下妻らしいパブリックスペースのあり方を探る。「WaiWaiドームしもつま」グランドオープン!

既存のパブリックスペース活用に加え、パブリックスペースを中心市街地再生の新たな核としていこうという動きがあります。

今回ご紹介するのは、茨城県下妻市で4月末にオープンした「Waiwaiドームしもつま」。

下妻市の名前を、みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。2004年に公開された映画「下妻物語」の舞台にもなったまちです。

その下妻市に、新たなまちなか再生戦略の一部として、半屋外の屋根付き広場など様々な施設が一体的整備された場所が生まれました。そのグランドオープンの様子をレポートします。

 

商業施設の撤退で生まれた大規模遊休地

「Waiwaiドームしもつま」は、常総線下妻駅から徒歩約10分の場所にあります。下妻市も、他の地方都市と同様に中心市街地の人口減少と空洞化に悩まされています。

そこで、まちなかの居場所とにぎわいづくりのため、社会資本整備総合交付金を活用して整備されたのが、下妻市にぎわい広場「Waiwaiドームしもつま」です。

立地する場所は、かつて大型商業施設が立地していた市街地の中心。商業施設の撤退後、20年余り大規模遊休地と化していました。 

約1.2haの「Waiwaiドームしもつま」敷地内には、全天候型の多目的広場である「Waiwaiドーム」、スケートボード等に使用できる広場型調整池「B.E. step125 shimotsuma(ビーステップワンツーファイブシモツマ)」、地域交流センター「わいわいハウス」、63台が駐車可能な駐車場等があり、それらが一体的に配置されています。

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ショッピングセンターだった場所を細かにゾーニングし、多目的利用ができる場所に(出典:下妻市HP)

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大きな屋根付き広場「Waiwaiドーム」(Photo by Mayuko MITANI)

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調整池兼エクストリームスポーツ広場「B.E. step125 shimotsuma」(Photo by Mayuko MITANI)

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室内で休憩やボルダリングが楽しめる地域交流センター「わいわいハウス」(Photo by Kazz WATARI)

利用者が自在に使い分けられる大空間

「Waiwaiドーム」には、200インチのデジタルサイネージ、イベント時や平常時の利用形態によって柔軟に使い分けることを前提とした2面のバスケットボールコートが常設されています。

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グランドオープン時の使い方の様子(Photo by Kazz WATARI)

グランドオープンイベントの際には、ステージを使ったダンスの発表やバンド演奏、可動椅子のくつろぎ空間、市民マルシェの空間など、同時に多数の活動が行われていました。

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手作り小物のお店など地元のママさんたちが多数していたマルシェスペース(Photo by Mayuko MITANI)

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ステージでインタビューを受ける子どもたち(Photo by Mayuko MITANI)

それぞれが自分の活動を自由に表現し、下妻ならではのゆったりとした時間が流れます。ひとつひとつの出し物やイベントは決して派手ではありませんが、来場者がそれぞれのペースで時間を楽しんでいました。

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プログラムにはなかった地元の囃子連もやってきて、お囃子を披露!突如はじまったパフォーマンスに、来場者も聴き惚れる。(Photo by Mayuko MITANI)

 

「一人一人に好かれ続ける街の居場所であり、まちのにぎわい再生拠点」

「Waiwaiドームしもつま」の目指す姿のひとつに、上記のようなフレーズがあります。

イベント時に、下妻市の稲葉市長、アドバイザーの筑波大学渡准教授にお話を伺ったところ、こんな言葉を聞くことができました。

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左/筑波大学 准教授 渡和由氏、右/下妻市長 稲葉本治氏(Photo by Mayuko MITANI)

稲葉市長

下妻は中心市街地再生のために、こんなことをやってる場合じゃないだろという人もいます。でも私はみんなが集えるパブリックスペースをつくることで、まちに新たな活気がもどってくるのではないかと思っています。

渡准教授

この場所は計画する過程で市民の方と一緒につくってきており、プレイスメイキングのための様々な要素が散りばめられています。下妻らしいプレイスメイキングのありかたをこれからつくっていけたらいいんじゃないかと思います。

 

「Waiwaiドームしもつま」は、室内で小さな子どもを遊ばせたい親子連れ、ボールで遊びたい子ども、スケートボードをしにくる中高生や青年などさまざまな世代、属性の人たちが集まる要素を備えています。

無料で自由に使える可動椅子も常備されているため、高齢者がまちなかで集まっておしゃべりをしたり、すこし休みたい時にも使うことができ、様々な形態や目的でまちの人たちが立ち寄れる場所となっています。

個々の施設はシンプルな機能で整備されていますが、これらを組み合わせることにより、地域の人々それぞれが自分の居心地のいい活動形態や場所を選ぶことができるよう場がデザインされています。

下妻式プレイスメイキングが目指すことは、『一人一人に好かれ続ける』場をつくること。それを目指して形にしたものが「Waiwaiドームしもつま」です。

 

「Waiwaiドームしもつま」を支える市民グループ

「Waiwaiドームしもつま」をつくる過程の中で、完成前の約2年間、広場の設計や使い方についてワークショップを重ねてきました。回数は全24回にのぼり、延べ人数で291人が参加したそうです。

また、そのワークショップをきっかけに、グランドオープンの時点でふたつの市民グループが発足してており、ハード整備だけではなく、市民の「やりたい」力を引き出すソフトの部分の整備にも力を入れています。

ひとつめの市民グループは、「しもつま3高」。前述のワークショップから発展したまちづくり団体です。名前の由来は、架空の学校「下妻第三高等学校」の愛称からきているそうです。

現在は、市民の活動拠点・居場所づくり活動の一環として、「Waiwaiドームしもつま」に面した空き店舗を活用し、「かふぇまる cafe & studio」いうコミュニティスペースの運営を行うほか、「Waiwaiドームしもつま」でのイベント企画、運営補助を行なっています。

グランドオープンの日、「かふぇまる cafe & studio」ではたくさんの種類のボードゲームを集めたボードゲームカフェが開催されていました。

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しもつま3高が運営するコミュニテイスペース「かふぇまる cafe & studio」入り口(Photo by Mayuko MITANI)

 

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めずらしいボードゲームで遊ぶ子どもたち(Photo by Mayuko MITANI)

もうひとつの市民グループは「下妻市スケートボード組織準備委員会」です。

調整池兼エクストリームスポーツ広場「B.E. step 125  shimotsuma」のことを考えていく市民団体です。

「B.E. step 125  shimotsuma」の設計にも市民スケーターの方々の意見がふんだんに取り入れられています。茨城のプロスケーターも訪れ、もちろん初心者の子どもたちも一緒に利用できる場所となっています。

スケートボードは、若者スポーツというイメージからか、各地で近隣クレームが起きやすいスポーツであると言われています。

しかし「B.E. step 125 shimotsuma」は、スケーターが中心となった組織が行政と協力しながら、自分たち自身でこの場所を管理し、利用ルールの呼びかけなどの活動を行なっています。

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様々な滑り方を楽しめるように工夫されたスケボーパーク。調整池には見えない!(Photo by Mayuko MITANI)

 

オープンから3ヶ月、下妻に合った場のあり方を模索中!

Waiwaiドームは、オープンから約3ヶ月が経ちました。

オープン後は、平日、休日問わず様々な使われ方で、市民のまちなかの遊び場・憩いの場になっています。

しかし気持ちのいい場を保っていくためには、近隣、管理者と利用者との関係づくりなど、空間を整備したあとに出てくる問題にも直面します。

実際に、イベント時の音がうるさいという苦情や、利用調整の問題なども出てきているそうです。

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とある日の平日夕方の様子。ドームの中では子供たちがボールあそび、外の日陰になった部分に椅子とテーブルを出してくつろぐ親子連れ。(Photo by Kazz WATARI)

つくった後のマネジメントをどうしていくかということは、場を維持する上でもっとも重要なポイントです。華やかなイベント時だけではない、日常のあり方をどうつくっていくか? 現場では模索する日々が続いているそうです。

行政と市民が一丸となった「Waiwaiドーム」の実験はじまったばかり。課題をひとつひとつクリアしていきながら、下妻のみんなの居場所を目指した挑戦は続きます!

 

【Waiwaiドームしもつま概要】

Waiwaiドーム: 6:00~21:00 (※専用利用は9:00~21:00)
わいわいハウス: 9:00~21:00
エクストリーム広場: 9:00~21:00
HP: Waiwaiドームしもつま

※毎週火曜日・年末年始休場駐車場・有料施設以外の日常利用は無休)、駐車場63台

 

しもつま3高 Facebookページ

下妻市スケートボード組織設立準備委員会 Facebookページ

 

 

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三谷 繭子

三谷 繭子

ソトノバ副編集長/Groove Designs/修士(デザイン学)/広島県福山市出身 パブリックスペースを媒介としてまちなかで様々な人が居場所を感じられる場と魅力ある都市空間をつくりだすため、地域支援やプレイスメイキングの実践を行う。地元孝行プロジェクト「備後のギフト」事務局。