裏通りの公園から広島都心を変える?! 毎回2万人を集める「The Trunk Market」に行ってみた!

広島市中区袋町。中四国九州最大の通行量のアーケード街の裏にある2本のストリートと小さな公園を起点とした都市再生がスタートしようとしています。

今回はその一環として毎年2回、袋町公園で行われている蚤の市、「The Trunk Market」の様子をレポートします。

うらぶくろのストリート。オモテの本通りとは一転、落ち着いた雰囲気。

うらぶくろのストリート。オモテの本通りとは一転、落ち着いた雰囲気。

「裏通りから始まる都心の再生」

うらぶくろ。このエリアを指す新たな呼び名は2010年広島市で17年ぶりに設立された商店街振興組合、うらぶくろ商店街振興組合とともに産声を上げました。

広島都心の2つの商業拠点・紙屋町と八丁堀をつなぐ本通りは土日には10万人の通行量があり、東京・竹下通りにも匹敵します。ところがまちゆくひとは本通りを通りすぎるだけで本通りの南側にある2本の裏通りを通るひとはそのわずか10分の1、これに危機感をいだいた商店主たちが2005年に立ち上がります。

設立された商店街振興組合では2本のストリートを中心としたエリアの活性化計画をつくりました。その計画の柱となっているのが2本のストリートと公園の再生です。

うらぶくろでの取り組みがはじまって以来、道路や公園を使ったキャンドルナイトやファッションショー、地元の伝統的なお祭りなどいろいろな使い方を模索しています。

それではさっそく、「The Trunk Market」の行われている袋町公園へ向かいます。

袋町公園に到着。このポスターは地元のデザイン会社が担当しているそう

袋町公園に到着。このポスターは地元のデザイン会社が担当しているそう

「今回で7回目、2万人を集める大規模なマーケットに成長」

毎年2回、春と秋に行われていて今回で7回目の開催とのこと。2日間で2万人が訪れるだけあってすでにまち全体がお祭りムードです。

出店者はだんだん増えて今回も70の店舗が集まりました。広島だけでなく、東京や神戸からも出店があり、すでに大規模なマーケットとして育ってきています。

コンセプトはユニークでハイエンドな蚤の市。実店舗を構える路面店の出店が多いのも特徴。

狭い公園の中にびっしりと軒をつらねる特製テント。出店数は毎回増えています。

狭い公園の中にびっしりと軒をつらねる特製テント。出店数は毎回増えています。

広島県産の木材を使った特製のテントが円形にならんでいて、雑貨やアパレル系の出店、真ん中のブロックに飲食系が集まっています。さらにテントのあいだにはたくさんのハイテーブルがならび、まちのラウンジのように機能しています。

マーケット会場は大きく2つ。円形の飲食・雑貨ゾーンと隣のキッズ系ゾーンで構成。

マーケット会場は大きく2つ。円形の飲食・雑貨ゾーンと隣のキッズ系ゾーンで構成。

広島近郊で採れた野菜を販売する出店者さん。ひとの顔が見えるのがマーケットの醍醐味。

広島近郊で採れた野菜を販売する出店者さん。ひとの顔が見えるのがマーケットの醍醐味。

できたての串焼きも。やっぱりソトで食べるとおいしい!

できたての串焼きも。やっぱりソトで食べるとおいしい!

ハイテーブルがかなり大量に設置されていて食べる場所探しには苦労しません。

ハイテーブルがかなり大量に設置されていて食べる場所探しには苦労しません。

毎回テントの数が増えて、歩きにくいくらいのひとでにぎわっています。

また、メインの出店エリアの隣にはキッズ系の出店者が集まっていて子どもと一緒の親子であふれていました。

メインのエリアとは違った客層が集まっています。こちらはほのぼのとした空気がながれています。

キッズ系の出店者が集まるエリア。メインのエリアよりひとが多い。

キッズ系の出店者が集まるエリア。メインのエリアよりひとが多い。

ダンボールで椅子をつくったり、

ちょっと寒かったけど、こどもたちもおとなも笑顔がいっぱいで温かい空間。

ちょっと寒かったけど、こどもたちもおとなも笑顔がいっぱいで温かい空間。

かんなを使って木を削ったり、みんな楽しそう!見ていてあきません。

難しそうにかんなと格闘するこどもたちとそれを見守る大人たち。

難しそうにかんなと格闘するこどもたちとそれを見守る大人たち。

4月にうらぶくろに進出したTHE NORTH FACEのブースにもこどもたちがたくさん。

4月にうらぶくろに進出したTHE NORTH FACEのブースにもこどもたちがたくさん。

「マーケットがまちの商業集積を高める!」

「The Trunk Market」の特徴のひとつが、マーケット出店が空き店舗の解消につながり、裏通りになっていた場所に商業集積が始まっていることです。

A.P.C.やスペシャルティコーヒー専門店OBSCURA COFFEE ROASTERSなど複数のマーケット出店者が実際にエリア内に店舗が出店していて、その他にもうらぶくろへの出店は続いています。

マーケット出店をきっかけにうらぶくろエリアに進出したフランスのブランド「A.P.C.」のブース。

A.P.C.のブースに登場したマーケット限定の卓球台は子どもたちに大好評。

A.P.C.のブースに登場したマーケット限定の卓球台は子どもたちに大好評。

他の地域でもマーケットイベントをきっかけとしたまちの活性化は多くの取り組みがありますが、その場限りのイベントに終わってしまう傾向があります。筆者がこれまで携わってきた岐阜県での多治見まちなかマルシェや東京・池袋でのGreen Blvd Marketでも出店者が地域の空き店舗などに出店することでエリアのにぎわいを高めることを目的としていましたが、まだまだ道半ばです。

地元の輸入車ディーラーが電気自動車を販売していました。今回が初めての試みだそう。

電気自動車の販売や地元ラジオ局・広島FMのブースもありました。そして「電気」自動車というところが、またこういったマーケットのらしさを表現しているようにも感じます。

他にも今回は9月に完成したばかりのおりづるタワーでナイトパーティーが企画されるなど、公園のソトや地元企業など地域全体とのコラボレーションも進んでいるようです。

「The Trunk Market」は、始まってまだ7回目ながらも周辺エリアの都市再生にすでに大きなインパクトを与えており、マーケット企画を経験している筆者としては、正直「参りました!」と言いたくなる内容でした。

広島の公共空間といえば全国的にも先行している水辺のオープンカフェが有名ですが、公園でもすでにマーケットが都市再生のツールとして機能し始めていることに広島でのソト文化の成熟度の高さとこれからの可能性を感じました。

うらぶくろのまちづくりでは袋町公園を活用した「The Trunk Market」だけでなく、2本のストリートを舞台にしたキャンドルナイトイベント「キャンドルぶくろ」、その他にも自主制作映画・CM、マップづくりなど様々な取り組みを行っています。

ソトをきっかけとした都市再生のお手本として、どんなところが他の地域でも応用することができるのか、これからも引き続き注目していきたいと思います。

ALL Photos By Yuta YAMANAKA

The Trunk Market

期 間 平成28年11月12日[土]、13日[日] (毎年春と秋の2回開催)
会 場 袋町公園
出店者 飲食・物販・ワークショップ・音楽・アトリエ・自動車販売など69ブース
プログラム トークイベント・ナイトパーティー(おりづくるタワーなどサテライト会場で実施)
主 催 うらぶくろ商店街振興組合
企 画 T.T.M企画室
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山中 佑太

山中 佑太

(株)荒谷建設コンサルタント地域デザイン部/NPO法人ひろしまジン大学メンバー/東京ツドイエ副理事 早稲田大学社会科学部卒業後、NTT都市開発株式会社で港区・芝浦の複合施設「グランパーク」のプロパティマネジメントに関わる。その後は行政と民間を渡り歩きながら豊島区・池袋でエリアマネジメント推進、道路空間を活用した社会実験、金沢市や多治見市で中心市街地活性化事業に関わるなど幅広くまちづくり業務を経験。2016年春に地元広島にUターン、現在はコンパクトシティの計画立案や中山間地域のまちづくりに取り組んでいる。