ストリート|道路空間
レポート
3つの工夫で商店街をにぎやかに! プレイスメイキング社会実験@松山
2017年5月、愛媛県松山市の中心部にある商店街に、無料で使えるイスとテーブルを組み合わせた「座り場」が出現しました。
これは、公民が連携して実施する1カ月限定のプレイスメイキング社会実験。まちなかに居心地のいい空間をつくると、まちや人はどう変わるのか? そもそも居心地のいい空間とは? 座り場の効果を検証し、常設を目指す取り組みです。
この社会実験の企画・運営を担当する松山市職員の筆者がご紹介します!
Contents
空間デザインでまちににぎわいは生まれるか?
実施場所は、松山を代表する2大商店街の一つ「銀天街」。
昔から松山市の中核として栄えてきましたが、歩行者通行量はこの10年で約3割減少し、関係者は危機感を募らせていました。
松山市ではまちなかに広場を整備する社会実験「みんなのひろば」を実施中で、空間活用によるにぎわいづくりが注目されていたことや、来街者から休憩スペースを求める声が定期的に寄せられていたことから、プレイスメイキング社会実験を実施することになりました。
実施主体は、松山アーバンデザインセンターや商店街組合、NPO法人、松山市など、公民学で構成される実行委員会です。日建設計総合研究所や地元クリエイターの協力のもと、企画構想から約1年の準備期間を経て、実施に至りました。
この取り組みのポイントは3つあります。
道路空間だけじゃない、商店街の店舗空間も活用!
1つ目のポイントは、公民一体の空間活用。
道路幅員約7.5mのうち座り場として使えるのはせいぜい2.5m程度。これではボリューム感が出せません。そこで道路空間に加え、商店街組合が運営している休憩所の店舗部分と、老舗洋服店のセットバック部分を一体的に使った座り場を2タイプつくることに。
パブリックマインドのある洋服店オーナーは、店前に出していたワゴンを引っ込め、スペースを提供してくれました。ベンチやテーブルなどは、それぞれの店舗スタッフが開店・閉店時に毎日出し入れします。
空き店舗をオシャレに飾れば、シャッター前にも人が集まる
2つ目のポイントは、空き店舗シャッターの活用。
シャッターが閉まっていると、なんとなく寂しい雰囲気になりますよね。マイナスの存在をプラスにできないか?と考え、実施場所となる空き店舗のシャッターで検証してみることにしました。
社会実験を始める約3週間前、社会実験の告知を兼ねて巨大なブラックシートを貼りました。あえてオシャレなものをと、ブラックシートに白地のデザイン。初めての試みに、道行く人が二度見していきました。
社会実験実施中は、木製の単管でユニットを設置しました。棚には、誰でも本を持ち込んだり持ち帰ったりできる「シェアライブラリー」や、意見ブースを。
意見ブースは「まちなかで何をしたい?」というテーマに対し、自由に意見を貼ることができるシステムです。10歳代〜20歳代にウケが良く、週に一度の回収では間に合わないほどに。「デート」や「ヨガ」など、中には「プロポーズ」という意見もありました。
まちなか空間を考える! 市民グループを結成
3つ目は、まちなか空間について考える市民グループの結成です。
実行委員会のメンバーはいわゆるプロたち。普段まちなかに来ている人のリアルな声を集めるため、地元クリエイターに運営を依頼し、市民を集めたワークショップを開催しました。
参加者は、デザイナーや飲食関係者、学生など約30人。座り場のネーミングやロゴ、座り場のアイテムなどをみんなで検討しました。
この社会実験は、多くの人の協力で成り立っています。新たな輪が生まれたり、一緒に汗を流すことで関係者の絆が深まったりと、まちのにぎわい以外の効果も期待されます。
社会実験終了後は、通行者の動線調査などの定量評価・アンケートなどの定性評価を踏まえた上で、常設化を検討する予定です。
どのような結果になるのか筆者も期待と不安でいっぱいですが、効果検証や今後の取り組みについては改めてご紹介します。松山のまちなか空間がどう変わるか、ご期待ください!
Cover photo by Yoshihisa OYABU
銀天街まちなか空間活用実験
期間 | 2017年5月20日(土)〜6月18日(日) |
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場所 | 松山市湊町4-7-15付近(銀天街商店街内) |
主催 | 銀天街まちなか空間活用実験実行委員会 |
事務局 | 松山市役所 都市デザイン課 |
ウェブサイト | 銀天街まちなか空間活用実験 松山市ホームページ |