登録有形文化財のプレイスメイキング|未来へつなぐ旧赤星鉄馬邸と庭園プロジェクト
一般社団法人ソトノバでは、プロジェクトを通して、全国各地のパブリックスペースを取り巻く計画立案、プロセス構築、地域伴走など、多様な支援を行っています。
本記事は、2023年度より3年間携わった「未来へつなぐ旧赤星鉄馬邸と庭園プロジェクト」について紹介します。
Contents
プロジェクト紹介
旧赤星鉄馬邸は、東京都武蔵野市が所有する国登録有形文化財です。吉祥寺駅から徒歩約15分の市街地にありながら、都内では稀な広い庭園を有しています。
武蔵野市では、アントニン・レーモンドが設計した歴史的建築と緑豊かな庭園を未来へつなぐため、2021年度より利活用の可能性について検討を進めてきました。(ソトノバの参画は2023年度以降)
ソトノバは2023年度〜2025年度の3年間、市民の主体性を基軸に据えながら、市民会議の伴走、社会実験の企画運営、調査解析等を一貫して担い、旧赤星鉄馬邸と庭園の活用手法を共に探るプロジェクトを推進しました。
本プロジェクトでは、「文化財でありながら地域にひらかれた場」を実現するため、利活用の可能性検証から試行的な運営検証まで段階的に取り組みました。
さらに、本プロジェクトは、長らく民有地として静かに維持されてきた場所が、市への寄贈を経て公有地となり、将来的には「公園的な公共空間」として地域にひらかれていくことを見据えています。
そのため、空間の再定義を検討・検証するプロセスマネジメントの側面も有しており、活動に伴う調査検証にも重点的に取り組みました。
2023年度:市民企画母体の立ち上げ、伴走型社会実験の実施
2023年度には、市民主体となる企画会議を立ち上げ、有志24名とともに、旧赤星鉄馬邸の価値を理解しながら活用の可能性を探る「社会実験」を企画・実施しました。
市民が旧赤星鉄馬邸のことを勉強し、庭園で学ぶ機会を創出
2024年度:社会実験を踏まえたガイドラインの作成、活動主体の拡大
2024年度には、2023年度の成果を踏まえ、「旧赤星鉄馬邸実験的活用ガイドライン(※1)」を策定しました。さらに、市内外の事業者や市民団体へと活用主体を広げ、トライアルサウンディング(※2)を実施しました。
トライアルサウンディングにより、17の事業者、市民団体が集い、多岐にわたる分野の企画が試行されました。
※1 旧赤星鉄馬邸実験的活用ガイドラインは、その後改訂を重ね、2026年3月時点でバージョン3となっている。
※2 トライアルサウンディング:遊休地や空き施設等において、公民連携による効果的な活用の方法を探るため、暫定使用を希望する民間事業者等を募集し、一定期間、実際に使用し、効果検証をする手法。
トライアルサウンディングによる提案であったプロジェクションマッピングは大好評でした
2025年度:実験期間を拡大し、「日常化」の検証
2025年度には、過年度までに実施した短期間の社会実験を「いかに日常化するか」を検証することを目的とし、3か月間の試行的運営「旧赤星鉄馬邸とすごす3か月間 -文化財のある日常-」 を実施しました。
期間中は、施設の仮運営による日常管理、実験プログラムの企画・調査を行い、文化財の公開と活用の両立を検証しました。この期間の施設公開の中では、リピーターが少しずつ増え、市民の日常の一部になっていたと実感できました。
椅子の工作ワークショップとモルックを楽しむ市民が同居する日常の庭園空間
ソトノバの役割・工夫
ソトノバでは、活用可能性の検証(2023年度)、活用主体の検証(2024年度)、日常化の検証(2025年度)と段階的に取り組みを提案し、旧赤星鉄馬邸と庭園が将来的に本格的な公開・活用が始まる姿を見据えた活動と調査検証を行ってきました。
文化財を取り扱うプロジェクトは、文化財保全に偏る傾向のあるところを、プレイスメイキングの手法を活用し、地域住民とともに検討を重ねることで、地域にふさわしい場のあり方を検証し、愛着のある場を育んできました。
業務概要
| 実施年度 | 2023年度、2024年度、2025年度 |
| 所在地 | 武蔵野市吉祥寺本町4丁目26番21号 |
| 発注者 | 武蔵野市 |
| 受託者 | 一般社団法人ソトノバ |
| 業務名称 | 旧赤星鉄馬邸社会実験実行委員会運営支援等業務委託(2023年度)▶報告書 ▶マガジン① ▶マガジン② 旧赤星鉄馬邸社会実験実行委員会運営支援等業務委託(2024年度)▶マガジン③ 登録有形文化財旧赤星鉄馬邸試行的企画運営等業務委託(2025年度)▶報告書 ▶マガジン④ |
| 業務内容 |
ワークショップ、社会実験企画・運営、調査実施・解析、ガイドライン作成、 トライアルサウンディング、SNS運営、施設管理運営等 |
| 担当者 | 石田祐也、小原拓磨、山崎嵩拓、岩宗勇希(2024年度以降)、板東ゆかり(2025年度)、竹村大河(2025年度)、秋元友里(2023年度から2024年度) |
All Photos by Sotonoba
- この記事を書いた人 sotonoba.place
