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ハバナ旧市街の路上アクティビティとは? 米国交正常化で変わりゆくキューバの首都を歩く
2015年に半世紀ぶりに米国との国交正常化に踏み出した、中米の島国キューバ。旅行会社H.I.S.がクラシックカー体験などをパッケージにした「WILD CUBA! 男旅 in キューバ」を打ち出すなど、日本でも注目が高まっています。
その首都ハバナの旧市街は、スペイン植民地時代の都市の骨格やコロニアル様式の建築を色濃く受け継ぎ、多くの旅行者を魅了してきました。1982年にユネスコの世界文化遺産に指定。政府は観光産業の中核として保全と開発のバランスを図りながら、段階的な整備を進めています。
面積2km2余りの旧市街は6万人以上が肩を寄せ合って暮らす生活の場でもあり、住民の暮らしぶりがそこかしこににじみ出ています。筆者が研究調査で現地入りした際の写真をご紹介しながら、ますます観光地化が進む現状とどのように共存しているのか見ていきましょう。
大道芸は登録制で適切に管理
旧市街には5つの広場があります。16〜17世紀にかけて街路と合わせて徐々に整備されました。
冒頭の写真は、5つのなかで一番古く、ハバナの起源となる聖木がある「アルマス広場」。週末ともなると中心部を囲むように路上本屋が出没します。また、この広場に面して旧総督邸を活用した市立博物館があり、その前庭は大道芸の即席ステージとなっていました。
ハバナ旧市街の整備や管理は、ハバナ市歴史官事務所(Oficina del Historiador de la Ciudad de La Habana:OHCH)という政府組織が大きな権限を持って担当しています。一見自由に活動しているように見える大道芸人たちですが、旧市街内で活動するにはOHCHの許可証が必要となります。レストランで演奏するミュージシャンなども基本的に許可を受けています。こうしたソフトも観光資源とみなして、クオリティを保つのが狙いの1つです。もちろん、観光客が落とす外貨へのアクセスを厳しくチェックする目的もあります。
残りの広場の様子も見ていきましょう。それぞれに特徴があり、人々のアクテビティにも違いがあります。
セミパブリックな路上空間
旧市街には5つの広場に加えて、建物がセットバックして道幅が広くなった場所が14カ所あります。これは「プラスエラ(plazuela: 小広場)」と呼ばれ、17〜18世紀に建設が進んだ大型の教会など、公共施設の前に設けられました。街区ごとの商業拠点として機能していたとの記録が残っています。
そもそも熱帯の国キューバ。旧市街の古い建物にはエアコンも十分普及しておらず、扉は風通しの良い格子戸がほとんど。家の外と中の境界線があいまいです。
夕方になると玄関脇に座って夕涼みをしながら、ご近所と会話。路上に卓を出し、ドミノに興じる大人の男性たち。
子供たちも走り回ります。自動車の通行が制限されている旧市街では、路上は絶好の遊び場です。
米国からの定期便も飛ぶ様になったハバナでは、空前の観光ラッシュを迎えています。こうした光景はすでに過去のものかもしれません。もしキューバに興味があれば、お早めにどうぞ!