いたのは、空港と市街地エリアの近さ。メキシコシティは標高2250m(富士山の5合目!)の高山にある小さな町。着いてすぐ、空気の薄さに気付きます。かつて広大な湖だったその土地は、13世紀にアステカ人が開拓をはじめ、独自の文化を築きます。その遺跡がこのピラミッド!

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空気はさらに薄くなる…… Photo by Tamaki Yoshimura

ソトにアートがある生活

その後、16世紀にスペインに侵略され、今も残るヨーロッパ風の街並みがつくられます。19世紀に独立を遂げ、1911年の革命をきっかけに、ディエゴ・リベラ、ダビド・アルファロ・シケイロスをはじめとする芸術家たちによって、メキシコの文化と歴史を啓発するための「壁画活動」が広まります。

街を歩けばそこかしこに、壁画、壁画、壁画! 生活の中にアートという存在が当たり前のように溶け込んでしまっているのです。

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Photo by Tamaki Yoshimura

高層マンションを囲う壁にも……

壁画

Photo by Ayano Kumazawa

集合住宅の壁も一面絵でいっぱい。

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Photo by Moe Itaya

家の壁もみんな、ピンク、グリーン、ブルーと、カラフルなものばかり。日本の街並みで、壁一面や大きな面積に、こんな鮮やかな色が堂々と使われるることはあまり見かけませんよね。馴染みのない空間でしたが、ここまでたくさん連続して並んでいても、いやだからこそ? 趣味の悪さや酔いのような感覚は全く感じません、不思議!

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Photo by Ayano Kumazawa

きみたち自由だねえ。

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Photo by Ryuta Fuji

カラフルな家の山が……。

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Photo by Ayano Kumazawa

都市から消えゆく「風景」がある街、それ自体がアート作品のよう

色とりどりの街並みを背景に、路上でサッカーをして遊ぶ少年たちや、即興で演奏会を開くおじさんたち。そこかしこに日本の都市から失われてしまった「風景」が見られるメキシコシティは、それ自体がまるでアート作品のよう。

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Photo by Ryuta Fuji

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Photo by Ryuta Fuji

アートに馴染んだ街の住民は、パブリックスペースを使うプロ!

このように、隙間さえあればアート作品で埋め尽くされてしまうメキシコシティのパブリックスペースは、ある意味、すでに個人の好きなように使われてしまっているとも言えるからでしょうか。基本的に何をしても許されそうな雰囲気があります。

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Photo by Ayano Kumazawa

休日は家族で過ごすのが当たり前。広場にはたくさんの人が集まり、昼寝をしたり、楽器を弾いたり、風船で遊んだり、みんな思い思いに楽しんでいます。規制する立場のお巡りさんたちも、何だかぼんやり休日気分。

ちょっとの「雑さ」が魅力的

ある程度広い路上には、ほとんど必ずと言っていいほど屋台がひしめき合っていました。写真のような荷車式のものもあれば……

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辛いもの好きには天国でしかない Photo by Ryuta Fuji

このように、布を張ってお店を出すスタイルも。

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メキシコテント1
メキシコテント2
メキシコテント3
メキシコテント4 All photos by Ryuta Fuji

ほとんどロープと布だけで空間ができています。布の種類も、テカテカした素材からギンギラギンなもの、赤、青、黄色など色まで多種多様。もともとその場にあった電柱や街路樹、電線を巧みに使いこなしながら、路上に即席で人々のたまり場ができてしまう。

日本で見られる仮設空間に比べて、この手探り、即席感、その場限り感あふれる、言ってしまえば「雑さ」のような要素が、ローカルで生活感あふれる親密な雰囲気づくりにつながっているような……? きっと無計画でデザインの意図なんて働いていないはずなのに、なんだかかっこいい。もしかしたら、アーティスティックな街の風景が、人々の感性を意図せず育て上げているのかもしれません。

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