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レポート
イベントレポート:「横浜市都市デザイン研究会」で語られた「パークキャラバン」がまちや人に与えるもの
横浜市都市整備局都市デザイン室主催の都市デザイン研究会。もともと横浜市役所の庁内向け研修ということでオープンにはされていませんでしたが、ここ最近は一般の方も聴講できる回も設けておられます。特に最近は、近年「つくる」から「使う」という視点にシフトしてきた公共空間について、どう使っていくかということに着目し、さまざまなゲストの方を招き開催しているとのことです。
そんな都市デザイン研究会の第21回目が、3月7日(月)横浜開港記念館において、公開で開催されました。今回のテーマは「小さく楽しい、公園革命」。そう、ソトノバでも以前にレポートした「パークキャラバン」を仕掛けるNPO法人ハマのトウダイの共同代表・岡部祥司氏がお話すると聞き、我々ソトノバも行ってまいりました!
会場がほぼ満席という盛況ぶり。今、注目のプロジェクトです。
遊ぶ・学ぶ・働くに変化球を与え地域をもりあげる集団、ハマのトウダイ
まずは、パークキャラバン仕掛けるNPO法人ハマのトウダイについてのお話。
「既成概念に支配されずに、地域を照らすトウダイになりたい」という理念のもと立ち上げられたハマのトウダイは、「●●をジブンゴト化する人をつくろう」をモットーに、現在4つの事業を行っています。
①放課後キッズスクール事業
②地域の青年たちとキャリア教育や中小企業とのつながりをつくる事業
③パークキャラバン
④地域商店街を活性化する事業
これら4つの事業は、日常の遊ぶ・学ぶ・働くにちょっとした変化球を与えることで、あたりまえを楽しくし、価値を与える取り組みです。
そして、もう一つ特徴的と言えるのが、ハマのトウダイは、横浜青年会議所(横浜JC)のOBの方が集まり立ち上げられたということ。横浜で活躍する様々な分野の中小企業の方が集まっているため、一見難しそうな事業も、お互いの強みを活かし協力することで、スピーディーに話が進んでいくのです。
さて、そんなハマのトウダイの合言葉は「妄想したら即実行」。岡部さんは、「大きくやっていくことも大切だけど、小さいことをやっていくこと、とりあえずやってみる」ことが大切だと話します。
期待高まる、パークキャラバンからみる「次世代公園活用手法」
ここからはパークキャラバンのお話を詳しくご紹介します。
公園を使う中心的世代ともいえる子どものパパでもある岡部さんは、「子供と公園に行っても、ついスマホを見ちゃうんですよ。で、他のお父さん見てみてもみんなスマホみているんだよ。」と、自身の実体験から公園でなにか面白いことできたらいいのにと考え、パークキャラバンに至ったとはなします。
―公園愛護会だからこそ広がる公園活用の幅の広がり
そこで、ハマのトウダイが最初に動いたのが公園愛護会の結成でした。横浜市では、公園愛護会の制度のもと、公園の管理を地域住民にお願いしています。愛護会の活動は主に清掃や公園施設の見守りが基本ですが、イベント開催、雑木林の管理・活用などの活発に活動している例もあり、公園愛護会という組織のもと企画をすれば、幅広い活動ができることに目を付けたのです。
とはいえども、あくまで街区公園は地域のための公園。パークキャラバンの実施にあたっても、地域の方の協力が得られていることがなにより必要であるといいます。このようにパークキャラバンは、主催を地元愛護会、共催ハマのトウダイという形をとることで、実現に至っているのです。
―パークキャラバンから気づかされた公園がもつチカラ
パークキャラバンでは、これまでに公園でキャンプやアウトドアリビングなどを実施しています。
そんなパークキャラバンといえば、みどり鮮やかに張られた人工芝が印象的です。その場に来た人は、みんな裸足になって芝生の上を歩き、寝転がります。開放感から、ついついくつろぎたくなる仕掛けは、身近な公園に滞在するきっかけとなり、その魅力を再発見する時間を提供しているのかもしれません。
さらにおもしろいのが、このように一つの場所に集まることで新たなコミュニティが生まれるということ。普段、同じ地域で生活していても挨拶することさえない人通しが、一緒クッキングをする光景がパークキャラバンでは見られます。例えば、保土ヶ谷のパークキャラバンでは、野菜の切り方や、炒める手順など、蕎麦屋のおじちゃんが先生になって、カレー作りがなされていました。こんなふうに、住民による住民通しのワークショップが知らず知らずのうちに始まるのもパークキャラバンの魅力なのです。
この実現にあたって、「住民に公園でワクワクや魅力を感じてもらうこと」と、「ワクワクは通用しない行政協議」のやりとりをいかに変換していくかがハマのトウダイの役目だと岡部さんはいいます。
展開されていくパークキャラバン
さて、斬新な取り組みを続けるハマのトウダイですが、当日会場からは「どうしたら、このような面白いアイディアが次々と出てくるの?」なんていう質問も。これに対し岡部さんは「アイディアは既存のものと既存のものの掛け算」と話しておられました。
そう、まさにパークキャラバンでの一日限りの公園キャンプも、「公園でキャンプできた、一晩泊れたら楽しいかも?」なんて妄想を、防災などをうまく利用することで実現につなげておられます。
現在、ハマのトウダイでは、企業や団体と協力しパークキャラバンを企画しているとのこと。先日3月17日には横浜市都市整備局の社会実験として横浜市役所庁屋上でのアウトドアオフィスも実施されました。暖かくなってきたこれから、公園だけでなく、まちの隙間を活用し取り組みを続けるパークキャラバンに注目です!