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パーク|公園

「もっと手軽にピクニックを!」住民が仕掛ける公園まちづくり@松山

住民の遊びや憩い、緑化、防災の役割がある公園。「ボール遊び禁止」「ペットの散歩禁止」など、規制に縛られているイメージを持つ方も多いと思います。しかし最近は、公園利用者と行政とで利用ルールを検討したり、マルシェイベントが開催されたり、公園を使いこなす動きも生まれています。

そんな中、愛媛県松山市では住民活動として「公園まちづくり」が2017年からスタートしました。コアメンバーは大学生と社会人の2人で、筆者は社会人メンバーです。私たちは、公園を住民にとって暮らしの軸に、まちにとって賑わいの核にするため、様々な人たちを巻き込みながら小さなアクションを起こしています(これまでの経緯はこちら 公園は賑わいの核になる?「おしゃピク」から始める松山の「公園まちづくり」)。

今回は、先日開催したピクニックイベントと、その後変わり始めた公園に関するレポートです。「公園をもっと楽しみたい」と思っている皆さん!公園を取り巻く状況はそれぞれですが、私たちの取り組みが活動のヒントになれば幸いです。

フィールドは、「もったいない」まちなかの大規模公園

私たちが考える「公園まちづくり」とは、公園を住民にとって暮らしの軸に、まちにとって賑わいの核にすること。そのために、公園の新しい使い方を提示することにしました。

活動のフィールドに選んだのは、広大な芝生広場や美術館、図書館を有する「城山公園」。松山市のターミナル駅から徒歩10分というアクセスのいい場所にありながら自然が豊かで、鳥のさえずりが聴こえます。

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まちなかとは思えないほど広々とした城山公園堀之内地区。松山城のふもとにあり、国の史跡に指定されている。

朝夕はサラリーマンや学生の通勤・通学ルートとして、休日は大規模イベントの会場として利用されることが多いですが、イベントが開催されないときは、人はまばらで寂しい印象です。

「せっかくポテンシャルが高いのにもったいない。」そう思った私たちは、城山公園で公園まちづくりに取り組むことにしました。

「おしゃれピクニック」で公園の印象を変える!

まず最初に行ったのは、誰もが気軽に参加できるピクニックイベント。ピクニックは公園の楽しみ方としてポピュラーで、学校行事など誰しも経験したことがあるはず。中でも、最近若い女性に人気の「おしゃれピクニック」とすることで、話題性を高め、若い世代の情報発信力を活用しようと考えました。

ただ、ピクニックをする際にハードルとなるのは準備。シートなどのグッズを買い揃え、弁当を作るとなると前日から準備する必要があります。手間をかければその分楽しいですが、ピクニック文化が根付いていない現状を考えると「手軽さ」は必須です。

そこで、手ぶらでピクニックできるよう、公園内でシートやトレーなどのグッズを参加者に貸し出すピクニックイベントを開催することにしました。さらに、ピクニックを盛り上げるため、色とりどりのバルーンで芝生広場を飾り付け、フードトラックの出店やヨガ、フォトプロップスワークショップのアクティビティ、そしてコタツも用意しました。

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オーガニックで美味しいサンドイッチが評判の「ルリイロサンド」は、公園内での定期的な販売を目指していますが、定期販売のハードルは高く、今回は実績づくりとして参加しました。

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開始直前に小雨が降り出し、中止かな・・・という雰囲気になったとき、ヨガ講師が傘を使った「アンブレラ・ヨガ」を考案!

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小雨のため、屋台でこじんまり開催したフォトプロップスワークショップ。写真を撮るとき、ついついピースばかりになっていませんか?フォトプロップスがあると便利です。

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芝生広場に突然現れたコタツに道行く人も興味深々。熱源は貼るカイロだけでしたが、十分温かかったです。

天候に恵まれず小雨が降ったり止んだりで、肝心のピクニックグッズの貸出しはできませんでしたが、多くの方が立ち寄ってくれました。最後は、近くにいた子どもにバルーンを配って終了。公園の新しい可能性を感じる一日でした。

取り組みを進めるうちに、共感の輪が広がりました。近隣の飲食店はブランケットを貸してくれたり、無料キャンペーンを実施してくれたり、塗装屋さんは荷物運搬用に軽トラックを貸してくれました。他にもチラシ配布や備品の貸与など、これらは無償で協力してくださいました。

カフェを巻き込む!ピクニックグッズ貸出スタート

このイベントを契機に、公園内のカフェレストラン「the park M’s coffee」にピクニックグッズの貸出サービスを提案したところ、二つ返事で快諾!私たちは有料・デポジット制の貸出を提案しましたが、店長さんは「お客さんが喜んでくれるなら無料でいい」と太っ腹な回答をしてくださいました。それから、グッズの選定やPR方法の検討を一緒に行いました。

「the park M’s coffee」は、愛媛で知らない人はいない、郷土料理で有名な「かどや」グループが初めてプロデュースしたカフェレストランです。花見の時期に合わせて、2018年3月25日から無料でシート・トレーを貸し出すサービスを開始しました!テイクアウト商品を購入された方が対象で、コーヒー1杯でももちろんOK!

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「the park M’s coffee」の店長・スタッフの皆さん。テイクアウト商品は、ジューシーなホットドック、ふわふわシフォンケーキ、こだわりのカフェメニューなど多数取り揃えています!

「自分が楽しい、みんなも楽しい」で、暮らしとまちを豊かに

ピクニックイベントの後、まちの人から「公園でヨガイベントをしたいんだけど、どうしたらいい?」「公園でパフォーマンスできない?」など、公園活用について声をかけられるようになりました。

公園を使いたい人と公園をつなぎ、自分たちも公園を活用して新しい仕組みをつくる。一つひとつは小さな取り組みでも、積み重ねることで暮らしとまちを豊かにしていきたいと、私たちは思っています。

いつも心がけているのは、自分たちが楽しむこと!「自分にとって楽しいこと」と「周りにとってもプラスになること」のちょうど良いバランスを探っています。

今後も引き続き、イベント情報や公園活用のススメなど、SNSで情報を発信していきます。もしかしたら、あなたのまちの公園を変えるヒントもあるかもしれません。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください!

All photos by Saori MITSUNAGA

公園まちづくり@松山
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