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ベトナム・ハノイの旧市街を歩いて気付いた、ソトに活気がある理由

なんで日本よりベトナムの方が活気があるように見えるんだろう?

どうやったら日本のまちは楽しくなるのかと日々考える、学生ライターの三栗野です。3月に大学の語学プログラムで約2週間、ベトナム・ハノイで過ごしました。首都ハノイの生活を満喫しつつ、日本との違いをずっと考え続けていました。

疑問に思ったら即行動派の私は、現地の仲良くなった学生さんに聞いてみたりもしました。そこから見えたベトナムのまちから学ぶべきことはたくさんありました。自分なりにベトナム・ハノイの屋外空間についてレポートしたいと思います!

観光名所が歩行者天国、豊かな緑と大通りの開放感

留学中の土日、現地の学生がハノイの観光名所に連れて行ってくれました。その1つが、ホアンキエム湖。ハノイ旧市街にある、豊かな緑を持つ湖です。1周約2kmの遊歩道となっていて、ベトナム市民の憩いの場として親しまれています。

湖の外周には周回道路があります。平日は車が走っているのですが、観光客があふれるのを防ぐためでしょうか、週末には歩行者天国になります。3車線分ほど広くなった空間を歩くと、とても開放的な気分です。

歩行者天国になった道路では、あちこちで面白いアクティビティが見られます。

まず目を引くのは、流行の「ミニセグウェイ」! 安く借りられるのです。もともと車道なので、走り心地は最高。周りを見てみると、子供たちが乗り回しています。歩行者空間なので親も安心。親子で楽しめる場になっていました。

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普段は自動車で埋まっている道。休日には、開放的な歩行者だけの空間になります


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「ミニセグウェイ」に挑戦する子供たち、怖いもの知らず! 乗りこなすのも圧倒的に早かった……

観光者も現地人も巻き込むトラディショナルゲーム

ホアンキエム湖周辺の歩行者空間では、他にもさまざまなアクティビティがありました。例えば平和を訴える写真展や、伝統的楽器の弾き語りミニライブ。

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歩行者に開放された路上で開くミニライブ。民族衣装を来て、伝統楽器を披露します

特に楽しかったのが、夕方から開催の「トラディショナルゲーム」です。

トラディショナルというのでベトナムの伝統的なゲームかと思ったら、そうとも限らず、ダブルタッチやバンブーダンスといった参加型で身体を使うアクティビティでした。

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バンブーダンス。子供からはじまり、若者、しだいに大人たちも参加

最も白熱していたのが「綱引き」です。人種を問わず大勢の観光客や現地人の人が参加し、スタートの合図とともに一斉に縄を引きはじめます。勝っても負けてもお互いに「お疲れ様」と称えあうジェスチャー、言葉の壁なく盛り上がることができるトラディショナルゲームの素晴らしさです。分かりやすく気軽に参加できるアクティビティは、老若男女、地元民も旅行者も分け隔てなく、幅広い層を引き込む力があることを実感しました。

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白熱の綱引き。ルールは引くだけ! 負けそうになると人が加勢してきて、逆天勝ちも!

緑に恵まれたソト好きのベトナム人

日本に留学したことのある学生さんに「日本とベトナムどっちが好き?」と聞ききました。するとある子は、こう答えます。

ベトナムに住んで、日本に旅行に行きたい。なぜなら日本は綺麗だけど、ベトナムの方が緑があるから。

確かに亜熱帯に属するハノイには、日本の都市に比べて至る所に緑があふれています。訪れた時期も、暑くもなく寒くもない程よい気候で、外を歩きながら心が癒される思いでした。

こうした木々の存在が、「散歩したい」とか「ソト歩きたいな」という気持ちにさせてくれ、ベトナムの人たちがソトで過ごすことにつながっているのではないかと思いました。

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緑あふれる旧市街

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まちなかの柵にも緑のアート。ここがちょっとした撮影スポットに

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旧市街の店の前。夕方以降、プラスチック製のイスで埋め尽くされます

私が2週間のベトナム滞在で語学以外に学んだことは、
・身体を使うシンプルなアクティビティの「巻き込み力」
・緑がソトにあると、それだけで歩いてみたくなる
・自然は常に変化しているので、人の心にも変化を与える
ということなのかなと思います。

ベトナムの人々がもともとソトが好きだからこうしたアクティビティが発展したのか、アクティビティがあることでソトに誘い出されているのか。どちらが先かは分かりませんが、こうした要素があってまちなかがにぎわっているのだと感じました。気候が異なる日本では難しいところもあるでしょうが、こういったものを意識して、参考にしていければと思います。

All photos by Suzuna MIKURINO

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