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子供からおばあちゃんまで雲の下に座ればわくわく! 市民がつくって運営する広場が松山・道後温泉に誕生

3月18日、愛媛県松山市にある道後温泉の別館「飛鳥乃湯泉」の中庭に、大きな「雲」が浮かび上がりました。

浮かぶ雲を追いかけて走る子供たちや、それを見守るご近所さん。雲の下で市民が綿菓子やゆでたまごを販売し、観光客がそれを食べながらくつろぐ。そこにいるすべての人が笑顔になる広場の誕生です。

長さ約9m、幅約7mの大きな雲は、ナイロン製の袋にヘリウムガスで膨らませた風船を詰めて浮かばせたもの。昨年11月から月1で開催したワークショップで、市民が雲の浮かばせ方やその下に設置する机や椅子のデザインを考えてきました。

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雲の中にはみんなで詰めた風船が沢山入ってます。風に揺れながらふわふわ飛ぶ様子を見ている人も Photo by 松山アーバンデザインセンター

このプロジェクト「街の中の雲」は、公・民・学が連携するまちづくり拠点である「松山アーバンデザインセンター」の仕掛けで実現しました。同センターは2017年、「移動する建築」と名付けた都市設計コンペを開催。そこで最優秀賞と特別審査委員の内藤賞に選ばれた提案が、形になったものです

観光地に地域の人たちの拠点を

「街の中の雲」の特徴は、市民自らが観光地としてのおもてなしに参加できること。広場づくりのワークショップでは、雲を浮かせる実験として、雲をうちわで扇いだり、おでんの熱を使ってみたり、ヘリウムガスで膨らませた風船を詰めたりと、子供たちの発想に参加者みんなが笑顔になりました。机や椅子のデザインを描いたときには、子供たちが机を離さず持ち帰りたがるほど。

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子供たちにとっては自分がデザインした誇らしい机と椅子 Photo by 松山アーバンデザインセンター

雲の下に座れば「あそこのごはん屋さんは美味しいよ」「道後温泉に来たらこの湯に入らないと!」──そんなコミュニケーションがきっと生まれる。地域の人との交流を通して、観光客ももっと街を知ることができることでしょう。

今後は市民が中心となって、雲の下で綿菓子やゆで卵の販売、イベントなどを開催し、運営していく予定です。

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机の中央の穴には、卵の殻を捨てることができるなどの工夫も Photo by 松山アーバンデザインセンター

変化を受け入れることで空間づくりがより楽しくなる

バンバタカユキさん

「街の中の雲」を提案・設計した、建築家のバンバタカユキさん Photo by Yurie TSUCHIYA

「街の中の雲」の設計者である建築家のバンバタカユキさんは、この企画を練る中で、建築のデザイン自体を考案することよりも、人の関わりをどう生み出せるかを考えたそうです。

ご自身が小学生の時、秘密基地をつくる過程で喧嘩中の友達とも仲良くなれた経験から、建築のみんなで完成させるところに面白さを感じたそう。今回も、市民がどのようにこの空間づくりに関わることができるかという点にフォーカスしました。

「高度経済成長期に比べて時代が多用化し、様々な価値観を持つ人がいる中で、みんながひとつになるためには、楽しさが大切」

そうして迎えたお披露目会当日。リハーサル時よりも強風でした。

「もし、雲が風であおられて下に沈んできても、浮き沈みの動きがあって、それはそれで楽しいかな」

変化を受け入れることが、楽しさをつくるポイントかもしれません。

「街の中の雲」は市民が運営することで、観光客や市民同士のコミュニケーションが生まれる空間になりました。その先にバンバさんが目指すのは、広場づくりを通して市民の地元への愛を育てること。

「教育に力を入れる松山市で子供たちの記憶に残る街づくりをしたいと思いました。今回の企画を通して、子供たちが大人になったとき帰りたくなる街、かっこいいと誇れる街になってほしいと思います」

住む人がいるところが街。その街に観光に来る人たちを市民がおもてなしをすることで、自らも街の良さを再発見できる。「街の中の雲」は、まさに地域愛を育てる空間です。この企画に参加した子供たちが松山市を離れることがあっても、ここで育んだ地域愛があれば、きっといつか地元に帰ってくる。そして、地元に帰るほどの愛着を持つ彼らが、より街を育てていく。「街の中の雲」をきっかけに、松山市民の地域愛が様々な方面で広がっていってほしいと思います。

Cover Photo by 松山アーバンデザインセンター

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