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リバー・ウォーターフロント|水辺

河川空間の魅力を五感で感じる!名古屋の堀川アクティビティ

名古屋に所縁のある人なら、一度は耳にしたことがあるであろう河川の名前––堀川(ほりかわ)。その名前を聞いて抱く印象は、それぞれに異なるかもしれません。

幼いころ堀川周辺で遊んだ思い出がある人もいれば、ヘドロを想像して近寄りたくもない人もいるでしょう。

堀川で水上アクティビティを楽しんだことがある人ならば、すでに堀川ツウ。

この記事では、名古屋の近代発展を支えた堀川の歴史を振り返りつつ、全国で注目を集めている河川空間の魅力と水上アクティビティを紹介します!

名古屋の発展を支えた、かつての堀川の役割

名古屋市内を縦断する堀川は、江戸時代初期の名古屋のまちが形成された時代に名古屋城から熱田区(名古屋城のある中区と港区の間)までの区間を掘削してつくられた人工河川です。

木材をはじめ、米や塩といった物資が運ばれ、堀川での舟運が名古屋の初期の発展を支えてきました。また、川沿いには質桜や梅が多く植えられ、人々の憩いの場としても使われていたようです。

しかし舟運が衰退し、都市化と共に水質悪化が進行すると、自己水源が少なく水流が緩やかな堀川では、汚染物質が堆積し、ヘドロの発生や異臭が問題となりました。

それにより堀川に面する建物の多くは川に背を向け、人々の生活から堀川は徐々に遠ざかっていきました。

しかし、時代が進むにつれ下水道処理の見直しや様々な浄化施策が行われ、近年、堀川の水質は格段に向上してきました。

依然と地元では堀川に対する悪いイメージは払拭しきれていないものの、様々なアクティビティを楽しむ人の姿が見られるようになっています!

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堀川と周辺の位置関係(出典:名古屋市ホームページ)

アクティビティ① なやばし夜イチで堀川を眺める。

堀川を眺めながらソトを楽しむ方法といえば、毎月第4金曜日に開催される、「なやばし夜イチ」が人気です。

堀川中心部に架かる納屋橋(なやばし)の周辺で日本酒まつり、ビールまつり、コーヒーまつりなど、各回異なるテーマで露店が並び、その他にもダンスやワークショップなど、様々なアクティビティで堀川周辺が活気づきます。

納屋橋周辺は、遊歩道や小さな広場が整備されていますが、「なやばし夜イチ」の晩は川沿いの公共空間が埋め尽くされるほど多くの人が訪れます。

そのため実行委員会が周辺のコインパーキング等にもテーブルやイスを設置し、無料で開放しているため、思い思いの場所で滞在することができます。

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川沿いを露店が埋め尽くす雑多な様子は、異国情緒漂うナイトマーケットのよう。(Photo by Takahiro Konaka)

通常は、16時から開催される「なやばし夜イチ」ですが、3月には拡大版として土曜の昼間から日本酒まつりが開催されました。桜並木を楽しみながら、お目当ての日本酒を吟味する人々の様子が印象的でした。

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昼間は花見をしながら日本酒まつり!(Photo by Kunika Mizuno)

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納屋橋の遊歩道の様子。多くの人が行き交います。(Photo by Kunika Mizuno)

アクティビティ②屋形船やゴンドラで堀川を移動する。

堀川では「東山ガーデン株式会社」の屋形船や、NPO団体「ゴンドラと堀川水辺を守る会」のゴンドラが定期運航しています。

このゴンドラは、ベネチアで実際に使われていたものを使用しているそうです。

堀川の水上で風の冷たさを感じたり、橋の裏を覗いたりすることができるのは、水上交通の醍醐味です。

ちなみに著者は、3月に実施された「春の堀川 お散歩クルーズ」で屋形船に乗船しました。堀川は市街地の要所を縦断しているため、橋を越えるごとに周囲の建物や雰囲気が移り変わり、名古屋のまちの多彩な顔を知ることができます。

また、納屋橋の上流は円頓寺商店街(以前の紹介記事はこちら「名古屋の商店街にパリの魔法がかかる!円頓寺秋のパリ祭レポート」)にもほど近く、五条橋で降りると徒歩で商店街まで向かうことができます。

お散歩クルーズ開催時は、円頓寺商店街でイベントが開催されていたこともあり、移動手段として屋形船に乗船する人もいました。

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ベネチアで使われていた立派なゴンドラに乗って優雅に堀川を移動します。(Photo by Kunika Mizuno)

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屋形船は子どもから大人まで、船から見えるソトの景色に興味津々です。(Photo by Kunika Mizuno)

アクティビティ③SUPを漕いで、自分だけの堀川を探しに行く。

SUPとは、“Stand Up Paddleboard”のこと。マリンスポーツとして有名ですが、都会の自然や景色を楽しむ手段としても人気が高まっています。(ソトノバSUP関連記事はこちら

SUPをする人は俗に「SUP族」と呼ばれ、堀川に魅了され、水上がサードプレイス化(居場所化)している人も多くいます。

他にも、堀川の自走交通手段として、手作りのイカダに乗って堀川を移動する強者も現れているようです。簡単には真似できない方法ですが、最大の魅力は何といっても、自分しか知らない堀川の魅力を見つけられること。

橋の下に隠されたような巨大な管を発見したり、美しい水面の輝きに魅了されたり、護岸の継ぎ目から繁茂する植物に驚いたりと・・・都会のジャングルを探検している気分です。

なお、堀川の船着き場は名古屋市あるいは名古屋港管理組合の管理下にあり、利用するには手続きが必要となります。

船着き場以外の公共用地や民地から川に降りることも可能ですが、周辺等に迷惑のかからない範囲で、自己責任で利用しましょう。

堀川には掘削時の名残で、橋のたもとに階段状の荷揚げ場がつくられています。この場所を利用すると、川に降りやすいようです。

誰でも利用できる河川空間ですが、SUPの利用者間では、船が通行するときは右側通行をすることや、すれ違う際の挨拶、飲酒SUPの禁止といったルールが確立されています。個人的に河川を利用するときは、マナーや安全に注意してくださいね。

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SUPに乗ると、護岸に覆い茂る植物が目前に迫ってきます。(Photo by Takahiro Konaka)

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名古屋城に最も近い朝日橋のたもとは階段が整備されており、屋形船も就航します。(Photo by Kunika Mizuno)

アクティビティを楽しみながら、都市河川を知る機会に

日本では都市河川の多くが、人々の日常生活から遠ざかってしまいました。しかし、近年はその反省もあり、ミズベリングのような活動や法律等の規制緩和が進んでいます。

日ごろ都市河川から離れて生活している私たちが堀川に降りると、自然や水辺の景観といった魅力とともに、ヘドロやごみなどの問題も身近に感じることができます。

今回紹介したのは堀川を楽しむ遊び方ですが、都市河川の問題と向き合っていくためにも、非常に大切な取り組みだといえます。

特別な観光ではなく、日常の交通手段として堀川を移動できる日が来ると、もっと身近に堀川に接することができるようになりそうです!

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