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ストリートウィーク企画 地域自立型のストリートを探る!|ソトノバTABLE#29レポート

ソトノバは、昨年に引き続き、日本国内でのストリートの利活用について考える1週間「ストリートウィーク」を企画。29回目となるソトノバTABLEはストリートウィーク企画の一環として実施しました。27回目に開催した「ストリートの現在地」と題したイベントでの議論を引き継ぎ、実践ベースでリアルな話を共有しながら今後のストリートのあり方について議論しました!

会場となったのは東京スクエアガーデン6Fの京橋環境ステーションにある「City Lab TOKYO」。様々な人々が持続可能性をテーマにワークショップやカンファレンスを開催できる、オープンイノベーション拠点です。

ストリートは誰のもの?

まずは今回のコーディネートを務めるソトノバ・ストリート・ラボ代表の石田祐也さんから、27回の内容を振り返るところからスタート。これから日本が向かっていくべき方向性として、①ストリートを使って良いんだというムードづくり、②制度をもっと使いやすくするための組織づくり、の2つを挙げました。

次につながるステップとして用意されたのが「ストリートは誰のもの?」という質問。道路は公共施設であるため、道路を管理している団体、つまり管理している道路管理者(行政)、交通管理者(警察)のことがまず思い浮かびます。市民がストリートを使いたいときに、この両者に許可を取るプロセスが必要になります。

このプロセスの大変さから、日本では道路を人々の空間とするのが難しいと言われてきました。

しかし、ストリートの自治が上手にできている商店街などを見ると、路上に様々なモノやアクティビティがあふれ出しているのもまた事実。良い先行事例が増えて、「自分たちもやって良いんだ」と思える雰囲気をつくっていくことが大事です。

そこで、今回は新宿、横浜、大阪という日本が持つ3つの大都市で先行事例をつくっている方々をゲストに迎えて、その内容を共有するというのが大きな目的です。

公開空地と道路のコラボレーションで進化する西新宿!

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一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会事務局長の小林洋平さん

1人目のゲストは一般社団法人新宿副都心エリア環境改善委員会事務局長の小林洋平さんによる、西新宿での取り組みの紹介です。

対象地区は、新宿副都心区域。1960年に作成された首都圏整備計画の中で定められ、面積は96haです。超高層街区を見てみると、広い道路、高層ビルの公開空地、中央公園などによって8割ほどがオープンスペースになっています。しかしながら、そこに人のアクティビティがありません。防災の面から見ても、合計30万人くらいが避難場所として、こういったオープンスペースを頼りにすることとなります。

それだけ重要な役割を担うべきオープンスペースですが、公開空地が特に多いこの区域は、公開空地とそれらをつなぐ道路空間をどう使うかが、委員会が立ち向かうべき主な課題となっています。

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防災の観点でオープンスペースの必要性を説明する小林さん

委員会が最初に取り組んだのは、中央公園で開催するイベントなどの頻度を高め、公園をよりにぎわいのある空間にすることでした。多くのイベントを経て、この区域が回遊性が生まれやすい空間であるという実感を得ることができたと言います。

このポテンシャルを更に活かすため、2015年から利活用の場を道路にも拡張させました。そのために、道路法を突破できる国家戦略道路占用事業(国家戦略特区)を申請。申請した書面には、道路空間だけでなく民間の公開空地も記載されていることが特徴です。

道路空間は委員会が東京都建設局から道路占用許可、警察庁から道路使用許可を受け、民間の公開空地はしゃれ街条例(東京のしゃれた街並みづくり推進条例)を使いながら、オープンスペースを利活用する準備を整えました。こうして、民地はそれぞれのビルが、道路は委員会が主体的に推進することで、責任を分けながらも一緒に取り組める体制ができているのです。

今後も車道と歩道の関係性を変えながら更に回遊性を高め、人々が交流、発信をするような「ショールームタウン」を目指してまちづくりを継続していきます。

「道路だけでなく、全体としてどうしていきたいのかを問われることが多い。また一過性のイベントだけでなく、将来どうしたいのかも問われる。全体のビジョンの共有の重要性を忘れてはならない」(小林さん)

道路協力団体として管理者と協力体制を築く横浜西口

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一般社団法人横浜西口エリアマネジメント事務局長の石幡勝さん

続いては、一般社団法人横浜西口エリアマネジメント事務局長の石幡勝さんにお話を伺いました。

横浜駅西口エリアは、一本足打法といわれるような、買い物するだけの街になってしまっており、街全体の売上が減少傾向にあるという問題を抱えています。外からの買い物客だけでなく、そこに住む人と働く人との連携を充実させ回遊性を高める。また、人材、アイデア、お金が一部の企業に偏ってしまっている点を、公共空間の利活用による収益によって解決したいという思いがあります。

こうした背景から新たな一般社団法人を設立。昭和38年からこの地区のエリアマネジメントを担ってきた横浜西口振興協議会を政策提言をする組織へと特化させ、実務は横浜西口エリアマネジメントが担当する体制となりました。地域活性化サポーターという制度を始め、近隣の高校生やその親世代の女性たちに積極的に関わってもらっています(高校生は3年で卒業してしまうという課題も……)。

ここの特徴は、道路が狭いこと。路上で大きなイベントをつくりにくいという問題を逆手に取って、ヒューマンスケールでローカル感のあるイベントをつくり出す工夫をしています。

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横浜駅西口パルナード通りの社会実験の様子を話す石幡さん

道路の維持管理には年間700万円ほどの費用がかかっています。この維持管理費を賄うため、道路協力団体制度を利用し、道路上で収益活動ができるようにしました。道路の整備は自治体が実施することで、官民が協力して道路を良くしていく体制が作られたと言います。

石幡さんは最後に、これまでの活動の中での学びをシェアしてくださいました。

・市の担当者も法律をあまり理解できていなかったり、それでも一生懸命頑張ってくれたりする。担当者によって事業は大きく左右される。
・マルシェは雰囲気づくりには効果的だが、あまり収益は上がらない。
・エリアマネジメント広告による収益を考え広告代理店に相談すると、横浜で出すくらいなら東京に出すと言われてしまう。
・企業プロモーションはまあまあ引き合いはあるが頻度は低い。

今回はリアルな話を共有するためにお金の話に特化してお話していただきました。

20年後のビジョンを共有しながら理想の御堂筋へ

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E-DESIGN代表の忽那裕樹さん

3人目の話者は、ランドスケープデザイン事務所E-DESIGN代表の忽那裕樹さんです。

忽那さんは冒頭から、まちづくりにおける社会課題の解決に向けた結論を提示しました。

それが、「活動のベースとなる環境の器」をデザインすること、活動を支える仕組みをつくること、自らのスタイルで空間を使いこなすことです。この3つを一体で考える場を地域に作っていくことが大事ではないかと提案しました。

具体例として今回お話いただいたのは、大阪の御堂筋です。6車線の大きな通りを人びとのための空間とするべく、緑地帯の外側にある側道を歩道化し道広場をつくるため、社会実験を繰り返しています。その結果、アルコールを販売できた、広告を出せた、期間中イスをそのまま置きっ放しにできたなど、確実に空間の使われ方が変わり始めています。

「長期的な話をしながら国、広域自治体、基礎自治体、市民、企業など、さまざまなステークホルダーと同時に、見えるところで決めていくのが大事」(忽那さん)

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「みんなの見えるところでビジョンを共有することが大事」と話す忽那さん

「民間が描くのは簡単だが行政と足並みをそろえる必要があるし、行政がやると角が取れたような絵しか描けない。そこで、官民連携で描きながら、すべてを施策として落とし込むわけではなく、できるところから施策に落とし込めるような、曖昧さを残したビジョンの共有を心がけている」

そう話す忽那さんは、この計画の進め方を、「フローティングビジョン」と呼んでいます。

20年後には道広場になっているという大きなビジョンを共有できていることで、1つ1つの社会実験などの手法が目的化しません。

また、フラットな協力体制を目指し、個人でも参加できる御堂筋サポーターズ倶楽部という組織を編成。現在300人のメンバーを2020年までに2020人まで増やしたいと語ります。サポーターズ倶楽部を中心として、バラバラだった地元の団体も同じ方向を向くようになってきました。

最後に、御堂筋最南端のなんば駅前広場改造計画の概要を少しだけ紹介し、広がりを感じさせながらプレゼンを終えました。

心を1つにするために何ができるか

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ゲスト3名(左から石幡さん、忽那さん、小林さん)とコーディネーターの石田さん

続いて、ソトノバ編集長の泉山塁威さん、副編集長の荒井詩穂那さん、横浜国立大学助教の三浦詩乃さんに加わっていただき、登壇者の方々とクロストークを行いました。

方向性の異なる様々なステークホルダーと、どのようにして同じ方向を向いて街を変えていくかという点に議論が集中しました。

小林さん、石幡さん、忽那さんに共通していたのは、非公式なビジョンを掲げながら、時間をかけて認識を深めていくということでした。少しずつ前向きになってくれる人も増えていく中で、現実的にそのビジョンをどのように具体化していくかということも並行して考え対策を練っていくことの大事さを再確認しました。

また、荒井さんが強調したように、地元のプレイヤーと一緒に動くと管理者とも会話がスムーズになるということも共通していました。「この街をどうしていきたいのか」ということを地元の人が語ると説得力があるのですね。

自分と違う立場の人と会話をする際には、相手の立場を理解することが大事であるという、そもそもこれは人と人とのコミュニケーションであるということを思い出すような議論でもありました。

三浦さんは「警察は住民の暮らしを守るのが仕事。防災や治安という面でいかに道路が良くなるのかという話をすることが、警察が前向きになるためには重要」とコメント。

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ソトノバメンバーの3名。左から泉山さん、三浦さん、荒井さん

泉山さんは、管理者を始めとするステークホルダーとの協働に関して、道路協力団体制度に可能性を感じると話します。やれる内容としては道路占用許可と同じですが、部外者が毎回道路占用許可を取って活動をするのと、地元の指定された団体が活動するのとでは、受け取り方に大きな違いが出そうです。

どの団体も、気持ちを1つにする方法を試行錯誤している様子が伺える、そんなクロストークでした。

地域とはどこ? 誰?

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2班に別れて議論

登壇者の方々と参加者が一緒になって、ワークショップを実施しました。

まずは泉山さんから話題提供です。

近年急速にパブリックスペースの利活用に関する注目が高まり、たくさんの社会実験が行われ効果測定がされるようになりました。それに伴って、ストリートの使い方もどんどん新しい試みがされています。民間は公共空間を使うようになり、逆に民間の空間が公共に開かれるようになるなど、活用の範囲も広がっています。

しかし道路空間は今、活用だけでは疲弊していくのではないか、マネジメントの仕組みについて考えられなければ持続可能な活用はできないのではないか、という課題に直面しています。そこで今回のワークショプは「地域が自立してストリートをマネジメントするために何ができるか。何をしなければならないか」というテーマを設けて、2つの班に分かれて議論してもらいました!

2班の発表からは、「地域」という言葉を巡っての議論が浮き上がりました。道路空間に愛着を持っていない新住民はどこにいて、彼らにはどのようにアプローチすればよいのでしょうか。例えば近年都市部に急速に増えているタワーマンションに住む若いプレイヤーを、タワマンの公開空地なども合わせながら巻き込むことや、店舗を持たないスタートアップ企業などに路上を活用する機会を提供することが鍵になりそうという意見が出ました。

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班内で話し合ったことをまとめながら共有する荒井さん

また、物理的に周辺にいないファンの力を活かす方法も考える必要がありそうとの意見も。わかりやすく言えばクラウドファンディングのような、離れていても地域と関係を持っているファンがサポートできるような仕組みをつくることの重要性も今後高まりそうです。

マネジメント主体については、1つのエリアマネジメント団体ではなく、いろんな団体が集まって盛り上げているという意識付けを持つため、「キャンパス」や「エキスポ」といったキーワードでできることを考えていくと良さそうという意見が出ました。それに付け加えて、関わる人々が全会一致でビジョンを共有する必要はなく、自己責任で利活用できる仕組みを地域内でつくることが大事なのではないかという意見も出ました。

誰のものかというイメージを通り全体で持てなくても、関わりの深い区間のみを対象とすることで、自治のイメージを持つことができるのではないかという意見でした。または、袋小路や遊戯道路など、オーナーシップを醸成しやすい場を選んで始めることも良いアプローチかもしれません。

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登壇者を囲んでグループフォト

去年に引き続いて2年目となるストリートウィーク企画でのイベントでした。去年から少しずつ、しかし確実にストリートの利活用は進化していると実感した1日でした!

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まきあやこさんが主宰するPerch.によるケータリングサービス

お酒を飲みながら、まだまだ話し足りないイベントの続きを語り合いました。3大都市が肩を並べて話せたからこそ見えてきた希望や、次に解決すべき課題があったと思います。一方で、郊外や地方での道路の在り方はまた別の視点で考える必要がありそうです。今後もストリートの利活用を巡る動きに目が離せません!

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みんなで乾杯!

All photos taken by Takumi YANO

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