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子どもの水遊び場が老若男女のオアシスに!駒沢オリンピック公園「ジャブジャブ池」

今日は天気もいいし、外でゆっくりお気に入りの本でも読みながら日光浴したい、そんな気持ちになったときに気軽にいける広場や公園ってなかなか身近に存在しないなと感じることがよくあります。

近くの公園は子連れ用の遊具が設置されたファミリー向け、駅前の広場も催事やイベントが開催され騒がしく落ち着かない、ヨーロッパやオーストラリアでは都市の中に老若男女が思い思いに余暇を過ごす広場や公園が当たり前のように存在する姿を目にするのに、なぜ自分の身近にはそんな場所がないのだろう。

そんな窮屈さを抱えていたとき、新しくなった駒沢オリンピック公園の「ジャブジャブ池」に出会いました。

この水遊び場は、古くから近隣住民の子どもたちに愛されてきましたが、2018年8月のリニューアル工事によって、子どもだけではなく居合わせた大人や散歩中のカップルなど老若男女・様々な人々が気軽に立ち寄り居心地よく過ごせる広場になっています。そこには、単一の目的やライフスタイルのためのものではなく、多種多様な人々を受け入れ、それぞれが同居しながら誰もが居心地よく過ごせる本来の公園のあり方のヒントが詰まっているように感じました。

ここでは、その空間づくりの工夫やポイントについてみていきたいと思います。

(ソトノバ・スタジオ|ソトノバ・ライタークラス1期生の卒業課題記事です。)


くつろぐ人々の視点を中心の水辺に集める円形劇場空間

以前(2008年)のジャブジャブ池は、複数の水辺が小川でつながっており、訪れる親子が思い思いの場所で遊ぶ構造でした。周辺も簡易ベンチが数点設置されているだけで、あくまでも水の中で遊ぶことだけが中心の設計でした。

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2008年当時の「ジャブジャブ池」 出典:http://www.elite-innblog.com/blog/2008/07/post_28.html

2018年のリニューアル工事を経て、このジャブジャブ池エリア一帯は新たに設置されたモニュメントとその周りに整備された水辺を中心に、円形に日よけスペース・ベンチ・芝生などの憩いのスペースが展開される円形劇場のような構造に生まれ変わっています。

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モニュメントを中心に円形に展開される、日よけやベンチ・芝生などのくつろぎスペース

この円形劇場構造によって、訪れる人みんなで中心の水辺でたわむれる人々を温かく見守る形が生まれ、エリア一帯に緩やかな共感が醸成されています。

また、人々の視線が中心に集まることで、横に居合わせる人との視線が合わずに、互いのプライバシーを干渉しない心地よい距離感を保てています。

周辺環境と緩やかにつながるコンコース。訪れる人を気軽に受け入れるオープンさ

リニューアル前のジャブジャブ池は駒沢公園全体から区画分けされ比較的クローズドな空間でした。リニューアル後は、エリアの様子が周辺からも見えるオープンな植栽環境に仕上げられています。

また、周辺環境とつながる緩やかなコンコースを用意することで、たまたま近くを通りかかった人々や、散歩中の大人やカップルなども気軽に立ち寄り、芝生などでゆっくり日光浴をする姿が見てとれます。

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周辺の環境と繋がる緩やかなコンコース・日光浴を楽しむ人々

通りかかった老若男女がふらっと立ち寄り、寝そべり、くつろぐ。緩やかなコンコースがエリア一帯に、誰もが入りやすいオープンさを生み出す効果を生んでいます。

また、このオープンさにより、様々な人々の目がエリア内に行き届くことで、水辺で遊ぶ子どもの見守りや環境自体の維持管理にも良い効果を与えています。

民間運営のカフェとの一体化!おいしいフードやドリンクをテイクアウトで持ち込める

「ジャブジャブ池」エリアの隣には、「Mr.FARMER」という民営のカフェ・レストランが併設されています。この「Mr.FARMER」は都立公園で初めて都市公園法に基づく「設置管理許可」を受けたレストランカフェで、近隣農家で収穫された有機野菜をふんだんに使った料理などを提供すると共に、生産農家のファーマーズ・マーケットや食育イベントなども開催し、周辺の地元住民に愛されています。

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Mr.FARMERのテイクアウトコーナー。奥へ進むと「ジャブジャブ池」エリアへつながる。

この「Mr.FARMER」と「ジャブジャブ池」はテイクアウトコーナーを介してつながっており、オーガニックドリンクなどを購入し、水辺にそのまま持ち込める関係になることで、公園にも関わらず民間提供の高品質なテイクアウトサービスが楽しめ「ジャブジャブ池」エリアでの滞在の質がさらに高まっています。

一体的なハード・ソフトの設計により、訪れる人みんなにウェルビーイングな空間を

いかがでしたでしょうか?

人々の視線をひとつに集める居心地のよい円形劇場設計、周辺を訪れる人が気軽に立ち寄りやすいオープンなコンコースと芝生などのランドスケープ・デザイン、公民連携の仕組みを活用することでエリアにもたらされるおいしいフードやドリンク。それらを通じて「ジャブジャブ池」は子どものための水遊び場から、大人も子どもも滞在すること自体が心地よい、ウェルビーイングなオアシス空間に生まれ変わりました。

ハードとソフトの設計・制度活用、すべてを連携させ、訪れる人誰もがくつろげる時間を実現することに向かっていることが、この空間の居心地の良さを生み出しています。

週末の昼下がり、気の合う仲間や友人と「ジャブジャブ池」を訪れるのはいかがでしょうか?

水辺を見ながらおいしいドリンクを片手に友人と語りあい、日光浴を楽しむ。

ここ、駒沢オリンピック公園「ジャブジャブ池」には、誰にも優しいオアシスのような居心地よい時間が待っています。

Photo by Hidetaka SEO
テキスト:Hidetaka SEO

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