公園が使われるにはワケがある。アメリカ視察報告会からわかったソトづかいのヒント。【ソトノバTABLE#1公式レポート!】

12月に第2弾の開催が決定した「ソトノバTABLE」。毎回、知見と経験を併せ持つプレゼンテーターをお招きして、参加者と一緒にソト使いの新しい形を語り合い、妄想を膨らませる場を目指しています。

ここで8月の記念すべき第1回ソトノバTABLEを、ちょっと振り返ってみましょう。パブリックスペースの使いこなしには定評のある米国の各都市を視察してきたお2人から、熱いレポートが届けられました。

1人目のプレゼンテーターとしてお迎えしたのは、コトラボ共同代表の椛田泰行さん。同社は2016年に創業100年を迎える老舗の屋外器具・遊具メーカー、コトブキのグループ会社として、ITを活用した事業や商品の企画開発を手がけています。椛田さん、スーツケースをガラガラさせながらの会場入り。米国ポートランド出張からの帰国日に、出演をお願いしてしまいました。

ソトノバtable

ポートランド帰りの椛田さん。無理言ってすみません。

といっても、この日の話題はポートランドではありません。2015年6月に、コトラボの社員が総出でニューヨーク(NY)の公園やパブリックスペースを視察した、その報告が中心でした。10日間で138カ所、総移動距離1800kmに及ぶ濃密な視察から、いろいろなヒントをいただきました。

「人々が使い方を知っている」

2001年の9.11同時多発テロ以降、行政と民間デベロッパーの協業が進んできたというNY。「NY自体が点在する公園の集合体。大きな公園です」と椛田さんは説明します。

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椛田さんのプレゼンテーション

マンハッタンのブライアントパークには5日間通い、人がいないことがなかったと振り返ります。廃線跡を都市公園にしたハイラインは、高架下の商業施設に訪れる人は少ないそうで、「人々が公共空間の使い方を知っている。公園自体が集客施設となっている」とのコメントが印象的でした。

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ニューヨーク視察の成果をまとめた小冊子「PARKFUL in NEW YORK」(540円)。http://kotolabo.thebase.in/items/1980407 で入手できます。

公共空間とコーヒーの旅

もう1人のプレゼンテーター、森ビルのやまさきさんは、7月3日から10日間、カナダ・バンクーバーから米国シアトル、ポートランド、サンフランシスコと南下するコースを視察しました。

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やまさきさんのプレゼンテーション

例えばシアトルでは、60年代の再開発で高層化の計画があったのを、市民の反対で中止に追い込んだ歴史があります。最近では”Friends of Waterfront Seattle“という市民団体が、シアトルのウォーターフロントの26ブロックを再構築していくなかで活動しています。大規模な公共施設を再編していくシアトルですが、特にFriends of Waterfront Seattleの活動が活発的で、イエローとブルーをキーカラーにしたソトで使えるファニチャーを市内の公共空間にめぐらせたり、市民が主体となってライブイベントを行ったり、シアトルの街が一体となって、この高速道路撤去の公共施設再編のプロジェクトを進めているようにも感じられたことをレポートしました。

サンフランシスコでは、日本でも注目を集め始めている、路上のパーキングスペースなどに人の居場所をつくる「Parklet(パークレット)」をめぐりました。数あるパークレットの中でも、Valencia Street(between 23rd and 24th streets)にある「Agua」は、サンフランシスコの学生と、サイエンス・アート・人間の知覚などを研究・展示するExploratoriumのパブリックスペースを研究するチームとで制作されました。一見、遊び場のようにデザインされつつも、雨量計や蒸発プラントなどの仕組みが展示され、水や、持続可能な水の利用方法を学べます。道路上に、こうしたテクノロジーの表現の場を、遊び場のようにデザインする新しい公共空間の使い方の可能性をレポートしました。

一方、コーヒーにも造詣が深いやまさきさん。シアトルの昨年オープンしたばかりのスターバックスのロースター工房のような店舗や、サンフランシスコにある4大サードウェーブコーヒーの紹介など、公共空間の話題以上に熱が入ったのはご愛嬌です。

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コーヒーショップのプレゼンで、思わず立ち上がるやまさきさん。

寄付文化があり、民間や市民の力を全面的に取り入れることができる。犯罪抑止という明確な目的がある──。米国の公園を支える事情は日本とは異なるため、向こうの事例をそのまま持ち込んでも、うまくいく訳ではなさそうです。彼の国との隔たりに気が遠くなりつつも、その違いを乗り越えて生かせることは何か、考えていこうと思いを新たにした夜でした。

【ソトノバTABLE#1 概要】
テーマ:アメリカのソトとは? アメリカ視察報告会
日時:2015年8月17日(月)19時〜22時
場所:Co-ba SHIMOKITA | The Association
プログラム:
1) 「公園が作るNYの魅力」椛田 泰行(株式会社コトラボ)
2) 「西海岸のパブリックスペースとコーヒーショップを旅して」やまさき まさき(森ビル株式会社/ソトノバ副編集長)

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樋口 トモユキ

樋口 トモユキ

ソトノバ副編集長/修士(建設工学, 都市工学) 建築専門誌の記者から転身、ドラマチックに合流する。愛知県名古屋市出身、東京都中野区東中野在住。東大まちづくり大学院1期生。人々が集まり営む都市というものに対する飽くなき好奇心を胸に、新たな発見を求めて夜な夜な街に繰り出す。キューバ渡航歴6回、東京都公認ストリートライブのライセンスを持つラテンパーカッショニスト。座右の銘は「君子豹変す」。