「書く」ことの価値を問い直す、AI時代のメディア論|ライタークラスリニューアル記念トーク
個人がSNSやnoteで気軽に情報を発信できる時代、そしてAIが文章を自在に生成する時代。パブリックスペースに特化したWEBマガジンとして2015年に誕生したソトノバは、11年の歴史の中で950以上の記事を蓄積してきました。いま改めて「ソトノバで『書く』こと」には、どのような意味があるのでしょうか。
2026年5月9日、「リニューアル記念トークイベント!ソトノバ・ライタークラス2026ガイダンス」がオンラインで開催されました。イベント前半の内容は、今春リニューアルしたソトノバ・ライタークラスについてのガイダンス、後半はリニューアルを記念したトークセッションです。
本記事では、「いま、ソトノバで書くことの価値とは」「AI時代のライティング・情報発信とは」という2つのテーマをめぐるトークセッションの内容を中心にお届けします。
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パブリックスペースの活動や事例を自ら発信しよう!ソトノバ・ライタークラス2026 – ソトノバ | sotonoba.place
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Contents
ライタークラス2026のリニューアル ── フルオンデマンド化で学びやすく
トークセッションに先立ち、ライタークラス講師の中野竜さん(ランディクト代表/大妻女子大学非常勤講師/ソトノバ編集部・副編集長)とチューターの板東ゆかりさん(ソトノバ・ディレクター/ソトノバ編集部)から、ライタークラス2026のカリキュラムが解説されました。
今年の最も大きな変更点は、講義のフルオンデマンド化です。受講者が自分の好きなタイミングで視聴できる形式になり、社会人や遠方の方でも参加しやすい設計になっています。
フルオンデマンド化する講義部分とリアルタイム開催の中間報告会のスケジュール感について解説する中野さん(発表スライドより)
ソトノバの記事がどのようにつくられているかについても共有がありました。ライターが執筆した記事は、編集部による編集・校正を経て公開されるというプロセスをとっています。現在の記事の蓄積は950以上。記事の種類別の内訳として、イベントレポートの割合が比較的多い一方で、事例記事をもう少し増やしていきたいという課題感も示されました。
テーマ1:いま、ソトノバで「書く」ことの価値とは
トークセッションには、泉山塁威さん(日本大学理工学部建築学科准教授/ソトノバ共同代表理事・編集長)をはじめ、西村隆登さん(ソトノバ・ライタークラス2021卒業生・現役ライター)、市川聡大さん(工学院大学大学院 建築学専攻修士1年/ソトノバ・アルバイト)、尾関有香さん(ソトノバ広報・事務局スタッフ)が登壇し、中野さんと板東さんがモデレーターを務めました。
板東さんの「SNSやnoteなど個人が気軽に発信できる時代に、あえてソトノバで記事を書く価値とは何か」という問いから、トークが始まりました(動画アーカイブより)
11年の蓄積が生み出す「届ける力」
はじめに、編集長の泉山塁威さんが2015年の立ち上げからの変化を振り返りました。
当初はパブリックスペースの事例自体が珍しく、情報を探すのも大変だった。しかし現在は事例も情報もあふれている状況にあり、珍しさよりも「いまそれを書く意味」が重要になっている
といいます。
また、ソトノバの強みとして
専門分化に特化した「テーマ型コミュニティ」としての届ける力
を挙げ、関心のある人に届くメディアであることを強調しました。
ライターにとっての「書く場」の価値
現役ライターの西村さんは、自分が紹介したい場所の情報を広く届ける場としてソトノバを活用しているという実感を述べました。
個人のnoteなどでの発信とは異なり、中野さんをはじめとする編集部のプロの校正が入ることで、客観性やクオリティが担保される
点を価値として挙げました。
市川さんは、学生の立場からの見方を共有しました。
大学の授業で「PFI」や「パブリックスペース」といった用語を調べると、最初に表示されるのがソトノバの記事。記事の中には専門的な知識がしっかり盛り込まれており、書き手にとっても読み手にとっても活用できる場であることがソトノバの価値
と語りました。
尾関さんは、2024年の社会実験への興味をきっかけにソトノバにたどり着いた経験を振り返り、
パブリックスペースが好きな専門家ではない人たち、一般の人たちにもっと届けられるようになるとよい
と期待を述べました。
左:書く場所について語る尾関さん、右:学生からみたソトノバ記事の価値について語る市川さん (動画アーカイブより)
編集部が支える「ライターの主体性」
副編集長の中野さんは、
国の施策を決める立場の人たちがソトノバをリファレンス先としていることについて、嬉しさとプレッシャーの両方を感じている
と述べました。
そのうえで西村さんの記事を例に挙げ、
西村さんが書くソトノバ記事は「西村隆登の記事」であり、ソトノバ・ライターである西村さんの主張や考え方にソトノバも共感している
と、ライターの主体性を編集部が支える構図についても改めて強調しました。
社会実装につながるメディアとプロジェクトの循環
泉山さんは、記事の発信がプロジェクトの依頼につながっている事例について具体的に紹介しました。
プレイスゲームガイドの公開後、宇都宮市や渋谷区など複数の地域から実施の依頼が寄せられたほか、プレイスビジョンの策定にも展開している
といいます。
メディア発信とプロジェクトを切り離さず、実践のプロセスを発信していくことの重要性にも言及しました。
一方で、SNSの視覚的・表層的な情報が背景やストーリーを伴わずに真似されていくことへの懸念も示し、記事だからこそストーリーを伝えることの重要性を改めて強調しました。
中野さんは、
950を超える記事がある中で「いまそれを書く意味」を持たせる視点の提供が編集部の課題である
と述べ、テーマ2への橋渡しとしました。
テーマ2:AI時代のライティング・情報発信とは
教育現場で実感するAIの急速な浸透
泉山さんは大学教育の現場で、
この1年で学生のAI利用が大きく変化したことを体感している
といいます。
具体的な問題として、Google検索のAI概要に誤情報が掲載される事例を挙げ、誤情報を学生がそのまま使用していた例など、ハルシネーション(AIによる事実と異なる情報の生成)の危険性を指摘しました。
そのうえで泉山さんは、
AIは著者になれない。パワーポイントや記事をAIがつくれる時代にあっても、「誰がつくったのか」という主体性が重要であり、血の通った文章・資料には「誰が」AIと一緒につくったかが問われる
と語りました。
左:AI時代のライティングについて語る泉山さん、右:「(ライターに)しっかり伴走していく」と熱く述べる中野さん (動画アーカイブより)
編集部のAI活用テストとライターそれぞれのAI活用法
板東さんからは、ソトノバ編集部内でのAI活用の取り組みが共有されました。
現在、イベントのアーカイブ動画を活用したレポート記事の下書きをAIでつくるテストを進めている
といいます。
テストライターとして試行錯誤に参加している市川さんは、AIの最大のメリットとして効率性の向上を挙げました。そのうえで、
AIに文章を書かせたからといってすべて同じになるわけではなく、それをどう自分の文章に仕上げていくかが重要
と述べました。
「どう自分の文章に仕上げていくか」について、西村さんは、
①全体を添削してもらい足りない部分や多すぎる部分を整理、記事の客観性・網羅性を担保する
②自身の伝えたい魂の部分を「ソトノバだからこそ」の記事や書きぶりにチューニングする、いわば「ソトノバナイズ」をおこなう
際に、AIに手伝ってもらっているといい、「ソトノバナイズ」という、本トークセッションを象徴する素敵なワードが飛び出しました。
左:ソトノバナイズについて語る西村さん、右:AIを活用したイベントレポートの取組について説明する板東さん (動画アーカイブより)
ファクトチェックの責任とSEOからGEOへ
板東さんは、ファクトチェックや一次情報の確認はライター本人の責任であることを改めて強調しました。
編集部は「より伝えやすくするための構成・編集」を担当するという役割分担である
といいます。
泉山さんは、SEO(検索エンジン最適化)からGEO(AI検索対応)への変化に言及しました。
ソトノバの記事がパブリックスペース系の専門用語でAI検索でも表示されるようにすることが重要だ
と指摘しました。
また、SNSのフロー型情報に対して、ソトノバは後から読み返される「ストック型情報」としての価値があることにも言及しました。
クロージング・トーク ── それぞれが語るライタークラスへの期待
トークの最後に、各パネリストがソトノバ・ライターやライタークラス受講生へのメッセージを述べました。
市川さんは、
AIによって文章を書くハードルは下がっているが、ソトノバでの発信は次の実践につながるという点において、独自の価値を持っているのでは
と述べました。
尾関さんは、
ライターそれぞれの独自性のある記事に期待している
といいます。
中野さんは
テクニックはライタークラスで共有できるが、「ソトノバナイズ」につながる「魂」の部分は、ソトノバ・コミュニティに入って仲間と交流する中で形成される
と述べました。
また、西村さんは、
ソトノバのライターとして以外にも、日常のあらゆるアウトプットにソトノバ・ライタークラス2021で学んだことが活かされているので、受けてよかったと思っています
と語り、参加を迷っている方への後押しとなるメッセージを贈りました。
そして最後に泉山さんが
納得する部分はAIでつくれるが、共感する部分は人がやるべきところ
とイベント全体を総括し、
発信したいことがなくても、コミュニティで学び合いながら書いていけるとよい
と語り、イベントを締めくくりました。
クロージングでの集合写真
終わりに
本イベントを通じて、ソトノバで記事を書くことの価値が多層的に語られました。パブリックスペースに特化したテーマ型メディアであるからこそ、届けたい相手に届くという強み。編集部の校正・構成を経ることで担保される客観性とクオリティ。そして、記事の発信がプロジェクトの依頼や社会実装につながるという、メディアとしてのユニークな循環です。
AI時代のライティングについても、全否定するのではなく「使うならこう使う」という実践的なスタンスが共有されました。効率化や思考の整理、新しい視点の獲得といった場面でのAI活用は有効である一方、「魂」や「血の通った文章」、「共感」といった人間ならではの要素はAIには代替できないということも指摘されています。
ソトノバは11年の歴史と950以上の記事の蓄積を持つ「ストック型」のメディアとして、SNSのフロー型情報とは異なる価値を提供し続けています。AI時代においても、「誰が書いたか」「なぜ書いたか」という主体性とストーリーこそが記事の価値を決めると語られていました。ライタークラスは単なる執筆技術の習得にとどまらず、ソトノバ・コミュニティでの学びと交流を通じて「書きたいこと」を見つけ、育てていく場であるということが、この日のトークを通じて共有されました。
Text / Prompt: 片山絢賀(ソトノバ・アルバイト)
Photo: ソトノバ
Editor: 中野竜
Editor in Chief: 泉山塁威
本記事は、イベントアーカイブ動画から生成AI(Gemini 3.5 Flash)による文字起こしをおこない、生成AI(Claude Opus 4.7)により要約し、ソトノバ編集部が加筆・修正・ファクトチェックをおこなって作成しました。
- この記事を書いた人 ソトノバ レポーター
